第30話 「学校襲撃(後編)」
※このお話だけ残酷描写が多く含まれております。
学校襲撃の(後編)、
内容もかなりこだわっていて
今まで広げた事もないくらい色んな人達に、
フォーカスを当てました!!
いつにもなくシリアスがあり、笑いありが
交互に来ますので[今、そんな事してる場合か!?]
みたいなシーンが続々と出て来ます。
文字数制限によりかなり端折られていますので
もしかしたら変な所があるかもしれませんが、
そこはご了承下さい。
所々、意味深な場面や謎も
各所に散りばめていますので良かったら
考察って程じゃないですが、
今までの事を含めて考えてみて下さい!
その場に取り残された2人は、
場所や状況は違えど銀行強盗と似た境遇で
千秋と再戦する羽目となった。
いつもの優しい顔の千秋とは、
比べ物にならない程の恐ろしい強壮で
両手を前にブラ付かせる。
千秋のそんな顔を見て冷や汗が止まらない日向は、
息を呑み目元を暗くさせながら口を噤んだ。
教室に移動した雫は、
すぐ窓辺に群がる人混みを掻き分けて
2人の膠着状態を静かに見守った。
日向(……よりにもよってこんな大事な時に。
しかも今回は、
以前のような戦い方ではまず勝てない(汗)
何てったって今の千秋は、餓鬼によって体が支配され
全くの別人格へと成り代わる特性:[飢餓状態]。
これに関しては千秋も僕も
長い間、悩まされてきた問題で
前に友理さんが月影さんに教えてくれた方法、
アレは[妖力を一定数増やす]事により
隠密系の妖怪の姿が正確に捉えられるものだった。
千秋にその技法を試してみたものの
どれも効果は無い。。。
それは……改善方法が妖怪によって
異なる事だと今なら何となく分かる気がする。
せめて一時的なものでも…いいから
抑える事が出来るなら僕は、知っておきたい!!
千秋が餓鬼だと打ち明けてくれた
あの頃にも何回かあったけど〜
その時は不意打ちもしくは、集中砲火するだけで
何とか止められてきた。
けど……千秋が力を付ける度に
自分の身を縛ってきた鎖を少しずつ外れていく事が、
どんなに恐ろしいこと…か(汗)
分かってた、分かっていた筈っ……だったのに
商店街で起きた光景を見てから
この先、僕だけの力じゃ
どうしようも出来なくなる無力さ…に
狩られてばかり。。。
それでも今の千秋は千秋の面影すら無い、
得体の知れない人格者だ。
まずは、この化け物をどう対処する…か。
今までの事を踏まえると相手は、
間違いなく僕や他の人達を巻き込んで
無差別に襲い掛かるだろう。
もし、そんな事になったら死傷者が後を絶たず
タダでは済まされなくなる可能性も。。。
ここは、一刻も早くあの化け物を
校舎から引き剥がす事だけを優先に考えないと!
もう起こってしまった事を
今更、悔やんだ所で何にもならないんだ。
……こうなった以上、
ようやく僕も覚悟を決めるべきだよね。千秋!!)
俯いた顔をそっと上げ、
暗い瞳の中に光が灯り集中したかのような目付きで
胸元に手を当ててパッと握り締めて
千秋を見つめる。
千秋「・・・ニヒッ(笑)」
悪魔のような笑みを見せて
千秋が足を前に踏み出すだけで視界から姿を消し
突然、人2人分の距離まで近付いており
重たい拳を振り上げた。
すると日向は相手が先に仕掛けて来る事を
読んでいたのか目の前に現れた千秋に
逆に接近する形で
千秋の斜め右辺りにあった電灯に
あらかじめ巻き付けといた黒妖縄を可視化させ、
伸縮メジャーボール並みの早技で
自分を引き寄せる事でその場を回避できた。
瞳・雫「はぁ……(汗)」
千秋「・・・」
華麗に視界を横切った日向を目で追いかけて
後ろを振り向くかと思われたが、
チラッと横目で見るだけで
校舎から目線を外す事はなかった。
興味がないのか、薄れたのか定かじゃないものの
この状況を一番よく理解している日向は、
電灯に取り付けておいた黒妖縄をひっぺがして
自らの妖力に再び、取り込む事で元通りとなる。
日向「・・・。
(この程度じゃ興味は惹けない…か〜
……何てったってこんな見た目からひ弱な僕が、
化け物相手に釣り合う筈がない。
自分で言うのもアレだけど。。。
戦った所で面白みに欠けるもんね、うんうん)
良いよ、例え…僕の事を
本当の敵として見做さなくても
どう足掻いたって難しい(汗)
レベルが違うんだもん。仕方ない……けど、ね?
それを見逃す事は出来ないんだよ。
それが周りの人達に危害を加えるつもりなら
その矛先を無理矢理にでも僕が曲げてみせる!
(こうして千秋と…もう一度、
立ち向わなけばいけない理由がまた出来たんだ。
前の一件は、
お互いの事情を知らずにただ一方的な感情を
千秋にぶつけて戦ったのとは訳が違う。
元々は、千秋に向けた事じゃない
アイツへの怒りや憎しみで………………
いや、五分五分かもしれない。
あの時とはまた違った形で
本当に止めなくちゃならない相手が、
僕のすぐ目の前に立っているのだから。
千秋の言動を止めるのも僕で
飢餓状態に陥った事情を知って尚且つ、
この化け物を止める役目も僕なんだ。
千秋には、やるなと言われてるけど
それでも……僕は、[千秋を助けたい!!]
人が悲しんでる姿を見たら
必ず駆け付けて平然と人助けもやって退けてる
千秋の姿を間近で見てきた僕だからこそ分かる。
千秋は、本当に心から優しい奴で
僕にとっては羨ましい事この上…無かった!
だって僕には一つの作業を
少しずつ片付ける事しか出来ないし、
同じBなのに、頼られるより先に
心配される日々が嫌だった。
自分が弱いから…自分がもっと強ければ、
今までの苦労が無かったかもしれない。
千秋を傷付けずに、苦しまずとも出来るなら
そうしてあげたいけど………それじゃ駄目なんだ。
だから僕は…必ず、
飢餓を抑制する方法が何なのか知る事と
この先も僕自身が強くなる為の気持ちを込めて
今度こそ、[千秋を本気で止めてやる!!]
……だってさ〜
少しでも親友には、楽して貰いたいじゃん♪
だから無理してでも止めるよ。
千秋には、まだ返せてない借りが沢山あるから
だから…もう[弱い自分のままでいたくない])
火炎球っ!」
雫「……えっ、え?な…にぃ、あの数っ?!(汗)」
そう言って退けた日向の言葉に対し、
雫の目を疑うような光景が広がっていた。
それは、腕を高々と上げる日向の背後には
白い菱形の光りがダイヤ柄のように無数に広がって
100発以上もの弾幕が出現していたのです。
その気迫に圧倒されていると
何故だか後方から風が巻き起こり、
教室から見てる人達や化け物の肌にまで風が渡った。
ほんの微かな殺気が、
自分に向けられている事に気付いた時には
時すでに遅く日向は既に腕を下ろしており、
同時に禍々しい黒紫色の火の玉へと色が変化して
かなりの速度で迫り来る。
その術は、建物や地面を傷付ける事なく
全て千秋の体に命中させる。
化け物と化したとはいえ、
姿形は千秋そのものでも日向は躊躇なく被弾させ
瞬く間に爆煙が目の前を覆い尽くす。
ちなみに日向は一切、妖術を操作しておらず
操作込みにすると余計に妖力が削り減らされる為、
今回は、軌道を真っ直ぐに飛ばしただけで
術同士がぶつかり合い花火のように
力が分散され、校舎方向へ行く所……
瞳達B組が分厚い障壁を貼る事で防ぎ切る。
1人が戦っていたら他の皆んなは、
その人の状況と周りの状況を確認しながら
細心の注意を払って援護に回る事が、
日向の…いや2年B組の方針である。
そして、100発以上もの妖術を放った
本人は疲弊する事もなく
次なる手を打つ為に校庭の方へと走り出す。
すると煙の中から千秋の大きな手だけが、
日向を捕えに掛かる。
襲う対象が変わった事を確認した上で
日向は、そのまま前進し続け地面を蹴り上げて
身を乗り出しそうな勢いで姿勢を段々と低くする。
体を小さく丸め込みながら宙を舞って
綺麗に回転できたのだ。
回り終える頃には、
コンクリートの塀の溝に指を引っ掛けて
壁の真下へと身を隠す事で
迫り来る化け物の手から間一髪で逃げ切り、
余計な滞空時間を減らす事に成功させた。
しかし、[ヴア”ア”ァァァァ!!]という雄叫びと共に
日向を掴み損ねた手でいとも容易く風を起こし
その強風さに少し煽られて
自分のリズムが崩れかける前に
足場を地面から壁に変えて全妖力を足に込めた。
そうする事で脚が頑丈となり、
跳躍力が段違いに向上し本人も意図せず
ロケット噴射のように飛躍したのだ。
日向「……!?
(い、や。いやいや、流石に、飛び過ぎっ!
力を込め過ぎた(焦)
まずい、これ…どうやって着地しよう?!
体制を立て直すにしても
地面と接触する前に受け身を取れるか
どうか定かじゃないし。
それに使いたい箇所に妖力を込めると
爆発的に身体能力が向上し過ぎて
多少、心得てる僕でさえ
たまに失敗する事もあって非常に危険なんだ。
一応、日常生活にはあまり支障が出ないから
緊急時以外は…の話だけど)」
今の状況とあまり関係ない事を考えていると
日向の視界がうっすらと暗くなり、
何かで覆い尽くされた。
化け物「ア”ァァ?☆%○〆ぃよ」」
日向「っ……?!
(え、何で…何でぇ……もうそんな所にっ!
だって僕が無意識の内に全妖力を込めて
異常なまでに飛び過ぎたくらい
加速した早さに追い付ける筈ないのに、
何で…もう僕の背後なんかにぃ。。。
いや、今は頭より体を動かせ!!)」
今度こそ掴み取ろうと化け物の手が、
日向の背中に触れる寸前で後ろを振り返き
地面に足をめり込ませながら
手元に一瞬で現れた何かを突き出す。
それは、[太陽の宝玉]と呼ばれる
暖かい発光体が封じ込まれたもので
さっきまで和かに尖った歯を見せながら
笑っていた筈の化け物の顔が一変し
標的が発光体へ向いた途端、伸ばしていた手は
いつの間にか握り締めており発光体を殴り掛かる。
日向「……っ!ゔ、ぐうぅ…(汗)
(物理的な力で押されると
流石の僕でも部が悪いのは、確か…だけど
これは、そんな技じゃないから
このまま押し返すまでっ!!)」
そんな意思表示と言わんばかりに
化け物とぶつかり至近距離から見合った頃には、
同時進行で進めていた両手足に妖力が巡られ
足場がしっかりと固定され止まったと分かると
直様、有言実行。
日向「……火焔弾っ!!!!!!」
化け物が太陽の発光体を殴りにかかった際は
とても頑丈なものだったのだが、
日向が唱えた時にはグネンと真ん中辺りが凹み
物体が繋がった状態で2つに分かれる。
拳からすり抜けるように
変な軌道を描いてへにゃっと元の形へと変わり、
千秋の体に貫通させる勢いで爆発した。
その瞬間、瞬く間に広がった閃光の柱が空に灯って
けたたましい爆発音が校庭に鳴り響く。
日向「………はぁ…はぁ……はぁ…はぁ(滝汗)」
額から顎下に沿って
汗がポタポタと地面へと流れていき、
ただひたすらに荒い息遣いで目元を暗くしている。
日向の脚は、既にボロボロで
先程の負傷が痛々しく残ったままだ。
日向「……はぁ…はぁ。
まだ、こんなんじゃ………
終わらない事ぐらい僕でも分かるよ。
さっさと出て来たら、どうだ」
化け物「ヒッ(笑)
カ、カカカッ!アハッハッハッッッ!!
ヘェ?イ”ィ”ネ、イ”イ”ネぇ…ソノかぉ♪」
日向「・・・。
(2年前までは、
言語もままならなかったのに喋れてる?!
まだ辿々しい所もあるけど不気味…極まりない。
一体、僕と別れた後、
千秋は何回……飢餓状態に陥ったのか。。。
それが月影さんにまで
迷惑が掛かってないと良いんだけど(汗)」
化け物「ねェ、つギはナニヲみ”せでクレるのぉ?」
そう言って化け物は、
平然と爆風の中からノソノソと歩いて来て
千秋が着ていたワイシャツが汚れてたり、
一部、破けてる箇所があるくらいで
目立った外傷は見当たらなかった。
日向「にぃ。。。
やっぱり…やっぱり……僕じゃ、駄目なのか。
[アレ]を上手い具合に使われて
まともな攻撃ですら通じないだなんて
そんなの…反則……だっ!(怒)」
2人の戦闘を遠目から静かに見守っていた瞳が
中々、険しい顔付きで眉をしかめる。
瞳「うーーん。
(あまり状況が動かないわね。
そのくらい佐賀さんが強敵過ぎるせいか、
ダメージが弱いせいか
あるいは、攻撃を無効化する方法があって
それをどう対処すべきか悩んでるのかしら。
にしては、微動だにしない男ね。
新條くんがあんなにも疲弊しているのに
なんだか段々、腹が立って来ました。
私は少しでも佐賀さんの注意を一瞬だけ
こちらに逸らせて少しでも
余裕を持たせてあげる事ぐらいが精一杯。
それなら相手に弱体化作用と速度低下、
更には新條くんに、
攻撃力上昇を付与と足も何とかしないとね。
あのままだと長くは、続かなくなる。
て事は、あの方法なら………)
夢幻死蝶の舞い、朧火っ!!」
紅桔梗の炎を左右に散らし、コントロールすると
中央には禍々しい炎の塊と
それを覆い尽くす程の炎が螺旋上に軌道を描いて
その塊に亀裂が入り卵が孵化する形で
綺麗な白黒の巨大アゲハ蝶が鱗粉の雨を降らした。
化け物には暗めの青いオーラが、
日向には金色のオーラを付与し終えると
その蝶は役目を果たしたのか化け物に向かって
ゆっくりとプレス攻撃を仕掛けて爆散したのです。
雫「し、四ノ原先輩っ!?何してるんですか!」
瞳「何って、そんなの……
新條くんの援護に決まってるでしょ」
雫「えぇ〜(汗)
でも、そんな事したら私達の方が危ないじゃ…(焦)」
瞳「ふん。
私がそこまで何も考えていないとでも思ってるの?
あなた、仲間を見る目が無いのね。
……えっ?(雫)
B組の皆さんに報告します!!
これから教室の中央に
数体ほど野良が送り込まれて来ますので
教室組は、今すぐに前衛と後衛に分かれて下さい。
了解っ!(教室の人達)
廊下に出た者は、そのまま足止めを続けて
連携を崩さないように上手く立ち回る事を第一に、
それから手が空いた人からC組の援護を。
はいっ!!(廊下側の人)
あなたもです。
戦えるなら加わっても構いませんが、
私達の連携を崩さない程度にお願いします」
雫「えっ、ええぇぇぇ!?!!!!(汗)」
という雫の驚きの声と同時に
教室の屋根を突き破って来た野良の鬼2が5体、
河童が7体くらい窓に張り付き
鋭利な石を武器に襲い掛かって来たのです。
雫「ひやあぁぁぁっ?!!!!!(白目+涙目)」
2年B組の教室の天井を貫き、
煙を吹かせながら校舎の方を確認して
真顔だった日向の顔に笑みが溢れたのだ。
日向「・・・ありがとう、瞳。
(さっきまで取り乱してた分、
精神的にも体力的にも心配だったけど
瞳のお陰で切れてた集中が戻ってきた。
そっちの指揮は、任せたよ♪)」
瞳(当然です。そちらも…どうかご無事で)
お互い別の場所で戦っているのにも関わらず
2人は背中を預け目の前の敵に対し、
同時に睨み付ける。
化け物「シ”んぱぃジャナさソウなかぉダネぇ?
ソレか”ドコまて”モつのかねぃ、ヒヒッヒ(笑)」
日向「もう……逃げないよ。
だって、、、そう決めたからっ!」
とグラウンドの地面を強く蹴り上げて
相手よりも高く飛び上がり、化け物を迎え撃つ。
一方、校舎では・・・
2年の廊下で激戦を繰り広げている男女3人が、
鬼1体相手に手こずっていた。
女子「仙龍っ!!」
男子「妖術:陽炎っ!!」
野良との戦闘がより激化してるせいか
教室があるであろう所で
屋根を焼くように突き上げて来る爆炎が、
あらゆる場所で勃発している。
鬼3「カ”ラララ ラ」
男子「くっそ!また、防がれた。
何なんだよ、あの強靭的なボディーはっ(汗)」
女子「ちょっと、そんなに前に行かないで!!
