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コスプレイオブパルクール  作者: 桜崎あかり
第3話『日本のコンテンツ流通を変えていく』

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Bパート(中盤ざっくり)

『お知らせいたします。このレースで出走する予定だった13番は、レース前のガジェットチェックの結果、不正ツール反応が検出されたため、競争から除外いたします』


 レース開始前、まさかの男性アナウンスが流れた。


 開始直前となる1分前に、このアナウンスが流れたのだから、周囲のギャラリーも動揺するのは無理もない。


 レースを走る予定だったのは、全16名のはずが、競争除外が現れたことで15名に減った。


 除外されたのは13番のプレイヤーであり、春日部皐月かすかべ・さつきではない。


(危なかった、と言う気配なのかな?)


 皐月は、整備士の男性に声をかけられた、あの時の事を思い出す。


 下手に誘いを受けていたら、競争除外になっていた所だったのである。ある意味でも明日は我が身……なのだろう。


 これより少し前のレースでも、チートツールの使用が疑われたプレイヤーが失格になっていた。


 それを踏まえると、エクストリームパルクールではチートプレイヤーの存在は許さない、と言う強い意志の表れが出ているのだろう。



「やはり、こういう展開になりましたか」


 実況席にいる解説担当の男性が、ふとつぶやいた。


 レース開始前には、このようなアナウンスも一緒に流れていたのである。


『レース開始前ですが、不正ツール反応検出が確認されたため、レースの発走は遅れます。しばらくお待ちください。該当するプレイヤーは13番となります』


 このアナウンスを聞いた解説担当の男性は、このレースもか……と言う思いはあった。


 チートツールが使用されるようなケースは様々なゲームにあるのは、百も承知なのだろう。


 実際、拡張現実を使用したARゲームでもチートツールが横行し、更には専用の特殊なチャフまでも流通する寸前だったという話もあった。


 やはり……切っても切り離せないような問題なのだろうか?


「しかし、チートツールは水際で発見されている……はずなんですよね?」


 実況担当の男性も、不正ツールがレースにどのような影響を及ぼすのかは、ある程度把握している。


 特に闇カジノのような感覚で違法賭博を行う事例だって、ニュースでも稀に見かけるだろう。


 不正なチートツールの横行の影に、ビッグマネー……そうは思いたくもないが。


「確かに水際で阻止するためにも動いているでしょう。実際……」


 解説の男性が何かを言おうとした矢先、男性スタッフの一人が実況の男性に何かのタブレットを手渡した。


 そこに表示されていたのは、ニュース動画の様だが……?


「どうやら、今回のチートツールを拡散したと思われる人物が逮捕されたようです」


 声のトーンは、実況担当なので……と言う気配はするが、別の意味でもニュースの内容には驚いているようでもあった。


 一連の逮捕劇に貢献したのがガーディアンであるのは、ここでは言わないようだが。


(どうやら、水面下で動いていたようだな。こちらも心配し過ぎたか)


 解説の男性は、このニュースを見て、ほっと一息。ある意味でも、自分の出る幕もなかった、と考えた。


 彼はガーディアンではないのだが、ある意味でも不正ツールや転売ヤーなどと言った部分には……。



『間もなく、新人戦が始まるようです』


 少し開始時間としては遅れることとなったが、何とか新人戦が始まることとなった。


 実況の男性もあのニュースを見た後でも、若干落ち着いている様子。


 レースに関しては、いわゆる一斉発走の類なのだが、横並びでそこまで……と思われたが、そういった心配はなさそうである。


 大型ガジェットの場合、大型部門と言うものがあり、こちらの方はノーマルガジェットで行われることも大きいか。


 だからと言って、いわゆる競馬で使われるようなゲートの部類を使うのではなく、普通にスタートラインに立ったうえでの一斉スタート……の様だ。


 カートなどのレースでは、いわゆるポールポジションのようなものもあるが、エクストリームパルクールにはそれはない。


 ある意味でも、分割するべき箇所があるのではないか……と言うツッコミが飛ぶのは明白である。


 実際、コースは既存の道路を利用するような形と言うのもあるだろう。


『注目のプレイヤーと言うのは誰でしょうか?』


 実況の男性に話題をふられた解説の男性は、ふと視線を向けて……。


「特筆すべきプレイヤーはいませんが、アスリート出身のプレイヤーが数名混ざっているので、それを踏まえて良いレースを期待したいですね」


 当たり障りのない、と言ったらそれまでだが、さっくりと受け流すかのように解説の男性はコメントする。


 確かにデータ一覧で見ると、陸上短距離で県大会まで出た男性、市民マラソンランナー、更に言えば現役プロレスラーと言った肩書が目立つ。


 スポーツ経験者であっても、エクストリームパルクールは分野が違いすぎるので、大抵は肩書を生かせずに新人戦では凡走に終わることが多い。


 だからと言って別のARゲームプレイヤーが、ジャイアントキリングをするのかと言われると、それも違うのだ。


 ガジェットの特性を理解し、コース適正があるプレイヤーが新人戦を制する……それがエクストリームパルクールが他と違う所である。



「あんた、新人らしいが……運営のシグルドリーヴァには別の狙いがある。注意しろ」


 唐突だが皐月に話しかけてきたのは、となりにいた2番の男性プレイヤーだった。


 彼は、ざっくりいうと動画サイトで活動する配信者。装備は西洋風鎧をベースにしたARガジェットで、顔も見えない。


 鎧のデザイン的に男性だろう、と言うのがギリギリ認識できるであろうレベルか?


「別って……」


 皐月も若干気になる個所があり尋ねたのだが……。


「レースを走れば、おそらくは分かる」


 それ以上、この男性が言及することはなかった。


 下手に話が多ければ、逆に不正行為を疑われる、と言うのはあるのかもしれないが。



『遂に始まりました、新人戦。スタートは特にフライングなどもなく、直線距離を走っていきます』


 草加市内の道路を封鎖している関係か、ほぼ直線距離にも見えなくはないが……実際は400メートル先は左折となっている。


 信号なども見えるのだがレース中は電源が落とされているようで、ある意味でも異様な光景に見えなくもないだろう。


 左折と表示されている看板が直線距離に見え始めている辺りで、おそらくは気づくかもしれない。


 この左折と言う看板が別の意味を持っている、と言う事を。


 実際、この左折の看板を見て直線距離を走ろうというプレイヤーも何人かいる。これに関しては、反則にはならない。


 あくまでも左折コースはパルクール未経験者向けの誘導であり、1000メートル先のゴールへ到達すれば、問題はないのだ。


 さすがにビルの内部や他人の家の敷地へ勝手に進入したりするのは失格行為にはなるが、コースとして設定されている道路は失格の対象にはなっていない。


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