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ある日ダンジョン出現に巻き込まれた  作者: 鹿野
2章 目指せSランクパーティー
82/129

#82 おめでた!?

 9月27日(土)


「よ~し!今日も頑張ろ〜」

「おー!」

「今日は60階層まで行きたいですね」

「そうだな」

「取り敢えず、砂嵐が出て来る階層は突破しちゃいたいよね~」

「そだねー今日は仕方ないにしても、明日も頭ジャリジャリするのは嫌だもんねー」

「じゃあ、さっさと行動開始しようか」

「「「は~い」」」


 昨日の最終地点から攻略を再開して20分、56階層に続く階段を発見して降りて行き、50分後には57階層に到達する事が出来た。


「うー頭がジャリジャリするよー」

「アタシも〜」

「今日もシャワーの時間が長くなりそうですね」

「まあ、それも今日までだろうから、頑張ろう」

「「「は~い」」」


 頭がジャリジャリして気持ち悪いけど、この階層を突破してしまえばここまで砂が舞う階層はないらしいので、我慢して先を急ぐ事にした。


 1時間10分掛り漸く突破する事が出来た時には、女子達が抱き合って喜んでいた。

 その中には、全身を毛で覆われている雪兎も混じっていた。

 まあ、よくよく考えれば、1番被害が大きそうなのは雪兎だもんな。


 その様子を俺はエレンを撫でながら大人しく見ていた。


「お待たせしました春斗くん、エレンくん」

「春くん、エレンちゃんお待たせー」

「えへへ〜喜び過ぎちゃった」

「キュッ」

「いや、それほど時間経ってないから平気だよ」

「パオ」


 喜びの抱擁から戻って来た4人に、待たせた事を謝られたけど、3〜4分くらいしか経ってないから全然問題はない。


「上手く行けば午前中の内に60階層には到達出来るかもしれないな」

「地図を見る限りギリギリですから、無理して午前中の内に行かなくてもいいと思いますけどね」

「砂嵐エリアは突破出来たし、急がなくてもいいんじゃ〜ん」

「さんせーい」


 という事で、無理に午前中の内に60階層に着かなくてもいいという事になったので、心にゆとりを持って進んで行った。


「いい景色だねー」

「そうだね~アタシ砂漠の景色って意外と好きなんよね~」

「ダンジョンに潜らなければ、日本では中々見る事が出来ない景色ですしね」

「そうだな。砂漠に限らずダンジョンの中って、綺麗な景色が結構あるよな」

「そうだね~海エリアとか山岳エリアとかも綺麗だもんね~」

「まだ最終エリア以外の海エリアは行った事ないけどねー」

「逆に最終エリアが海に沈んでいるダンジョンは珍しいんですけどね」

「そうなん?じゃあ、レアな体験だったんだ~」

「そういう事だな」


 ジャイアントグランワームという100mくらいありそうな巨大な魔物を斬り倒しながら、呑気に会話しながら進む事1時間、59階層への階段に辿り着き、トイレ休憩を取ってから先に進んだ。


