第32話 「閉ざされし者(前編)」
お疲れ様です、白百合リーフです。
Y・Hファイルをご覧の皆様、
去年の音信不通を更新して約7ヶ月半もお待たせし
誠に、申し訳ございませんでしたm(_ _)m
色々あって(コレ)書き綴ったり、書き直したりを
振り返す毎日に萎え萎え期間も長引き、
文字数上限越えも度重なって今に至ります。。。
今回は、とある人の正体を
掘り下げ回でもありましたので出来れば、
ど〜うしても前後編にしたくなくて
渋った1週間前の自分を恨んでいますw
でもしたくなかったのもまた事実、誰か水を持ってk!!
そんなこんなでマ〜ジで色んな事がありましたが、
皆様…7ヶ月も掛けて描いたものを
頭の片隅にでも置いて
それと今回から[———]横棒の使い方を知りまして
横棒の数だけ文字数とは限らない事を
分かった上でお読み下さい。
新しいツールというかキーボード入力で
また新たに習得できて、もうウッキウキでした♪
今一度、本当の…本当に申し訳ございません。
以上、作者のプチ愚痴タイムでした〜〜〜
ではでは、本編……どうぞ☆←誰か分かるかな?
ハロウィンがもう時期、終わりを迎えるというのに
妖力が増えた事への嬉しさからか
家にも帰らず遊び尽くす大人達は声を上げた。
大人「祭りはまだまだ、これからだーっ!」
大人2「これからどっか飲みにでも行くか?」
大人3「おぉ、良いなそれっ!!行こうぜ行こうぜ!」
大人4「おーい、待ってって!!
俺を置いてどこ行くんだよ、お前ら〜♪」
そんな賑やかで騒々しい声が外を駆け巡るも
その声は途端に無くなったのだ。
つい先程まで馬鹿騒ぎしていた筈の大人や
その騒音に鬱陶しがってた家の人達も
忽然と辺りが静まり返っていて
それを気にする人は誰も居なかった。
何故ならこれは仁川市のみならず、
全妖怪が一斉に集団失神に陥っていて
お店や街中、国までもが意識を失い、
彼らは冷たい地べたの下で倒れていた。
その最中の事だった。
突然、土地全体がゴロゴロとカラクリ仕掛けのように
小さく小刻みに揺れていたかと思えば
徐々に揺れが強くなっていき、
立っていられない程の揺れが街を襲ったのです。
おどろおどろしい旧妖魔界の妖怪都市は、
みるみる内に景色が崩壊して
パズルのピースがボロボロと崩れ落ちていった
次の瞬間、真っ暗な宇宙空間に投げ出され
意識の無い人達が浮いていた。無重力ではない。
足元が消えて何もかもが黒く塗り潰されただけだ。
だが、その不思議な感覚は一瞬で過ぎ去り
気が付くと真っ暗闇な空間から晴れて
そこは、いつも見慣れた景色だった。
街のど真ん中で寝転ぶ人々は、
気持ち良さそうな寝顔を晒して寝返りを打っていた。
まるで、姿形が違うだけの赤ん坊のよう。
寝ている間に、自分達の世界へ帰って来たのと
大人が子供のように喚いて遊んでいる姿を
監視されていたとは誰も思うまい。
????・・・
水鏡を媒体に映像を投影したものを
ある大勢の集団の目によって晒されている。
彼らは、水が張った床を歩く度に
水紋が広がるような幻想的な景色だが、
あくまでも空想上の中でしか存在しない空間で
それぞれアーチ状の段が、
いくつもの連なった席から映像と睨み合いながら
黙々と青いキーボードを打ち続けていた。
何を隠そう[リレアシス]とは、
雲外鏡だけが所有を許されている特別な境界なのだ。
その中には小言を垂れて作業する奏太の姿があった。
奏太「……ったく~
毎回…毎回、上からの圧力とはいえ
何で俺ら雲外鏡なんかが、
駆り出されなきゃなんないんだか。
大人しく家に帰れば済む話なのに
しかもコイツら、大人だろ?自分の足で帰れよ!
酒もろくに、入ってない癖しやがって
こっちの気も知らないでぇ(怒)」
山吹髪の男「まぁまぁ~☆
大人には大人の事情ってもんがあって
少しくらい箍を外して
はっちゃけたい時があるんだろうよ。
まぁ俺はまだ社会人じゃないから
その辺はさっぱりだけど(笑)」
白髪の男「お前は口よりまず手を動かせ?
お前の分の残業は、誰も手伝わないからな」
山吹髪の男「酷い言い草だな~
それでも同じ雲外鏡の家族かよ?(笑)」
橙色髪の女性「白夜の言う通りだわ。
アンタなんかに構ってたら
それこそ…時間の無駄だわっ!!
話し掛けないで、頂戴(怒)」
山吹髪の男「杏樹は、俺に手厳しいねぇ~(笑)」
杏樹「当たり前でしょ、いつもヘラヘラしちゃって
皆んなお疲れなんだから意味もなく絡まないで」
青緑髪の女性「やはり、そう…ですよね。。。
今日は、ハロウィンという事もあって
皆さんにはかなりの負担をお掛け致しました。
ですが、無事…日本の皆様を旧妖魔界に転送したり
妖怪都市で起こった
様々なトラブルの対処に尽力してくれた。
例年より準備にバタバタしちゃいましたが、
予定通りに開始できたのは全て
皆さんが時間を合わせて頂いたお陰で
本日の業務を終わらせる事が出来ました!
ありがとうございます♪
そして、少ない休息の中で
皆様のご様子を付きっきりで見て頂き
大変、お疲れ様でしょうし
ここら辺でお開きに致しましょうか。
えぇ、ですが~相変わらず、
私達……雲外鏡には休みの日は
全くもってありませんが明日の為にも
残り僅かな時間をごゆっくり過ごして下さいな。
皆さん、今日はご協力ありがとうございました」
一同「こちらこそ、ありがとうございます美波様!
美波「大丈夫ですよ、これくらい♪うふふ」
上段上の席から立ち上がった彼女は、
天女のような古風な着物を纏っており
雲外鏡の中でも屈指の美人さんで
最初の長女に当たる人物。
舞「舞達もすっごく頑張ったんだよ!!
こっちも褒めて褒めて~☆☆☆」
美波「えぇ、とても頼もしかったわ。
手伝ってくれてありがとうね♡
わぁ~~い♪♪♪(喜ぶ少女達)
あ、そうだわ。妹達に言い忘れる所でした。
ん?何々??(キラ目な舞)
確か~昨日の朝方でしょうか?
結構前に頼んでおいた品の中に、
お菓子が入っていまして~
とりあえずは和室に移してありますので
好きに取って、食べて下さいな」
少女達「お菓子☆やーーーったぁ!!!
美波お姉ちゃん、ありがとう。大好き♡♡♡」
美波「うん、私もだよ♪
じゃあ今日はありがとう、お疲れ様(笑顔)」
少女達「こちらこそ、頼ってくれて嬉しかった!
ありがとうございま・し・た!!」
美波「はい、ちゃんとお礼も言えて偉いですね」
少女達「あ、あぁ~頭撫でて!
私も!!私もっ!ズル~~い!!!(焦)」
舞「皆んな~早く行こ行こ☆置いてっちゃうよ」
少女達は揃って美波の側を離れなかったが
いつの間にか入り口付近まで移動していた舞は、
忙しなく身振り手振りで桜髪を揺らしながら
和室に行くよう皆んなに呼び掛けている。
時期に、アピールし続ける舞の所へ呆れつつも
お菓子の誘惑には勝てずに連行されたのだった。
数十分後・・・
緑髪の少年「……4、5、6。これで全部か。。。
とりあえず奏兄の言われた通りに
36枚…あらかたサインしといたけど、
これで合ってる??」
奏太「それ、書いてから言うなよ(ジト目)
んー、どれどれ?」
といかにも重要そうな書類だが、
よく見てみると子供でも分かる簡単な内容で
サイン以外はあまり書く項目は無いものに目を通す。
奏太「………うん。OK!
助かったよ、弘貴もう降りて良いぞ」
弘貴「うぃ~……つっかれた!!
な~んで、こういう楽しいイベントに限って
俺達も働かなきゃいけないんだよ!?
ハロウィンくらい少し遊んだって良いじゃんか!
あ~あ~…1日中、リレアシスに篭りっきりで
ずっとキーパッド打ってたから変に疲れたぁ」
杏樹「アンタ達、最年少組には
事故や事件の有無を特定のボタンや色のブザーを
押して伝えてくれたり、雑用を任せたぐらいで
別に大した仕事あげてないでしょう?」
弘貴「それが暇だって言ってんだよ?!
もっとこう~誰かにお願いされて
ささっとパーッと片付けられる仕事とかねぇの?」
杏樹「この我儘坊やめ……(小声)」
山吹髪の男「ねぇーよ(笑)
強いて言うならさっきの奏太が、
頼んだものぐらいじゃないか簡単なのは?
少なくともお前らには、
まだ任せられない重要な仕事はばっかだ♪」
赤髪の少年「また俺達の事、子供扱いしやがって~
何で俺達の事、信用しねぇんだよ」
机に両手を伸ばしながら
椅子の背もたれにのけ反った姿勢で
話を聞いていた女性が、
むくりと起き上がるとこう口にする。
深緑髪の女性「別に?
あなた方を信用してない訳じゃないわ。
だったら……っ!!(赤髪の少年)
話を最後まで聞きなさい。
私達が捌いてる仕事っていうのはね~
どれも私達にも難しい事象ばかりなの。
だから安易にあなた方に
任せられないものが多いってこと」
弘樹「姉ちゃん達でさえ、難しい問題。
それって、どんな??」
山吹髪の男「おっ、気になるのか?
やっと理解を示すお年頃になったな!(笑)
い、いいから早く教えろよ!!(赤髪の少年)
だってよ、小南。言ってやれ」
男性は背もたれに身を委ねて
逆さの状態で小南に何らかの合図でウィンクをすると
指に髪を絡ませて一息付く。
小南「……そうね。
今抱えてる問題と言えば~
常時、野良妖怪達の行動監視に
閻魔騎士からハッキングの解析要請、
それから日本全ての情報をバックアップ、
後は~全国にある妖怪ゲートのメンテナンス。
それと都市かっ………」
赤髪の少年「わあああぁぁぁぁ!?!!!!
分かった、分かったから~
俺達にはどうする事も出来ないってだけでも
それで十分だから…頭が痛くなるから
もうやめてくれっ!(焦)」
杏樹「・・・。
ど、どうよ!!(汗)
私達は、アンタ達には出来ない事象を
常・日・頃・から代わりに受け持ってあげてるの。
感謝しなさいよね?分かったか、最年少っ!」
ドヤ顔で言って退ける杏樹の顔には、
少し引きつったような笑みを口に含ませながら
その場で堂々としていた。
奏太(言った。。。
完全に、言い切りやがった?!
状況いまいち呑み込めていなかった
あの杏樹さんが~(汗)
しかも、その断り文句…政府の受け売りでは?)
杏樹の言葉を真に受けてしまった2人と
たまたま居合わせた他の少年達も鵜呑みにし、
そして現実に戻った彼らが取った行動は。。。
弘樹「……よ、よぉ~し!
俺、丁度…喉渇いて来たから
ジュースでも飲みに行って来るわっ!(汗)
お、オレも行くよ(赤髪の少年)
じゃあ俺も行く!!(金髪の少年)
おぉ、行こうぜ!は、はははっ(焦)」
リレアシスの自動ドアが開き切る前に
人が通れるギリギリの隙間から全力で逃げていき、
騒がしい最年少組の子供達が居なかった事で
普段通りの静寂を取り戻す。
山吹髪の男「まぁっ、こんくらいで
根を上げて納得するんならしばらくは大丈夫だろ」
小南「まだ単純で良かったわ。。。」
杏樹「私、普通にびっくりしちゃったけど
すぐに嘘だって気付いてフォロー出来たのよ。
褒めて欲しいぐらいだわ♪」
白夜「杏樹にしては、ナイスフォロ~」
杏樹「一言余計よ、白夜っ?!」
山吹髪の男「………てか、
今の発言…半分嘘で半分本当なんだけどな?
でも俺達だっていつでも監視できる訳じゃねぇーし、
ハッキングやバックアップだって
毎度……めっちゃ人為、割かれてるつうのに
マジで雲外鏡に仕事、押し付けてくんなって話だ。
こっちは、ほぼ休みのない普段通りの営業とかで
ただでさえ忙しいのに」
白夜「仕方ないよ。
立場上…かなり偉い存在である閻魔騎士の中には、
国民から熱烈に崇められ当てられたせいか
[俺は、何しても許される]……って誤った認識をし
自分は偉いと錯覚に陥るんだとか。
それに大半は、王が眠りに着いている事を良い事に
好き勝手に権利や権限を使って
色んな事、やらかしてるみたいだしね。
奴らの隠蔽工作だけは妙に長けてるから
この問題に気付いているのは、
雲外鏡ぐらいなんじゃないかって
前に、八千草に査定して貰ったんだよ。
それも相まって本来なら、
国の問題は国がやるべき決まりだが連中は
平気で雲外鏡に仕事を押し付けて暇人ムーブして
まるで、[自分達がやりました!]って
提示する騎士もどきは既に終わってると思う。
僕らを同じ妖怪として見てくれていない事が、
何よりも証拠だね」
杏樹「はぁ……連中って平気でそうするから
余計に腹が立つのよね、何度…聞いても。。。
本当に国民から支持されてる人達なのか
疑いたくなるわっ!」
白夜「まぁそう言いたくなるのも分かるけどさ〜
大半がヤバいだけで
もう大半は、ドが付く程の真面目な人達だから
そっちは普通に信頼して良いと思う」
杏樹「う~~ん、そう言われると
信用してもいっかって思えるけど片方の評判がなぁ」
山吹髪の男「分担する分には、
俺らも随分と良好な関係で保てた筈なんだが」
白夜「それが出来てれば先日の学校襲撃で
そもそも野良妖怪の侵入を許したのは
他でもない[もどきら]が、
仕事を放棄してるからであって
普通はいち早く対処できた筈なのにね(汗)」
一同「・・・」
美波「まぁまぁ、皆んな。
上から任された仕事に何言っても聞かないんだし
閻魔騎士ほどではないですが、
人手が多い雲外鏡に任せられるのは
時間の問題なんじゃない?
