第四話 ぶらざあ
[ミック視点]
「無事で安心したよ、クラシー。しかし、まさか九階層まで到達しているとはな。」
さぁて、どうしましょうか。
このまま応対したら、わたしがクラシーを食べてる途中みたいに思われちゃう気がする。だって、都合良くクラシーの姿になってるし、事実クラシーはほぼ体内にいるようなもんだもん。
なんでクラシーの姿になんかなっちゃったんだ!過去のわたしのバカ!
ということで取れる選択肢は一つ。
壁の擬態を解除!本物のクラシーを露わに!
「うわっなんだ!?え?クラシーが、2人?」
「うーん、騒がしいね。ミック、どうしたn私が居る!あ!お兄ちゃんもいる!なんで!?」
お兄ちゃん!?似てるとは思ったけどお兄さんだったんだ。
2人ともパニックにはなってるけど、これでわたしは殺されない!たぶん!
「落ち着いて、クラシー。わたしだよ、わ・た・し!」
続いて全部の擬態を解除!
「ミミック!?だ、大丈夫なのか?クラシー?」
「うん!ミミックのミックはおともだちだから!」
「そうだよ!」
クラシーはわたしのたった一人のおともだちだもん!
「そ、そうか…」
「それよりお兄ちゃん、どうしてここにいるの?」
「どうしても何も、お前を探してたからに決まってるだろう?新米冒険者が、初心者用ダンジョンから全然戻ってこないとなったら、捜索するのは当然のことなんだぞ?」
「そうなんだ…迷惑かけてごめんなさい…。」
「いいや、謝る必要なんて無いさ。お前が無事で居てくれた。それだけで十分だ!そう、本当に十分なんだ…!本当に良かった!」
泣き出しちゃった!でもわたしは空気の読めるミミックなので、水を差さずに見守るのです。
[クラシー視点]
何やら騒がしいので起きてみたら、目の前には私が居て、近くにはお兄ちゃんが居たので本当にとってもびっくり!
お兄ちゃんは私を探してここまで降りてきてくれたらしい。本当に妹思いのお兄ちゃんだと思う。
落ち着いたようなので、お礼を言わないとね。
「お兄ちゃん、助けに来てくれてありがとう!」
「どういたしまして、それじゃあ帰ろうか。」
「待って!ちょっとだけ、聞いてほしいことがあるの!ミックの事なんだけどね…」
ミックのことはちゃんと話しておかないとね。
「なるほど、ミックがミニスライムにも気づいていないクラシーを助けて、その上クラシーを強くしてくれたと。」
「うん、そうだよ!でも、わたしがミニスライムを必死に追いかけてたのが怖かったのが原因だったから…」
「ううん、気にしないで、ミック!ミックに気を取られて周りを全く見てなかったのは本当のことだから!」
確かに、そもそもミックがいなかったら、私は普通にミニスライムを倒し、ちょっとしたら地上に戻っていただろう。でも、事実として、私はミックにミニスライムから守られ、ダンジョンの歩き方を学び、強くしてもらったのだ。
もしかしたら、ミックがいなかったらミニスライム一匹すらも倒せなかったかもしれない。
「そうだな、元凶がなんであれ、ミック、君はクラシーを善意から助け、クラシーが君を慕っているのは間違いないことなんだ。だから、俺からも礼を言わせてくれ。クラシーを助けてくれてありがとう、ミック!」
「へへへ、どういたしまして。」
「では今度こそ出発するとしよう。折角だし、クラシーが強くなれるよう、ゆっくり行こうじゃないか。」
「うん!わかったよお兄ちゃん!ミックもいい?」
「もちろん!」
これから第八階層を進むことになる。
新しい仲間のお兄ちゃんを加えて!




