#38 急激なランクアップ
8月11日(日)
探索開始から30分、40階層のボス部屋の前にいた。
昨夜、魔石を食べて更にレベルアップした雪兎とエレンの腕試しをしながら進んでいたら、偶々見つけた。
「ラッキーだったねー」
「こんな事もあるんだね~」
「探してない時程見つかるってやつだな」
「捜し物あるあるですね」
「さっさと倒して、今日は帰るか?」
「「さんせーい」」
「この後お出掛けですし、あまり汗も掻きたくありませんし、そうしましょう」
「唯佳、入ったら結界を頼むな」
「はーい」
ボス部屋の扉を開け、中に入る。
「結界!」
〘フリアゴリラ〙
〘怒れるゴリラ。怒りによるステップで、半径50m以内の敵にダメージを与える。ドラミングで半径50m以内の敵の脳を揺らし、身動き出来ない様にする〙
「フリアゴリラってなんか聞いた事ある気がするんだけど?」
「雛ちゃんあれだよ。ヘビの時の鑑定結果」
「あ〜それか〜」
「ほのか、ヘルフレイムをエレンは竜巻、俺と雛、雪兎はヘルフレイムと竜巻が消えるタイミングで突っ込むぞ!雪兎は目を、雛は両腕を狙ってくれ!」
「「はい!」」
「キュッ!」
「パオ!」
フリアゴリラの範囲攻撃より、ほのかとエレンの魔法の効果範囲の方が広い為、ほのかとエレンの魔法がフリアゴリラを包み込む。
魔法が消えるタイミングで、雪兎が目を風魔法で斬り付け視界を奪い、3人の雛が両腕を斬り付け腕の腱を切る事に成功。
「ウッホー」
腕を動かせなくなり無防備になったフリアゴリラの首に雷を纏った刀を一閃。
フリアゴリラの首が宙を舞い、光の粒子へと変わって行った。
「思ったより呆気なかったな」
「そうだね~って、纏雷使っていたじゃん!」
「珍しいよねー」
「いや、雛3人で腕を斬り落とせていなかったからな、腕より太い首狙いだったし念の為な」
「でも、正解だったと思いますよ」
「さて、41階層を確認して戻るか?」
「今度はどんなエリアかな〜」
「ワクワクするねー」
「ワクワクするのはいいけど、油断はするなよ?」
「ご自分への忠告ですか?」
「春斗っちには言われたくないよね~」
「うんうん」
「うっ」
そんな感じでわいわいと階段を降りて行き、41階層に辿り着いた。
「お〜なんかヨーロッパのお城みた〜い」
「どうやら、このダンジョンは50階層までの様ですね」
「んー?どういう事ー?」
「ダンジョンの最後のエリアは、どこもお城みたいになっているんだ。洋風だったり和風だったりそれ以外だったり様々だけど、お城エリアなのは変わらないんだよ」
「そうなんだー」
「取り敢えず、今日は戻りましょう」
「ああ」
俺達は40階層に戻り、転移陣で支部に戻った。
「あら?随分早いわね。何かあったの?」
「いえ、ボス部屋が近かったんですよ」
「そうだったのね。じゃあ、40階層のボスも倒して来たの?」
「はい」
「そうなのね。じゃあ、換金してしまいましょう。その前にちょっとごめんね」
可憐さんは、どこかに内線で連絡を入れてから換金作業をしてくれた。
「換金はこれで終わりね。悪いんだけどこの後少しだけ時間をもらえるかしら?支部長から少し話があるの。いい話だから心配はいらないわ」
「分かりました」
「じゃあ、あなた達の個室で待っていてもらえる?」
「はい」
個室に戻り待つ事5分。
コンコン
「はーい」
「失礼するわね。こちらこの支部の支部長の井上よ。以前に面識があるわよね?」
「はい。お久し振りです。」
「久し振りだね。今日は時間を取ってしまって済まない。話というのは、君達の探索者ランクについてなんだ。本来探索者ランクは、10階層毎のボスを討伐する事でランクアップするのは知っているね?」
「はい」
「しかし君達は、1度もランクアップしていない。これは、僕に思惑があってそうさせてもらっていた」
「思惑ですか?」