私達は、私達に出来る事をコツコツとやりましょう。
無理に出来ない事をやるのは、
今後の仕事にも影響しそうですし
……何より、ごめんなさい(汗)
弘貴くん達の件。。。
別に悪気があって
ああ言ってる訳じゃないと思うのだけど、
以前にも私が手を離せない時に
毎日のように頼み込んで来てて
仕事に意欲的なのは有難いのだけれど〜
少し困ってた所だったの。ありがとう、皆んな♪」
狂信者「・・・」
奏太「あ、ヤッバ(素)」
白夜「……アイツら、
よくも美波さんを困らせてくれたな!!(怒)」
杏樹「しかも、毎日…ですってぇ????(怒)」
小南「フフフッ……少し痛い目見ないと
気が済まないのかもしれません、ね?
そうですか、そうですか。。。(怒)」
奏太(こっわぁ!?
白夜さん達ならいざ知らず、
まさか小南さんまで誘発されるとはっ!
姉上の事を慕っているのは知っていたが、
そこまでじゃないと思ってたけど~
そういえばこの人…アイツらが問題起こす時は
決まって不在だった気が。。。先が思いやられる)
山吹髪の男「おぉ~やれやれ、やってしまえ(笑)」
奏太(バカ兄貴は、少し黙ってろ!!!!!!(怒)
海色髪の男「……程々にしろよ」
そんな一部始終をリレアシス最上段から眺めていた
彼はどこか奏太に似ており…それでいて寡黙な人。
大仕事が終わった後だというのに、
兄弟達の不祥事だけは絶対に見過ごさない人達を
横目で確認しつつもとやかく言う訳でもなかった。
が、いつも見慣れている彼女らの様子とはいえ
どうしても溜め息の一つは吐くもの。
彼のデスク周りには大量の資料に囲まれていて
先程のハロウィンで起きた事故や事件の詳細を
事細やかに綴っている真っ最中だった。
翌朝・・・
窓の外からピーピーと鳥の地鳴きが聞こえて来る
朝の4時頃、少年は未だに寝付けずにいた。
帰宅してすぐにベッドで横になったものの
自分の家で、自分の部屋に帰って来て
安心したのか妖怪化を許してしまった。
それを再び、制御しようと試みても上手くいかず
仕方なくハロウィンがあと2時間で終わる事を
認識すると早々に諦めたのだ。
そして、それがやっと終わった事に安堵し
先程の人と同じく溜め息を吐いてから
寝る方向を何度も変えても眠る事が出来ない。
一層の事、起きてようと決めて
本を2冊ほど持ってリビングへと向かった。
2時間後・・・
午前6時半頃、日向は本を開きっぱなしの状態で
頭をカクッカクッと落としながら寝落ちしてしまい
ソファーの背もたれに身を預けていた。
そこへ日向の右隣の扉が開いて
大柄な男がジーーッとソファーを見続けた所で
[全く……]と少々、呆れつつも
その口は笑っていて満更でもないご様子。
千秋は、日向の前へとやって来ると
縦ではなく横にゆっくりと寝かせ、
枕代わりのクッションを置いて
掛け布団をかけてあげた。
千秋「…よしっと、とりあえず………
昨日は何があったか知らないが疲れてるなら
家の事は全部、俺がやりますかね!
(まぁ…この調子だと
家を出る時はギリギリになるんだろうけど、、
それまでは寝かせてやるよ)
朝飯、作るかー♪」
独り言をぶつぶつと言いながら
ソファーから離れて台所へと足を進める千秋を
他所に、日向は可愛いらしい寝顔をしていた。
それから更に、2時間後・・・
千秋「ぉぉ、おっ…起きろ日向っ!!!!!?(焦)
もう8時になるってか、なった!!!」
と大慌てでなりふり構わず、
日向の体を激しく揺する千秋の力によって
真っ先に目が覚めて飛び起きる。
そして自室に駆け込んで行き、
寝巻きから制服に早着替えして
青いネクタイを首の後ろに通した所で
ブレザーを持って部屋を出てきた。
それを椅子に掛けてネクタイを締め終えると
今度は、ご飯をもぐもぐする。
日向「・・・(波線)
(んーー僕、いつの間に寝てたんだろう?
相変わらず睡眠だけは、
眠いんだか眠くないんだかよく分からない。
にしても……本当に、ギリギリだなっ?!
僕より圧倒的に早く起きてる筈の千秋が何故??)
・・・。
ねぇ、千秋?何でこんな時間になるまで
起こそうとしなかったの??
ん”ん?それは、ふっわあぁぁ…いやぁ~(千秋)
ちょっと待って千秋っ!
もしかしてだ・け・ど……寝てたな?」」
千秋「・・・。
すっ、すいませんでしたぁぁぁ!!(汗)
もう~潔いんだから…それで何してたの(日向)
・・・いやぁ、さぁ?
ちょっと…ほんのちょっとだけ寝転びながら
漫画、読んでたぐらいでま・さ・か
それで眠くなった訳~……じゃないぞ?(逸らす)」
日向「どこ見てるの(ジト目)
しかも、ほぼ自白してるし。。。
まぁ良いけどさ~
あんまり寝ながら何かしないでよ。
物によっては、駄目になる事が多いんだから」
千秋「おぉ!以後…気を付ける(笑顔)
……おっと日向、
そろそろ時間がまずいんじゃないのか???
ん、そうだね。じゃあ行って来るよ(日向)
おぉよ!!あ、そうそう。
[昨日の件]、ちゃ~んと考えてくれよ?
・・・わ、分かった(日向)
日向の答え、楽しみにしてる♪」
日向「うん……行って来ます」
503号室の扉から勢いよく飛び出した日向は、
制服の上に白いコートを着込んで
白いエナメルバックには黒いカバーを付けて
エレベーターの所まで向かう。
カチッ・・・
25階建てのマンション中、
11階にいたエレベーターが動き出すと
5階に降りて来るまで先程の事を考える。
日向「(本当に、ペナルティーなんだよね?
何で張本人があんなに受けたがってるんだ??
うーん。まぁいっか、ひとまず何か考えないと
後で何言われるか分からないし、
と言っても…何かあるかな。
千秋にとって、痛手になるものなんてあるのか?)
はぁ……別に[アレ]で恨む訳、無いのにな~
いくら何でも責任を感じ過ぎ。。。
そもそもアレは、
油断した僕の方が受けるべき筈…なのに」
そんな言葉がぽつりと出た時には、
5階にエレベーターが降りて来ており
その扉が開くのと同時に足を踏み出そうとした所、
そこには先客が。。。
雫「……あっ…」
日向「・・・」
目が合ったがすかさず、
エレベーターの中に入りゴットンと箱が揺れて
下へと降りていく重力がいつもより重く感じた。
まるで、昨日のハロウィンで贈られる贈物
と同等の重圧感だった。
その間も、特に雫と口を効く事はなく
気まずい空気で溢れていた。
2人「・・・・・」
チンッ!とエレベーターが行く先に到着し、
日向がボタンを押して
雫に先に出るよう譲る気遣いはあるものの
コクリと浅めに頭を下げる程度。
マンションを出ても尚、
2人の空気は依然として変わらず
気まずさを感じる度に
少し足早に歩いては信号で止まるを繰り返す。
学校の通学路である川を挟んだ住宅街に
差し掛かった所で固く閉ざしていた口を開く。
雫「………雪乃 雫は、ですね。。。
……っ(日向)
この名前は、真さん達から貰った眼の名を捨てて
私のもう1人の恩人でも
[式神様]から頂いた大切な名前でもあるんです」
日向「へ、へぇ~そう…なんだ。
(反応しづらいよ、雪乃さん(汗)」
雫「式神様には、私に色んな事を教えてくれました♪
文字の読み書きや全く扱えなかった妖術も
言葉遣い、妖魔界の歴史について
常識は常識なので些細な事しか教えて貰えなくって
人より世の中に疎いのは、そのせいです(苦笑い)
妖怪の人も、野良の人も、世界の事も、
それから……私達が[無名の妖怪]である事もです。
・・・え?(日向)
あ、私達っていうのは昔~
私と同じくらいの子達の中にも多くはないですが
僅かに居て、その中でも真さんが。。。」
日向「む、無名の……妖怪、それってぇ………(汗)
……知ってたんですね(雫)
そ、それは。その~…えっと。。。」
身に覚えのある[無名の妖怪]
その単語は、彼の中で大きく衝撃を受けていたからか
初めて動揺する顔を見せたのだ。
そんな反応を目の当たりにした雫は目を丸くするも
瞬時に日向の思考を読み取る事ができ、
ニッコリと口を閉じる。
雫「平気です。
その方も大変な環境下に身を置いて迫害されて
沢山、苦しい思いをして生きて来たでしょうし
……私が安易に語れる程、
軽いものではない事も知っています。
ですから、話さないであげて下さい♪
その人の意志を」
日向「・・・。
(確かに、あの場で
志童の話を聞いていたのは僕ら3人だけだった。
他言無用とはいえ、
同じ組織であるなら情報共有するのが妥当だが
そんな簡単に話せるような内容じゃない。
雪乃さんや友理は、その場にすら居なかった。
しかも、志童は2度までも
僕らに話していながら雪乃さんは……聞いていない。
砂かけ事件の犯人を追いかけてる最中に
出会して砂をかけられる被害に遭い、
挙げ句の果てには妖力切れ寸前で眠っていたからだ。
[無名の妖怪]。。。
こんなにも自分達の身近に潜んでいるなんて
それだけ不幸な人達が居るという事か)
無名の妖怪さんの話は聞いていますか?(雫)
まぁ、多少は。でも、それくらいかな(汗)
同じ妖怪の筈なのに人はどうして、
そんな事が出来るんだろうと思ってたので」
雫「そうです…よね。。。
……では、こんな話を…聞いた事はありますか?
無名の妖怪の中でも類稀なる才能を持つとされる
[異種族]が存在する時、
妖怪としての常識を覆す者が現れる。
この事は主に、神様しか知り得ない情報とも
式神様から聞いています。
その特徴というのは、姿形は同じ妖怪なのに
どこか普通の妖怪とは決定的に何かが違う
ある特定の分野に秀でた異常値を持っているのは、
ご存知でしょうか?
???(日向)
例として挙げるなら
私の場合、妖力が人よりも少ないものの
その分……妖術の威力だけは
Bクラス並みとも言われてます♪
・・・(日向)
どうして……人々は[無名の妖怪]を
そこまで、毛嫌い?恐れられているのか
私の中ではずっと…ずっと疑問だったんです。
式神様と出会って
私が色んな書物を読み漁っていた時に
先程、話したような民間伝承を知ってからは、
ようやく説明が付くと思ったんです。
だから……」
日向「で、でも…(汗)
そ、んな重要な情報を何で僕なんかに???」
雫「式神様からは、
[あなたが信頼できる人になら教えてあげなさい]
と許可はちゃんと出ています。ふふ♪(笑顔)」
その顔は、今までに見た事もない笑顔で
少し頬を赤らめながらも明るく言い切ったのです。
日向「……っ!」
2人「・・・・・」
雫「……っ!?(赤面)
と、とにかく…学校に行きましょう!!」
日向「う……うん(照)」
大胆にも言って退けた本人ですら
あまりの沈黙に耐えかねず早歩きになっている事に
双方、気付いていない。
で・・・
蘭「位置について、よ~い……ドン!」
蘭のスタダの合図と共に、
特別部隊の面々が揃って地面を踏み締める。
陸上部の朝練のようにだが突発的に、
校庭で100m直進トラックが始まったのだ。
蘭と誠也は流石、
Sクラスと言った感じか既にゴールしており
大分、遅れて友理が
少し間が空いて日向も終えた所で誠也が声を上げる。
誠也「おいおい、マジかよその話っ!?
そんな事あったんなら先に言ってくれれば、
俺だって駆け付けられたんだぞ?!」
蘭「ごめんごめん、ホントごめん。
でも、私もそれどころじゃなかったし
まさかアレであんな事になるとは思ってなくて(汗)
何々、急にどうしたの蘭さん?(友理)
あ~……そうね。そうだった。。。
誠也にも通じてないなら、
日向くん達にも連絡が行き届いていないもんね。
何の話ですか??(日向)
はぁ…あのね、2人共……実は私~…………
ここしばらく入院してたの」
日向「???」
友理「えーっ!?
蘭さん、いつの間に入院してたんですか!!」
蘭「そうなのよ。
別にそこまで重くは無かったのだけど~
お医者様から急遽、入院を勧められちゃって(汗)」
日向「えっ、でも何で
鈴木さんが入院する必要があったんですか?
特に病気は無かったと思うけど、
何か異常があって…とか。。。」
蘭「ううん、そんなに大袈裟な事じゃないよ。
ただ~私は病院に行ったと言いますか
気が付いたら連れてかれてて……(汗)」
2人「???」
誠也「何言ってんだよ、蘭(ジト目)
変なもんでも食っておかしくなったのか?」
蘭「うーーん。
あのさ、皆んなは…その~……
学校襲撃が起こった時、何してた??」
誠也「何って急になんだよ?