「ジャイアントグランワームって、1体だけならいいけど、3体一緒に出て来ると壁みたいになって邪魔だね~」

「そうですね~」

「圧迫感あるしねー」


 女子達がそんな事を話しながらジャイアントグランワームを瞬殺して行っている。


 30分進んでも次階層への階段には辿り着けず、一旦お昼を食べに戻る事にした。


「おかえりなさい」

「ただいまです可憐さん」

「「たっだいま~」」

「かれんさんただいまです」

「換金してお昼に行きましょうか」

「その前にシャワーを浴びたいですね」

「「さんせーい!」」

「キュッ!」

「ああ、そうだったわね。今日は55階層からだったのよね」

「ええ、なので一旦シャワーを浴びて、それからお昼を食べに行きたいです」


 という事で、自分達の個室に戻り、シャワーを浴びてお昼ご飯を食べに行く事になった。


「今日は海鮮丼が食べたーい」

「海鮮丼か〜じゃあ、鋸南町ダンジョンの近くにあったあのお店に行く?」

「そうですね。そうしましょうか」

「あそこのお店、美味しかったわよね」

「漁港の近くだったから、ネタも新鮮でしたしね」


 唯佳の提案にみんなが賛成したので、鋸南町ダンジョンの近くの保田漁港まで転移で移動して、以前食べに行ったお店で海鮮丼を食べた。


「相変わらず美味いな」

「そだねー」

「美味し〜」

「唯佳ちゃんの転移があってこその選択肢よね~唯佳ちゃんありがとね」

「そうですね。転移がなければ、ここまで食べに来ようとは思いませんもんね。唯佳さんありがとうございます」

「唯佳っちありがと〜」

「えへへー」


 みんなからお礼を言われた唯佳が照れ笑いを浮かべている。

 その時、唯佳のスマホがなった。


「ん?美紀ちゃんからだーもしもしー」


 連絡して来たのは山中湖ダンジョンで仲良くなった火龍の咆哮の紅一点の柳 美紀さんの様だ。


「えっ!?うん。すぐに行くからちょっと待っててね!!みんな!山中湖ダンジョンに行こー!」


 何かあった様だが詳しくは分からない、分からないけど唯佳の様子から緊急事態が起こっているのは分かった。


「よし、急ごう。おじさん、お勘定お願いします。あと、これから見る事は秘密でお願いします」

「ん?何だか分からないけど秘密にすればいいんだな?分かった。任せときな」


 おじさんの了解を得られお勘定も終わったので、店内から直接山中湖ダンジョンの支部内に転移した。

 その途端、大勢の怒号の様な声が聞こえて来た。


「美紀ちゃーん!来たよー」

「唯佳ちゃん!」


 周りの怒号の様な大きな喧騒に負けないくらい大きな声で唯佳が叫び、それに美紀さんが反応した。


 どうやら美紀さんは人が集まっている輪の中にいるようだ。


「今行くねー」


 唯佳はそう言うや否や人の輪の上に転移すると、再び姿を消した。

 直後に人の輪から驚愕の声が上がった。


「うわっ!ど、何処から出て来た!?」

「誰!?ってクローバーの!?」

「美紀ちゃん!」

「唯佳ちゃん!悟くんが!」


 聞こえて来た美紀さんの言葉から、火龍の咆哮の唯一の既婚者である熊田くまだ さとるさんに何かあったらしい。


「鉄太さん!足をここで押さえておいて!」

「お、おう!」

「ハイヒール!!」

「「おお〜〜!」」


 聞こえて来た内容的に悟さんが足を怪我していて、唯佳がハイヒールを使わないと行けないレベルの怪我だった事が分かった。


「唯佳っちがハイヒールを使うレベルの怪我ってさ〜切断レベルの怪我って事だよね?」

「そうですね。今までの経験上そう思います」

「かなり危なかったのかもな」


 残された俺達がそんな話をしていると、聞き覚えのある声に呼び掛けられた。


「アニキ!お久し振りっす!姐さん方もお久し振りっす!」

「まだ、アニキ呼びなのかよ...」

「永遠に変わらないっす!」

「まあいいや、それより何があったのか知ってるか?」

「はい。悟さんが怪我したっす!」

「いや、それは分かってるよ」

「それ以上は分かんないっす!」


 どうやら役に立たない様だ。


「みんなお待たせー」

「唯佳、もう大丈夫なのか?」

「うん!もう大丈夫ー」


 ハイヒールは怪我で失ってしまった血液も、ある程度回復させられる。

 じゃないと、大怪我の時に使う用の回復魔法なのに、怪我は治せても出血多量で間に合わないなんて事にもなりかねない。

 その辺りの事もよく考えられている魔法だと感心させられる。


「唯佳ちゃん!ありがと〜ホントにありがと〜」

「俺からも礼を言わせてくれ!唯佳ちゃんありがとう!もし、あいつに何かあったら、あいつの嫁さんに何て言えばよかったのか...ホントにありがとう!」

「あいつの嫁さんの沙知ちゃんは、この間妊娠したって嬉しそうに報告してくれたんだよ。そんなタイミングであいつが死ななくて済んだのは唯佳ちゃんのお陰だ。ホントにありがとう!」


 人混みの中から火龍の咆哮の3人が出て来て、口々に唯佳にお礼を言っている。

 ていうか、悟さんパパになるのか、ホントに死ななくてよかったな。

 でも、もげればいいのに!


「はっ!?沙知ちゃん妊娠したのか!?」

「うん。あれ?お兄ちゃん聞いてないの?」

「聞いてないぞ!?おい!光一!お前いつ聞いたんだよ!」

「いつって、1週間くらい前だぞ?」

「私もそのくらい前だったよ?」

「何でリーダーの俺には一言もないんだよ!」

「お前の口が軽いからじゃないか?」

「そうだね~まだ、安定期に入ってないって言っていたから、安定期に入るまでは静かにしておきたかったんじゃない?」

「ぐぬぬ」


 美紀さんともう1人のメンバーである、与田よだ 光一こういちさんの言葉に、鉄太さんはぐうの音も出ない様だ。


 悟さんがパパになるのなら、ご祝儀でもあげようかな。


「悟さんがパパになるご祝儀を明日にでも渡しに来ます。悟さんが目を覚ましたらそうお伝え下さい。因みに明日は流石に休みますよね?」

「ああ、休みにする予定だ。悟の事も休ませたいしな」

「じゃあ、明日のお昼頃にこっちに来ますから、一緒にお昼でも食べませんか?勿論、悟さんの体調次第ですけどね」

「分かった」

「じゃあ、悟くんの体調がよくなさそうだったら、唯佳ちゃんに連絡するわね」

「うん。分かったー」

「それじゃあ、俺達は行きますね」

「ああ、今日はホントにありがとう。お前らも気をつけろよ?」

「はい。じゃあ、また明日」

「アニキ!姐さん方!お気を付けて!」


 挨拶を済ませ、支部を出て富士森公園支部に転移して来た。


「それじゃあ、気を付けてね」

「「は~い」」

「ふふっ行ってきます。かれんさん」

「行ってきます」


 可憐さんと別れ、唯佳の転移で40階層のボス部屋にやって来た。


「悟くんへのお祝いってこれか〜」

「確かにこれはいいですね。探索者を続けるなら安全性が増しますからね」

「そだねー悟くんが怪我しにくくなるのはいい事だねー」


 雛と唯佳は君付けで呼ぶ事にした様だ。


「ああ、それと悟さんにだけじゃなくて、火龍の咆哮全員に渡そうと思っている。パーティーの安全性が上がらないと、タンク役の悟さんの安全性が上がらないからな」

「それがいいですね」

「「さんせーい!」」

「という訳で、全部で5つ圧縮マグマを取りに来よう」

「「「は~い」」」


 美紀さんは弓矢と短剣を使っているので、圧縮マグマは5つ必要になる。

 取り敢えず、40階層で数を調整してから、40階層のボスのマグマ大使を倒して59階層に行き、魔物を9体倒してから進み、10分経ったらマグマ大使を倒しに行って圧縮マグマを取り、また、59階層に戻るを圧縮マグマを5つ手に入れるまで繰り返し、60階層を目指した。


「ご祝儀用のアイテムは揃ったし、ここからは全力で先に進もう」

「「「は~い」」」


 それから5分程で60階層への階段に辿り着き、俺達は60階層へと降りて行った。

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