私の攻撃が瞬に当たったらどうするの」
瞬「じゃあ〜どうすれば、良いんだよっ?!(焦)
僕は、未来と違って接近して
戦わない事には、何にも変わらないんだぞ!」
未来「それは…そうだけど〜(汗)」
瞬と呼ばれる黒髪の少年が未来という青髪の少女に
戦いながらも喧嘩する彼らを見て
鬼は、その騒がしさに腹を立てている様子だ。
鬼3「ウ”ガア”ァァァァ!!!!!!」
女子2「(さっき戦った相手と違って
あの敵と対峙してから
かれこれ10分くらい経ってる筈なのに
傷一つ付けられない丈夫な体。
あまりにも絶望的過ぎる。。。
それでもこっちの攻撃が通っていない訳じゃない!
かくなる上は……)
瞬さん、少しの間だけ鬼の気を引きつつ
相手の背後を取りながら攻撃に回って。
それでも瞬さんに攻撃する意思があったら
次は、未来さんが一気に迎撃して下さい!!
お2人の息の合った攻撃なら
あの頑丈な体を持つ鬼でも耐え切れない筈です♪」
瞬「なるほど〜
とにかく相手に隙を与えるなって事だな」
未来「なかなか悪くない案ね、瞬っ!」
瞬「そういうこったら、
最初から全開で行かせて貰うぜ?
少し待ってろ。すぐ片付けてくっから
これが僕の………得意分野なんでね、任せろ☆」
そう言って一気に相手の間合いへと切り込み
鬼3が反射的に攻撃する瞬間を予測し、
敢えて距離を取る事によって
床から壁へ足場を高速で移り変わり続ける。
鬼3「ア″ァァ″?ア”ァ?ア”ァア”?????」
黄色い膜で覆われた鬼の目には、
中央部分に黒い斑点が付いており
それが渦を巻くかのように目を回す。
相手の目が回った所を見計らって
すぐ鬼の背後を上手く取り直様、反撃を始める。
瞬「天と地の境界を跨ぎ、数多なる力を授けたまえ
天緋雷鳥をこの手にっ!」
そう唱えた途端、鬼に重力負荷が重くのしかかり
瞬が両手をパンッ!と一度、叩く事で
黒髪が赤髪へと変わり全神経に波動の力が巡り渡る。
火花を散らす音、静電気がバチッとする音、
腕の細部まで電気や磁気を纒わり付かせる頃には
一気に筋力が増強されている。
また、高温度の熱が身体中に高速循環して
赤くなったその手の平に達すると背中に添えた。
それは、大砲の球が体を貫き
穴の向こう側から2人の驚き顔が見えるくらい
爆発的な一撃を食らわせた…筈だった。
風穴が空いた体に気付いていないのか
鬼は微動しないまま瞬の方へと顔だけを向けさせ、
口から冷気を放って目以外の姿は暗く
ホラーのようにこっちを見る。
顎の肉片が床にボトボトと落としながらも
悪魔が微笑みかけてくるような不気味な表情で
瞬は、目の前の光景に動悸してしまい
冷や汗をかいて逃げるという思考にも至らず、
動きが完全に止まってしまった瞬に手を伸ばした。
すると、[水仙不塵!!」
と水で出来たスイセンの花が、
風車のように渦を巻いて竜巻並みの速さにまで
回転し始めた所で解き放つ。
それは、大きな風穴を負わせた
周りの体を粉砕し頭だけが残ったが、
空中分解により跡形もなく消えてったのだった。
そして瞬には、目を覚まさせる為に
水型のスイセンを器用に水に戻し、
バケツ並みの勢いで全身に満遍なく被して
初めて気付く。
瞬の体は未だ高温のまま水を掛けられた事により
蒸気爆発を起こし、火傷のダメージでのたうち回る。
瞬「あ、あ”あ”ぁぁぁーーー!?!!!!」
未来「もう〜!
こんな大事な時に、何してるの?!信じらんない」
女子2「まぁまぁ(汗)
やっと終わった事なんですから
それくらいにして、他の班のサポートへ向かおう♪」
未来「それもそうね。
これで2戦目だけど、んん〜はぁ…………
人手が足りてない班のピンチも見過ごせないし、
戦力が削られるのは痛い話だわ……って、え?」
女子2「んんっ?どうしたの未来さん???」
未来「……っ!?
戸和、今すぐにそこから離れて
私の探知に何か引っ掛かったの!!
えぇ?!そ、そんな事…言われても(焦る戸和)
いいから早くこっちへっ!」
未来が緊急の呼び掛けに対し、
狼狽てしまう戸和をよそに天井を突き破る
黒い何らかの人影が降って来て
逃げ遅れた戸和だけが下敷きとなった。
戸和「ハッ?!……ご、めん…ね…ぇ(涙)」
綺麗な灰色髪の少女が目をビクビクさせながら
精一杯、目を開けて水色の瞳から光が消え、
体が粒子となり、消滅してしまったのです。
未来「戸和っ!!」
目の前で戸和を殺された瞬間を
完全に目の当たりにしてしまい、
未来は怒りのままに刃を研ぎ澄ます。
未来「こ、このよくも戸和を!(怒)早いっ!?」
が、その相手は思いのほか早く
未来の動きが遅く見え、視界に定まらない隙に
再び、黒い影が鋭利なもので未来の背中に突き刺す。
未来「……あっ?!(汗)」
プスッ!!!・・・
という何かが刺さった音を聞いて
すぐ[何してる、さっさと逃げろ!]
とやや怒り混じりに強く言って退けたのは、
間違いなく瞬だ。
瞬は、自分の腕を合金化させて
未来を刺そうとしたものを防ぎ切っていたのだ。
未来「瞬、もう大丈夫なの?!」
瞬「お…かげ様で、なぁ!
ねぇ瞬、戸和が……戸和がっ(未来)
わかっ…てる。
コイツにやられたのは悔しいけど、
正直……言って僕らじゃ、
勝ち目がない…みたいなん……だっ(滝汗)」
未来「えっ?どうして、瞬…ねぇ、瞬??」
一通り話した所で
瞬は、急に黙り込んでしまい不思議に思った未来が
ふと刺さったような音を耳にしたのを思い出す。
もう一度、瞬の肩に触れようとした途端、
黒い人影が2人を払い退けた。
尻もちを付いた未来が痛がっていると
目に飛び込んできた光景に、言葉を失う。
何と、瞬の合金化された腕でさえも
意図も簡単に突き破り貫通していて、
黒い血がポタポタと制服を染め上げる。
未来「あ、ぁぁ……はあっ…はぁ……はぁ………
瞬っ!!瞬、ねぇ!ねぇってばっ(涙)
待ってよ…行かないで。行っちゃダメ!!
嫌だ、嫌だよ。置いていかないでぇ!!!!!!」
と黒い人影がノソノソと2人の元へと近付き、
瞬の足先くらいで止まって鋭利なものを
2人目掛けて振り下ろす。
未来の頭にギリギリ刺さるくらいで
人影の体を向かって左肩と右下の脇腹、
両手足ともに胴体を水の球で同時に切り離し
影の体を蹴り飛ばした。
ブッシャアァァァ!!!!!!・・・
未来「ひぃっ!
もう怖いよ、怖いぃ。誰か助けてぇ(大泣き)」
目の前でショッキングな光景を
何度も見せられる未来は、瞬を抱き寄せる。
ぬいぐるみを抱き締めるみたいに。
瞬「あ”がががぁ……(泡を吹く)」
黒い人影「ハッ?!
何故ダ、何ゼェ…こンナ所……ニぃお前 カ”…」
志童「これで19人か。遅かったか」
紅葉「未来、気を確かに(汗)
瞬はもう大丈夫。大丈夫だから……
そろそろ離してあげて」
未来「うえぇ〜〜〜ん!!!!!!(泣)
へっ、しゅ…ん?本当に、もう大丈夫……なの?!」
瞬「はあっ!ゼェ…ゼェ……ゼェ…ゼェ(汗)
ケホッゲホッケホッ!!
はぁ……死ぬかと思ったぁ〜
ありがと、紅葉さん。助かったよ、色々と」
紅葉「ふふ、どういたしまして♪」
未来「ホントに瞬だ〜!!!!!!
うわあぁぁぁ〜〜〜ん!(大泣き)
瞬も戸和と同じように私を置いて、
どこかに居なくなっちゃうのかと思ったよ!?
でも、でもぉ…ヒック。良かった”ぁぁぁ(涙)
やめろ!!また締め殺す気なら近付くな?!(瞬)
あと、紅葉ちゃんもありがどうぉ!」
紅葉「瞬さんと未来が無事でいて何よりですよ。
それに、私は何もしていませんし(汗)」
志童「それで何で俺がここに居るかだっけ?
理由は単純、学校に通える年頃だからだよ。
それも……建前だが、まぁ強いて言うなら
人様が暮らす街をお前達、悪鬼から監視する為さ。
世を乱すような悪意ある者が簡単に出入りして
貰っちゃ……俺も野放しにはしておけなくなる」
黒い人影「ハッ、たかガ1組織のトップが偉そうに
ただのごっこ遊びじゃねェか?
ドう足掻こうたって滅ぶのは、
どっち道…お前達の方だ。
同じ種ガ?仲間ヲ殺すだってェ???
これハとんだ裏切り者ガよ(笑)」
瞬「あ、アイツ。。。
誰に物を言ってんのか、分かってるのか(汗)」
未来「私達、舐め…られてるの??」
紅葉「……っ」
志童「お前達は、いつまで経っても
破滅の話しか未来を語らないようで
逆に安心したよ。
とっくの昔から聞かされてきた昔話を
こうやって第三者の人に聞かせるのには、
都合が良かったもんでね。
これでこっちにだって対策の仕様が出来たよ♪
それに、な…悪鬼?
俺がこの学園に潜入できたのは、
普通なら不可能な事項を可能にさせる事が
出来るからなんだよ。
だからお前達が、
ここに侵入してきた時点で長の命令違反だし
直接、自分の手で下せる利点を利用させて貰った。
勿論……先生達とは利害が一致してる上で
結べるている協力関係だ。
分かったら、二度と…降りて来んな呪い不勢が(怒)」
珍しく静かにキレる志童が一矢報いた事に、
内心、喜ぶ紅葉の目は真顔で口だけが笑っていた。
志童は悪鬼の脳天をブチ抜いた後、
その死骸を殺傷性の高い水の球体へと沈める事で
泡のように綺麗さっぱりと消え去ったのだ。
志童「……はぁ。
さてと、2人はすぐに
これから離脱して避難場所へ向かってくれ。
避難所は、既に確保済みだ」
瞬「しかしぃ………(汗)」
紅葉「行ってって言ってるの。珍しいでしょう?
彼が…自ら……並大抵な妖怪では、
この先、歯が立たなくなる事を
誰よりも理解している。
死人が増える可能性を考慮しての判断なの。
生徒達を危ない場所へ向かわせない為に
本来、消えるまでは行かなくても
負傷者が増える程度だと予想されていたけど、
悪鬼のせいで消える筈じゃなかった友人や仲間が、
消滅される事態にまで悪化してしまった。
・・・(未来)
これ以上の犠牲者を増やす前に彼が動いたの。
自らの仲間を手に掛けてでも……
いえ、彼なりのルールに乗っ取って最前線に立つ。
それに悪鬼は元々、
仲間と連携して敵を圧倒させる習性を持っていて
単体なら…まだしも。
今回は通常では
まず、あり得ない程の威力で私達を圧勝している。
その圧倒的な力の前では勝つのは難しいけど、
悪鬼の習性が訪れる前に殲滅させるまで。
2人で、か?!それなら、俺も……(瞬)
金鬼でさえ耐え切れなかった相手が、
この学園には大勢居るのよ?
また、同じような状況に追い込まれてしまえば
今後こそ助からないかもしれない」
瞬「……っ!
・・・分かった。君達の意向は分かった…けど
その口振りからして
紅葉さんも一緒に行くって事だよね?
……そうね(紅葉)
だったら安心して、託せるよ。
え???(紅葉)
これは僕の中だけで…何となくだけど、
河童様と紅葉さんがタッグを組めば、
何だか100人引きな気がして。
わ、私もっ!!(未来)
ほら未来も同じ事…言ってる。重ねてるけど(笑)
だから河童様をどうか、よろしくお願いします。
[足手纏い]な僕らには、出来ない事ですから」
紅葉「・・・?」
志童「……(笑)」
未来「じゃ、じゃあね!紅葉ちゃん。
あとは、任せたよ。頑張ってね〜〜!!」
未来がそう言い終える頃には、
その場からすぐに離れており
曲がり角で右折する所まで見届ける。
紅葉は、2人の後ろ姿に微笑んでいると
クスクスと横で笑っていた志童の顔をよく見た。
紅葉「何よ??(キョトン顔)」
志童「別に。
信頼されていて、良かったな〜と思って(笑)
2年前の君と比べたら細やかな変化かもしれない。
けれど、それは時間を掛けてこそのもの
君には到底、理解の出来ない事だとしても」
紅葉「何言ってるのよ?(ジト目)
ほら、さっさと終わらせに行きましょう」
そそくさと志童から離れ、
もう少し2階で開けたロビーまで行くと
それを平気な顔で付いていく志童。
言葉を一切口に出さず、
目的地へと到着した2人の目線の先には
3年生の階段通路前で彷徨く怪しい人影。
それは、先代の河童が送り込んだ
野生の河童の姿であり、黒いオーラを纏うのは
先代の憎しみに満ちたものを悪鬼とも言う。
悪鬼は階段に上がろうとするが、
そのおぼつかない足取りのせいで混雑しており
少数で固まっていたのだ。
紅葉「あらら、ここも…もう駄目そうね。
志童、私はここで奴らを倒すから
周囲の警戒をお願い」
志童「分かった。
が、その場で倒さなくても
1階の図書室辺りに本物の怪物が居るから
後の事は、下に任せればいい」
紅葉「うわぁ〜……(引き気味)
よく見れば、忌ま忌ましい鬼がいるじゃない。
あの小娘に任せるのもなんか癪ですし、
あんな奴ら私1人で倒せるわ。
わざわざ手間をかける必要はないか(志童)
それに前から思っていた事だけど、
この学校のセキュリティって案外…ガバガバよね。
あんな生徒を野放しに学園生活を送ってるなんて
ここの学園長は、何を考えているんだか。
は、はっ……はあっ〜〜………はぁ、止まった(鬼頭)
まぁ…あの人もあの人も、か」
志童「今更、君が何を言うのやら」
紅葉「んっ?……ふふ、そうね。
それは、私が言えた口じゃないわ。千風っ!」
そう言ってカルタ札に
優しく添えるような手捌きで前に手を伸ばし
透明な水の膜に触れて水紋が出来た途端、
そこから風の弾幕が勢いよく悪鬼の頭を貫いた。
紅葉 (まだまだ…)
貫き損ねた球を屈折させ、
再び対象者に向かわせるという荒技を使って
しゃがみ込んでいた悪鬼の体を撃ち抜き
そのまま頭を貫通しても尚、
その球は、尽きる事なく攻撃をやめない。
箱の中に包囲された獲物を容赦なく
そして驚異の追尾操作でねじ伏せる。
志童(いやー………
いつにも増して、殺意が高いようで
全く人の心がありゃしない。
そんな危ないもの人に向けるなよ、絶対に(汗)
それにしても…どうも侵入方法が引っ掛かる。
先生方から話を聞いた所、1年フロアは裏庭から
2年フロアでは、侵入はされているものの
特に目立った場所は発見されていない。
そして今、俺達が居る3階に通ずる階段止まり
まぁ3年の心配はするだけ無駄だ。
どうせ今頃、1年の救出を終えて
避難誘導まで導いている所だろう。
自分の身は、二の次だ。
だとしたら2年フロアであまりにも動きが無さ過ぎる。
初めは、あんなにも大胆に結界を破って
生徒達の前で姿を晒し、
挙げ句の果てには気になったものへの執着心から
教室にまで押しかけて来る始末。
まともに隠れようともせず好き勝手に、
暴れ回るから自分の居場所を
相手に教えているようなろくな奴しか居ない。
なのに先程、瞬達が戦った場所では
そんな残党すら見当たらなかった。
基本的には悪鬼の体は、
先代が思い残した通りの借り物の姿に過ぎず
急所部位以外に当てると
ほとんどの場合、その部位だけを落とす事がある。
それが未だに、2年フロアでは
侵入した形跡が無い……という事は、、、)
ガッシャーーン!!!!!!
と2人の耳によく聞こえる大きな物音を立てて
外へと通ずる非常階段の窓からカチ込み、
10m離れた距離先で目からビームのようなものを
紅葉に飛ばしてきたのだ。
鬼3「ア″ァァ″アァ″!!」
紅葉「……っ?!