いいから、教えて!(蘭)
んー……と言われてもなぁ〜
俺は蘭と日向も知っての通りあの日は、
佐土原にボコられて襲撃された時も
全然、爆睡してたぜ☆」
蘭「そこ自慢げに言う所じゃない!!」
日向「僕は、校内に侵入して来た野良と対峙して
千秋と少し……一悶着あったって感じですよ」
誠也(アレで、一悶着か?(滝汗)
友理「私は真っ先に、
クラスの人達と一緒に避難してました。
出来る事なら私も
何か力になればと思ってはいたんですが、
どうしたら皆さんの役に立てるのか分からなくて…
誰かの足を引っ張るくらいなら
避難した方が最善かと思って、すみません(汗)」
蘭「いやいや、むしろ賢明な判断だよ☆
下手に友理ちゃんが前線に立ってたら
戦場を混乱させて上手く指揮が通らなかったと思う。
学校側が不利になる可能性も考慮したら
それは仕方ない事だよ。
それに、そんな時だからこそ
普通なら……冷静さを見失うものだけど
友理ちゃんは自分の弱さを認めた。
それを考えられただけで成長なんじゃない?
友理ちゃん達、
1年生はああいった不測の事態への訓練は
まだ…だし今回は、仕方ないと思うな!」
友理「ん~そうかな?」
誠也「それで、蘭はその時どうしてたんだよ?
えっ、、(蘭)
俺達にわざわざそんな話を振ったって事は、
なんかあったんだろ?言ってみろよ!!
えぇー、えっと~……ですね。。。(目を逸らす蘭)
それとも何か?
俺達に言えない事でも隠してるのか」
蘭「・・・(滝汗)
……はぁ~これは、黙ってても無理そうだね。
何で私が入院してたかだよ、ね?
怒らないで聞いてよ、特に誠也っ!
お、おぉ??(誠也)
野良達が学校を襲って来た際、
私は外に居た通信制の子達を
少しでも逃そうと助けに入ろうとした時に
気配察知に引っ掛からない…野良が、
私達のクラスの窓を突き破ったの。
それで反応が遅れた來夢ちゃんを庇って……
多分、それっきりだと思う。
來夢ちゃん、私が病院で入院してるって
誰かから聞いたみたいで物凄く謝ってたわ」
誠也「・・・謝って済むくらいなら来るなよ(怒)」
日向「あー、はいはいはい。
ちょ~っと誠也は、こっちに行こうか」
蘭の言った側から
怒りを抑える事なく牙を剥き出してしまい、
それを見兼ねた日向は誠也を静止するよう間に入り
無理矢理フェイドアウトさせた後、
蘭の話から少し逸れた話を持ち出す。
日向「それで、何で僕らは
朝から走る羽目になったんだっけ?」
誠也「ン”ンウ”ゥゥゥゥーー!!!(怒)
ねぇ、聞いてるの?……誠也っ!(日向)
う”ぅー…ん???
そりゃあ襲撃ん時に日向が、
妖力や体力がめちゃくちゃ減っただろう?
だから、その為の体力作りだ☆」
日向「はぁ…そんな事だろうと思ったよ。
誠也の言いたい事は分かるよ。分かるけども
何も皆んなを巻き込む必要は、無いでしょ?」
誠也「分かってないな~日向は(笑)
こういう時こそチーム全体の交流も兼ねて
団結力をより向上させるもんだぜ☆
ほら~今まで、特別部隊を立ててから
俺らもこういった交流して来なかっただろう?
さっき登校中に閃いたんだよ!!
良い案だと思わないか☆☆☆」
日向「いや、そうだけどさ~(汗)
(分かってないのは、そっちだよ)
はぁ……本当に悪気…ないんだね、誠也。
ん??さっきから何の話をしてるんだ?(誠也)
・・・いいよー、もう。
どうせ言っても聞かないんだし、
すぐ忘れるだろうから。。。
でも…何度も言ってる事だけど、
そういった浅はかな考えで勝手に行動されると
いずれ誰かを傷付ける事にも繋がる!
起こってからじゃ遅いからいつも言ってるのに、
何でぇ……分からない…かなぁ。。。(潤む瞳)
日向??(誠也)
・・・ごめん、こんな事…言っても
押し付けだって分かってる。
けど、だからこそ…もし誠也が良いなら
出来る事なら……2人だけでやりたいかな」
誠也「???
まぁ日向がそれで良いんなら…別に良いが」
誠也は、幾度もなく日向から
いつもと何の変わりない話を聞かされて来たものの
全く悪気なく、全く反省の色も見せずに、
この意味を未だ理解を示す事は難しかった。
これがどれ程、苦しい現実なのか…を。。。
日向「うん♪」
話が一段落して微笑ましそうに話す2人の後ろでは、
たった今、雫がゴールした所で
[はぁ…はぁ]と走った後の呼吸を必死に整える。
やっとの思いで100mを走り終わったにも関わらず
そんな雫に励ましの言葉を掛ける者は居なかった。
雫「……りぃ、林堂…さん??」
友理「確かに今見返してみれば、
鈴木先輩からの連絡事項が入ってませんね。
本当に、もう大丈夫なんですか?」
蘭「大~丈夫、大丈夫だって!!
でも、心配してくれてありがとう♪」
雫「……っ、せ…先輩は???」
誠也「日向がそこまで
急ぐ理由は俺には分かんねぇけど、
手っ取り早くやりたいならアレにしようぜ☆
それは、遠慮しとくよ(即答する日向)
まだ何も言ってないんだろっ?!」
日向「分かるよ、それくらい。顔に出てる(笑)」
友理は蘭と誠也は日向と、雫だけが孤立していた。
雫「・・・(滝汗)
はぁ…はぁ………はぁっ……はぁ…はぁ………はぁ。
(あ、あれぇ?おかしい…なぁ??
もしかして、私……今。。。
う”っ…うぐっ……何…でぇ?
どうして、私は……私だけ…いつもこうなのかな。
努力はしてる、してるの!
なのにぃ、なのに……ろくに力も身に着かなくて
これじゃあ皆んなと並べない、役にも立てない
私が弱いか…らぁ。
式神様と出会ったあの時から
いっぱい、たっっっくさん努力して
休む暇も惜しくないくらい、それはもう!!
絶対に強くなりたいって気持ちが大きかったから
尽くして来たつもりだった…けど、けどっ……
どれだけ努力しても、人に良い事をしても
Dクラスは何も変わらない生き物………なんだ。
昔の先輩は、今の私と同じように弱かった…だから
一生懸命……強くなろうと頑張って努力した結果が
Bクラスとしての序列を上げる事にも繋がった。
先輩が成れたのなら
今度は、私も[強くなれる!]とそう信じて
先輩方に追い付こうとなりふり構わず頑張って来た。
でも…結果は知っていた。
その先に待っているのは、
真っ暗で何も見えない場所。。。
私は、報われない。報われ…ないんだよっ!!
どうして、頑張っても何もならないの?
どうしてぇ、普通で居られない??
どうして……同じ妖怪の仲間に馴れない???
何故、努力をしなければならないのか
誰かに教えて欲しくて…答えが欲しくて、
必死になって探してるのに誰も相手にしてくれない。
こんなっ……う”ぅ…うっ………こんな事ってぇ!
・・・。
どうしてCクラスは、開き直れるのでしょうか?
私達とは、1つ上の……存在なだけ
それしか違いが無い筈なのに
何故、こんなにも人は違うのか。
少なくとも私にはそれが出来なかった。
足掻いて、足掻いて…何度、道を踏み外そうとしたか
どんなに足掻いたって変わらないぃ。
[実らない蕾は、蕾のまま萎れる運命]
であったとしても諦めたくないぃ!!
空元気にもなりたくない!
そんな元気があったら努力するもん(涙目)
だから今も頑張って頑張って頑張……ってぇ、
運命に抗おうとしているのにぃ。。。
低級クラスの私達、DクラスとEクラスには
望みは無い…傍から期待なんてされていない
思い返すだけで嫌になる話だよね。
頑張ろうと必死で前を向きたいのに希望が無いなんて
・・・。
・・・・・・。
ここには、
私より……高いクラスの人達が集まってる!!
それがぁ…それがっ、どれ程の苦痛かぁ(涙)
皆んな、皆んな何も分かっちゃいないっ!!!
何でこんな……こんなぁ簡単な事に、
気付けなかったんだろ??
いや、とっくの前から今も知っていた筈…なのに
私には林堂さんや先輩方を利用して
式神様を探す方法しか他に思い付かなかった!
1人じゃ何もっ……出来ない…からぁっ!!(震)
・・・。
ハハッ……あぁ~あ…もう、このチームに
私が生き残る価値なんて無いのかもしれない。
今までだってずっと味わってきた疎外感に孤独、
劣等感や嫉妬、自己嫌悪の数々………
何度も陥ってもこの気持ちだけは、
忘れた事など一度も無かった。
それを埋めたくて…ひた隠してでも
楽しい思い出ばかりを一から作り直そうと躍起になって
この世界の事も何もかも知らない
林堂さんと同じスタート地点に立てたら
また変われるかもって高望みしたから、かな?
結局、あっという間に追い抜かされちゃったし
……何者だったのかも分からずじまい。。。
こんなにぃ……はぁっ…はぁっ………はぁ……はぁ…
こんなにも無意味で、辛くて、苦しくて、
悲しい気持ちになるくらいなら
皆んなの前から消えちゃえば良かったなぁ。
忘れられて終えば、どれだけ幸せ…だろうか♪(涙)
何度も考えた、今だって。。。
でも…きっと……私の心は、
とっくの昔から消えたかったのかもしれない。
気付かなくてごめん、ごめんなさぁいぃ!
もう十分、私は楽しんだからいい…かな。。。)」
ピチャ……ポチャンッと
地面に滴り落ちる涙が溢れる度に
保ってきた気持ちが、保ってきた心が、
全てがガラガラと音を立てて崩れていく。
静かなる深い闇の中に引き込もうとする
無数の黒い手に掴まれて抵抗も出来ずに、
身を委ねてしまう彼女の目は虚ろだった。
折角、日向に過去を打ち明けて
自分の意思を希望となる筈だった光すら掴めず、
彼女の心が壊れる瞬間を
誰1人として気付く者は居ない。
だが、彼女もまた分からなかった。
自分という存在が、
誰かの心の支えになっていた事実さえも。。。
廊下にて・・・
友理達と別れて
2年フロアの廊下まで3人が会話を交わしながら
やって来るとSクラスの前で立ち止まった。
蘭「じゃあ、また昼休み。部室で♪
はーい(日向)
あ、誠也。
今日の数学、小テストがあるんだけど~
ちゃんと勉強した?
うわっ、ヤッベ?!忘れてた!!(焦る誠也)
もう~……しょうがないな。
1限目まで、まだ時間があるから
テスト範囲の所…一緒にお・勉・強しましょう(怒)」
日向「うわぁ~……また、怒ってるよ。
誠也、ガンバー(棒読み)
………あっ……忘れてた(呟く誠也)
(誠也もよく懲りずに学校に来れるな~
ん?そういえば、高校に入って
すぐにサボり癖が加速して成績が怪しいんだっけ?
まぁ、僕にはどうでもいい話か。
誠也の自業自得だし……)」
トコトコと歩いて行くとB組の教室に着く寸前、
蘭にテストを教えて貰う筈の誠也が
背後から抱き着いて来たのです。
誠也「昨日は、よくも……まぁ雄鬼を呼んで
あの後…1人で帰りやがったなっ!(怒)」
日向「何を今更、
今の今まで忘れてたな?さては、、」
誠也「そうだが、それがどうした?あ”ぁ?!」
耳元で怒声を浴びせられながらも
着々と拘束を強めていく誠也の力に、
怯む事なく話を続けた。
日向「あの手錠ってさ、校則違反の時に
雄鬼さんから貰ったものでね?
アレを壊すと
雄鬼さんにだけ発信が行く使用になってて
それで現れたって感じ。
まぁ壊されるまでは、僕も半信半疑だったけどね」
誠也「・・・。
その~……何とも、思わない…のか??
何が???(目パチの日向)
おっかしいな~
前はコレが効果的だと思って
ようやく、日向の弱点……掴めたと思ったのによ」
ギュウギュウと締め付けていた筈の拘束から
急に、開放された日向はある事を思い出す。
日向「まっ、まさか~
あの時の脅しってぇ……………………(汗)」
誠也「コレの事だけど?」
あっけらかんと応える誠也に、
溜め息を吐くにはいられなかった。
日向「はぁー……ホント、くだらない。。。
なに、さっきの誠也は演技…出来る訳ないか(即答)
ひっでぇな、相変わらず!!本音だわ(誠也)
……一応…怒ってはいたんだね」
誠也「あぁ~そうだよ!
でもあん時、日向めっちゃ焦ってたじゃんか?
アレは嘘だって言いたいのか?!」
日向「突然、誠也が背後から抱き付いて来て
それに驚かない方がおかしいでしょ!!
一度、やられた事ぐらいなら僕でも学習するって」
誠也「チッ……折角、弱みを握れるチャンスだと
思ってたのに~無駄足かよ。
あ、ちなみにだが今年は何回…妖怪化した?(笑)
うっ……さ、3…回(日向)
へぇ~結構なったんだな!!
そうかそうか♪」
日向「……っ(怒)
怒んなよ、悪かったって!変に止めて(誠也)
・・・。
……ふん、もう知らないっ!!」
プイッと顔を背けて
足早に誠也から一気に距離を離して行った。
誠也「あちゃー、
アレは昼休み…来ないパターンだな。。。
蘭になんて言おう(滝汗)」
日向「・・・。
(……は~あ”あ”あぁぁぁ?!!!!!
危ない危ない。。。ホントに、心臓に悪いっ!
今のでバレたのかと思ってヒヤヒヤしたけど、
あの様子だと気付いて…なさそう?
アレがアレだったらと考えると、
はっ……恥ずかし!?
本当に、持たなかったかもしれない!!
