#56 従魔の装備
8月31日(土)
「春斗、昨日渡された武器、あれヤバいな!」
朝、学校に登校して来た廉が、興奮気味に俺の肩を掴んで揺すってきた。
ダンジョン発生の影響を受けて、今日だけ土曜日も登校となっている。
個人的には連休が長い方が嬉しいので、この日程にしてくれた学校には感謝したい。
「廉?ちょ、ちょっと落ち着けって!首が痛いから!」
「ん?ああ、悪い。でも、あの武器はヤバいって!」
「いやまあ、中級者レベルの武器だから、フォーフレンの今いる辺りなら無双出来るだろうね」
「俺でも5階層の魔物を一撃で倒せるからな」
「だからって、無茶はしないでくれよ?」
「分かってるって!約束はちゃんと守るよ」
「ならいいんだけど、廉はお調子者だからな~」
「誰がお調子者だ!」
「お前だお前!油断して攻撃を食らったりするなよな?」
「魔物と対峙中に油断する奴なんかいねえだろ!」
「そうですね。そんな人はいませんよね?」
「だよね~。そんな人はいないよね~。ね~春斗っち?」
「春くんが他人に油断しない様に注意している?えっ!?」
うちのパーティーの女子達に聞かれてしまった。
「ん?何か委員長達の反応がおかしくね?それに、白坂の今の反応って、春斗?まさかお前...」
ガラガラガラッ
「席に着いて下さい。ホームルームを始めますよ」
とてもいいタイミングで、先生が教室に入って来てくれた。
ホームルームが始まったお陰で、俺のやらかしが暴露される事もなく、時間が過ぎて行った。
放課後、個室で着替えを終えた俺達は、山中湖ダンジョンの54階層へとやって来ている。
「55階層に今日中に行けたら、明日明後日の2日間はお休みにしようか?」
「そうですね。いいと思います」
「「さんせーい!」」
「じゃあ、ちょっと頑張ろうか」
「めっちゃやる気になって来た~!」
「私もー!」
「ふふっすぐに次階層への階段が見つかりそうですね」
「ハハッそうだな」
それから30分後
「ホントに早かったな...」
「そうですね。ここまでとは思いませんでした...」
「雛ちゃん、流石だねー」
「これで明日は遊びに行けるね~」
目の前には、55階層へと続く階段があった。
「取り敢えず、降りてみようか?」
「「は~い」」
「ええ、そうですね」
階段を降りた先に見えて来たのは、畳敷きの大きな大きな広間だった。
「広いねー」
「反対側が見えないね~」
「反対側は、見えない壁がある可能性もありますね」
「そうだな。それにしても、魔物の数が多すぎないか?」
見渡す限りの大広間には、無数の魔物が犇めいている。
「今までは、通路でしたので見えない場所にいた魔物も、遮る物がない為によく見えるのでしょうね」
「なるほどー」
「虫系の魔物じゃなくてよかったね~」
「うん!」
「はい!」
なるほど、確かに女子達からしたら、虫系の魔物だったら大変な事になっていただろうな。
「その点はよかったとして、これ、どうやって進もうかね」
「そうですね。今までは、前後のみに気を配っておけば、大体の場所では問題なかったですけど、この階層は、四方八方360°常に警戒が必要ですからね」
「それに、魔物の数が多いから、唯佳っち達が進む為に結界を解除する隙を作るのも大変そうだよね~」
「少しずつ少しずつ進むしかないかもねー」
「取り敢えず、前方に雛3人、右に俺、左に雪兎後方はほのかとエレンの魔法で対応しながら進んでみよう。唯佳は結界を張りつつ全方位のフォローを頼む。結界を解いて進むタイミングは、ほのかと相談して決めてくれ」
「「「はい!」」」
「キュッ!」
「パオ!」
軽い打合せを行い、まずは近接組が飛び出して行く。