(まずい、、この距離から防御…は、
すぐに切り替えられないし
今、悪鬼にぶつけているハウンドを
この距離からわざわざ引っ張って来るとなると
間に合わなくなる。
至近距離からの攻撃は私には、部がわるっ……)」
とそこへ暗い空間の中に大粒の雫が水面に落ち、
ポチャン…という音を響かせた気がした。
その水音が奏でるのと同時に、志童が紅葉の頭を
片手で押さえ自分の胸に引き寄せてから
横へと移動する事で免れる。
その場に紅葉を残し即座に向かう志童は、
既に鬼の心臓部に触れてスッと後ろへ回り
思わず鬼は、目をパチパチしていた。
鬼「ウ”グウゥゥ???」
志童 “ 静 “
と囁くように心地の良い志童の声を聞いた時には、
鬼の体が内部崩壊を起こした光景が紅葉の目に映り
たんぽぽの綿毛が吹き飛ぶような優しい風に包まれて
音もなく消え去ったのだ。
生命反応が途絶えた事を確認すると
横になった状態の紅葉に手を差し伸べる。
志童「あまり無理をするな。
君は、君が狩りたいと
見なしたものを狩り続ければいい。。。
それ以外は、こっちの獲物だ」
と情けを掛けた言葉を紅葉に投げかけるとそれは、
別の意味でディスっているようにも捉えられた。
非常階段からもう1体の鬼が乱入して来る手前に
ノーモーションで風の刃を飛ばし、
志童の髪を掠めて後ろの鬼が悲鳴をあげる。
鬼3「ン”ウ”ア”ア”ァァ!!!!!!(断末魔)」
志童「・・・(ジト目)」
紅葉「確かに、さっきは……油断して
あなたのお陰で助かりましたが、
その場限りの事です。
先程は、別の対処で手が離せなかったんですから
[出来なかった]が正しいだけ。
不可能だなんて…一体、誰が決めたの。
私の敵は、目に入るもの全ての反乱分子ですよ?」
志童「・・・ふん(笑)
君にとっては、大きなお世話だったんだね」
そう言って胸辺りで片手をブラブラとさせながら
その手で前髪をかき上げる。
ふと、ロビーにあった窓に目が行き
志童は思わず口に出していた。
志童「ん?アレは〜……
で今度は、何よ???(紅葉)
いや外に新條が居るみたいなんだ。
本当ね、しかも同じ生徒じゃない(紅葉)
あぁ…生徒同士で協力する分には、
何もおかしくない事さ」
紅葉「・・・。
まぁ、あなたの思ってるそれが…もし正しければ、
あの堅物が暴走でも起こしたんじゃないの?
その前後の動きは知らないけれど、
周りの人間を巻き込まない為に
日向さんが率先して誘導した可能性もあり得るわね。
あ〜……そうか、飢餓か。それなら納得だ(志童)
例え、それが本人の意志だとしても
戦闘中の人に水を差すのは悪いけど、
あの戦い………日向さんに勝ち目なんて無いわよ」
志童「そうだな(即答)
もし、仮に勝ち目があったとしても
それは新條1人ではどうにもならない話だ。
そもそも相手に近付く行為事態、
それがどんなに危険な事か分かっていない。
危機的状況に陥れば陥る程、
人は危険な要素が目に入りにくくなるもの。。。
慣れている奴がやるには何も思わないが、
イレギュラーな奴が引き継ぐとなると。
ハッキリ言って無理ね。信用できないわ(紅葉)
あった所で倒すのは、不可能に限りないからな」
紅葉「何だか可哀想な話ね。
目の前の相手に勝つ……つもりで
今、必死に食らい付いてるっていうのに。
でも始めたのは、彼自身なんだから
ここで終わっても文句は言えないわよね?」
志童「今更、変えられない事だって
世の中…探せばいくらでも見つかるだろう。
そういう運命にある。
これは、あくまで今の話であって
これから先向き合わなくてはならない問題だ。
壁に当たる、その時まで待てばいい」
紅葉「そうね。
(難しい事は言わないわ。
日向さんにとって
その人がどのくらい大切か、私達には分からない。
けれど、かけがえのない相手だからこそ
自分の身を引く事だって立派な決断よ。
もう…時間が無いんだから)
志童、そろそろ次の場所へ向かいましょう。
一刻も早く私達は、怪我人の救出と
その場から動けない生徒の誘導も立派な任務だわ」
志童「あぁ、そうだったな。
行こう、あまり時間をかけてはいけない」
と2人はもう一度、
窓辺を見る事なく廊下を駆け抜けて行く。
その窓から日向と千秋の姿がハッキリと見えた。
一方、校庭では・・・
化け物が拳を振り上げる度に
凄まじい数の砂嵐が吹き乱れる校庭では、
段々と千秋の体に馴染んで来た化け物が
日向に向かって空気を圧縮させた弾丸のような刃を
勢いよく飛ばした。
その攻撃を避けるべく地上と空中の行き来を繰り返し
妖術を展開させてお互い一歩も引かず、
校庭のど真ん中で激突する。
日向「陽炎っ!」
わざと分散させた影炎の幻影を囮にし、
白煙を目眩しとして使って
本物の陽炎を撃ち込んで徐々に距離を縮めていった。
相手の間合いへと入り込む事に成功し
日向が次の手を打とうと踏み締めた次の瞬間、
それに対応するかのように
急に、化け物が横暴に拳を振り下ろし始める。
それを見た日向が目を丸くし、緊張の汗が映り
相手に近付く余り自分の位置を見誤ってしまい、
咄嗟に体を捻った行動が功を奏したのか
間一髪で左肩辺りを掠めて大きなダメージは免れたが
風圧で遥か先の方まで飛ばされてしまい、
意図も容易く着地するとその場でしゃがみ込んだ。
日向「え、うわぁっ!?
んー……はぁ…はぁっ………はぁ……はぁっ…(汗)
(この学校を襲撃されてから
かれこれ、どのくらいの時間が経っただろうか?
校庭にあの化け物を引き寄せてから
休む暇もなく途方のない戦いに
ほんの僅かな隙が相手に生まれれば、
ほぼ確実にダメージを与える為にも
陽炎や偽の影炎を使い分けて撃ち続けてる…けど、
流石の僕でも……いくら妖力が増えたとはいえ
陽炎は、こう何度も撃てる訳じゃない。
妖力を使う度に、体力の消耗も激しい。。。
化け物の間合いに入る度に接近しては、
距離を置きつつ攻撃を繰り返しているのに
アイツは、その場から一歩も動いていない。
つまり体力は未だ温存されたまま
底知れないパワーが後ろに潜んでいる。
それに一度でも当たれば、
まともに立ち上がる事すら難しい(汗)
勝てない…相手なのは、分かってる!
でも、それでも……僕は千秋に…千秋にぃ……
まだ何も返せてないんだ!!
千秋が側に居るのが当たり前だったから…
守ってくれると自然と頼り切っていたから
……僕は、ずっと弱い自分のままで居られた。
今よりもっと妖力や体力だって乏しかった頃、
この世界で生きていく中で
自分という存在を変えたくても変えらない現実が、
嫌いだった。。。
当初の僕は、強くなる意志が特に欠けていたし
内心…諦めていた節もあった。
他の誰かと競える程の実力も無かったから
人と関わる事もむしろ、どうでもいいくらいには
ずっと1人孤独な日々を送っていた。
それが千秋と出会ってからといい、
千秋が何かと絡んで来てくれただけで
何でもない日々が初めて楽しく思えた気がした。
けど再び、そんな孤独な生活へ戻っただけ。
いつも通り同じように過ごせば、
良かった筈…だったのに何でだろう?
僕は、何で……こんなにも胸が苦しいの??(涙)
今まで見てきた筈の景色を
目に映る全てを再認識したから?
関わろうとしなかった人と関わったから?
分からない。。。その答えが何なのか
今の僕でさえ分からないけれど、ただ確かなのは
僕には、千秋が[必要]なんだと思う!
だから今、ここに立ててるんだ。
あの化け物に勝つんじゃなくて
本来の千秋に戻す事こそが僕のすべき事。
勝たなくていい、気絶くらいが丁度いい!!
……残る妖力は少ないが、
そろそろ陽炎を使うのも控えたい所。
あまり化け物との戦いで妖力を費やすとなると
後々、深刻な問題になり得る可能性を考慮して
少しは、残しておく必要がある。
と言っても…使わずには、
いられない状況なのは確かだけどさ(汗)
スゥ〜はぁ……火炎球っ!!」
と先程までしゃがんでいた姿勢から足を伸ばし
再び、立ち上がった日向が手を前に出すと
背後には大量の黒紫色の火の玉が現れた事により
とてつもない突風が髪を揺らす。
最初よりも遥かに球の大きさが異なり、
陽炎と同じサイズで質量も段違いだ。
そんな圧倒的な数を相手に見せ付けた所で
いざ放とうと足を踏み出した途端、
化け物は既に、ニヤりと笑った顔を浮かべて
目先まで迫って来ていたのです!
その迫力さに一切、動じる事なく
相手に確実なダメージを負わせる為に
術をまだ発動させず慎重に、一定の距離を取りつつ
後ろに引くと宙を舞いながら迎撃を開始する。
火炎球がいつにもなく燃え盛っており、
弾速も心做しか上がっているようで
避けるのも難しいくらいに、
短時間の間で急激に変化し続ける。
その為かさっきの悪魔のような微笑みが消え、
日向より攻撃を躱す事に
次第に、目的が変わっていったのだ。
相手を上手く誘導しその場から動かす為に
術に掛ける妖力の分量を極限まで濃くし、
表面を薄める事で身軽さが変わり扱いやすくなる。
日向(やっと動かせた…でも、まだまだこれから!!)
と地面に着地するのと同時に、
また更に大きめのサイズの火炎球を
7個備えて追尾発射すると
弾幕の後を追いかける形で日向も走り出す。
一群目の影炎が当たれば爆風が起こり、
煙に紛れては2郡目の攻撃で
体に衝撃が走る程の力が加わって
一つ、また一つ化け物が当たる度に
煙と弾幕で視界を過ぎる。
化け物の体力をジリジリと減らし、
一気に畳み掛けるように日向自ら相手の陣地へ赴き
煙の中へとスライディングで踏み込んでくと
化け物の背中に至近距離から撃ち込んだ。
日向「陽炎っ!」
そう言って赤紫色の光りを溢れ出し、
先に1つ上がっていた煙が2つに分かれ
爆発的な威力が校庭に響き渡ったのです。
その衝撃に対し日向は耐え切れず、
地面から体が離れてしまいコンクリートで出来た
倉庫に背中を打ち付ける。
日向「……ぅぐっ(汗)
い”、タッ…はぁ……はぁ…はぁ………はぁ。
(こんなんじゃ、まだ…足りない!!
千秋の懐に入れたのは精々2回、
これじゃ全然、追い込むどころか押し切られる。
どうしたら、隙を作れる?
どうしたら確実に当てる事が出来るのか??
その為には、もっと考えて工夫して
もっと早く動いて行動しないと…やられる。
何が何でも立ち上がらないと)
うっ……んん”!
…っだぁ、はぁ……はぁ…まだ負ける訳には(汗)」
と日向が居る倉庫周辺には、
まだ暗い煙の中で視界が奪われたまま
倉庫の壁に背中を預けて立ち上がった。
いつもなら軽い自分の体重も重くのし掛かり、
足の震えが一段と加速する。
体はとっくに、悲鳴を上げていたものの
まだやらなければいけない使命感からか
次第に震えが収まっていく。
煙の色も徐々に薄まり、
雲一つない大空が広がっていたのに対し
視界は何故か暗かったのだ。
日向「んっ?……ハッ!?(汗)」
その瞬間、日向が目にしたのは
脱皮したかのような傷一つない体の化け物が、
もう一回りデカく立ちはだかっていたのだから。
予想を遥かに上回る強靭さに、
絞り出すような掠れた声で狼狽えてしまう。
日向「ど…どうし……てぇ???」
そんな日向の絶望的な顔で化け物は笑い、
大きな手を伸ばして肩を掴み持ち上げる。
足が地面から離れ、
自分の前に手繰り寄せると満面な笑みで
日向の肩を掴んだ方の手で指を突き立てた。
ググッと押されてすぐ肩が貫き、
黒い煙を肩から出てくのと同時に悲痛な声を上げる。
日向「や、やめ…ぁあ″っ?!
あ”あぁ、ぁぁあ”あ”あぁぁぁ!!!!!!(涙)」
自分が置かれている状況に
痛みでやっと我に返った日向が、
必死に足をバタ付かせて暴れ踠くも
既に右手と胴部が化け物のもう片方の手で
押さえ付けられていて左手しか動かなかった。
それでも今は左肩がやられてる為、
変な汗がバーッと流れて動かす度に激痛が走り
いつ意識を失っててもおかしくないくらいだ。
日向は、どうにかこうにか抵抗できないか
肩を突き刺す手の方に何とか爪を立て
引っ掻き傷を付けるも
相手はピクりともしないまま事態が更に加速する。
グサッ!!という音が生々しく耳に残り
叫ぶ間もなく指に力を入れられ、
奥まで抉るのをやめない。
日向「あ”あ”ぁぁぁ!?!!!!
がはっ……はぁ…はぁ………はぁ…あ”っ!」
そう絶叫し続ける間も
更に、深部まで潜られ日向の叫び声を聞くのが
もはや楽しんでいるような悪魔がいた。
血の気が引いていき、手に力の入らない脱力感、
頭の中がふわふわしていてまともに考えれない。
叫ぶのに疲れる余り
段々、反応が薄くなっていく日向を
よく思わないのか化け物が
再び肩の周りを弄り始めた所で
とうとう嫌気が差した日向が突然、反撃に出る。
それは、自分に痛みが後に襲い掛かる事を
承知の上で化け物の手に強めに噛み付いたのです。
そんな驚くべき行動を取った日向に目をかっぴらき
怒りの眼差へと瞬時に変わると
噛み付かれた手から払い除けられた日向を放り出し、
その手で殴り落とさしたのです。
サッカーゴールのネットが焼け切れそうな勢いで
日向の姿勢がガクッと後ろに預けられる。
肩の傷口は悪化したまま煙を吹いており、
意識が徐々に遠退いてく。
日向(今度こそ、終わった……か…な?
結局、僕には何も出来ないんだ。
……当たり前だ。。。
1人じゃ、何にも…出来ないんだから(涙)
ザクッ……ザクッ…と砂を踏み締めながら
ゆっくりと日向に近付いて来る。
2年C組の教室・・・
後衛で皆んなのサポートをしながら
密かに校庭で戦い合う2人の姿を見守る人がいた。
奏太(日向っ!?
アイツ、あんなにも日向の事……傷付けてる癖に
まだ正気に戻んねぇのかよ!
飢餓って奴の人格の時は、
佐賀は居ないのは分かってる…けど。けどっ(汗)
くっそ!!
出来る事なら俺だって加勢したいさ!
けど、俺なんかが1人加わった所で
日向より低いクラスが出れば負け確だってんのにぃ。
それが…悔しいんだ!!
BとCは言葉では隣同士で
あまり大した差が無いように見えるが実際は、
能力値や体力値共に大きく違ったりする。
何の力にもなり得ない。
それが僕らの現実であり、日常なんだ。。。)
と苛立ちが止まらない奏太は、
髪を掻きむしったり歯を噛んだりと
落ち着くよう自分に言い聞かせる。
Cクラスである以上、
本当に何も出来ない事からどれだけ頑張った所で
絶対に覆らない足枷には、
とっくに諦めが付いているそんな顔をしていた。
そんな時、同じクラスのとある人が
校庭にいた2人の戦闘を見て
敗れた日向の姿にほくそ笑んでいた。
男子「な〜んだ。
急に飛び出して来て何事かと思ったけど、
アレもとんだ拍子抜けだったな。
弱いんなら、最初から出んなよ(笑)」
奏太(………はぁ?)
男子「たった1人で立ち向かうから
返って苦しい思いをするだけだってのに
誰だか知らないけど、何がしたかったんだよ♪
まだ校舎側なら俺や他の奴らが援護してくれる
手立てもあったのにあ〜んな所まで離れられたら
誰も助けてくれないじゃん。
やっぱり日頃から他の奴らと信頼関係を築くのって
こういう為にあんだろうな。
相手に夢中に何のも仕方ねぇけどさ〜
もっとこっちの事も考えて動いて欲しいね」
奏太(何が言いたい……)
男子「大体、負け前提の試合なんかに出て
誰が嬉しいんだって話。
そういう勝ち負けの有無も判断できないとか…」
奏太(や……めろ。
それ以上、それ以上…必死になって…………
戦い続けた日向を……馬鹿にするな!!)