も…元はと言えば……惇史の奴がっ。。。
んー、まだ…怒ってるのかな)
やぁやぁ!新條、おはよう☆(???)
げっ、今日は…やけに絡まれる日だな(汗)」
一澄「げって何だよ~?
ついさっきまで、八瀬と廊下で話してたろう」
日向「見てたの?
(あー、本当に面倒くさい。
特にこの人は、ナルシストだから
一度、絡まれると離れないんだよね(呆)
いや~オレも新條、抱き締めたくなって(一澄)
……正直、気持ち悪いよ」
一澄「新條は、ナチュラルに酷いよな~?」
日向「ははっ…誰のせいでしょうねぇ?(遠い目)」
一澄と話しつつも、
さりげなく教室に足を向けている事に気付いたのか
分からないが見えない何かによって
再び拘束されてしまい、宙に浮かされている状態。
日向「また、勝手に?!(汗)
逃さねーよ?今だけは、オレの獲物だ(一澄)
一澄、ちょっと離して
もう朝の自由時間、終わるってば(焦)」
一澄「別に良いじゃねーの?少しくらい。。。
それに~こんなにアッサリ新條を捕まえられるし♪
それは、クラス差の問題です!!(日向)
あ、そっか。オレ、Sクラスだもんな☆」
日向「はぁ~……駄目だ、こりゃ(汗)」
カチチッ!・・・
奏太「おいっ!!
さっさと、その舌…から日向を離せ。
そしてその舌を仕舞え!」
いつの間にか後ろに立っていた奏太は、
一澄の背中からリスの尻尾のように丸まった
紫色の舌が日向の両手と胴部に絡み付いていたのだ。
一澄「うわぁっ!?
なんだ~水雲か、別に良いだろ?オレの勝手だ。
勝手に決めんな、カッターで切り付けるぞ?(奏太)
水雲もおっかねぇよな、何で持ってんだ。
護身用?(真顔な奏太)
やっぱりこえぇな、コイツ!」
奏太「いいから、早く日向を離せよっ!!」
一澄「・・・分かったって~
(ん、待てよ?もしかしたら…ヒヒッ(笑)
良いぞ?
聞く気があるなら、早くs……(奏太)
ただし、こうしてからだ☆えいっ♪」
日向「ん??」
奏太にそう言われて
素直に拘束を解くと思いきや
いたずらっ子ような顔が一瞬、チラッと覗かせて
拘束されたままの日向に抱き着いた。
一澄「ふっふふ、どうd…ふぎゃっ?!!!」
奏太「いいから・さっさと・離しやがれ!(ブチギレ)」
満足げな表情で拘束を解いた日向を
ストンと廊下に下ろすのと同時に
目元をドス黒くし赤く光らせた奏太の目には、
明確な殺意が沸いた瞬間だった。
一澄「ギャアアアァァァァ!!!!!!(断末魔)
ボコスカと怒りの限り、嫉妬の限りを尽くす奏太と
一方的にボコられている一澄を
少し憐れに思えた。
日向「・・・。
さぁ、帰ろ。ていうか、戻ろう(ジト目)
そろそろ授業が始まりそうだし」
そして、何事も無かったかのように
2人の元から立ち去っていき、
日向はB組の教室へと入ってった。
いつの日かの記憶・・・
ここは、三輪学校の校舎内で
下駄箱の横に2階へ続く階段と保健室が並ぶ前に
紅桔梗髪の女子生徒が佇んでいる。
そこへポニーテールで紺色髪の生徒がやって来た。
目元は見えない。
???「……あ、いたいた!
お~~い、友理~っ!!
ん?どうしたの??(友理)
やっと見つけた♪はぁ…はぁ……探したよ~
それで、何か用でもあったの———さん?(友理)
あ、そうだった。ねぇ、聞いてよ友理!
うちのクラス、これから数学の授業なんだけど
前回の授業でさ~
私の前の席の人が指名されて終わっちゃったから
次に当てられるのが私なんだよ?!
だから、この辺の問題…教えて欲しくてっ!!
あ、答えでも良いよ?勉強の手間が省けるし☆」
友理「あのねぇー(ジト目)
今日の範囲次第では、
ページを跨ぐ可能性もゼロじゃないんだよ?
それを教えた所で今日やるとも限らないし。。。」
???「でも、でもぉ!
いざという時に起こってからじゃ遅いの。
お願い、この通り。絶対きっと当たるって!!
……分かった、分かりました!(友理)
はあっ♪
それに友理はこっちに来てたった1ヶ月ぽっちで
ほぼ全部の教科満点なんだし、
前やった時みたいに教えて貰えれば
私でも分かるもん☆」
友理「あー…はいはい、お世辞はいいから。
お世辞じゃないよ?!褒めてるのム~(???)
それで、何か書く物はあるの?
ふぇ??も、持って来てない…です(???)
もう~しょうがないな。これ、使ってよ」
制服の内ポケットからシャーペンを取り出した。
???「ありがと、友理!!
あ、このペン使いやすいね♪貰ってもいい?」
友理「良い訳ないっ!」
呆れた声で目の前の女子生徒に強く言って退ける。
人気の無い学校裏に向かうと
ベージュの長髪を持つ男子生徒が待っていた。
???「林堂、今日も来てくれてありがとう。
さ、早速で悪いんだけど~またお願い…するよ(汗)」
友理「お安い御用ですよ!!
私になら、何でも頼って下さい☆
ちょっと追われてて(焦る???)
分かった!じゃあ~こっち、着いて来て!!」
???「はぁ……はぁっ…はぁ……はぁっ…(汗)
大丈夫?少し休もうか??(友理)
いや……大丈夫っ、そろそろ撒きたいから!」
友理「そ、そうですか。
きゃ~~!!———様、待って♡♡♡(女子達)
それにしても、ホントあの人達って
毎日…追い掛けるのが好きですよね。
???「うーん、応援してくれるのは
こっちも嬉しいけど毎日のように、
追いかけ回される身にもなって欲しいよ(汗)
初めは、朝から家ガン待ちされてたもんね(友理)
流石に俺でもプライベートはあるからって
先生達に掛け合って校門待ち…てか、
学校限定にして貰ったんだよね。
まだ、あの頃よりはマシだけどさ。。。
大変そう(友理)
他人事だと思ってる?
まさかっ!面倒だねって思って(友理)
それを他人事って言うんだよ!?
はぁ……(疲労困憊)」
友理「・・・。
よ~し、そういう事なら
後ろの人達に朗報で~〜~す!!
今日は特別に鬼ごっこ強制参加型にして
ハチャメチャに疲れさせましょう♪」
???「だから楽しんでますよね?!
あと、それ俺も巻き込まれてるんですけど!!」
何らかのファン達の追跡から逃れる為に
校舎内へと駆け込んだ2人は、
今2階の廊下を慎重に周りを警戒しながら
歩いていると明るい茶髪の女子生徒が気付いて
こっちに手を振ってきた。
???「おぉ~今日もやってるね!
———くんに、友理ちゃん♪
面白がらないで下さい、こっちは必死なんです(??)
やっほ!———先輩、おはよ☆☆☆(友理)
……これで?」
??「・・・。
その人と同じにしないで下さい」
友理「もう酷いな~
こっちは毎日のようにボディーガードしてるのに」
??「ふざけなかったら言ってないから!!(怒)」
???「なんだかんだ、お似合いよね~(小声)」
昼休み校庭に出ると
鋭い目付きで睨んでくる小柄な不良少年が、
いつものように宣戦布告してきた。
???「友理、今日こそ……
この俺が勝ってやるから覚悟しろよな!!」
友理「良いですよ♪
では、今日は3本勝負と行きましょう!
真剣勝負と違って長く出来ますし」
???「3本勝負??
まぁよか分かんねぇけど面白そうだな(笑)
乗った☆」
友理「じゃあ決まりですね、では行きますよ!!」
ピッ!・・・
???「とりゃあっ!!!」
ゴンゴロゴロゴロゴロ、ファサッ・・・
???「どうだ、友理!!
以前、この俺が初めて敗北した時よりも
かなり上達したんだぜ(笑)」
??「何に自慢げなんだ、彼(汗)」
???「は~い、選手交代。次、友理ちゃん」
友理「はいは~い♪
ピッ!・・・
……っと!!フッ!えいっ!!!」
ファサッ・・・
???「はい、只今の三ポイントシュートで
制したのは友理ちゃ~~ん!
いえ~~~い☆☆☆(友理)
そして、今回のスポーツ3本勝負で
勝ったのは勿論この方♪友理ちゃんで~した!!」
???「…クッソ~!
今回こそは、二度目の正直で
やっと勝てると自負してたのによ!!」
??「三度目の正直な?
あと、アレで勝てると思うなよ。。。
さっきの口ぶりからして
3本勝負の意味も全く理解してないし、
バスケだけ磨いてどうにかなってたまるか!
3対0だぞ!?」
???「そういうんなら、お前がやってみろよ?!」
??「え、何で俺なんだよ??」
友理「やらないの?(潤目)
そんな目で見ないで下さい、やりますから(??)
やったぁ~!!わぁ~い、わぁい♪♪♪」
???「良かったね、友理ちゃん♡」
??「・・・(汗)」
ファサッ、サッ……ファサッ!!!・・・
???「おぉ~凄い凄い!
2人共、流れるように入れていくぅ☆
三ポイントの枠超えてねぇか??(焦る???)
完全に流れ作業だね♪」
??「あの~…そろそろ止めてくれません?
何で??(???)
何でって、これで勝負が着くと思いますか??
無理☆(???)
着かねぇーに1票ーっ!!(???)
でしょうね。。。友理、まだやるのか?」
友理「えっ、勿論☆綺麗に決まるの楽しいから」
??「その楽しさ、俺らにも分けてくれ(汗)
はぁ……これ~ホントいつまで続くの???」
結果、50対50で勝負は引き分けとなった。
教室で自分の席に座っていると
はちみつ髪の女子生徒が話かけて来る。
???「友理、次のお休み~……
ここへ行きたいのだけど、
私があまり遠方の電車を使った事が無くて
行き方が分からないの。
それに、———じゃ頼りないでしょう?
ですから…その~……ご一緒しませんか」
友理「えぇ、良いんですかっ?!
だって、ここお金持ちの人としか行けない
超・VIPなショッピングモールでしたよね!
私みたいな庶民が行って良いのかな!?
平気っしょ!!私らがOK出せば行けるって(??)
ふぇ~~ありがと♪流石、3代貴族のお2人☆」
???「えぇ、えっと~…は、恥ずかしいですよ(照)」
???「大丈夫だよ!
こういうのは胸を張るべきって言ったでしょ!!」
グーにした手を高々に掲げて
はっちゃけた顔で女子生徒が赤髪を揺らす。
・・・・・・・・・・
???「…………っ!……そろそろ、起きろ~
こ~ら………林堂、木之下!!」
友理「……っ!?
あ、え?ここは…学校?
なんだ~夢かぁ……良かった。
良くないぞ!今、何時だと思ってる?(???)
んっ、う~~ん??」
寝ぼけ眼の視界でも分かる
女子の体育教師を担当する宮永先生を横目に、
極限まで細めた目で
時計の針が示したのは5時20分だった。
既に、放課後以上の時間になっていたのだ。。。
あまりの衝撃さに友理は勢いよく席を立ち上がり、
ガタンッと机を揺らす。
友理「う、嘘っ?!
だ…だって、宮永先生(焦)
私は駒ちゃん……と勉強しに…図書室へ来て。
それで、それから……えと~えっと」
宮永「あー、そうだ。
2人はしっかりと図書室で
期末テストに向けて張り切って勉強していたさ。
それを1時間前に、
私が上から覗いて見てたから知っている。
勉強する事は勿論、良い事だが~
加減を間違えれば本番まで持たなくなるぞ?
ほら、帰った帰った!!
後は先生が片付けてやるから
君達、生徒は早く帰るんだ。
外もそろそろ暗くなって来る頃合いだから
夜道には十分、気を付けろよ?」
友理「は、はいっ!
こんな時間になってまで待って頂き、
ありがとうございます!!
良いって気にするな、これくらい♪(宮永)
そうだ、駒ちゃん起こさないと!?
駒ちゃーん、駒ちゃん。起きてっ!」
肩を揺さ振ってみても駒は
ピクりとも動かず、起こすのが気が引ける程に
幸せそうな表情をしていた。
駒「スャ~…むにゃむにゃ。スゥー……スゥー…」
宮永「駄目そうだな、こりゃ。
林堂、悪いが木之下の事…あとは頼むわ~(汗)
私はまだ先生としての仕事が残っているから
校舎を出る訳にはいかなくてね。
そうみたいですね。じゃあ運びます☆(友理)
は、運ぶ??」
友理「はい!!
別に、このまま背負って行っても良いのですが
駒ちゃんは木霊さんなので
小さくして持ち帰ろうと思います♪
あれ?家……じゃないのか??(先生)
あ~今日は元々、私の家に
泊まる予定でいたので平気です!」
ガサゴソと音を立てて広げていたノートや
教科書、筆記用具などを片付けていく。
そして駒の肩を掴んで自分の方に引き寄せると
手中に収まる木霊サイズに変化させたのだ。
先生「な、なるほど?
(物みたいに運ぶつもりじゃないか。。。)
まぁ、良いか。木之下が無事に帰れるのなら
それじゃあ寄り道せずに真っ直ぐ帰れよ~?」
友理「は~い!!
本当に、ありがとうございました♪」
寝起きとはいえ、
学校の先生相手には明るく気丈に振る舞いながら
生徒として返事を返す。
割れ物を扱うかのように駒を手に、
下駄箱へと向かって靴を取ろうとした所で
ふと、木霊姿の駒を見る。
友理「あっ……もしかして、今なら出来る?」
下駄箱の前で密かにキラキラした目で
未だ眠ったままの駒をじっと眺めながら
チーッと何かを開けてその中にそっと入れた。
学校を出て暗い夜道を
一気に突っ走り住宅街に建つ街灯の明かりを見て
少し安堵の息を漏らす。
友理「はぁ……ここまで、来れば。。。
ふっ…ふふ♪やった~!