昨日、アイテム融合で強力になった武器のお陰もあって、この階層の魔物であっても一撃で倒せている。
雛の方を確認すると、雛は1〜2回の攻撃で倒せており、こちらも問題はなかった。
雪兎の方は少し問題がありそうだった。
雪兎のレベルは昨夜も上がって4になっている。
この階層の魔物と比べても格上の存在ではあるのだが、それでも1体倒すのに4〜5回の有効打を当てなければならない。
1対1であれば何も問題はないないのだが、複数の魔物が相手だと、動き回りながら相手を翻弄して、有効打を当てて行く戦法で戦わなければ流石にキツい。
だが、この階層の様に魔物に囲まれている状態では、その戦法もままならず、必然的に苦戦を強いられる事になってしまう。
今の雪兎が、正にその状態だった。
「一旦階段に戻るぞ!!」
俺の声に反応して、全員が階段に戻って来た。
「春斗っちどうしたん?」
「雪兎が苦戦していたから、ちょっとどう対処するか相談したくてな」
「そうですね。ゆきとくんにとってこの階層は、戦い難そうでしたね」
「うん。珍しく攻撃も受けてたもんね。ヒール!」
「キュッ」
攻撃を受けて、軽い怪我をしていた雪兎に、唯佳が回復魔法を掛ける。
「どうするかな?」
「そうですね。この際、ゆきとくんとエレンくん用の装備も作ってみませんか?」
「おー!いいかもー」
「いいじゃん!でも、雪兎っちとエレンっちの装備って売ってるの?」
「流石にないだろ?」
「ええ、ですからオーダーメイドで作ってもらいましょう」
「おー!オーダーメイドー」
「それいいね~!2人共いい装備を作ってもらおうね~」
「そうか、その手があったな。じゃあ、早速作りに行こうか」
「「「は~い」」」
という事で、支部へと帰還して換金を済ませ、紗奈さんも一緒に俺達の個室に帰って来た。
紗奈さんも可憐さんも、俺達の専属担当として、俺達が帰る時に一緒に退勤出来るらしい。
朝は、情報収集なども行う為に普通に出勤して、普通に働いているらしいのだが、退勤時間と休みは比較的、俺達に合わせても問題はないそうだ。
「じゃあ、明日と明後日は紗奈姉どうすんの?」
「あなた達が休みって聞いたから、休みにしたよ。休みの日に唯佳ちゃんに送ってもらう訳にもいかないし、かと言って自分で通勤出来る距離じゃないしね」
確かに通えないわな。
「じゃあさ、紗奈ちゃんも私達と一緒に遊びに行こー?」
「遊びに?どこに行くの?」
「動物園!」
ヘ〜女子達は明日は動物園に行くんだ。
俺、誘われてないけど...ま、まあ、女子だけで遊びたい日もあるよね。
だから寂しくなんかないよ。
「動物園か〜大人になってから行ってないな~久し振りに行ってみようかな」
「じゃあ、朝9時にここに迎えに来るねー」
「ええ、分かったわ」
「楽しみだねー」
「動物園は小学生の頃以来です」
「春くん動物園久し振りだねー」
「ん?俺も行くのか?」
「えっ?行かないの?」
「いや、誘われてないし...」
「あれ?そうだっけ?誘ったつもりだったよー。ごめんねー」
「いや、いいんだけどな」
「じゃあ、春くんも一緒に行こー?」
「俺はいいけど、3人はそれでいいの?」
「当たり前じゃん」
「私も最初からそのつもりでいましたよ」
「私は春斗くんが誘われてなかった事に驚いてるくらいだし、元々一緒に行くと思ってたよ?」
「じゃあ、俺も一緒に行こうかな」
「うん!」
「じゃあ、明日はそれでいいとして、雪兎とエレンの装備を注文しに行ってくるな。唯佳、ばあちゃんに遅くなるかもって伝えといてくれるか?」
「送って行くよ?」
「そうか?ありがとう。でも、送ってくれたら先に帰っていいからな?俺は、歩いて帰ろうと思ってるから」
「うん。分かったー」
「私も一緒に行きますね?その方が話が早いと思いますから」