男子「つくづく馬鹿な奴だよな(笑)」
ガッタン!!・・・
奏太「…………すんな。
あぁ?どうした、水雲??(男子)
それ以上、馬鹿にすんなって言ってんだよ!
わざわざ人が……率先して
戦いもしたくない奴と戦ってる人を馬鹿にすんなら
まず、お前がアイツの相手してみろよ?(怒)
え、なに??(笑)
まだここが安全圏だから高みの見物してる奴が、
俺の方が優秀ですってほざくんだ。。。
1回でもアイツの前に立ってから言ってみろよ!!
どんなにカッコ悪くても
どんなに自分の弱さが皆んなに明かるみになってでも
救いたい奴が目の前に居るから戦ってんだ!
その必死さが、お前には分からないよなっ?!
大体、そんな背景も知らない外野が
一目見ただけで知ったような口聞いてさ、
意味のない争いが始まるって分かんねぇのか!!
そうやって意図しない…心無い発言する方が、
よっぽど恥ずかしいと思わねぇのか???
はあぁ?な、何だよ。何が言いたいんだ(男子)
だからぁ……俺が言いたいのは
[お前みたいな奴が、
全てを語れると思うなって言ってんだ!]
当事者でもねぇ、関係のない奴が、
野次を入れる資格なんて
…時間の無駄だっつてんだよ!!!!!!(怒)」
とんでも私情交じりの奏太が鉄槌を下すと
男子生徒の口出しを恐れていたのか
クラスの人達が率先して発言しまくる。
女子「そ、そうだよ!
私達の事を巻き込まないように
あの人が進んで先導してくれたから
教室が安全なだけでそれが無かったら
もう崩壊してたと思う(焦)」
女子2「そうよ、あんまりだわ!!」
男子2「離れたからとはいえ、
誰も助けられない訳じゃないだろう。
僕らは、妖力的にもあの距離じゃ届かないし
Bクラス以上の人達だったら
援護くらい簡単に出来るんじゃないかな」
男子3「そうそう。
俺らに出来ない事は、
ほぼ他力本願でな〜んも出来ないけどさ〜
俺らや千隼も同じクラスなんだから
あんま自分を過信し過ぎると
それこそ、本末転倒だと思うな」
女子3「で〜そろそろ………
さっき論破した人も、もう落ち着きなよ。
今はただでさえ野良の侵攻が激化してんだし、
いつもの喧嘩は明日にでもすれば良いじゃない?
ほら2人共、仲良くしよう。
逆効果だと思うけど……(遠い目)」
千隼「・・・」
奏太「・・・」
全員が奏太の味方となり敵になったせいか
千隼は、無言で奏太を睨み付ける。
奏太は事実をぶつけたに過ぎないので
[自業自得だろ]と言い捨てて目を逸らす。
女子3「やれやれ……(汗)
これは、当分…口を聞かないやつだね」
と委員長らしき人が小言を言いながら
苦笑いを浮かべている。
その言葉を聞いてから奏太が腕組みをし始めた所で
窓から銀色の塊が眩い光を放っていた。
奏太「な、何だ何だっ?!あの光はっ!」
驚きと困惑が交差する中でBクラスの教室から
慌てた様子の瞳の声が聞こえてくる。
瞳「ちょっとちょっと、何しているの!!
そんなもの今更、向けても意味が無いわよ!?」
雫「いいえ、意味なんてあります!
私がちゃんと…もっとしっかりしていれば、
こんな事にはならなかったかもしれないのにぃ。
私が今、危険な事に
首を突っ込んでいるのは分かっています!
でも…それじゃあ一体、誰が……誰がっ………
あの状況で先輩を助けてくれるんですか!!」
瞳「・・・(汗)」
雫「誰も…何もしないのなら………私がやります。
無茶よ、あなたDクラスでしょっ?!(瞳)
無茶なんかじゃありません!
私…はぁっ、私は……
今までこの術の可能性を磨き上げる事だけを
目標にひたすら頑張って来ました!
今は、その全力を捧げる時が早まっただけ
だから………後の事は、
四ノ原先輩にお任せします♪(涙目)」
瞳「???」
と目の前の術発動に集中する為に
顔を振って涙を拭い、
覚悟を決めて全ての妖力を手に集約させると
強い口調でこう叫んだのです。
雫「……火炎球っ!!!!!!」
瞳・奏太「えっ??はぁ?!」
と2人の反応を差し置いて雫の前には、
いつもの銀色の火の玉とその火の周りに
白や水色、金色の羽衣のような帯が巻かれている。
それが現れてからといい、その場に突風が起こり
教室の窓ガラスをバンバンバンと揺らして
いつにもなく壮大な火炎球が放たれようとしていた。
一方、校庭の2人・・・
雫の叫ぶような声を聞き付た日向が、
閉じていた瞼をゆっくりと開けた。
日向(ん、んんっ…雪乃……さん??)
目を開けるとそこはサッカーゴールの中だが、
背にしていた筈のネットは、
地面にいつの間にか横たわっていたのだ。
そして相変わらずのように
目の前には、等身のデカい化け物の姿があった。
日向(そうだった。。。
僕は、もう負けたから…ここで終わるんだ。
大丈夫なんて言葉、、、
雪乃さんに2回も使って結局、守れてない。
これも嘘を吐いた罰なのかな)
……さぁ、もう興味の薄れた僕を
相手にするのに飽きたんじゃない。。。
だったら、僕を殺せば?」
そう言って日向は、そっと千秋の方に右手を置いて
優しい笑みを浮かべていると
化け物が両手をぎゅっと後ろに堪えて
日向の瞳にトドメ刺そうとする姿が映った。
パンッ!・・・・・・・・・・・
「・・・」
「・・・・・・」
日向「・・・。んっ…え?」
千秋「っ、う”う“ぅぅぅ!!!!!!(汗)」
日向「千秋???」
そこには両腕を伸ばしたまま
日向の瞳の中で震えるように揺れる千秋の姿…と
少し遅れて雫の放った銀色の火炎球が、
千秋の腕を一撃で吹き飛ばす瞬間を目撃する。
化け物「……っ?!」
日向「こ、これって…まさか……雪乃さん?」
それは、銀行強盗で時の事。
話し合いで解決する気が無かった2人が、
お互いの事情を知らずに激闘を繰り広げて
千秋の一方的…有利な勝利により
敵である日向を気絶させる為に放った拳が、
雫の駆け付けによって免れ、
片腕が吹っ飛んでいた事を思い出す。
今回は物の見事に両腕諸共、吹っ飛んでいる。
すると横たわっていた日向が体を起こして
B組の教室を見た時に雫と目が合い、
[よかった……ぁ]と涙を流しながら
口パクでそう言われた気がした。
その瞬間、フラッと後ろの方へと倒れてしまい
[あっ!]と思わず声を出した日向に、
今は心配を掛けまいと瞳が無事だと顔を出す。
日向(はぁ………良かった(汗)
また、雪乃さんを疲れさせちゃった。。。
僕自身が疲れるくらいなら
それは、もはやどうでもいい。
雪乃さんまで巻き込んだ、僕の責任だ(怒)
そう日向が思い固まった瞬間、
前からとんでもない妖気が滲み出てており
雫が放った火炎球で両腕ごと持って行かれたのだが、
それもみるみる内に毒々しく再生していく。
さっきまで千秋の優しい面影が、
見え隠れしていたのが嘘のように
今じゃ完全な飢餓としての人格に成り変わり、
目を赤く光らせていたのだ。
日向「……っ!千秋?!」
化け物「フハハッ。
フハッハハハハ!!!!!!(笑)
オ″マエノシルヤツハ、
モウ”…カンゼンニ タッテヤッタゾ!!」
日向「・・・ふざけるな。
千秋は……千秋は…………
お前が思っている程、弱くないっ!(怒)」
化け物「ア”ァ?
ソレ ガ、ドウシタ???
モウ、ケシタヤツノコト…ヲ、シンパイスル
ヨユウガ……アルンダ。
コレハ、マダマダ…タノシメ ソウダ!!(笑)」
ニヒッと不気味に笑った次の瞬間、
サッカーゴールのネット越しに既に回られており
目で追いかけるだけで精一杯で
背中をど突かれるように殴打された。
日向「……ぐはっ!?(汗)」
今回は、受け身を取る暇も無かったが
地面に接触する寸前に腕で衝撃を和らげて
すぐ次は背中を強く打ち付け、
もう2回転くらいしてやっと止まったのだ。
1回の攻撃だけで日向は、
既に両腕を負傷し切り傷も何本かあり
袖は破け、額にビッと横線が入っていた。
日向「はぁ…はぁ……はぁっ…ゲホッゲホッ(滝汗)」
地面に手を付き息を荒くさせながら
体を揺らす度に肩から煙がモクモクと出ていく。
そろそろ妖力切れが起こっても
おかしくない状況にまで見舞われていた。
妖力が無くなってしまえば、
[発狂]または、[消滅]が待っている。
それを回避する為にも治したい所だが、
日向の体は、ありとあらゆる場所に激痛が走り
まともに動けなくなっている所を狙われた。
気配もなく果敢に迫って来る化け物に反応が遅れた
日向の目が暗くなった、その時だった。
???「怪撃!!!!!!」
そこへ聞き馴染みのある声が聞こえてきて
ズシッとした重い音が化け物の背中を突き、
貫通させる勢いで校庭の反対側へと追いやった。
化け物の黒い影が視界から消え失せて空が開き、
そこに日の光を浴びた暗く赤い瞳を潤ませ光が灯る。
日向「……っ!」
そんな日向の窮地から救うべく現れたのは、
紛れもない[誠也]の姿だったのだ。
その目で目撃した日向が、
今までにないくらい驚くのと同時に
こんな最悪な状況を変えてくれるかもしれない
という僅かな希望の光が頼もしく、
そして、鮮明に映し出される。
誠也「日向、大丈夫かっ?!悪い遅くなった!!
やっと目が覚めたら
なんか学校が凄い事になってるしで
まだすげぇ混乱してんだけど、これってぇ〜(焦)」
日向「えっ、それじゃあ……
誠也は今の今までずっと寝てたってこ、と??
アレから?!
あり得ない、馬鹿じゃないの!(怒)」
誠也「うえっ!?
そ、そんなマジでキレなくても良いだろう(汗)」
日向「よくない、全然…よくないんだよっ!!
僕がどれだけ頑張っても
状況も何もかも全然、変わらない。
これに怒らない方がどうかしてるよ。。。
千秋が、大変な事になってる…のにぃ(涙目)」
1人ではどうにも出来ない無力さから
日向は感情が爆発してしまい、
怒りや悲しみ…そして悔しさからの涙が流れた。
そんな顔を目の当たりにした誠也は、
照れくさそうに頭を掻きながら
真っ直ぐな目で日向に手を差し伸べる。
誠也「・・・。
あ〜もう俺が悪かったよ……悪かったから
まずコイツを何とか片付けようぜ、話はその後だ!」
日向「……っ。
・・・うん、それなら別に…良いけど(照)」
と誠也の手を見て少し取るのに拒んだが、
1人では何も出来ない事を即座に認め
手を取ろうと決めた途端、
化け物が既に誠也の背後をとっており
殴り掛かる所だったのだ。
日向「後ろっ!!(焦)」
と言う日向の呼び掛けに対し、
化け物が拳を振るう速度を早めて
誠也を横へ飛ばし、コンクリート塀にめり込ませる。
日向「誠也っ!」
化け物「ニヒッ(笑)
ヘェ〜ココマデ キテ…タヨルンダ。
ヨ・ワ・イネ?
ダレカニ、タヨラナイト ダメ…ナンテ
センジョウジャ、イキノコレ ナイヨ??」
日向「……っ(汗)」
化け物「ジャア」
さよならの言葉を最後に言い捨てると
飛ばされた筈の誠也が勢いよく突っ込んで来て
化け物の顔に強烈な一撃をお見舞いさせた。
誠也「黙れえぇぇぇぇぇ!!(怒)」
化け物「ン”ン”ナゼ イキテ…イル???」
誠也「アレくらいで倒したと思い上がるなよっ!」
と言わんばかりに顔を殴り付けて
すぐ体を宙返りさせた体勢から足を黒くし、
顔を下にしたまま鳩尾辺りに向かって
思いっきり蹴り飛ばす。
化け物「……グハッ!!」
地面に足が着地すると
誠也は、まだ攻撃の手を緩める事なく
化け物の足を払い退けてから
体がほんの一瞬だけ宙に浮いた所で
渾身の一撃として至近距離から解放させる。
誠也「怪撃っ!!!!!!」
レーザービームのような光の速さで
2人とは真反対に化け物が飛んで行き、
懲りずに校庭へ侵入して来る野良の集団を
一網打尽にゴールインするという
良い意味での事故が奇跡的に噛み合った瞬間だった。
日向「す、凄…いぃ(驚)
あんな一瞬で
こんなにも早くダメージが入るなんて
これは、逆に……引くかも(ガチトーン)」
誠也「何でだよっ?!(即答)
ていうか今気付いたけど、日向…お前っ!
次は何っ?(冷静な日向)
妖力漏れ起こしてるなら先、言えよ。
さっきもしもの事があった時用に
保健室から事前に、
クスね取ってきた霊魂使うか?!
それ、本当に使っちゃって大丈夫なの??(日向)
非常事態なんだから
使ったら文句は誰にも言われねぇだろ?
それに鬼塚の事だ、日向なら平気だろうしな☆」
日向「な〜んか、嫌予感しかしないけど分かったよ。
使うから……もう少し下ろして、痛いから(汗)」
誠也「あ、あぁ…悪い」
と日向に霊魂が渡った瞬間、
空気の弾丸が風を纏いながら地面を抉り
こちらに飛んで来る。
それに気付いた誠也が日向をひょいっと抱き上げて
サッカーゴールのポール上に飛び乗って
避け切れたのだ。
ズドーーン!!と空気の弾丸が壁に被弾したのか
倉庫を支える柱が今にも崩れかけそうだった。
誠也「あちゃ〜……
まぁ、アレは後で学校側が何とかするとして
問題は、あんだけ食らっといて
まだピンピンしてるアイツの方だな。
しぶとい奴だぜ(汗)
ポヒン・・・
んっ?
何とか肩だけは塞がったみたいだな☆
良かったな、日向」
そう言うと日向は、コクリと頷いて
心臓部が未だ発酵している。
これは、自分の魂に霊魂が宿った証であり
体内にあった妖力が回復され
ようやく肩の傷を塞ぐ事に成功したのだ。
日向「ありがとう…誠也♪
これで、やっと僕もサポートが出来るよ」
誠也「えっ!?
いや、サポートなんて要らねぇよ!
後は俺が代わりにやってやるから
もう日向は休め(汗)
いくら妖力が回復したとはいえ、
腕の傷までは治せないんだぞ!
それに身体だって、精神的にも………
正直、しんどいだろう」
誠也がそう言うのにも理由があり、
霊魂は妖力を回復させる効果があるだけで
痛々しい傷までは修復されない。
痛みは多少、和らぐらしいが。。。
日向「……やだ。
そうやって心配してくれるのは僕も嬉しいけど、
いくら誠也のお願いでもそれは聞けない。
僕は、もうこれ以上…目の前の事から逃げたくない。
やっと、ここまで来れたんだから
飢餓の最後まで立ち会うよ」
誠也「・・・。
……はぁ、んじゃ…一緒にやってみるか?」
日向「良いの???
やけに受け入れるの早いじゃん、珍しいね」
誠也「だってこんな所で
駄々を捏ねられても困るからな。
それに出来る事なら
こんな所で体力を削られる訳にはいかないさ。
戦う相手なんてまだ学校には沢山いるんだし、
野放しにはしておけないだろ?
例え、裏で特殊部隊が動いててもな」
日向「そこまでは、捏ねないよ(ジト目)」
誠也「本当か〜???」
と2人の会話を遮る形で
化け物が空気の弾丸を飛ばして来るも
誠也は簡単に弾いてしまい、
地面には大きめの穴が空く程の威力があった。
誠也「案外、軽いな。
さっきの避けなくても平気だったか?
無駄な体力、使わされたわ〜(ガックシ)」
日向「えぇ……(汗)
(それ、僕でも防ぎ切れなかったものを
そんなあっさり。。。
はぁ…これが、クラス差の違いか。
でも今なら誠也に[あの事]を話してみても
良いかもしれない。
僕1人では成し遂げられなかった、可能な方法で)」
完全に霊魂が体に馴染んだ所で
誠也が日向を降ろすと
自分の足でサッカーゴールのポール上に立つ。
2人が見上げる先には、
先程、誠也に殴られた左の頬だけが酷く腫れており
それ以外ではほぼ無傷だ。
誠也「はあ”ああぁぁぁ?!
どうなってんだよ、アイツの体っ!!