やっと駒ちゃんをカバンの中に仕舞えたよ!!
一度、やってみたかったんだー☆
起きてる時だと、どうしても駒ちゃんは
ちっちゃい子扱いされるのが嫌みたいだから
全然、許してくれなくて。。。
でも~あんな可愛いフォルムで
しかも、元の駒ちゃんも可愛いから
怒った所でそんなに怖くない。むしろ可愛いっ!
何か~…昨日みたいに羽衣ちゃん用に
買い溜めておいた洋服とか装飾類を
駒ちゃん用に追加しようかな?
うわぁ~!?
想像しただけで楽しみになって来た、早く帰ろ!!」
終始、興奮気味にエンジンが掛かって来た友理は
独り言を口々に呟いている事も忘れて
街灯の明かりに照らされた石壁に、
友理の影がシュッと走り抜けていく。
時を同じくして・・・
カサッカサッカサと音を立てた後に
ニュルッとした細い何かが通り過ぎる。
茂みの隙間を低い姿勢で縫っていき、
[ヘェッ……ヘェ…ヘェッ!]と慌てた息遣いで
必死に四肢を動かし続けた。
自転車のペダルを踏むような素早い足取りに、
高い跳躍力で草木からシュバッと廃墟の壁に貼り付く
蛇の下肢を持つ人影が、
筒状の土管に入りひっそりと息を潜める。
???「……なっ、何なんだよ一体、アイツ…は。
(丁度、一狩り終えて
気持ちよく帰ってきた所でコレだぁ。
何だよ、あの化け物はっ!!
俺がいつ……何したってんだ?!
あんな規格外過ぎる妖気、俺が今まで生きて来た中で
ダントツで化け物クラスに出会ったのは。。。
一目見て、[逃げなきゃ死ぬ]って
直感で反射的に思ったのは……初めてだった。
命懸けでここまで戻って来れたんだ。
もう…安心s…………)
ミツ ケ タ ゾ。ニヒッ(笑う女性)
ハァッ!?!!?!ガッッッ………ア”ッ…ァ”」
真っ黒い布を被った人影に背後を取られてしまい、
ゴツゴツとした鬼の襟足をガッと掴まれ
蛇の下肢を押さえるのに、
あまりにも一瞬の出来事だった。
そして、冷たいコンクリートから引き剥がすように
蛇鬼を天井スレッスレッに持ち上げられる。
女性の赤いマニキュアが体に突き刺す痛みよりも
彼の脳裏には、
死への恐怖が遥かに上回っていたのです。
女性「この私から散々、手間を掛けさせたんだ
貴様に褒美をやろう♪
喜ぶが良い!
これで終われる事が、実に本望であるか…を
つくづく幸せ者さね羨ましいわ~(笑)
ッッッッ!!!!!!(蛇鬼)
さぁ、貴様の魂を狩らせて貰おうぞ。
言い残す事などあるまい、さっさと散れ!!」
女性の言葉に耳を傾けつつ
蛇鬼は、どうにかこうにか抜け出せないか
体を必死にくねらせるもその抵抗も虚しく
掴まれた時点で彼の運命は決まっていた。
女性によって握られた手には徐々に力が入り、
蛇鬼の体を引き伸ばされてしまい何の合図もなく
体がブッチンと肉が引き裂かれる音がした。
蛇鬼「……ギッ、ヤア”ア”ァァァ!!!!!!」
この世の物とは、
思えない程の甲高い奇声が建物全体に響き渡るも
それ以上に漏れる事は無かった。
まだ辛うじてピクピクと動く蛇の尾を
ただただ分裂した自分の姿を眺める事しか出来ずに
血管が張り巡らされた眼球は上を剥き、
事切れたように男は気絶してしまう。
その場には静寂で満ちていた次の瞬間、
千切れた体が水色と蛍の淡い黄色い光が
黒紫色で白い模様を浮かべた魂は
老婆のような白い手に自然と運ばれたのです。
???「・・・フフッ」
女が薄ら笑いを浮かべてとてつもない間の開けた後、
真顔だった女性の口が獣口となり白い歯が剥き出す。
風が無い筈の場所に女はユラユラと不規則に、
だが徐々に姿勢を屈めて地面に手を付く
その姿は人間らしからぬ四足歩行で
筒状の空間から音速を超える程の速さで去っていく。
そして女が辿り着いた次の場所は、
三多田市の街を一望できる
森一番に背の高い木の上に停まり
冷たい夜風に晒された頬は赤く強張らせる。
いつもは穏やかそうな優しい笑みを
町の人達に振り撒いている顔も
今では、まるで別人のような振る舞い方で
冷たく街を見下ろしていたのだ。
だがその表情はほんの一瞬に過ぎず、
直様、店番をしてる時の前澤 環に戻ると
ニコやかな笑みを絶やさないのが
彼女の仮面であり裏の顔とでも言える玉藻前は、
先程の光景が目に浮かび気持ち高々に声を上げた。
玉藻前「ククッ……アーハッハッハッハ!!!
ハハッ…はあ~ホント、醜い虫けら共の最後は
いつ見ても私を楽しませてくれるわぁ♪
(すぐに捕えては、
逃げた甲斐もなく呆気なく終わってしまうのは
少しいたたまれんだろう?
恐ろしい奴から逃げる機会を与える為に、
夜にひっそりと活動してる奴らを目標とし
ソイツの行動パターンを数日掛けて監視する。
相手に認識させる程度の殺意をわざと向けさせる事で
その目標にしか知り得ない抜け道を
ぶっつけ本番で通られてはこっちとしては敵わんし、
住処に逃げ帰る奴も中には居たからな。
案内して貰うついでには都合が良いんさね♪
そして、ソイツが警戒を解いて安心し切った所で
撒いたと思った恐ろしい何かが背後に居る事に
気付いた時にはこの鬼ごっこも終わりと、な。
……蛇鬼、か。。。
ギリ野良のような人間のような曖昧な妖怪であるが
意外にも上質なのさ。
あれから先代の本を熟読した私には
最近、ようやく分かった事がある。
野良の肉は、あまり美味しくないという事を。
アイツらの肉は、どれも腐りかけで食べ応えもなく
ほぼ骨をしゃぶってるようなものだった。
あまりにも美味しく無いものが続いたもんで
逆に、骨の方が美味しいまであるぐらい
一線を超えそうにもなった。
今思い返せば、アレは狂っていた。。。
良質な魂をそりゃ大事にするが余り、
飢え凌ぎの為に野良を狩っていた頃の事だ)
だが、気付いた!分かったんだ!!
野良と比べる価値すら無いが、
さぞかし裕福で育ちの良い人間達は腹を満たし
かつ[鬼の子]は特に腹持ちが良いっ!
どこぞの高級な肉みたいに、良質でな〜☆
蛇鬼は美味い部類の魂の色をしているしな~
これが、何よりも証拠じゃ!!」
蛇鬼の魂を取り出すと
そこには黒紫色の魂の色ではなく
彼女の手によって浄化された
金色のモヤに包まれた青紫色の魂を再び保管する。
玉藻前「毎日…毎日……
鬼を狩っていないと気が済まなくて、ねぇ?
一体いつになったら
私はこの地位から…抜け出せるのだ。
どうして、私がこんな事をしなければいけない??
何度も何度も思い返したさ、その答えは変わらぬ!
それもこれも……全て、
あの時の屈辱的な負け方…いや負けてはいないが
私は1ミリたりとも忘れた事が無いからね!!(怒)
あの蜘蛛女も…ガキも、、
私が捕えた鬼の子達も半数近くを手放してしまった。
お陰で、前みたいにボチボチ集める時間もなく
毎日のように狩り出される昔の日々に逆戻りだ!
最悪さね!!!!!!
外道な奴らが、私の邪魔ばかりを許さぬっ!!」
環の顔で怒りの声を抑えるにはいられなかった
玉藻前は、赤い爪を自分の手の平に食い込ませながら
妖力漏れのドス黒い煙を吹き出すも
瞬時に、煙が出る前の手の平に戻っていた。
[シューー……]と口の端から漏れ出る白い息が、
夜風に運ばれて月の前で溶けていく。
玉藻前「・・・。
……そういえば、私の聞いた所によれば
蜘蛛女の排除を任せた閻羅閻羅、
私の事件を跡形もなく消せと指名した砂ばぁには
妖力付与の援助までしてやったのに
拘束される始末、今更、怖気付くとは何事だ!(怒)
それでも…薊陣営の一員か?
……だが、あの時の閻羅閻羅はかなり怯えていた。
何者かに見つかって返り討ちにでもあったのか?
霊界に行き数日経ってから
連絡が届いたのなら辻褄が合うな。
一体、誰に???
まぁ所詮は、Aクラス止まりだ。期待などせん。
ふむ、私が一方的に考えるまでもないな。
…そして、私の顔に消えぬ傷を付けた
あやつを野放しにはしておけん!
私は、あやつ…の。あやつの魂を見て
心変わりしてしまったが故に、起きた事じゃ。
なら、あやつの魂はもう要らぬ!!!
復活など、二度と出来ずに醜くなるよう
八つ裂きにしてやるさねっ!!(怒)
……まずは、手始めにあのガキ共だ。。。(笑)
私を怒らせたら、どうなるか思い知らせてやる!
・・・・・。
静か、だな。
夜間になると人間の出入りが少なく
多少、物足りないが私には絶好の機会だ☆
ん?アレは~………」
三多田市外の森から加賀江市に
丁度、入った所の友理の姿を見て目の色を考えた。
物理的に。。。
玉藻前「んー、あやつ…は??
……ハッ、アレか!アレなのかっ!?
あのガキを後一歩の所で
私に、この私にぃ…投げ付けてきた電撃はっ?!
天候は……荒れていなかった、雷ではない。
そういえば、アレは学校の設備が
どうのこうのと先月の薊会議で報告があったの。
その時はあまり興味を持てずに、
話を聞き流してしまったが
て事は、つまり…私の予定を狂わせたのは
蜘蛛女にガキと、あの小娘か!!(怒)
……ハメられたのか?
我ながら、つくづく憐れじゃのう。。。
いや、今はそんな事で
自分を慰めている場合かっ!?
この際、どうでもいい!!
なんだ??
あの小娘を見ていると
めちゃくちゃにしてやりたい気持ちが治らんっ!
何故じゃ?何故、私の毛が逆立っているのだ?
危険…???そんなものあるものか!!!
私が恐怖する者は、天狗と烏天狗ぐらいじゃ!
河童は……河童は~脅威でも何でもないっ(焦)
あんな小娘に、怖気付いていたら次は無いっ!!
良いな、私よ。ここで、仕留め切れ!
後が無くなってしまうぞ?
・・・。
フンッ…あの小娘が何者なのかは知らぬが、
最低でもAクラスはある。
それなら即死級のものをぶつければ良い!
いくら妖力の多い者でも自分の妖力で
圧死する死に様は誰も予想できんだろ?
大人しく、死ねえぇぇぇ小娘っっっ!!!!!!」
そう言うと玉藻前は手を前にかざしながら
何かを操るかのように、
自分の方へと手繰り寄せる手の動きをしていた。
そして、加賀江市にある
葉木公園横の横断歩道の信号を前に止まっていると
友理から少し離れた所から
キュウゥゥゥ!!!!!!!!!!という
大型車のスリップ音と共にタイヤ痕が道路に付く。
音が鳴っていたものの
まさか、ここじゃないだろうと思ってなのか
友理は横断歩道に足を踏み出そうとした次の瞬間。
もう既に、間近に迫っていた眩い光を放って
大型トラックが何らかの影響で暴走しており、
通常ではまずあり得ない速度200kmオーバーが
友理に突っ込んで来たのです。
友理「……あっ………」
バンッッッッ!!!!!!!!!!・・・
街の中心部で鳴るとは思えないような爆発音が轟いて
一気に、地上を焼け野原へと変えられ
花火が暴発したみたいに四方八方へ被弾する。
友理が居たであろう
横断歩道と周辺の住宅街を囲う十字路から
モクモクと大きな煙を焚き上げて地面を焦がし、
一瞬で燃え広がった大規模火災を
こんなにも広範囲に引き起こしたのだ。
まさに、地獄絵図だった。
玉藻前「ハハッ…アハッハッハ!!!!!!(笑)
はぁ~………笑った。笑わせてくれたよ?
これで、体も木っ端微塵だっ!
いつ見ても実物じゃ♪
結構、あっさりと終わってしまうのが
少々…勿体ない気~もするが……弱者の妖怪に
そこまで求めてはなるまい。
Aクラス程度が私に小細工をした、相応の罰だ。
精々、霊界で嘆くがいい♪
う~~~ん、はあぁぁぁっ!!
久しぶりにこんな清々しい気分になったものだ♡
さて…これで心置きなく
私の生活もしばらくは落ち着くだろう」
そんな事を零して森の木に停まっていた玉藻前は、
幻獣の姿となって空高く駆け上がってった。
葉木公園横は今も尚、
火の勢いはより激しさを増して燃え上がっているが
未だ消防車や避難する人も、野次馬の姿すら
誰1人として見当たらない。。。
傍から見ても
不自然なまでに静まり返った異質な空気。
一体、この火の海の中で何が起こっているのか
視点が段々と近付いていくとそこには、
つい先程まで道路や街中を覆っていた筈の火は無く
とても爆発が起きたとは、
到底、信じ難い程に綺麗なものだったのだ。
友理に勢いよく衝突したと見られるトラックは、
何と顔だけが反対側のガードレールにめり込んでおり
荷台部分は、完全に大破したかのように
跡形もなくその場に消えていたのです。
そうした偶然が重なった不気味さが
不可解な現場を作り出し、
その近くの白線上にはうつ伏せの状態で
力無く倒れた友理の姿が。。。
友理が持っていたとされる2つのカバンは、
爆発による衝撃からか
無惨にも大きな穴が空き中身は飛び出さずとも
体は、微動だにしなかった。
翌朝・・・
環「スゥー…ふぅ……スゥ…ふぅ……スゥー………」
店舗住宅の2階より更に上の屋根裏部屋で
ぐっすりと寝息を立てながら
とても気持ち良さそうな美女の寝顔があった。
安らかに眠っているのとは裏腹に、
環のケモ耳が[ピコンッ!…ふにゃっ…ピコンッ!]