「ああ、君達のパーティーは凄いスピードで攻略を進めて行った。最初は何らかの不正を疑ったんだ。それで、調査が終わるまでランクアップを止めていたんだがね、調査結果は不正はないとの結論だった。この時点で君達は20階層を突破していた。それならばとここである思惑が頭に浮かんだ。君達のスピードなら、40階層のボスに到達するのも時間の問題ではないか?そうなれば、未踏破階層すらも猛スピードで駆け抜けられる新人パーティーという事になる。人格的にも問題ないし、40階層のボスを倒した時点で、いきなりCランク探索者に昇格させれば話題になって、このダンジョンに潜っている他の探索者にも好影響が出るんじゃないかってね?それで今までランクアップを止めていたんだよ」
「はあ、でも他の探索者への好影響なんてありますか?」
「このダンジョンは、今はこの学校の生徒だけに開放されている。その為ライバルが少なく、低階層でも高校生のバイト代としてはいい金額が稼げてしまっている。その影響なのか成長しようとする探索者が少なくなり、停滞してしまう事を危惧しているんだ。でも、同じ学校の生徒が快挙を成し遂げたと知れば、自分達も!と奮起してくれるんじゃないかと思うんだよ。勿論、無茶はして欲しくないけど、卒業後もこのダンジョンに潜れる保証は今の所ない。だから、今の内に力を付けて他のダンジョンでもやって行ける力と自信を付けさせてあげたいんだ。」
「思惑通りに行くかは分かりませんけど、理由は分かりました。それで、僕達のランクはどうなるんですか?」
「うん。君達は現時点をもってCランク探索者へと昇格とする」
俺達はGランクから一気にCランクへとランクアップする事となった。
「GランクからCランクへの一気のランクアップは異例だし、こんな短期間でのランクアップも異例なので、公式に発表をさせてもらうよ?そうやって周知しないと、僕の思惑が思惑で終わってしまうからね」
「分かりました」
「では、僕からの話はこれで終わりだよ。時間を取ってしまって済まなかったね。あと、ありがとう」
井上支部長はそう言うと部屋を出て行った。
「何でクローバーのランクアップが止められているのか聞かされてなかったんだけど、ああいう思惑だったのね。私も知らされてなかったとはいえ、こちらの事情に勝手に巻き込んでしまってごめんなさい。ダンジョン職員として、謝罪させて頂きます。申し訳ありませんでした」
「まあ、勝手に事後承諾の様な形を取らされましたけど、探索者の将来を考えての行動でしたし今回は受け入れますよ。それに可憐さんは関係ないじゃないですか」
「大人としてはそういう訳には行かないわ。でも、ありがとう」
「終わった事は気にしないで、オークションに行く準備しようよ~」
「春くん、ゆきくんとエレンちゃんはお家に置いて行くんでしょー?1回帰らないとだよー」
「そうですね。1回春斗くんのお家に行って、私達も着替えさせてもらわないといけませんしね」
「じゃあ、みんなのランクアップ手続きをやって、私も一緒に行くわ」
「「「はーい」」」
あれ?女子3人は、ここで着替えてその格好で行くんじゃないの?
疑問に思いながら着替えを終えた俺達は、手続き作業を終えた可憐さんと合流して俺の家に移動した。
俺の家に着いて女子3人はシャワーを浴びて着替え、薄っすらメイクをして準備完了となった。
「うわ~スッピンでも美少女だったのに、更に美少女度が上がったわね。一緒にいるのが罰ゲームに感じるわ...」
「何言ってるのよ可憐ちゃん。あなたも負けないレベルの美人さんよ?」
「琴子さ〜ん、ありがとうございます〜」
可憐さんが自信をなくし掛けたけど、確かに3人共ヤバいレベルの美少女達だもんな~
でも、ばあちゃんが言う様に可憐さんも負けず劣らずの美人さんなんだよな~
その4人と一緒に歩く俺が、唯一の罰ゲームだと思うんだけど...
「お兄ちゃん、付き人っぽく荷物持ちでもしてれば目立たないかもよ?」
それ、逆に目立つのでは?何だあいつって目で見られる未来しか見えないんだけど?
不安な気持ちはあるものの、それは今更だったと思い出し、開き直って堂々と行く事にし、みんなで新宿に向かった。
名前:雪兎
種族:風雪うさぎ
主人:黒木 春斗
Lv:3⇒4
スキル:突進、氷雪魔法、瞬歩、風魔法
名前:エレン
種族:ペケーニョエレファンテ
主人:黒木 春斗
Lv:2⇒3
スキル:風魔法、水魔法、土魔法、突進