よく見れば、目立った外傷が……
顔だけしか残ってねぇじゃんか(汗)」
日向「そりゃそうだよ。
千秋には全くと言っていい程、
攻撃が通らないんだから。
はぁ!?それ、どういう事だっ!(誠也)
見ての通りそのままの意味だよ。
アレは、言っちゃえば
[体の強度]を自在に変えられてるせいで
与えるダメージが弱まって
千秋に攻撃を入れるのは至難の技とされているんだ。
逆に唯一、僕らが有利に立ち回れるのは
最初くらいで後は不利になる一方だよ。
何で、それを今更言うんだ…日向???(誠也)
そこを突破しない事には、変わりないからね。
能力には、能力でぶつけて貰わなくちゃ♪
んっ??(誠也)
千秋の能力は、[身体強化]
攻撃力を上げたり速度上昇とか体の硬化で
筋肉が増強される事で相手の猛攻にも
簡単に耐え切れるそれ程の効果があるんだ。
それが千秋の武器」
誠也「ま、マジかよ(汗)
俺……そんなのと相手にしてたのか。。。
んじゃ、いつも通り俺が囮になって
アイツの動きを封じつつ、日向が後方から迎撃。
妖力を極限まで削ぎ落として
弱った所を俺が叩くしか方法が無いな。
あ〜倒すのは、無理だよ(即答する日向)
だよな〜〜〜
やっぱり違う方法で考えた方が………あっ??
はあぁぁぁ?!!!!!
それまた、何でだよっ!」
日向「千秋って見掛けによらず、
生まれ付き妖力の適性が高いから
減らすって発想は、まず無理だと思うよ?
それに、妖力は人の型を埋め尽くした分だけ
体も更に頑丈になるから
誠也には、千秋を確実に倒す事は不可能。
精々、気絶程度ぐらいでやっとかな」
誠也「な〜ん〜でぇ……
んっ?(日向)
そういう大事な事を事前に言わねぇんだよ!?
そんなの絶対、
アイツに持たせちゃいけないやつだろ!!!!!!」
日向「そんな事、僕が知るわけっ(即答)」
化け物「ア”アアァア”ア”!!
ワザワザ…マッテヤッテル ノニ、
ゼンゼン、カカ”ッテ コナイ。。。
ソッチガ ソノキ…ナラ、
%○☆〆カ” フタリ……マトメテ
ヒネリ、ツブシテヤルッ!(怒)
誠也「あぁ〜あ(汗)
アイツ、俺らがまだ話し合ってるっていうのに
あまりにも放置され過ぎてキレてやがる。
案外、千秋と似る部分はあるんだね〜(日向)
うわっ、確かに☆マジで似てんじゃん!!」
化け物(カ”チン!)
日向「あ、そろそろ来るよ。
とりあえず誠也は、いつも通りの作戦で
重点的に腹元を狙って!!」
日向がそう指示を仰ぎ、
サッカーゴールから同じタイミングで離れると
逆に、2人を掴み掛かろうとした
化け物が突っ込んで来てポールを下に凹ませ
M字型に捻じ曲げたのだ。
校庭の右半分にだけ引かれたトラックの白線を
踏み分けながら2人が走り出す。
誠也「いや、でも〜
日向だってさっき効かないって言ってたじゃんか?!
それって対策のしようがっ!」
日向「……うん。
確かに、僕は効かないとは言ったけど
全然、効いてない訳じゃない。
これは本人曰く、
我慢してるっていうか堪えてるっていう方が
正しくて実際は、かなり痛いらしい。
で、その間だけ防御力が急激に上がるみたいで
それ以外は、平均になるんだって。
ん?つまり……(誠也)
餓鬼には確実に、
ダメージを入れないといつまで経っても
こっちの体力や妖力が削られていくだけだよ。
それには、誠也が千秋に近付く必要がある!
僕は、他人の懐に入れる隙が一瞬に一度もしくは
その1回も難しいくらいには向いていない。
さっきの誠也を見てたら、嫌でも分かるよ(悲)
だから………」
と日向がそう言い掛けた所で
視界が暗くなり、振り返るとそこには、
怒り狂った餓鬼が振りかぶろうとしていた。
日向の肩に当たる直前、
間一髪の所で誠也が割って入り
日向の足を止める事なく
そのまま逃し、向こう側へと走らせる。
誠也「ふぅ、危ねぇ危ねぇ!!間に合ったぜ(笑)
日向ばっかり構う暇があんなら
まず、俺を相手として見なしやがれ…佐賀っ!」
餓鬼「ジャ、マ ダッ!!(怒)」
さっきまでの余裕はどこへ行ったのやら
悪魔のような笑みを浮かべず、
自分の怒りを引き出させた
日向を酷く嫌い、酷く恨み続ける。
そんな、どうしようもない感情を爆発させながら
視界に映る全ての障害を破壊の限り尽くす。
互いの拳がぶつかり合うと圧倒的な力を行使し、
それが足にまで振動が伝わる程だ。
互いに譲る気もなく
拮抗する度に2人の足場が地割れを起こし、
竜巻のような風圧が巻き起こった。
このままでは、埒が明かないと踏んだのか
先に動いたのは誠也だったが
ほんの僅かな力の緩みを利用され腕を押し切られ、
餓鬼の足が誠也の横腹に直撃する。
誠也「あがっ!?
クッソ、さっきのお返しのつもりか??
……はぁ…はぁ……はぁ…意外と痛ぇじゃんか(汗)」
日向「(こんなにも早く誠也に、
ダメージが入るなんて想定してなかったけど〜
ここまで来れば、やっと誠也の援護に回れる)
妖術:影撃ち、陽炎っ!」
2人からかなり離れた位置から
日向も誠也と同様に妖力を右手に巡らせて
肌色を黒く染め上げて
自分の影に向かって陽炎を銃弾のように撃ち込んだ。
時を同じくして餓鬼から
かなりのダメージを食らった誠也が、
ふら付く姿を見て好奇だと思ったのか
一気に畳み掛けるように誠也に接近し、
人1人分の距離まで一気に近付いて
すぐに殴り掛かったのです。
すると、罠に引っ掛かる獲物を
間近で目撃した事にニヤ付きが止まらない
そんな誠也のふざけた顔から
相手の拳が来た途端に姿勢を低くし、
真面目な顔付きで餓鬼の懐へと入り込む。
次の瞬間、餓鬼の顎に
誠也の膝蹴りが綺麗に直撃し、
餓鬼の体勢が崩れた隙を縫うようすり抜けて
今度は、上から顔面目掛けて足を振り落としたのだ。
餓鬼「……ゥ”グッウ”ゥゥゥ!!」
誠也「怪撃っ!!」
後ろに崩れ去る餓鬼の体を足場にし、
再び、鳩尾に一撃を食らわせる。
餓鬼「ガアッ………(白目)」
誠也「んはぁ……はぁ…はぁ……んはぁ…はぁ………」
手を膝に付きながら
誠也は、ぜぇぜぇ…と荒げる息を整える。
目の前には、大きな体で大の字になって
ぶっ倒れている餓鬼の姿が。。。
地面に白目になって
寝転ぶように倒れる姿を見ながら
餓鬼の体は微動だにせず、沈黙の時間が流れた。
口を開けた状態で
折れた異形な牙が一瞬で生え替わり、
白目から真っ赤に染まった目を開眼させる。
餓鬼「・・・。
う”ぅ……ン、ン”ンッ…ア”ア”ァ!!!!!!」
誠也「ぎっ!まだ立ち上がるのかよ!?(汗)」
餓鬼が狼とは違う遠吠えを響かせて突風に煽られ、
まともに身動きが取れない所を狙って鷲掴み
ボウガン投げの要領で天へと打ち上げられたのです。
それは、地上にいた時の風の方が強く
上空に放り出された誠也の体は、
2秒ごとに無意識に体勢が変わっていく。
誠也「……んぐっ!
・・・。ん、んっ???あれ?
俺の体感的には結構、飛ばされた気するけど
もう減速して落下してるっ?!
こんなんじゃ玉藻前のアレと比べたら
全然、余裕じゃねぇか。
アイツ、調子に乗りやがって!!
とにかく戻るか」
と言って誠也は、頭を下にした状態で
体を極限まで細めてミサイルのように直行すると
思いのほか地面が近く[あっ…]と言う声を残して
餓鬼に打ち上げられる前の元いた場所に
勢いよく激突し、地面に人型がめり込んでいたのだ。
餓鬼「ヴウゥ”??」
誠也「い”…ってぇ!
あーもう今日は、踏んだり蹴ったりだ〜
何でこうも上手くいかねぇかな。
・・・んっ?
ァ? アア”ア”ァ!!!!!!(怒)」
あぁ〜!?ちょおぉいタンマ!!
今は、まだタンマだってぇぇぇ(焦)」
人型の穴から顔を出した誠也に待てというが、
餓鬼の振り下ろす拳が止まる事は無かった。
誠也「あ”あ”あぁぁぁぁ?!!!!!(絶叫)」
急激に痩せ細った変顔と奇声を上げながら
絶対絶命のピンチに陥った誠也に
容赦なく餓鬼の鉄槌が下される瞬間、
背後から強い口調で日向が唱えた。
日向「呪黎具・拘束……っ(汗)」
目元を暗くさせながら黒い触手のようなものが、
餓鬼の体に巻き付いてギリギリ誠也の顔に
当たる寸前で止まっていたのだ。
餓鬼「ウウ”ゥ??」
訳も分からず身動きが取れなくなった化け物が、
触手を掴もうとするも
すり抜けてしまい掴む事が出来ない。
抵抗する度に徐々に締め付けられる力が強まり、
餓鬼が苦しみ踠く程にジタバタし始める。
餓鬼「グゥゥゥ!
アア”…ア”ア”ア”ァァァ!!!!!!」
誠也「えっ?あ、悪いっ!(焦)」
危機的状態に陥った事により今の今まで
放心状態のまま餓鬼が唸り声を上げて
拘束されているのを目の当たりにした誠也が、
何とか状況を汲み取る事で動き出す。
殴る蹴りなどの猛攻撃を連続で仕掛け、
化け物の体にダメージを蓄積させ続ける。
誠也「これで、終いだ!!オラア”ァァァ!」
餓鬼「クク”ッ……?!」
誠也「はぁ…はぁ………(汗)
全然、やれた手応えが無さ過ぎる相手だな。
しぶと過ぎんだよ。
お〜い、さっきは助かった!
ありがとな、ひなっ……」
誠也が日向の方を向いて礼を言いかけると
そこには、妖力を僅かに残して瀕死状態の日向が
横たわっていたのだ。
それにいち早く気付いた誠也が
駆け寄ろうとした途端、
化け物によって突き飛ばされてしまい
誠也よりも先に日向を殺す目的へと移行した。
そんな妨害を犯しても尚、殺しにかかる殺戮者が
刻一刻と日向に迫る後ろ姿が瞳に映った。
その光景を見て誠也は驚きよりも怒りが湧き上がり
その場にあった砂を握り締めると
突如として餓鬼の前へと現れて
目に砂をぶっ掛けたのです。
餓鬼「ン”ア”アァァァァ!?!!!!」
誠也「待ち…やがれ。。。
卑怯な手だなんてお前には、言わせないぜ(汗)
因果応報ってやつだ☆
これ以上、日向に手を出すな(怒)
日向は……俺が油断したせいで
前もって準備していた術をわざわざ取り止めて…
自分の妖力を犠牲にさせてまで俺を助けたんだ。
妖力の少ない奴が、術を放棄すんのって
俺らからしたらかなり損してるんだよ。
何でかお前に分かるか?
ソレ…ガ、ドウシタッテ” イウ”(餓鬼)
その術に費やした妖力が返って来ないからさ。。。
物質的なやつならまだ返っては来るが、
それ以外は例え使わなかったものだとしても
妖力は増えない!!
日向が最後に使ったのは呪術って言って
普通の妖術と呪術には大きな違いが一つある。
それは、妖力をごっそりと持ってかれて
挙げ句の果てには、
相手が抵抗した分だけ妖力を削ぎ落とされるんだよ。
呪術ってのは、[身を滅ぼすもの]だから…な。
そんな危険極まりないやつを使って
あんなヘマした俺に日向は、託してくれたんだ」
日向(お願いっ!
餓鬼に確実なダメージを当てる為には、
近接も出来る誠也がその役目を担うべき筈だから
後は……頼んだよ、誠也)
誠也「日向からそんな風に頼まれた事なんて
今まで無かったから珍しいと思ったのに、
最後まで見届けてやれなくて悪かったな(小声)
さぁ、立ち話もそろそろ辞めにして
今度こそ本気で終わらせてやるよ、餓鬼」
目に砂を受けた影響か光った赤い目が、
充血した程度に薄まった目で誠也を睨み付ける。
歯でガシガシと噛み合わせながら
目の血管を浮かび上がらせて怒りのままに
正面から誠也にぶつかり合い、
溜めありの攻撃を連続で撃ち込む。
それを誠也は、スパーリングのように
腕や手で軽く受け止めてを繰り返し、
防戦一方ながら真剣に相手の動きを観察していく。
その結果、技一つ一つにあまり重みが無く
打つ度に力が強まって行き流石の誠也も
段々、鬱陶しそうにあしらった。
その為にも守備を更に強化すべく
手足を黒く染めざる負えなくなったのだ。
誠也(……くっ、流石に
これがずっと続くとなると辛ぇな(汗)
何にしろ、手足に妖力を分割しながら
そこに意識を向けさせてのこの戦い様だ。
辛いものは、辛いがこれ以上。。。
日向に近付けさせっかよ!
やっぱり戦略的に変えるべきか?!
俺には割り合わねぇんだし、
一層の事、ここは………)
と誠也がそう思った瞬間、
一段と重い餓鬼の馬鹿正直なストレートの拳を
手の平で受け止めて疎かになっていた足を
払い退けて後ろに傾けると
胸板目掛けて爽快に足蹴りをかました。
餓鬼「ウ、グウゥゥ!!」
誠也が両手足をびよ〜〜んと伸ばしながら
校庭の右端に戻される餓鬼に向かって
容赦なく接近し、ありったけの妖力を
思いっきり鳩尾に強くぶつけたのです。
誠也「行っけええぇぇぇぇぇ!!!!!!」
一矢報いた誠也もそれなりに妖力は多い方だが、
怪撃程の威力はなく一撃を受けたものの
餓鬼は余裕でピンピンしていた。
餓鬼「ナン ダァ?(笑)
エスクラス…ッテノハ、
ツヨク トオク、オヨバナイ…クテ
クラッタラ、オシマイト バカリオモッテタ
ケド ソウカ。
オマエ、[デニソ…コナイ] カ?
なっ……!?(誠也)
ソウカ、ソウカ。
ナラ…ヒトオモイニ、コロシテ ヤロウ!」
誠也「何……だ、と?お前って…奴はっ(怒)
・・・くっ、仕方ねぇな。
特別に、俺の改良版…怪撃を食う刑にしてやる」
餓鬼「ア”ァ”?」
誠也「その前に一つ。。。
お前は、さっき自分で言ったよな?
強くて遠く及ばないのがSクラスって。
ソレカ”、ドウシタ?!(餓鬼)
ハンッ(笑)分からねぇのか?
お前の目の前に立っているのは、
正真正銘のSクラスだって事を……
再認識してやんよ☆
それが未完でも、な(小声)」
そう言って退けた誠也が餓鬼の腹から
拳を引き抜くのと同時に、
助走を付けるかのように相手との距離を取って
体から放出される妖気は水色だが白へと変色させる。
すると、とんでもない速度で餓鬼の懐へと飛び込み
白いオーラを拳に纏わり付かせた。
誠也「会心の………一撃っ!!!!!!」
玉藻前の戦闘の際は、黒いオーラを放っていて
突発性の火力だけだったのだが
今では改善されたのか白いオーラで
段階を踏むごとに威力を倍増させる事が出来る。
その威力は計り知れず、
餓鬼の腹に食い込ませる程で片目を暗くさせながら
もう片方の目をかっぴらいた状態で叫んだ。
誠也「はああぁぁぁぁぁあ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”!!!!!!」
とんでもない変貌ぶりに
本来の八瀬童子としての片鱗が垣間見れた狂気さに
餓鬼は、怖気付いてしまい為されるがままに
地面に叩き付けたのです。
餓鬼「ァア”……アァ”…あ、ぁぁぁ……(気絶)」
誠也「・・・。
スゥ〜〜はぁ……おい、餓鬼?
どうせ、もう聞こえてないだろうけど
一応、言っておくぞ!!
Sクラス相手に[出来損ない]だとか[失敗作]っていう
言葉はな?!俺達の間では禁句なんだよ。
その言葉、もし俺以外にも言ったら
お前なんか原型を留める事すら許されずに
この世から消されるからな!