と忙しなく何度も上下運動を繰り返すのには、
外が原因していた。
先程から[[[ア”ーア”ーアァーア”ー!!!]]]と
エコーのように鳴き喚く黒い鳥が、
木造建築が建ち並ぶ町の上空を滑空していると
その群れの中から離れる1羽のカラスが、
一つの屋根へと降り立つ。
そのカラスは、体の色よりも真っ黒い嘴で
コツコツと瓦屋根を突いては
ぴょこぴょことしたステップを踏んで
ベランダへと飛び移る。
そこから屋根裏部屋の窓ガラス越しに
カラスが目にしたのは、ベッドの上で身を包めて
布団の山がブルブルと震えていたのです。
どうやら耳の良い獣にとっては、
カラスの鳴き声は相当、うるさかったらしい。
そんな事、お構いなしに
鳴き続ける上のカラス達と違って
環の目の前に居るカラスは鳴きもせず、
ただただジーーッと見つめているだけだ。
玉藻前「あぁ……ようやく熟睡できると
期待して寝ておったというのに、
最初の目覚めがこれなんて憂鬱…だ。
最近は散々な目に遭ってばかりじゃないか。。。
昨日の今日でやっと元の日常を取り戻せた筈が~
こんな……全部、アンタ達のせいで台無しさね!
ア”ァーア”ーアァーア”ーアァ(カラス達)
お黙り、黒い下僕共っ!!!(怒)
シーーーーーン・・・
…フンッ、分かれば良いんだよ?
さっさと主人のお家へお帰りっ!!」
[[アァーアーアー]]とがなり声から
普通の鳴き声に戻ったカラスの群れが
一斉に、環のお家の上を飛び続けるのをやめて
散り散りとなって帰ってった。
玉藻前「で?この私に、何の用かしら??
・・・(カラス)
・・・・・。
・・・(カラス)
ん、何よ??どうして、黙りなの?
あいにく今日は…ここ最近の私は
少々、機嫌が悪くてな〜話すなら手短に頼みたい。
……まさか、この期に及んで
伝承じゃない偽のカラスを仕向けられた
私への嫌がらせ…だって言いたいのっ?!(汗)
あの群れの中にバカ伝書が居たとすれば
とっくに帰ってるわよねぇ。
チッ……何なのよ、アイツらムカつく!!
烏天狗の下僕だから
さぞかし優秀な部下を率いてると思ったら
主人から離れた途端、急に態度を変えて
コソコソと意地の悪い奴らしか居ないなんてぇ!
あー、思い出すだけでイライラする(怒)
だったら……アンタも早く帰りなさいよ?
伝書じゃないなら私の前から今すぐ失せろっ!!」
パッチリとしたつぶらなお目目で
首をクイッと傾げる仕草をし、
頭を二度下げるような形で背を向ける。
やっと帰ってくれると少し安堵したのも束の間、
嘴同士をカチカチと音を立てながら
黒目から赤い目に切り替った所で
威厳ある渋い声で口を開く。
カラス「昨晩のお前の行動を拝見させて貰った。
随分と楽しそうに人間を狩っていたようだが、
まだまだ爪が甘いな。お前が仕留めた中に
人ならざる者が紛れ込んでいるとは。
いずれ、その者がこれからの妖魔界を
脅かし兼ねない脅威をこの地に君臨させた。
現状、正体不明ではあるがお前と同等…………
いや…それ以上の妖気を誇る危険な妖怪が、な?
この妖魔界を非常に難儀な問題へ直結されるだろう。
厄介な置き土産を貰ったものだ。
精々、残りの人生に悔いなく過ごしたまえ」
[以上だ……]という低い声を最後に
カラスの居るベランダの方へと顔を向けた時には、
既にバサッバサッと飛び去った後だった。
環「その声は、まさか烏天狗かっ!?
ま、待たぬか!!!!!!
うぅむ……遅かったかぁ。。。
ん、昨晩?妖魔界の脅威??置き土産???
・・・残りの人生……ってぇ?!
おぉい!どういう事だ、烏天狗!!!
そういうのは一から説明してからなっ!!」
苗「んにゃ~お?」
カラスの鳴き声から一時的に下へ避難していた
苗のぺちゃんこだった両耳がイカ耳になりながら
不思議そうな顔で環を見つめる。
環「・・・。
(私がっ、この私が間もなく……死ぬ??
あり得ない、そんな馬鹿げた話。
ある訳ないじゃないっ!
だって、だってぇ………そうよ。
誰だか知らないが、
この妖魔界に危機的状況が訪れるというのなら
それ即ち四大妖怪の出番……それは、
心置きなく倒す共通の敵として現れた
その危険分子を排除すれば良い話!
ならば、簡単な話だっ!!
今に見てなさいよ?
仮にもし…これが失敗に終われば
私はあの時の天狗の条件を満たせず、
今まで培ってきた全ての計画が台無しどころか
白紙になってしまう!
この私に、ひれ伏すその様を直々に拝んであげる♪
まずその為には、いつも以上に準備が必要ねぇ(笑)
アハッ、楽しみだわぁ♡」
苗が来ている事も知らずに、
カラスが飛び去ったベランダ側の方を向いたまま
ニマりと狂気的な笑みを浮かべるその横顔が、
獣の影となってはっきりと壁に映されていたのだ。
それを見た苗は環に対し、
初めて恐怖を覚えた瞬間だった。
妖怪三輪学校・・・
信号の向こう側から
仲の良い女子達が楽しく談笑をしながら
続々と校門前に集まっていく。
横断歩道から校舎まで走る男子生徒、
2人一組でゆっくりと歩いて話す女子生徒。
束になって6人程、歩く女子グループ達の真横を
何気なく通り過ぎるとある少女に目がいく。
それまでは、ゆったりとした足取りだった彼女達が
次第にペースを落としていき最後は立ち止まって
コソコソとその場で話し始める。
女子達「えぇ?何々、あの子…ちょっとヤバくない?
ねぇ~やっぱり、変だよね。傍から見ても。。。
アレで学校来るとか、どういう神経してるの?!
大丈夫なのかしら、あの子……心配ね。
誰か先生とか呼んで止めて貰おうよ!
え、嫌だよぉ!?
なんか怖いじゃん、あんな見た目で。
しかもリボンの色的に1年生だよね、アレ(汗)
嘘々、おかしいって
そんなの…だって化け物じゃないの」
とある少女「・・・」
女子「えっ、今……あの子、笑ってたよ??」
女子2「マジ?妖力漏れ起こし過ぎて
おかしくなっちゃったんじゃないの?!(焦)」
女子3「え、嫌だ。怖~い!!
やめておこう、関わらない方が良いって絶対」
彼女達は少女の姿を見てからといい、
その近くに居た生徒達は未だザワついており
朝から恐怖で震えていた。
廊下にて・・・
下駄箱から教室に行くまでのルートで
今度は、廊下で自慢げに話す男子に呆れつつも
仕方なく輪になって話を聞いている後ろで
右足を引きずりながら歩いていく女子が居た。
男子達「それで、俺の彼女がさ~…………(笑)
おいっ、おい!アレ見ろよ!?ヤバくね?
何だよ急に~??
……は?嘘…だろ、あり得ねぇって?!
どうやったらあんな怪我になるんだよ!!
そもそも、あの足で何で学校に来れんだ(汗)
そういえばお前さ、
前に交通事故に遭った時どうだった?
ど、どうだったって何だよ!?
アレは交通事故で出来る事なのかって聞いてんの!
・・・うーーん、僕の場合は~
後ろから追突された程度で
あんま大した怪我してないしな。。。
じゃあ違うのか??
んー、いや真正面から車が突っ込んで来たら
いくら生身でも相当な損傷になっても
おかしくないかもしれない。
お~い、何でそんなグロい想像に行けるんだ!
どういう事だよ、それ?!
だから~……(汗)」
女子「・・・(笑)」
男子「え?笑っ…てる???」
男子2「どうしたんだよ、そんなに血相掻いて?!」
男子「・・・(滝汗)」
男子3「アイツ、化け物かよ!?アレで笑えるとか
狂ってんだろ!あんなのが正気だったらおかしい。
絶対にぃ、絶対に……だっ!!」
男子2「え?お、お…い。お前ら……
マジで、さっきから何言ってんだよ?(汗)」
1年A組の教室・・・
ガラガラガラ…スーーッと
スライド扉が擦れる後ろ戸の音から
一際、明るい声で紅桔梗髪の女子生徒が言った。
友理「おはよ、皆んな!
今日も来るの早いねぇ~☆☆☆」
といつにも増して、
陽気な声が大きく聞こえるもんだから
不思議とクラスの視線が一点に向けられる。
そこにはつい数日前まで、
ハロウィンで仮装して楽しげに笑い合った仲の友達が
変わり果てた姿で瞳に映されていたのです。
そこで教室の空気が明らかに変わった瞬間、
友理が黒いシルエットになって禍々しいオーラを放ち
赤い瞳となった姿で一瞬、桜にだけチラ付く。
桜「・・・え?」
皆んなの目が徐々に見開いていき、
目の前の信じ難い事実に目を離したくても離せず
私達には到底、理解する事すら許されなかった。
何故なら友理の姿は髪の隙間からも見える
何重にも巻かれた包帯が左目にまで及んでいて
腕には黒い頭巾を被った固定具が着けられている。
袖の内側からも見える包帯が指先まで覆われており
妖力漏れを起こさない為か上と違って
片足だけ全体的にガッチリと補強されている。
一同「・・・」
そんなものを目の当たりにした皆んなは、
どうすればいいのか分からず固まってしまい
長い沈黙の末、最初に破ったのは恋花だった。
恋花「・・・。
……ゆっ、友理…ちゃんっ!?!!!!
ど、どどどうしたのそれー!!妖力漏れは?!
体は大丈夫なの!他に、痛む所はない??(焦)」
桃花「上級生に何かされたの???」
花梨「……友理…さん。。。(唖然)
怪我の具合は、大丈夫なんですか?」
恋花がきっかけで
クラスの皆んなが次々に心配の声を上げる中、
友理は至って普通に言葉を投げた。
友理「え、平気だよ。
皆んなこそ、どうしたの♪
そんなに慌ててもしかして、何か急いでた?」
津鬼「な、何…言ってるのよ!!
私達はただ本当に友理が心配でっ(汗)」
魁斗「どっか打って頭おかしくなったのかよ!?」
友理「無いよ~そんなの♪」
2人の心配をよそに、
傀来は不自然なくらい平然としてる友理の様子から
一瞬、目の色を変えたものの
平静を装って遠巻きに見守る事を決めたのだ。
友理「あ、そうだ。忘れてた!
ん?どこか痛むの??それなら保健室にぃ(恋花)
ううん、そんなんじゃないよ。
教室に入った時なんだけど、
皆んながいつもと様子が違ったから
言いそびれちゃったな~って思い出して。
そ、れって何??(恋花)
えぇーと、ちょっと色々あって
教科書2冊くらい駄目にしちゃったから
誰か~隣のクラスとかに聞いて来て欲しいの。
ここに来るまで全員に驚かれて
大変だったんだ、何でだろ??」
恋花「・・・」
花梨「・・・」
津鬼達「・・・(滝汗)」
こんな状況にも関わらず、
ケロッとした様子で友理の何気なさ過ぎる言葉に
一同はしばらくの間、空いた口が塞がらなかった。
1限目の始まりのチャイムが鳴って
先生が教室に入って来ると
いつもの調子で席へと座る友理を
一目見て教卓の前で腰を抜かしていた。
眼鏡をガクガクと付け直しながら
友理の所へ行って話を聞いてみるも
[最近、不運続きで上手くいかなくて~(照)]
と何故か照れ気味に言う友理に理解できず、
[それだけでそうなるか?]という疑問だけを残し、
無理矢理…気持ちを切り替えて
授業を始める事となった。
しかし、そのペースに着いていける訳もなく
チラチラとかなりの頻度で友理を見つめていた。
それもその筈、
クラス皆んなは明らかに異質な存在が
同じ教室で同じ授業を受けて
大怪我どころじゃない怪我から目が離せずにいた。
ただ1人、皆んなと違って
神妙な面持ちで潤んだ瞳を浮かべながら
静かに、薄く息を吸い続ける。
駒「・・・」
中休みも授業中の合間になっても
いつもなら分け隔てなく友理に接する人も
誰も居なかった。当たり前だ。
当の本人は平然とした態度を取っており、
あまりにもいつも通りに過ごすものだから
友理の行動一つ一つを目で追う事しか出来ない。
片手が塞がってる中、廊下で筆箱が落ちた時も
不慣れな装いの友理を見て
他のクラスの人が駆け寄ろうとした所、
彼女はごく自然な形で筆箱を拾いあげたのです。
誰の助けも必要とせず何でも1人で出来てしまうのが、
彼女の1番の要因かもしれない。
それからは、彼女に近付く者は誰も居なかった。
誰しもが彼女を不気味に思いある人は噂を囁いて
ある人は、化け物呼ばわりし近付くなと言い放ち
ある人は……彼女の姿を見るだけで逃げ出したりと
今日は一段と騒がしかった。
でも、これはほんの一部に過ぎず些細な事で
気にするだけ無駄だと彼女は思う。
そこには、その場に似つかわしくない笑みがあった。
恐怖以外の何者でもない。。。
生徒達は、そう思う他ならなかった。
昼休み・・・
友理「……さてと、
そろそろ中庭でお昼にでもしようかな♪」
そう思い立った友理が独り言を溢しながら
席を立つと収納ゲートからお弁当箱を取り出して
固定された腕の中に挟んで入れる。
自分の席から教室の出入り口へ向かい
扉が開閉され、教室を離れて行く足音と
友理が居なくなるまでクラスの人達は
ずっと息を、静寂を、物音一つ立てずに
過ごしていた息苦しさからようやく開放されたせいか
机に突っ伏す人もチラホラいた。
クラス内が一斉に息を吹き返すかのように、
音という音を鳴らし始める。
中には溜め息を吐いたり、あくびをしたりで
2日分の疲れが一気に押し寄せてきたみたいに、
皆んなは思い思いに発散する。
それからは、友理の異常とも言える言動について
昼休みの時間を使って議論をするも
結論に至るまでそう時間は掛からなかった。
ある人は[俺、今日で関わるの辞めるわ]や
ある人は[優しい人程、化けの皮が剥がれるのかも!]