「ああ、そうだな。頼むよほのか」
「はい」
「アタシは行っても何も出来ないし帰るね〜」
「ああ、また明日な」
「うん。じゃあ、気を付けてね~」
「じゃあ、みんな気を付けてね」
「「「は~い」」」
「紗奈さんもまた明日」
雛と紗奈さんと別れ、唯佳に転移で送ってもらい、ほのかのお母さんのお店にやって来た。
「いらっしゃいませお嬢様。本日はどの様なご要件でしょうか?」
「今日は、この子達の装備を注文しに来ました」
「畏まりました。担当の者を呼びますので、少々お待ち下さい」
待つ事3分。
「お待たせ致しました。片瀬 太郎と申します。本日は、従魔の装備をお作りになりたいとの事でしたが、こちらの2体がそうでしょうか?」
「ええ、そうです。」
俺達は、雪兎とエレンの事を仲間として見てるし、そのつもりで扱っているから2人って数え方をしているけど、世間一般的には魔物と同じ2体という数え方をする。
少しモヤッとするけど仕方ない事だと思う。
ここで訂正しても、厄介なクレーマーになりかねないしな。
今回注文したのは、雪兎にはホーンラビットの角の様な突起物が付いたメットと任意で出したり仕舞ったり出来る爪付きの籠手、素材には豪炎の塊を使ってもらった。
エレンには魔法使い用のタクト、こちらの素材にも、豪炎の塊を使ってもらう事にして、片瀬さんに豪炎の塊を渡した。
ほのかの様な魔法使いは、ほのかや唯佳の様に杖を装備する事が多いけど、タクトを使っている人もいる。
今回は、エレンが持ちやすい様に少しだけ改良してもらう事にした。
片瀬さんは、まだ何処にも出回っていない素材と聞いて、テンションが上がりまくっていたが、ほのかの咳払いでビジネスモードに戻った。
「し、失礼致しました。素材はご提供頂きましたので、30分程でお作り出来ますが、如何なさいますか?」
「春くんとほのかちゃんは先に帰ってていいよー」
「いいのか?」
「うん。30分くらいで出来るなら、私の方が先にお家に着けると思うからねー」
「そうか?分かった。じゃあ、2人の事頼むな」
「はーい」
「では、私もお言葉に甘えますね?片瀬さん、くれぐれも宜しくお願いしますね?」
「は、はい。畏まりました」
「ほのかちゃんまた、明日ねー」
唯佳の言葉に甘え、先に帰らせてもらう事にした俺は、ほのかとも店の前で別れ、予定通り歩いて帰っている。
もうじき家に着く辺りまで来た時、ウォーキングの効果が発動した。
【ウォーキングの効果により、スキル 剣術のレベルが1上がりました】
「おっ!剣術のスキルレベルが上がったか、これで剣術はレベルMAXになったな」
剣術のスキルレベルがレベルMAXまで上がった事でテンションも上り、ウキウキとした足取りで帰宅したのだった。
名前:黒木 春斗 所属:クローバー
年齢:16歳 誕生日:6月26日
歩数:1,201,839歩
従魔:雪兎Lv3(風雷雪うさぎ)
エレンLv4(クリエイティブエレファント)
Lv:33
MP:216/216
力:308
耐久:257
敏捷:284
器用:230
魔力:135
運:76/100
スキル:ウォーキング、サーチLv9、剣術Lv9⇒MAX、纏雷、リペアLv6、鑑定、剛力、アイテム融合、テイム、せいおう、瞬歩
※ウォーキング
10万歩毎にスキルを1つ取得又は、既存スキルのスキルレベル1上昇
名前:雪兎
種族:風雷雪うさぎ
主人:黒木 春斗
Lv:3⇒4
スキル:突進、氷雪魔法、瞬歩、風魔法、剛力、纏雷
名前:エレン
種族:クリエイティブエレファント
主人:黒木 春斗
Lv:4⇒5
スキル:風魔法、水魔法、土魔法、突進、火魔法、魔力2倍、創造魔法、MP回復速度2倍(New)