ただでさえ、、、今日は……
同じ日に別の奴から言われたばっかで
ムカついてるっていうのによぉっ!!
何だよ、わざわざ擁護された[未完]とかあんのに
禁句使ってまで汚しやがってぇ〜
俺を何だと思ってんだ、あの野郎っ!!!!!!」
やっとの思いで化け物を気絶させる事に成功した
誠也は、佐土原先輩の言葉を思い返して
怒りの導火線に再び火が着くのであった。
一方、教室では・・・
奏太「はぁ〜……
とりあえず誠也のお陰で何とか日向は、無事か。
良かったな、瞳さん?(笑)」
窓辺に頬肘を突きながら
お隣であるBクラスの瞳の顔をチラ見しつつも
会話を交わした。
瞳「何であなたの方がドヤっているんです?
何もしてない癖に、
他人を心配する神経だけは昔から変わりませんね。
そんなんだからクラスの人達に見限られるんですよ。
さっさと避難して、足手纏いは御免です」
奏太「へいへい、毎度のように
お気遣いありがとうございますよ(ジト目)
けど、今回はここで良いんだよ!!
いざって時は、鏡を通じて別の場所に
俺は移動するだけなんでしばらくは、居させて貰う。
それはさて置き……さっきの光景、瞳も見たろう?」
瞳「えぇ、私もこの目でしかと見たわ。
瞳だけに???(奏太)
・・・殺すわよ?
すいません?!(焦る奏太)
それにしてもあの子の火炎球、少しおかしいわ。
妖力もDクラスにしては、多い方だけど〜
そもそも火炎球は陽炎の下位互換の筈、
それが陽炎相当の威力であったという事は……」
奏太「やっぱり瞳からもそう見えるか?」
瞳「あんなの見せられて
そう思わない人の方がおかしいと思うけど」
奏太「お前、多方面にあんま喧嘩売んなよ(呆)
俺も試しに使ってみようかな」
瞳「あら、あなたにしては珍しい。
てっきり面倒くさがるかと思いましたのに」
奏太「良いだろ、別にっ!
普通の火炎球がどのくらいかなんて
妖術を試し撃ちする気力が他の奴らに無いんだし、
俺には有り余ってる妖力を有効活用してみっか」
瞳「羨ましい事。。。
とにかくこの子は、普通の一つ目じゃない。
少なくても私より遥かに強い子だわ(遠い目)
いつも他人を軽蔑するあの瞳が??(奏太)
何か……失礼な事、言っていないかしら?(怒)」
奏太(本当の事だろ)
心の中でボソッと呟く奏太は、頭を掻いていると
後ろから物音が聞こえてきた。
音の鳴る方へと振り返ると
そこには廊下の窓に張り付いた数十体の鬼2が、
奏太を獲物として捉えたのか
目を光らせて窓に息が掛かる程に興奮していたのだ。
奏太「うわっ!?もう、来やがったのか!!
おいおい、どうやって
Bクラスの廊下を突破したんだよ?!」
瞳「そういえば言い忘れていたけど、
取りこぼしがそっちに行ったって
さっき廊下の方々から報告があったわ」
奏太「何だよ!?
情報があんならもっと早く言ってくれよ!」
瞳「仕方ないでしょう?
こっちだって手が付けられない程、
幾度もなく戦って大変なんだから」
奏太「ぐぐっ、何も言い返せねぇ。。。
(まずいな(汗)
あの壁を壊されたら
間違いなく数の暴力で波に呑まれるだろう。
けれども俺は立場上、
一目散に逃げる普通の奴らと違って
ここから離れる訳にはいかない!いや、出来ない。
Dクラスにまで危害が加わるつもりなら
俺は俺の使命の為に、
意地でも残ってやらねぇと!!」
そう言って大きく出た奏太は、
制服の内ポッケから缶ミラーを取り出して
コイン回しの要領で鏡を上へと飛ばす。
それが奏太の手元に戻って来る時には、
手の平サイズだった鏡が
両手で持てるくらいのサイズへと変わっていた。
鬼達の姿を写して青い光の粒子となり
渦を巻くかのように吸い込まれ、
水が混じった波動を凝縮させて鏡を掲げる。
奏太「誓約する!
千の時を超えて
その朽ち果てき汝の体をもたらし、
再び現世へ読み覚ます。
傷付きし体を再生させる代はりに我の力となれ!!
降臨せよ、大蛇の化身:八岐大蛇っ!!!!!!]」
そう宣言した次の瞬間、
奏太の持つ鏡の中に潜む蛇がこちらを睨み付けると
鏡から大きな波が教室に押し出され
水で出来た頭部、細く太い蛇の胴部が姿を現した。
八つの頭を持つ八岐大蛇が廊下の窓を突き破り、
数十体の鬼を貪り食う。
奏太「わー、これはグロい(引き気味)
我ながらコレを味方に付けられる
雲外鏡の恐ろしさの方がもはや…怖いまである。
だけど、これなら行ける!
代償は重く付くが……まだ軽っ…ブハッ(吐血)
ぐっ……あがっ!!…い”ったぁ〜
俺の妖力を一気に喰らうなよ。
途中で動けなくなったら、どうしてくれんだ!
見た目ほど、余裕そうに見えるがな?(八岐大蛇)
平静を保ってるだけだ!!
てか、普通に喋りかけてくんな!?(汗)」
口から顎に沿った黒い血が垂れて思わず、
白いワイシャツの袖で拭ってしまい
拭った場所がグシャグシャに黒ずんでいた。
瞳「ねぇ、大丈夫なの???
あ、あぁ…何とかな。こっちは平気だ(奏太)
それなら良いけど、逃げられる内に逃げなさいよ」
奏太「おぉ!
そこまで俺の事、心配してくれてありがとな♪
は?壁越しからあなたの頭を撃ち抜くわよ?(瞳)
ホントにごめんなさいぃぃぃ!!
青春だな〜(八岐大蛇)
お前は、何なんだよっ?!!!!!」
八岐大蛇「まぁ、そんな甘ったるい空間よりも
ほれ、もっとだ。もっと貴様の養分を寄越せ。
お楽しみはまだまだ、これからだ!
良い声で喚く事を所望するぞ」
渋めの威厳ある男の声を発する八岐大蛇に
静止するよう奏太は、少し拒んだ。
奏太「待てよ!?まだ、食う気か!!
私の体を治すまでの約束だろう??(八岐大蛇)
そ、それは…そうだけど〜
多方面から一気に食うのは、
その野良達を蹴散らした後でも良い筈だろ!」
八岐大蛇「ほう、命乞いか。
それとも根を上げたか。貴様、召喚は初めてか?
だが、案ずるな。
見た感じお主の養分は〜…………」
奏太「それまでは、待ってくれないか?!
俺が仮にここで倒れたりすると
八岐大蛇までこの場から居なくなって
戦況がもっと悪化するだけだ。。。
それじゃあ俺の使命を全うする事が出来なくなる(汗)
せめて、この襲撃が終わった後でも……」
八岐大蛇「いや、それは出来ない。
何でだよ!!(奏太)
何故なら私相手にまともに釣り合える
敵などここには存在…しないからだ。
悪いな、あまりにも敵が美味くなくてな〜
もう飽きてしまった。。。
……っ!(奏太)
だが、私をこの世界に呼び付けたのは貴様だ。
召喚者はその召喚した者の利益になり得るものを
常に費やす必要がある。
妖力とやらが私に全てをもたらすのと同時に
それは貴様も私が居なければ成り立たない事だ。
呼び出すとは、そういうものだろう。
それでも寄越さぬか?迷うか???
・・・俺は、、(奏太)
まぁ貴様に今更、拒否権は無いのだがな(笑)」
その場でたじろぐ奏太の言葉を遮って
すぐ妖怪の体内に秘められている妖力源を
覆い尽くすかのように八つの方向から喰らい付く。
ガブッ!!・・・
八岐大蛇に妖力を喰われた奏太は、
心臓部が引き千切られるような痛みを伴い
体の芯まで行き渡る激痛が奏太を襲う。
奏太「い”っ、あ”あ”あ”ぁぁぁぁ?!!!!!」
一方、1094会議室にて・・・
???「これで全員、揃ったか?
……では、これより
特殊部隊の緊急会議を始める。
ここに集まってる者は当然、知っていると思うが
知らない者の為にもひとまず情報共有と行こうか。
えー東京都仁川市にある妖怪三輪学校では
現在、壊された結界から野良の大群によって
学校は攻め入られ生徒達が今も尚、交戦中。
事件発生時刻は午後12時25分、
4限目のチャイムが鳴るのと同時に
事件発生から約2時時間が経とうとしている。。。
少し出遅れたものの各地方から五大勢力を
招集するには十分な時間だ、感謝する。
先生方には避難誘導を行うよう
指示を出しておいたが、
逃げ遅れた生徒もまだ居るらしくそれについては
四大妖怪の河童に要請して向かって貰っている。
その際、司令官が直々に協力を仰いだ所………
生徒の救出と悪鬼つまり河童以外の戦闘は、
受け付けないとひとまず、承諾してくれたようだ」
???「へぇ〜…自分の部下に指示しといて
自ら証拠隠滅を図るんだ。
自分の容疑を否定してるようで
河童も結構、タチが悪いね。
やっぱり裁くべきなんじゃないですか?」
一同「・・・」
羅生「お前の言いたい事は分からんでもないが、
この件に加担してない部外者は引っ込んどけ
話が進まなくなる。
……情報共有だって言ったろう?
緊急の趣旨がそもそも違うんだよ。。。
それにアイツの良さを分かってやれるのは、
あの学校に所属してる限られた人のみで
現に相手は、
四大妖怪っていう俺らより目上の存在だ。
あまり侮辱するのも大概にしろ(怒)」
???「ちぇ〜面白くねぇの。
急にムキになるわ、くだらねぇ言い訳を並べてよ」
羅生「勝手に言ってろ」
智神「は〜い♪2人共、そこまで。
上官の阿良々木さんの大事なお話を遮るのは、
やめて下さいね。
私達はこの部屋で長居する訳には参りませんし、
あまり時間を掛けたくないです。
それと志童さんは、とても良い方ですから
敵視するのも分かりますが……控えて下さいな」
羅生「だってさ、橙弥?言われてんぞ(笑)」
橙弥「ふん!」
毎度のようにバチバチで不仲な2人の間に入って
仲裁してくれるのは智神であり、
智神に叱られた橙弥はやけに塩らしく
プイッと顔を背けるだけで
後は、何も言わない姿勢を貫き通す。
阿良々木「そろそろ話しても良いかな?」
と上官らしいきちんとした服装で身に纏い、
2人の小競り合いの中で
何と空いた時間を持て余さずにだが、
のんびりに本を手に黙々と読み進めていたのです。
終始、本人は見届けていない場面も所々あるのだが
2人の口論が終わると
良いタイミングで智神に問いただして来るのだ。
智神「はい、宜しいですよ♪」
阿良々木「そうか。
では話を戻すが、
未だに状況が変わらず生徒達は野良の対処に
相当、苦戦を強いられているそうだ。
どういう意図で生徒達を襲っているのか
何故、校舎を覆っていた筈の結界が破壊できたのか
野良が侵入して来た原因もまだ掴めていない。
しかし、我々は一刻も早く野良と対峙する
生徒達の窮地を救うべく
校舎組は桜達に任せて皆の安全が確保され次第、
闘える者達と協同し…この戦いを終わらせる!
よりにもよって多くの特殊部隊が所属する
あの学校に攻め入った不届きな輩の事だ。
思う存分、暴れて来なさい!!」
一同「はいっ!」
特殊部隊の五大勢力に囲まれながらも
阿良々木上官が隊員達に向けて命令を下す。
隊員もそれに応えるように席を立ち、
力強く返事を返した。
橙弥「……ったく〜
やっと今日で俺の任務が終わったと思って
本部に帰って来たら、すぐコレだ。
早く終わらせた甲斐がないじゃんか!!」
羅生「そんなに嫌なら、
会議の招集に応じなければ良かっただろう?
生半可な奴が戦闘に加わるといいお荷物だ」
橙弥「は?
そこまでは別に、言ってないだろ?!
あっそ(羅生)
聞けよ!もう勝手に行かせて貰うからな!!」
神子「うるさい。
アンタはちょっとでも喋らないと気が済まない訳?
少しくらい黙ってて欲しいわ」
橙弥「何だと!?この化けi…………」
そう言いかけた途端、転移術式が発動したのか
キリの良い所で転送させられた。
阿良々木「相変わらず、仲がよろしいようで。
こうなる事を予見していたのなら一層の事、
隊員達に伝えても良かったんじゃないですか?
一柳…司令官」
司令官「確かに、な。。。
こうなる事を
初めから予見していたのには事実……しかし、
その出来事がいつ起こるかもの確証を
私も常に把握している訳じゃない。
仮に特殊部隊のトップが言い伝えた所で
周りを混乱させる恐れやリスクを背負うとなると
確信的な判断材料が出揃っておくべきであろう。
ただ、それだけの事だ」
阿良々木「それなら、くだんに聞くのが妥当では?
昔から司令官とくだんは、
付き合いが長かったんですよね」
司令官「・・・そう…だな。
だが、それは随分と昔の話であって
今ではあやつの所在すら分からぬじまいで……
生ているかも怪しいぐらいだ」
阿良々木「現在のくだんは、
相当な臆病者だと智神から聞かされた事があります。
どうやら今回の襲撃は、誰も何も聞いていないと
先生方からも報告が入っていた。
予言を見る者としては、
もう少し危機感を持つべきです」
司令官「まぁ、無理もない。
何せ、そのくだんに変わってからといい
厄災で溢れ返っていた時代から
ここ十数年の間では、
全くと言っていいほど厄災が起こっていないんだ。
つい最近までが平和だった事もあり、
人々の記憶から自然と薄れてしまったのかもしれん」
阿良々木「んー…そうですか?そうだな。
まぁ、今回の襲撃で
これからもっと忙しくなるのは当然ですが
一応、隊員達には精進するよう伝えておくよ。
あぁ、頼んだ(司令官)
それと……くだんの件は、
保護でも何でも前向きに検討して下さいね?
[柏木]ならともかく
普通の雲外鏡が護衛など務まる気でいたら
大間違いですよ」
会議室の扉を通り過ぎる前に司令官にそう告げると
返答を聞く間もなく去って行った。
司令官「・・・分かった。
(全く、お前さんはいつになっても
こちらの利益になり得る事しか考えぬままだな。
一方的に考えるでないと
普段からあれほど言い聞かせている筈なのだが、な?
他者の考えを受け入れぬその態度には、
一切の迷いが無い所は昔から変わらん。
時にそれは、お互い信頼し切っている2人の友情を
無理矢理引き裂くのと同じくらい邪悪な存在だ。
もっとこう自分を直そうとは思わんのかね〜?)
スッーー……うん、冷めたな(点目)」
終始、司令官は
優しさが滲み出る程の笑みを浮かべながら
コーヒーですら一口も付けずに
阿良々木の話をよく聞き入れていた。
そのせいか…つい数分前に淹れた筈のコーヒーは
とっくに冷め切っており、
しょぼくれながらも飲み干したのだった。
一方、誠也は・・・
体育館を上から見渡せる柵に手を付くと
そこには、向こう側の壁を沿って
ギュウギュウ詰めにされた鬼の集団が、
待ち構えていた。いや、迷い込んでいたのだ。
[なっ、何だあの数はっ!?]と誠也の放った声が
体育館中に反響すると
その声に気付いた鬼が上を見上げて
一斉に、雄叫びを上げ始める。
鬼3「ン”カ”アアアァァァァァ!!!!!!」
鬼1「ア”ア”ァァァ!!!!」
鬼2「ウ”ウゥゥア”ァァァァァ!!」
鬼5「ア”オ”ォォォウ”ウ”ゥゥ!!!!!!」
誠也「あぁ〜あ、ワーワー喚くな(汗)
共鳴し合ってここに居る全員に注目される程、
俺はちったも有名人じゃねぇぞ?
……ってなんかさっきまで居なかった
ゴリゴリにバキバキにヤバい奴が、
パワーアップしてねぇか?!
野良の鬼は仲間を共喰いして
進化するっていう話は、ホントなのかよ。。。
俺らでさえ、やんねぇのに
そこが野良と普通の妖怪の違いなんかねぇ〜」
柵の上で腕を付きながら
相手の姿形を観察し、やがて覚悟を決めたのか
そこから飛び降りようと足を掛けた瞬間、
異常な妖気を感じ取る。
誠也「何っ!?」
橙弥「…何だと!?この化け犬っ!!」
神子「誰が化け犬ですってぇ?
高貴な獣の私に向かって
そんな口聞いて良いと思ったら大間違いよ!