ある人は[もう関わんない方がいいって!!]
と強めに突き放す人も居て
上辺だけで散々な言われようだった。
それを聞いて駒は内心、かなり傷付いており
想像以上に皆んなが攻撃する変わり様に
着いて行けず、1人だけ…困惑の表情を浮かべていた。
でも反論する程の証拠を持ち合わせていない
この状況で自分は何か言えるのかと言われれば、
間違いなく言い返せずに
押し負けるのだろうと理解はしている。
どんなに悩んでも苦しむ事しか出来ず、
どうすれば皆んなに分かって貰えるのか
必死に考えていた最中だった。
今、まさに聞きたくない最悪な話題を振られる。
男子生徒「木之下もそう思うだろ?
……えっ?(駒)
アイツと一緒に行動してたのも仲良かったのも
一番近くに居たのは木之下なんだし、
お前もアイツの都合の良いように
使われてただけなんじゃねぇの??
違っ…う、林堂さんは……そんなんじゃっ(駒)
どうだかな~?(笑)
そうやってお前が思ってても
向こうが同じように考えてるとは限らない。
いくらアイツを庇った所で無駄、
まぁそれで良かったんじゃねぇの?
俺らは、それに裏切られた[被害者]ってだけで」
Aクラスの絆は他のクラスとは、
比べ物にならない程に強い力で繋がっていて
自然と友理が中心となって出来た絆。
それが今では、初めからそんなものは無かったと
真っ向から否定されたような衝撃を受けたのだ。
中でも駒は[被害者]という言葉を聞いてから
頭の中でグルグルと
いつまでも纏わり付いてくる男子生徒の声が、
駒の心を深く傷付けたのです。
駒「……っ(涙)」
涙を流している事すら気付かずに
教室を飛び出してしまい、
そのままの勢いで駒は廊下を走っていく。
駒「(違う、違う!!皆んな、間違ってる!
友理さんは、友理…さん……はっっっ
私なんかより…私達なんかより
ずっと……ずっとずっと被害者なんだよぉ?!
皆んな、何で分からないのっ!!
もうぉ嫌だよ。。。
まさか、こんなにも苦しい事だったなんて
私ぃ…知らなくてぇ(涙)
今なら、あの言葉の意味も分かる気がする。
どうして、あんな偉そうに言っちゃったんだろう?
・・・でも私は友理さんや皆んなの事を
これ以上、嫌いになりたくないです!)
……友理さ…ん、今どこに居るの??」
声を絞り出すように掠れた声で駒は、
窓の縁に両手を付けて腕を伸ばした状態のまま
廊下に座り込み人知れず泣いていた。
一方・・・
中庭へ行くと皆んなに伝えておきながら
中庭には行かず友理は1人、
体育館を見下ろせる柵の上に座って
心ここに在らずの如く虚空を見上げていた。
奥行きのある体育館の天井を仰ぎつつも
友理は[暇だな~……]と呑気に呟いていて
その見た目でそう言うのもどうかと思うが、
今はそれを指摘する者は居ない。
先程からやけに視線を動かしており、
瞼を低く、そして目を閉じると赤い瞳を覗かせて
人が変わったかのような友理らしからぬ声を出す。
友理「・・・。
居るんだろ、そこに?
あぁ。そこを動くな、姿も見せずに
妾の話にだけ…耳を傾けてくれればいい。
……これからどうするおつもりですか?(???)
ん~そうだね♪
私は…この学園で、
気ままなスクールライフでもやり直そうかと思って
まぁ……というのも河童と同じく建前かな。
それは、—————————?(???)
ん?違う違う、私はむしろ感謝してるんだよ?
それがまさか…あんな形でな~んて
ちょっと演出としては、
過激過ぎるかなって思ったぐらい!!(笑)
・・・(???)
そうそう、君に少し頼みたい事があるんだった。
……何ですか?(???)
君にはしばらく、[ある場所]の視察をして欲しい。
・・・それだけ…ですか(???)
君は、ね?
そこにもう1人、居るのは分かっている」
???2「……フッ、やはり気付いていましたか」
1人しか居なかった筈の柱の影が二つに分かれて
あたかも初めから気付いてくれた事に、
嬉しそうな声色でそう答えた。
友理「フフッ♪
そっちの君には、[ある人]の偵察を頼みたい。
それが、私からの依頼だ。
僕の方の依頼は急を要するものでしょうか(???)
別に、そこまで急ぎの用って程じゃないよ?
いざという時の為に備えておかないと、ね☆
そっちはただの興味。。。
あれから…10年ぐらい経つのか??
早いな~時の流れというヤツは。
了解、———様(???達)
ありがとう。それじゃあ頼むよ、2人共♪」
2つの影が柱の近くから居なくなった所を確認して
すぐ[ここに居るのも飽きた、帰る]と言い捨ると
赤から緑へと目の色を変えブラブラと揺らしていた
足を柵に付けて床へ着地する。
そして再び、怪我したその足で歩き続ける事に
そう時間も掛からずにある人が友理の足を止めた。
芽亜「ユリり~ん、おはy…ってどうしたの!?
その怪我っ!?頭も、体も、足もえぇっ?!
事故・事件・災害とかに巻き込まれたとか!!(汗)
最近じゃ、災害は何も無かったと思うよ(美夏)
そーなんだ。
うん、でも何かあったのは確かだよね!
……聞いちゃって良いのかな?(美夏)
当然だよ、友達なんだから!!
逆に、駄目な事なんてあるの??
人によってい、言いづらい時とかそういうの(美夏)
うーーん、難しい事は考えても分からないや。
とりあえず何があったのか教えて、ユリりんっ!
答えてくれないと、
私達どう対応したら良いのか分かんないよ。。。」
Dクラスはこれから美術の為、移動していたのだが
教室を目の前にしてタイミングよく友理の姿を見て
思わず声を掛けた所、ようやく事の重大さに気付く。
芽亜と美夏は2人して
心から心配しているような眼差しで
友理を見つめていた。
それに対し友理は[まぁ、この2人ならいっか]と
2人には聞こえない程度の小さな声で呟くと
わざとらしく言った。
友理「これ?ただ、轢かれただけだよ」
周りの人達「えぇっっっっっ!?!!!!」
美術室にゾロゾロと列を成して入って行く
Dクラスの面々の動きがピタリと止まり、
あまりにも淡々と答える友理に
益々、不信感を覚えた。
女子達「轢かれた??車に、やだ~(焦)
何であの子、平気で答えられるんだろう。
普通、轢かれたんだったらもっと怖がるよね?!
怖がるどころか私なら外に出れないと思う。
しばらく車もまともに見れないんじゃないかな?」
周りの生徒達は隠れてコソコソ話すどころか
もはや戸惑いの声と動揺を見せて
そこへ更に、友理が油を注ぐ。
友理「車じゃないよ、トラックだったよ」
女子達「えぇーっ!?!!!!」
芽亜「そ、それって尚更まずいじゃん?!
ひ、人とか乗ってたり…したの???
ううん、誰も居なかったから無人だと思う(友理)
・・・そっか。
はっ、早く捕まると良いね。その犯人っ!
無人って事は、誰かが操ってた事でしょ!?
前にも無人トラックが暴走したとか
風の噂で誰か聞いてたみたいだから
多分、同じ犯人かもしれないよ。きっと!!(汗)」
友理「(皆んなは明らかに
様子のおかしい私をより不気味に思っただろうけど、
彼女だけは……芽亜だけは違った。
確たる証拠が真ん前に立っているにも関わらず、
一歩も引かずに私を庇おうと
必死で言い訳してる姿を見て少し不憫に思えた。
本当の事なのに。。。
何故だかは知らないが、
こっちは多分…真っ直ぐ過ぎたんだ……だから
その敵は自分だけでいい。
何も…君が輝きを失ってまで
私を庇う必要もないし、その資格もない!
だって……これは、私が勝手に始めた物語だ。
メロちゃんの優しい勇気には応えられないが、
せめて、私はその盾を代わりに受け継ぐとしよう)」
自分を庇う全ての攻撃を受けると決めていた
友理は一度、目元を暗くさせて
とんでもなく低い声色で答えた。
友理「捕まらないよ。
…え?(芽亜)
だって……コレは偶然、無人トラックに
私がただ轢かれただけの不慮の事故。
私の不注意で起きた事なんだから
皆んなが気に病む事じゃないよ♪」
一同「・・・(汗)」
芽亜「……轢かれただけってぇ、そんな簡単にっ!!
ユリりんは、それで良いの?
無人とはいえ、トラックを操った人は
悪意あっての行動かもしれないんだよ!
何で巻き込まれたのか知りたくないの?!
ユリりんっ!!!」
友理「・・・。
皆んなはさ、自分に力ある人間だと思ってる?
……本気でそう思っているなら
それは、ただの思い上がりだよ(笑)
あと…あんまり自分を過信し過ぎるのもよくない」
芽亜「急に何言ってるの(焦)」
周りの人達「そもそも人間って、、、なに?
何の話してるの??未確認生物か、何か?」
美夏「それって、もしかして
私達の事を…言ってる……んですか???(汗)」
友理「そっか。
分からないなら、知らなくていい事だよ?
君達、普通の妖怪には…縁の無い話だから。。。
それに誰かの為に、誰かを犠牲にしてまで
自分が力を振るって良い理由にはならない。
仮に犯人が居るとして……皆んなが捕まえようと
協力すると言うなら私、本当に知らないよ」
芽亜「・・・。
私は……私は、それで駄目だって言われて
引き止められたとしても…それでもっ!
ユリりんの役に立ちたい!!
だって可哀想じゃん、こんなの……って」
友理「うーーん。
じゃあさ、もし私に危害を加えた犯人を
芽亜ちゃんが捕まえたら…それで満足するの??
それだけで本当に、解決すると思ってる???
・・・え?(芽亜)
だって、私の体をこ~んなにした奴の事だよ?
そんなにアッサリ捕まえられるかな。
それに肉体的にも精神的にも
いくら私でも…ダメージだって受けるし、
誰にでも起こり得るものでしょ?
犯人が捕まる事でケアされても
傷ってそう簡単に治るのかな??
・・・(芽亜)
残るのは一生もんの傷だけが残るって事、
少し考えれば、分かる話だよね?
そんな芯のない浅はかな意志で物を言っても
こんな……くだらない事の為に、
わざわざ自分が危険を犯す覚悟があるなら
まだしも…出来ないなら
芽亜ちゃんは、普通に暮らしてた方がマシだよ。
ほら何もしない方が一番ってね!
で、でも……(芽亜)
でもじゃないよ?(即答)
私だったら~…芽亜ちゃんに
そんな事、やって欲しくないし望んでもないから
いつも通り元気な姿のメロちゃんで居て欲しい♪
……っ!!(芽亜)
じゃないと本当に
取り返しが付かなくなっちゃった後じゃ、
ぜ~んぶ失ってるかもしれないよ。
やらなければ良かった事を
友達1人の為に庇ってまで芽亜ちゃんだけが
背負うリスクって割に合わないと思うし、
今みたいな日常が一生…手に入らなかったとしても
同じ事が言えるの??
・・・っ(焦る芽亜)
じゃあもう1回、聞くよ。
本当に、それでいい?(黒目)
ユリりん、なんか怖…ぃよ(怯む芽亜)
・・・(真顔)
うふ♪もう冗談~冗談だよ、本気にしないで!」
一同「・・・」
友理「あ、もうこんな時間だね。
そろそろ教室に戻らないと私達のクラス、
移動教室だから…じゃあまたねっ!!(笑顔)」
ズッシリと重たい空気を作り出した
張本人が一蹴したとしても
その場に取り残された人達の空気は乾燥していて
喉に張り付くみたいな息苦しさに見舞わられ、
芽亜達ではとても払い切れなかったようだ。
そこへ凛音と雫が遅れてやって来ると
教室目前で束になって固まっている
芽亜に声を掛けた。
雫「芽亜さ〜ん!
机にノート置き忘れてあったよ。
移動教室の際は、
ちゃんと持ち物を確認してからじゃないと
後でまた戻る事になりますので気を付けて下さい」
芽亜「あ、あー……ごめんごめん。
ありがと、わざわざ持って来て貰っちゃって
私ったら、うっかり。ははっ…(苦笑い)」
凛音「いつもの事だけど。。。(ジト目)
何だか元気がありませんね。
皆さん、どうなさったのですか?
こんな……教室からはみ出したような場所で」
美夏「ちょ、ちょっと…ね(焦)」
芽亜「・・・。
2人はその~今日…ユリりん……って見た?