私が犬神だって分かってるの!?(怒)」
橙弥「ずみまぜんんんんっ!!」
麟「まぁまぁ落ち着いて下さい、お2人共(焦)」
誠也「ど、どちら様???(汗)」
羅生「んっ?何だ、八瀬も居たのか。
あっ、九城テメェ?!何しに来た!!(誠也)
何ってお前には目の前の敵が見えないのか?
俺らの事を散々、舐めてきた野良達を1匹残らず、
殲滅しにやって来たに決まってるだろう。
他に、どんな理由があるっていうんだ?」
誠也「うるせぇ!
九城、こんな時に言う事じゃねぇけど
俺と一対一で勝負する権限を賭けて
どれだけ野良を多く狩れるか今すぐ勝負しろ!
俺が負けた時は、
お前の雑用やら何やら押し付けて貰っても構わない。
さぁ、どうする!?」
羅生「……ふ〜ん、それで良いんだな?(笑)
俺の結果が圧倒的だったら
あんな簡単なルールにした自分が悪いと認めるなら
やらない手は無いが」
誠也「チッ!
あ〜もう、それで良いからさっさとやろうぜ。
…ったくよ(怒)お前らも早く降りろよ」
橙弥「そういった時の賭けごとって
仕掛ける側が破滅するのはお決まりなんだが。
コテンパンにしてやりなよ、羅生の事だから
そこまで心配する必要も1ミリも無いけど〜
俺はどっちらかと言えば、羅生派☆」
羅生「どうーも(棒)」
興味なさげな顔で先に羅生だけが飛び降りて
直様、橙弥も柵を乗り越え
落下中にも関わらず両手両足を広げて唱えた。
橙弥「退魔五戒術式、殺生風磨鉄拳!!」
橙弥の横一面には、中位の魔封陣が一斉に出現し
そこから魔人の拳が具現化され
遠距離ながら鬼の顔面目掛けて腕を突き出す。
風の拳が床の摩擦により火を纏い、
風速によって更に拳の加速が上乗せされて
相手と正面衝突した時には鬼の体がドロッドロに
溶けてしまう程の悍ましい技を目撃したのだ。
神子「氷塊吹雪!」
扇子を開いて色気のある目付きで口元を隠すと
鬼の頭や肩、体の隙間に雪が積もり
鋭利な氷が鬼を貫き氷柱の雨が降り注がれる。
氷柱の雨を掻い潜り逃げ出した数体の鬼が、
神子を睨み付けて来る敵を見逃さなかった。
麟「鉤爪!!」
馬の足に変異させた麟は蹄を使い、
背後から敵を串刺しにするという荒技をして
敵軍が体勢を固めていく中へと飛び込み敵を散らす。
橙弥「ナイスだ、麟っ!」
麟が宙に浮かせ散らした鬼達に向かって
風の拳が追撃する2人の連携と神子の力により、
ものの数十秒で半数近くの鬼が倒されたのだ。
誠也「あっ……んな一瞬でぇ、鬼が(汗)」
羅生「アレで驚いてたら八瀬も、まだまだ…だな。
あんなの特殊部隊に入れば誰でも見る光景だし、
1人で敵陣を潰せるくらいの戦力が普通だぞ。
特に野良の奴らは一人一人の攻撃はまず弱いが、
団体で守備を固められる習性は
多少、厄介なだけで
ああいうのは先に分散させた方のが都合が良い。
さっき麟がやったのも同じ事だ。
相手の中核を狙って敵を散らせておけば、
あとは味方にアシストしたり
日頃から仲間と連携が取りやすいんだ。
まだ新人の部類だが、戦力には申し分ない。
最近になって麟の戦闘能力が格段に上がった事で
どこをどう攻めれば、味方が有利に攻められるのか
盤面をよく見ているからこその才能を見込まれ、
特殊部隊の最前線部隊……神速に抜擢されて
わざわざ異動までして来たんだ。
神子の矛先が向けられるのも時間の問題だな。
へぇー、そうなんだ?(神子)
・・・っ(タジタジな麟)
以前と比べたら
あの2人の対になるくらいには、成長した。
大したもんだよ♪
でお前んとこには、それが居ないんだろ?(笑)」
誠也「にぃ、急に向けてくんなよな〜(焦)
こっちはこっちのやり方があるだけで
そっちのSクラスハイスペック部隊と違って
そんな万能じゃねぇの!
個々あってこその俺ら特別部隊なんだよ」
羅生「へぇ〜そりゃあ、凄い。
んで八瀬は、これからどうすんだよ?
さっきまで俺にあんな啖呵切っといて
お前はやらないのか。
何を、だよ???(誠也)
分からねぇの。
早く狩らないと周りの奴らに
ぜ〜んぶ狩り尽くされて話に何ねぇて事だよ☆
あ、そうだった?!(誠也)
精々、頑張れよ〜俺はあと少し休んどくわ(笑)」
余裕な笑みを浮かべる羅生の顔を見て
自分の頬をパンッと叩いて気持ちを切り替える。
誠也は、見るからにヤバめな姿の鬼5に向けて
風を物理的に左の拳に集めて一気に解放させた。
誠也「怪撃っ!!!!!!」
すると、その鬼は
誠也の拳を振るう速度が遅いせいか
意図も簡単に避け切られ、
後ろに控えてた筈の鬼3達の体を貫通させた衝撃が
壁にまで盛大にヒビが入っていたのです。
誠也「……っ!?避けられ…たぁ、のか?
この俺が。。。嘘だろ??
あ”がっ……あ、あ”あ”ぁぁぁく”っ!(絶叫)」
最後の怪撃を撃ち放ってしまった誠也の左肩からは
白い湯気が勢いよく吹き出し、
左腕だけ肌色に戻らず黒く染まったままだった。
誠也「ハァッ…はぁっ……く”ルルルル(滝汗)」
羅生「全く、お前にとっての切り札はこうも容易く
相手にバラすものなんか?
そういう…とっておきは、いざって時にまで
隠し通しておくのが筋ってもんだろ」
誠也「うるせぇ。
俺にはもう、そんな余裕……無かったんだよ!!
ここに来る前の戦いで消耗しまくってんだ」
羅生「よくその状態で
俺に勝負を挑む気になったな?
そういうとこ…だぞ。
あとこの腕、切り落としとくな」
と怪撃を放った場所から動けなくなった誠也の腕は、
本来なら全身に流れる妖力を一点に集中させれば、
すぐにでも元通りになるのだが
今回の場合、
怪撃を全て使い果たした事で完全なガス欠状態で
体内にある妖力が正常に循環できず、
着々と変形し続ける誠也の腕をスパンッと切り離す。
羅生「感覚が麻痺して
痛みは無いと思うが、どうだ?
あ、あぁ…特に何ともなぃが躊躇ねぇな(誠也)
早めに処置しておかないと
お前が半暴走状態に陥って暴れられても困るからな。
・・・九城(誠也)
まぁ、そん時は容赦なく制圧させて貰うが(即答)
お前も人の心ねぇな、さてはっ!?(焦る誠也)
無駄口を叩けるくらいには回復したか。
んじゃ、八瀬のその元気さに免じて
俺が直々に教えてやるよ。
な、何を…だ??(誠也)
そんなに慌てんなって……ふん(笑)
お前にとっての切り札があの[怪撃]なら
俺は何も使わずに、八瀬が仕留め損ねたアイツを
たった一撃で仕留めてやるよ。
でも、ただ壊すだけじゃ物足りねぇし
ちょっくら遊んでやりますか」
そう言って怪しい笑みを浮かべながらも
ゆったりとした足取りで歩いて行く。
他の鬼には目もくれず、
珊瑚のような毒々しい赤紫色の体を持つ
鬼の元へと向かう。
その鬼は、自分が笑われている事に
怒りが剥き出しになったのか隠れる事を辞めて、
潔く羅生に攻撃を仕掛けに来たのです。
鬼5「グルルゥア”ア”ァァァア”ッ!!」
他の鬼と違って岩の拳を繰り出すも
ロボット回転のような人外的な動きをして
腰辺りから摩擦によって火花が散っていた。
だが、その動きをモノともしない羅生は
それをのらりくらりと躱して煽り続ける。
羅生「当たらないねぇ〜(笑)」
鬼5「アア”ァ!?
ウ”ウ”ク”ウゥゥゥゥ!ア”オ”ォォォ”!!」
アクロバティックな身のこなしに加え、
その身軽さから相手の動きを制限する事で
更に、鬼との距離をジリジリと詰めて誘導する。
これは羅生が、
もっとも得意とする戦闘スタイルであり
相手の行動パターンを先読みし操る事が出来る。
意図的に近接戦に持ち込まれたとは知らず、
鬼は真っ直ぐ放っていた拳を荒々しく振り回すも
大雑把な力加減が最後まで続き、
鬼の腕をホールドして動きを止めた。
羅生「さ〜てと避け続けるのも
そろそろ飽きたし、最後に何か言い残す事あるか?」
腕を引き抜こうと必死の抵抗も虚しく
力が拮抗された状態から自分の方へと受け流し、
一気に相手の手を踏み台にして
羅生がすり抜けた次の瞬間、
ブシャーーッ!と勢いよく飛び出した
血飛沫の音に隠れるように鬼の体が後ろへと倒れていく。
誠也「なっ……!?(汗)」
橙弥「ヒヒッ(笑)」
羅生「言っただろ?
八瀬がすぐ怪撃を使ってやっと勝てる相手でも
俺はそれを使わなくとも余裕で勝てるって♪
コイツらがいくら群がろうと共喰いで進化しようが
この俺には関係ない、この先もこれからも。
あ〜あと八瀬にもくれてやるよ(笑)
戦利品だ、受け取れ」
誠也「戦利…品???」
橙弥「ギッ!?」
羅生がその手で投げ飛ばしてきたものから
爆速で逃げる橙弥の姿を見るも
この時は[何だ〜アイツ?]みたいな顔をしていたが
すぐに原因が分かった。
誠也の手にはズッシリとした重みに加え、
グチャッという音に目線を下げると
そこには映せない程に
酷い血みどろな鬼5の頭が手中に収まっており
思わず、壁にブチ当ててから再び絶叫した。
誠也「ん?これぇ〜……って
うわあああぁぁぁぁぁぁぁ!?!??!(断末魔)」
羅生「ハハッハハハ(大爆笑)」
一瞬だけ気絶した誠也の顔を見て指を差しながら
その場で笑い転げる。
神子「あ・の・ねぇ〜(呆)」
ちゃっかり神子の後ろに隠れて
縮こまって震えている橙弥が青ざめた所で
誰かが体育館の階段を降りる足音に、
いち早く気付いた麟の顔には笑みが溢れた。
???「普通の戦場なら
苦しくも悲しい日々が絶えず、
今日を生きる為に必死で抗い続ける戦場の場で
笑う事すら許されないと思っていたのだが〜
特殊部隊は、こんな頭のおかしい奴も入れるんだな。
ハハハッ!!ん?(羅生)
まぁ、ずっと重苦しい空気より
余裕のある緩んだ方のが案外、良いのかもしれない。
不謹慎ではあるが、さぞかし捗っているんだろうな?
その声、まさか朱知か!?(誠也)
下の名前で呼ぶなといつも言ってるだろう」
誠也「つうか、その制服…お前…………」
佐土原「これか?
変に着飾り過ぎると
自分が何者なのか名乗らなくても
見た目で分かってしまう点を除けば、
まだマシだったのだが。。。」
それは今朝の蘭との戦闘では、
黒いチェック柄のズボンだったのが
今では真っ白で無地のズボンに誠也が指を差すと
それを遮る形で
少数の人が上から飛び降りてきたのだ。
龍生「本校舎に取り残された生徒は
ひとまず全員、避難しておいた。
智神達には今だに、校舎で徘徊し続ける
野良を駆除してる真っ最中だが、
この学園には保健室にいる4名と特殊部隊……
特別部隊の1人もまだ居たか。
その腕を見る限り、切除されたみたいで
あまり大きな被害は見られないようで良かった。
Sクラス相当の妖怪が
妖力漏れを引き起こされると少し厄介だ。
それよりも…もっと重症になると
死活問題に発展し兼ねないのだが、
今ならまだ避難所へ送る余裕もある。
どうする?」
龍生の正面を囲うように集まった
特殊部隊の面々が沈黙する中、
床に座ったままの誠也に目線を下げる。
誠也「……えっ?あ、俺っ???」
橙弥「お前しか居ないだろっ?!
他に・誰が・腕切られて負傷してんだよ!」
誠也「ははっー…それは、ごもっともです(汗)
あ〜えっと俺はこの通り
全然、戦力に何ねぇし参加できないから。
だからと言って特殊部隊の手を
煩わせる訳にもいかないんで
どこかに隠れてますよ、ほら倉庫の中とか!!」
羅生「・・・(驚)」
龍生「勝手にどっか隠れられると
それはそれで我々が困る。
もし倉庫に隠れたとしても
事実、向こうはわざわざ壁を突き破ってまで
教室に侵入して来たと
生徒から多数の目撃証言が寄せられている。
気付かぬ内に襲われて
助けられなくなる可能性もある。
まぁ、見捨てても良いんじゃね?(ボソッと羅生)
ちゃんと隊員達の目の届く範囲に
居てくれれば、それでいい。
いや〜それだと俺、迷惑なんじゃ(誠也)
今回はそれを可能にする頼もしい助っ人が、
本日、新たに特殊部隊に入隊して来たもんでな。
それがまさか入隊初日に、
こんな事件に巻き込まれるとは」
橙弥「時期が悪かったな、朱知♪」
佐土原「……別にやる事は、いつもと変わらない。
だが前と比べれば、
仕事に集中が出来るという環境には
組織に属する上で欠かせない利点だろう」
龍生「だそうだ。
入る前からこの意思を徹底してるもんだから
多少、驚いたが昔ながらの知り合いが
橙弥だなんてはぁ……想像すらしてなかった」
橙弥「おい!?
俺を一体、何だと思ってんだよ!」
龍生「馬鹿…(ジト目)」
神子「クズね(真顔)」
羅生「アホなんじゃないか〜?(笑)」
橙弥「おいぃぃぃぃ!!!!!!(怒)」
誠也「あ、あの〜………(汗)」
佐土原「全く。
これが国民から閻魔騎士までもが、
信頼を寄せている特殊部隊……とは
随分とお気楽な奴らだ。
確かに〜アイツら意外とのんびりだよな(誠也)
今がどういう状況なのか分かっていながら
特殊部隊の誰もが、
普段と何の変わりない奴らの会話自体…異様なのは
見て取れる。
ここに居る誰もが底知れない余裕に溢れる一方で
裏では、外部との連絡を繋いでいる。
むしろ…この状況を分かっていないのは、
こちらの方だ」
誠也「ふーん。
まぁ、佐土原がそう言うんなら
間違い無いんだろうな。
それで何で特殊部隊に入ったんだ。
今朝、蘭との戦闘時点でそう決めてたのか?」
佐土原「別に、今話す事じゃないだろう(汗)
……だが、そうだな。
旧友だった[あの馬鹿]との約束を
果たしに来たに過ぎない…とだけは言っておくよ」
いつ如何なる時でも常に凛とした態度で
語る佐土原の顔には、自然と笑みが溢れた。
それはまるで、とっくの昔に燃え尽きていた情熱を
再び湧き上がらせた喜びから来たものかもしれない。
羅生「んじゃ、5分で終わらせっか(笑)」
橙弥「バーカ!!
そんなに早く制圧したら
俺達の凄さが全然、伝んねぇじゃんかよ!」
神子「別に、伝えなくても良いじゃない?
何が起こったか知らずに、抹殺してお終いだわ」
橙弥「それじゃあ面白くないだろ?!
こういうのは、より効率的に倒せるかで
デカく出ねぇと始まんねぇよ!!」
龍生「効率とかどうでもいい(呆)」
麟「皆さんこれ以上、被害を出すのは駄目ですよ?
一から作り直す神様の身にもなって下さい(汗)
相手はこの体育館のみならず、
校舎側にもまだまだ数が多い筈です!!
あまり長々とやられると困ります。
ここは、手短に済ませましょう!」
橙弥「・・・」
龍生「そういう事だ。
仮に羅生の宣言通り
全員、5分で終わらせられるのは簡単か?
はぁ?!そんなの当たり前だ・ろ・がっ!!(橙弥)
無論(羅生)
なら、奴らにこちらの戦力を見せ付けるのは
非常に合理的だが、今は一刻の猶予もない。
これでは、奴らを退治し終えたとしても
野良が学校に侵入して来た詳しい経緯の程は、
我々もあまり掴めていない。
という事は、つまり。。。」
神子「生徒達の記憶がまだ新しい内に、
事情聴取する必要も出て来るって…訳ね?」
龍生「そうだ。
アレ相手に時間を掛けようもんなら
手際の悪い奴は、まず論外だ。
知らしめたければ、結果を出せ…良いな?」
橙弥「ググッ……分かったよ!