林堂さん、ですか??(雫)
知らないけど?(凛音)
・・・そっか。そう…だよね。。。
それが、どうかしたのですか?(雫)
ユリりん、怪我……してた。
何でか分からないけど、事故に遭ったみたいで」
雫「えっ!?
そんな話、聞いていませんが。。。
どんな具合でしたか?」
美夏「それは、もう……っ(汗)」
芽亜「交通事故並みの大怪我だったよ!!
そりゃトラックに轢かれたら、
それくらいするんじゃないかなって思うけどっ!」
雫「トラック?!
本当に、トラックに轢かれたんですか!?!!!!」
美夏「うん、本人はそう言ってから
恐らくそうなんだと思う。でも不思議なの。
何がです?(雫)
普通、あんな怪我してたら
痛い素振りとか辛そうな顔してそうなのに
全くそんな感じし無かったの!!
私から見ても結構、痛々しそうで…
でも友理さん、いつも通り会話してたんだ」
芽亜「しかも話し方は、
いつも通りではあったんだけど
なんか……いつもと雰囲気が違うんだよね。
雰囲気が??具体的には(凛音)
うん、そう感じたってだけ…なんて言うか~
いつものユリりんからは感じない変な怖さがあった。
だよね、皆んな?」
周りの人達「……う、うん(困惑)」
凛音「・・・」
芽亜の発言から凛音は少し心当たりがあるらしく
顎に手を付けて考える素振りをしている
横で雫は、全くイメージが付かなかったのだ。
2人が話す友理はどれも知らない友理の話で
怪我した友理も、怖い雰囲気の友理も、
どちらも想像すら出来ずに
無慈悲にもチャイムが鳴ってしまう。
ひとまず友理の事は、学校が終わった後でも
聞こうとその時は考えるのを辞めた。
放課後・・・
宿り木の森の方からバサバサッと音を立てて
黒い翼で風を感じて赤目のカラスが、
[カァーカァー]と声を上げて鳴いている。
分厚めな雲に覆われた空をバックに、
薄暗くも淡い光が街中を無数に照らしていた。
まるで、そのカラスが意思を持って
幻想的な景色の前を横切ってでも御告げしようと
勇敢にも役目を果たそうとする姿だった。
街に降下する体勢に入って助走を付ける勢いで
旋回すると校門近くの電線上へと降り立つ。
電気の付かない校舎内は、
外の明るさと違ってより暗く見えて
昇降口の4つある扉の内、1つが開いた。
梅雨のようなジメッとした蒸し暑さに、
紅桔梗髪の女子生徒は静かに空を仰いで
1人広々とした通路をゆっくりと突き進んだ。
地面に小さく咲き乱れる色鮮やかな草花が、
シャラシャラと優しい風に吹き揺られる。
~~♪~~~♪♪~~~~♪♪♪・・・
校舎を離れていく度に、
遠くの方から聴こえてくるチャイムの音色を聞いて
どこか心が弾んで口に笑みが溢れた気がした。
その間もずっと鳴り止まない雑音に、
彼女は何を思ったのか数十秒の沈黙が流れて
[はぁ……]と深い溜め息を溢す。
友理「仕方ない。。。」
そう言って諦めたかのように、
カバンから真っ黒いスマホを取り出して
Riinアプリをタップし画面が開いた。
そこには28件程の通知が雫から届いており、
内容としては、
[今、どちらにいらっしゃいますか?]や
[芽亜さんから聞きました、怪我をしたって(汗)]
[私、今日…日直の日なので帰りが遅くなります]
[その後でもいいので、少しお話しませんか!]
とこのような文言がずっと続いていたのだが、
それに既読を付ける事もなく
今に至るまで無視を決め込むつもりだった。
忘れようとしても通知音が聞こえる為、
忘れる事も出来ず通知をオフにすれば
対策は可能な筈なのに、
そうもしないのには訳があった。。。
雫の方も[今から会えますか?]と言った返信から
かれこれ、10分くらい経っていて
それっきりになってしまった。
それだけで雫の方は今日は諦めたのだと分かって
安心した矢先、友理のスマホが揺れた。電話だ。
友理「もしもし」
???「はい。
主人様の言われた通り、
例の場所に到着致しました。今、目の前です。
堅苦しいはよせ、それで?(友理)
フッ……どうやら当たりのようです(笑)
まさか、こんなにも大胆に[核]を設置して
土地の力を吸い取ってるとは思いませんでした。
こんなもの…仕掛けられた時点で
……すぐに、気付く筈。。。
一般人には見えないように細工してるのね(友理)
そのようです。これ、どうします?
もし宜しければ、こちらが処理する事も出来ますよ」
友理「んーー…そうだね。
あ~万が一の為にも、
他に……同じものが無いとは限らない。
先に確認して何もなければ全部、壊しておいて」
???「では一度、全国を当たってみますね。
最低…いえ、少なくとも2日程あれば、
[核]の破壊も含めて可能です。
あぁ、それで構わない(友理)
承知しました。また何かあれば、連絡を下さい」
ピッ・・・
友理「……フフッ、やはり…か(笑)
相変わらずだな~あの女狐は♪
放っておいたら、
最悪な事態を引き起こさせる奴らしいやり方だ。
まぁ…私達には関係ないがな。
とはいえ今の所、仲間からの連絡以外では
私も2、3日は暇を持て余すだろうし
さて、どうするか。。。
ふーーーん(糸目)
ん?おっと、少し立ち往生し過ぎたようだ。
そろそろお暇しなければならないな。
まぁ何にせよ……これ以上、
こちらの問題に彼女を巻き込む訳にはいかない。
関係者以外は、ただのお邪魔だ。
ひとまず何もしないが妥当だが~
それでも向こうから近付いて来る場合は、
どうあれ…残酷な結果になる事には変わるまい。
あまり私に干渉しなければいいのだが。。。」
昇降口の方から歩いて来る雫達の姿を見て
スマホを前後に揺らしながら
こちらに気付いていない内に去っていく。
一方・・・
雫「うーーん。。。
どう?ユリりんに連絡、着きそう??(芽亜)
ん~……あ、でもつい先程、既読が付いたので
恐らく見てはいると思うんです。
でも…それ以外は何も(汗)
雪乃さんには、話したくないのかな??(美夏)
どうだろうね~(芽亜)
どうして、話してくれないんでしょうか。
皆さんには話したのに私とは話さないのは、
なんか……なんか違うと思うんです。
なんて言ったらいいか…分かりませんが」
雫は自分が居ない時に、
友理が他の人達に話していた事を
2人に聞かされてからどこかモヤモヤしており、
胸が痛む感じがした。
それが何なのか分からず、
弱々しくも自信なさげに呟く雫は
ずっと、心の中で[何故]を繰り返し続けて
自分の知らない友理について
ずっと考えてたのだが悩み過ぎる余り
雫自身もよく分からなくなっていたのだ。
雫「……はぁ。。。」
そんな溜め息を見兼ねた芽亜が、
1つの疑問を雫に問い掛ける。
芽亜「じゃあユキっちはさ?
ユリりんに、どうして欲しいの」
雫「どう…して欲しいか、ですか??
私~……は、そうですね。。。
でも林堂さんから返信が返って来ないという事は、
言いたく…ないんだと思います。
だから私が迷惑を掛けるのは
そもそも間違ってて……それで、うーん(焦)」
芽亜「ほぉ~らっ!
そこは自分の気持ちを素直に言葉にしてみなよ。
相手の気持ちを考えるのもすっごく大事だけど、
自分の意見を通すのもと~~っても大事な事だよ!!
大丈夫、私達はいくらでも待ってあげるから☆」
雫「・・・。
……っ、えっと~…その。
私は、ちゃんとっ……ちゃんと林堂さんの口から
説明して欲しい…ですっ!
でも、これはあくまで私個人の意見であって
あまりにも私が身勝手過ぎます。
これでは、林堂さんに合わせる顔がありません!!
なので、これはもしもの話で
ちゃんと会って話してくれれば、私は~……(汗)」
芽亜「そんなに相手を気遣わないで
もっと自信を持って、
もっとも~~っと我儘に言ってみようよ!!」
美夏「うん、私もそれで良いと思う♪
相手に正面から言葉で伝えるのは難しいし、
芽亜ちゃんは簡単に言ってるけど。。。
話してみるだけ話してみない、雪乃さん」
雫「う”うぅー、うん。そう…します(涙)」
芽亜「じゃあじゃ~あ!!
まずは、お互いが向き合う所からって事で
気軽に話せると良いね☆」
雫「2人共……はいっ!そうですね(笑顔)
そうと決まれば、明日にでも直接…会いにぃ」
凛音「あの~…雫が決めた事に、
どうこう言うつもりはないのだけど明日は……」
雫「ん?何かありましたっけ???
………あっ…そうだぁ(2人)
え?え??な、何ですか!?」
芽亜「えと、明日は~……
祝日だから学校お休みだったわぁ(汗)
今、思い出した。
あ…(雫)
で、でもでもっ!!
明日は普通に・個人的に・ユリりんのお家に
ユキっちが行ってみるとかでもアリだと思うよ!
突撃するんだよ、それで……」
雫「・・・。
あ、あれ?今度はどったの???(芽亜)
そ…ソウナンダ。。。
ソレだったら明日は辞めて明後日……
学校がある日にでも行ってみようカナー。
ウン、ソウシヨウ(即答)
皆さんが居ないと、私は何も出来ないから
そういう事なので
さっきのは撤回して…2人共、忘れて下さい」
美夏・芽亜「えぇっ!?」
芽亜「えっ、、え?えっ?!
ゆ、ゆゆゆユキっち!?
塩らしくなるの早くない!!(焦)
もっとこう頑張ろ~う!とか思わない訳っ?!」
雫「・・・。
ヤ、やっぱり勇気は底を尽きたと言いますか……
自信は、その時の勢いに任せたら
こういう事もよくあるヨネッテ。はは…」
芽亜「物凄くやつれた顔してるっ!?!!!
……ゆ、ユキっち…気を確かに!
落ち着いて、まだ早まらないでぇ(汗)」
凛音「パニックになるのも分からなくもないけど、
あなたの方がまず落ち着きなさい」
芽亜「いや、だってそりゃ焦るよ?!
そ、それにユキっち~
明日は用事がある訳じゃないんでしょ?
それなら一対一で
じっくりと話せた方が絶対、良いって!!ねぇ?」
雫「……ウン、ゴメンネ。
芽亜さん、磯貝さん、神楽さん。
私の為に付き合ってくれて
でも、もう良いんだ。。。やる気が失せた…カラ。
じゃ、じゃあ……私、そろそろ帰るネ。さよなら」
明らかにテンションがダダ下がった雫は、
トボトボとした小さな足取りで
前へ前へと足を動かし続ける。
歩き始めてからそう遠くない筈なのに
その背中には、かなりの哀愁が漂っていて
1人で歩く姿がとても可哀想に思えた。
凛音「・・・」
美夏「・・・」
芽亜「ユキっっっっちいぃぃぃぃぃ!!!!!!」
その様子を見ていた2人は静かにそれを見送り、
対して芽亜は悲痛な声で雫の名を叫んだ。
チロチロリンッ!・・・
重苦しい空気の中、
突如として明らかに場違いな可愛らしいポップ音が
3人のスマホと今も歩き続ける雫からも
そんな音が聞こえた。
芽亜「あ~もう、こんな大事な時にっ!!
……ってぇ、うわっ!?皆んな大変だよ(焦)
見てよ、これぇ!」
と半ば半ギレ気味に猫耳スマホを取り出して見た
と思ったら直様、声を上げて
慌てて美夏に向けるよりも前に凛音がボソッと
[あの気まぐれ天気予報でしょ]の言葉を遮る形で
声を大にして言ったのだ。
芽亜「天津さんが前に欲しがってたやつ、
ガチャガチャに実装されたみたいなんだけど~
それが物凄く行列で1時間くらい待ったみたい!
1時間っ?!しかも、ガチャで!?(美夏)
それで自分の番が来て回そうと思ったら
あと一歩の所で売り切れちゃってぇ
10分もしない内に、
東京が土砂降りなるんだって!!(焦)」
美夏「えぇっ?!
現地の人達、大変そうだね(汗)
芽亜「う、うん。大丈夫〜?
そういう時の推し度って結構、ショックデカいから
そうなるのも無理はないと思うし〜」
凛音「傍迷惑な人ね……はぁ」
芽亜「・・・じゃなかった?!
この事、早くユキっちにも伝えないと
あの遅さで1人で帰ったらまずいよぉぉ!!(焦)」
美夏「い、急ごう!えっと簡潔に伝えるには(汗)」
芽亜「おーーーい、ユキっち!!
止まってぇ~ていうか、そのまま前進で走る!
ハッ、走るんですかっ!?(雫)
そうそう!!
私の言う通りに家までゴーゴーだよ♪」
後方組3人が雫の後を追うように迫って来て
それに慌てた様子で住宅街の中へ駆け込んでも尚、
追いかけ回され何が何だか分からず走り続ける。
雫「……た、体力が持ちませぇぇぇーーん(バツ目)」
その4人の上では、
先程まで空から降り注がれていた淡い光は無くなり
明るさが消えてしまった代わりとして
みるみる内に怪しい雲が仁川市にも流れ込んできた。
実は、天津という人物は雨女の1人で
基本的にはこの妖魔界の天候予報は
彼女達の仕事であり仕業、
気分次第で変わると言われている。
各地にそれぞれ雨女と晴男が半数ずつ居て
性格も一人一人個性豊かで、何より……
肝心の天気の変わり目が読めない。。。
その為、常に国の指定保護監視下対象として
世を乱したり、慰められたり、感謝されたりと
色んな意味で活躍してるのだ。
その中でも天津は、
普段からおっとり穏やかな大人のお姉さんとして
国民から人気を得ている反面、
何かと子供っぽい理由で
天候が荒れるのは日常茶飯事である。