だが、本気でやったら
この胸の高鳴りを抑えられる気がしねぇから
簡潔にやってやんよ☆」
麟「皆さん、良いですか?」
神子「準備はとっくに出来てるわ」
麟「それでは、行きます!!」
男性陣「あぁっ!」
誠也(さっきのでも十分凄さは伝わったたけど、
特殊部隊の五大勢力が揃ってんだ。
俺の言えた事じゃねぇがお手並拝見って所だな(汗)
目の前の光景に対し、
緊張の汗が頬から顎下をなぞるように流れ
目を光らせながら今か今かと口がニヤけていた。
一方・・・
校庭では、鬼や河童…子狐や子猫達の獣人が
行き場を無くして身を寄せ合っている。
その場に居る誰もが青ざめた顔を浮かべ
恐怖に駆られた野良達の頭上には、
半透明な編み込み線の入ったドーム状で
外側を覆い尽くす程の徹底ぶりだ。
鬼5「ンカ”ア”ア”ァァァ!!!!!!」
鬼1「ウハ”ァ……ァァア”ア”…ァァ(汗)」
子狐2「ギャア”ァァ!!ヴヴゥゥゥ!(怒)」
獣人「タ”セェ、タ”セェ!!コ”ロッ……sァ」
ほぼゾンビ化状態の猫の獣人が
ある人物に殺意を向けた次の瞬間、
目にも止まらぬ速さで腹部を撃ち抜かれ
倒れ込む姿を野良達に見せ付ける。
獣人「グ、ハッ…ア”ァ”?
ア”ア”ア”ァァァァァ!!!!!!(悲痛)」
子狐「……ギイィ!(焦)」
???「駄目ですよ?
そこで暴れては、あなた方を生け捕りにした意味が
無くなってしまいますから。
もう、しばらくお待ち下さいね♪」
と優しい口調で野良に恐ろしい事を告げたのは、
ドームの頂上部分に足を綺麗に揃えた
シアンブルーのグラデーションメッシュがかった
長いポニーテールを靡かせた智神が、そこに居た。
地面に打ち付けられた獣人を心配するかのように、
他の野良が覗き込む。
目を開けた状態で顔を横にしたまま動かなくなった
獣人に声を掛け続けているようだった。
鬼1「ア”ア”ッ!?ア、ァァア”ア”」
鬼5「ア”?ン”ガァァ!!ガ、カ”カ”???」
野良河童「・・・」
智神「仲間を、慈しむ心はあるのですね。
……何と慈悲深い♪
ですが、大丈夫ですよ。
時期に…あなた達も
その方の元に連れて行ってあげますから(笑顔)」
野良一同「……っ?!」
智神「・・・来ましたね?」
ドームの上に立つ智神が野良と話していると
待ち受けていた人が登場したのか
野良から破られた結界の方へと目線を変える。
そこには、顔に赤い面布を付けた
ヌシと思われるお坊さんが姿を現したのです。
智神「そこで、この方達の最後を見届けて下さいな」
野良一同「%*○#〆!!!!!!」
ヌシ「・・・」
結界の目の前に現れて僅か数秒で
仲間が窮地に立たされ
何か喋るなり、何かと奇襲を仕掛けて来るなり、
命乞いをする筈の場面で
その男は、何もして来なかったのだ。
こんな絶体絶命の中、
仲間が囚われている…にも関わらず
全く動じる事なく
黒衣の下から出て来る色白い肌が見えると
真っ直ぐ野良に指を差す。
ドームに囚われた野良妖怪達は絶句し、
[自業自得だ]と言わんばかりに
風に煽られた面布を揺らしながら口元だけは、
嘲笑っていたのだから。
鬼5「ウウ”ア”オ”ォォォォォ!!!!!!(怒)」
獣人「ダ、ゼェ!!
オ ネ”ェカ”ィ ヨ、ココ”*% 蜃コシ”テ”ェ」
子狐「ギャア”!ギッ、ギャッア!!」
河童「ナ” ン、ダト?!キッ、サーマ”ーー!!」
智神「時間切れです、皆さん仲良くさようなら」
と無慈悲な言葉を最後に
校庭にあるトラックと同じ大きさのドームが、
一瞬で中央部に達し野良達は圧殺されたのです。
ガジン!!!!!!・・・
校庭のど真ん中には、
最後まで野良妖怪達が居たであろう場所に
インクを溢したみたいな黒い血溜まりで塗られ、
ジリジリと外側へと広がっていく。
智神「・・・。
本当なら、生け捕りにした方達を
囮に誘き寄せて
ヌシ共々一掃する予定でいましたが、
そう上手くは…行きませんね。
まさか私の監視下から逃れられる人が、
野良の方だなんて思いませんでした。
(見た感じあの子達からは、
確かに仲間意識が芽生えていたにも関わらず
あの方は少しも気にも留めていなかった。
野良を指揮する立場で在られる[ヌシ]としては、
不本意な事だと思っていましたが
思ったより寛大で不思議な方でしたね。
[それは、関係…ない]だなんて
仲間として見ていない事が………
遠くからでもよく分かりました♪
それにしても今回の襲撃事件、
ヌシさんと野良には
決定的な行動理念が違っていました。
学園に侵入して来た子達は、
生徒を襲う事に何の迷いもなく襲って
破壊を心から楽しんでいた。
逆にヌシさんは、
囚われた子達を最初から助ける気など無かった。
最近では野良の数が激化していて
駆除するのも大変でしたが、
ひょっとして数を減らす為の策略……
仮にそうだとしても
今回は、思っていたよりも深刻な状態で
あまりにも生徒さん達に被害を出し過ぎた。
特殊部隊の招集による時間の遅れや
避難の出来ていない生徒さんを確保し、
避難所まで送り届ける時間。
ここに至るまで
どのくらいの時間を費やしてしまった事…か、
この学園には、もう私達しか居ない。。。)
尚更……結界の外からやって来た
不届きな方々を1匹残らず、
殲滅しなければ参りませんね。
これ以上、学園側に被害が出ては困りますから
少し結界を私の方で補強致します。
本物とまでは行きませんが、気休め程度に。
この闘いが全て丸く収まったら
御中に依頼でも取り付けて差し上げましょう。
にしても…あのヌシさんの妖気、
前にもどこかで………」
黒い血溜まりの上で立ち尽くす智神の背景にある
校舎から突如として爆風が巻き起こった。
煙の中から斬撃が四方八方へ散りいき、
校庭に居る智神の下まで風が吹き荒れる。
智神「神子の守りがない今、[あの子]は果たして
どこまで戦えるのでしょうか。。。」
儚げな表情でどこか厳しめの眼差しを向けながら
組んでいた腕を解いて、上空へと飛び上がり
長いポニーテールが不規則に揺れる。
その姿はまるで、
龍が上昇してるかのようにも見えた。
地上から飛んだとは思えない程の跳躍力で
あっという間に標高5000mまで辿り着くと
そこから地球並みの球体を誇る
編み込み線の入った結界が、
校舎を一瞬にして呑み込んで敵の居場所を捕捉した。
智神「んっ?黒い…モヤ???
(何かしら、校内を徘徊してる人?野良??
それとも………いや…今は、野良の対処が先です。
それに校舎なら紫陽に任せておけば、
何の問題もありません!)
……あそこ、ね」
他にも気にする点はいくつもあったものの
智神は野良が固まっているであろう場所へと向かう。
自分の体に掛かる負荷を取り除きながら
風を纏う事で加速し、校舎裏まで飛んでいく。
一方・・・
先程、智神が野良を圧殺させた同時刻、
校舎上で起こった爆風の中では
鬼の群れを引き連れた
相手と桜が衝突した瞬間だった。
煙を盾に見えない敵と戦う事を余儀なくされた
桜は早速、[桜華神剣]を鞘から引き抜くと
そこには刃並びの整った綺麗な神剣が露わとなる。
その神剣を抜いた途端、
煙で見えなかった筈の敵の姿が反射で映り込み
剣を振るう度に斬撃が飛んで行く。
シャン!シャシャシャン!!・・・
鬼3「ンア“ア“ァァァァァ!?!!!!(断末魔)」
鬼1「ウ”ガガ、カ”?!ァア”ア”!(遠吠え)」
桜「……っ!!」
斬撃に当たった鬼3が呻き声を上げ、
砂のように塵となって消えた仲間の姿を
目撃したもう1体の位置も特定し、
敵を逃がさないように連続で
その方角へと斬撃を飛ばして見せた。
鬼1「カ“アッ!?」
桜「召喚:四獣風輪=朱雀っ!」
白く発光した巨体の周りには緑色のオーラを纏った
朱雀の化身が姿を現し、翼を大きく広げて
鬼達の姿を隠し続ける嵐のような渦を
一瞬で払拭したのです。
桜「ありがとうございます、朱雀さん♪」
鬼4「グウ“…ゥ???ア”ッア”ァ?!(焦)」
鬼2「%〆○*、ア”ア”ア”ァァァ!!!!!!」
風で煙を巻くように身を潜め
相手の有利に立ち回れていた鬼達だが、
桜がそれを消した事により
動揺を隠せないでいる鬼が半数近く居た。
けれど、風の中で斬撃を避け切り生き残ったものの
仲間を減らされた事で余計にやけくそになった鬼が
襲い掛かって来る。
マグマのような禍々しい弾幕を準備しながら
鬼達が足早に桜に接近し砲撃をかます。
それを桜は華麗に神剣で切り裂くと
近付き過ぎた鬼の体ごと後ろに控えていた鬼諸共、
同時に仕留め切ったのです。
桜「……やっぱり。。。
(これは私達、妖怪にとって
非常に大事な証明であるのと同時に
コレが無ければ、
どうしもないものが野良達には欠如している。
それは野良と化した彼らには、
細かな動力である妖力を全くと言っていい程…
扱えない代わりに妖気を妖力として補う事で
戦闘を可能にしている!!
本来、妖気はオーラを放出させて
自らの居場所を相手に知らせたり、
オーラを包み隠す程度で完全には消せない。
何の取り柄のない至ってシンプルな存在、
妖怪誰しもオーラを持ってこそ当たり前が故に
妖気を妖力に変換する事など
まず、あり得ないと認めている由縁からでしょう。
野良には、優れた知性を持ち合わせていない事から
[感覚だけで生きれている]節があって
枯渇する恐れのない妖力より妖気を選んだのかも。
そのお陰もあってか、野良が持つとされる妖気は
場所の特定がしやすい。
少しでも動いたりすれば、
相手の行動が読めるのは大きな利点ね!
逆に野良の足取りや物体などに付着した
微量の妖気だと発見するのは難しい。。。
だとしても今は、視界を遮るものが無くなった。
これなら群の所まで容赦なく踏み込める)
では、行きます。桜花風輪っ!!」
鬼1「ウ”グググゥッ!」
鬼3「ン“ン“ア”ア”ア”ァァァ!!!!!!」
甲高い遠吠えのような声を鬼が上げた時には、
桜が既に背後を取っており、かまいたちのように
首や胴部などの切り傷を付ける。
それはとても浅く……
でも、深くエグられた者から時間差で襲い掛かり
体が脆く朽ち果てていく。
平均的にも桜は身体能力が人より高く
敵の攻撃を縫うようにして避けては、
奇襲を仕掛けられる程の身軽さがある。
その動きは素早さだけでなく
細かな仕草や体の動かし方を熟知しており、
素早く剣を持ち替える事で
鬼の心臓部を深々と突き刺した。
鬼4「ア”アア”アア……ァァッ!!」
鬼2「ア“ッ、カ”カ“カ“ァ…(白目)」
鬼1「グウゥゥッ!?ア”ア〜ァァ”ァ”(汗)」
バッタバッタと倒されていく仲間や
砂になって散っていく仲間を見届ける事しか出来ず
次やられるのは自分だと、
待ち続けなければならない恐怖に
段々と蝕まれていったのだ。
それを今更、恐れたのか
そこから逃げ出してしまう鬼もチラホラおり
何の躊躇いもなく校舎に穴を空け侵入すると
声も残らず、その穴から血だけが返って来る。
紫陽「ふ〜〜ん。
桜の一世一代の舞台から逃げ出すとは、
それでも悪党共かな〜???
悪党は敵役らしく、もう少し戦かいなよ?
こっちだって久しぶりに招集されたかと思ったら
悪鬼の奇襲なんかに遭って
弱い癖に散々、足止めされた挙句、
転移術式に間に合わなかったんだから。
お陰でここに来るのに
徒歩で3・時・間・掛けて来たとしたら
こんな悪鬼より下のカス共の相手をやる始末さね。
いくら何でも見合って無いんだよね?
これじゃあ張り合いが出ないっては・な・し、
でさ〜アンタらの中で強い奴、呼んで来なよ?
そうすれば、考え直してあげるからさ♪」
そう言ったのは電気の付かない暗闇の中、
ショートボブで紫髪の女性が立っていた。。。
そこには血飛沫により染まった白い壁や
天井から惜しげもなく垂れる血の雨が滴り続け、
廊下の底が沈むくらいの血の海が広がっていたのだ。
自分から逃れようとした鬼達の対処に追い付けず、
手や足を動かして相手の妖術と鬼の排除に
一つ一つ丁寧に片付けては、
紫陽に申し訳程度に謝罪した。
桜「すみません、紫陽さん?!
私の不注意でお手数おかけしてしまって(焦)」
紫陽「あ〜大丈夫、大丈夫♪
別に桜を責めてる訳じゃないよ。
いや、こっちもね?
ちょっと相手の数も多少、多かったし
1匹ずつ倒すのも骨が折れるから
とっくに終わらせちゃったんだよね☆
もう暇で暇でさ〜
だから……遠慮なく私の所に送り込んで良いから
桜もキツかったら撤退してよ、分かった?」
桜「はいっ!」
少々、男勝りな口調が目立つ彼女は、
ボーイッシュな紫髪で智神と同じく毛先が
ピンク色のグラデーションメッシュがかかったていた。
黄緑色の瞳に映るのは、
砂とならなかった野良の腕や頭部、何らかの部位が
血の水位の上でプカプカと浮かんでいる。
桜(紫陽さんは、きっと弱い私を気遣って
逃げても良いとそう言ってくれたけど。。。
とはいえ、私…1人だけ今逃げても
紫陽さんに更なる迷惑が掛かるくらいなら
このまま黙って引き下がる事は出来ない!!
皆んなが、まだ戦っているのなら
私も最後までやり遂げたい!
戦場に出て危険だなんて百も承知だ。
私が護衛対象だから守られるのは当然……なんて
そんなの普通じゃないのに。
けど、やっぱり…皆んなに守られ続ける身としては
[弱い自分のままじゃいけない]ってやっと気付いた。
どんなに気付くのが遅れても、もう終わった事でも
逃げて来た自分を許す事なんて出来ない。
それでも私は、
その時の気持ちや苦しみも痛い程…分かるから
・・・これからは、ちゃんと向き合うよ。
そうしないと、私と皆んなに申し訳ないからね♪
それに、私が……この神剣を
貰ったのにだってきっと意味がある筈だから
これを授かった時、理事長はこんな事を言っていた)
回想・・・
桜「どうして…?どうして、、、
私の周りには、強い力を持った人が大勢居るのに
私には何も持ち合わせてないの??
こんなのあんまり……だよ(涙)
ねぇ、何が足りないの?
私が何を望めば、応えてくれるの?
・・・誰か〜教えて…よぉ(涙目)
私はただ皆んなの力になりたいだけなのに
前線にも立てず守られるばかりの身じゃ、
何の役にも立てない!!
どうして、皆んなを救う立場に居る筈なのに
こうも上手くいかないの?!
……変わりたいっ!何もかも変わって、
皆んなを救う力も…私には無かった戦う力を持って
出来る事なら助けたい、戦いたい。。。
だってそれが、
私が[鬼族]として生きる意味だから……っ!!」
すると桜のそんな嘆きの声を聞き付けたのか
地面にまで付く髪の長い白髪の女性が、
ケタケタと笑いながら手を差し伸べる。
鬼頭「ほぉ〜面白い事を言うな?
気に入ったぞ♪
ソナタのその揺るぎない決意に免じて
この神剣を値しようではないか。
えっ…?理事……長…なんですか???(桜)
ふん、そうよ♡」
そう当然のように不気味に笑い、
言って退ける理事長の姿に驚愕した。
普段の美人で優しい彼女からは想像が付かない
屈強で堅いが男性並みで黒灰色の肌を持つ
その姿は、とても悍ましかった。
桜の驚きように対し、
やけに見慣れているのか理事長は話を続ける。
鬼神「ソナタには、
[桜華神剣]という名の神剣を与えるのが筋じゃ♪
これがあれば、あなたがこの先………
悩ませる問題に直面した際、導いてくれる優れ物ぞ。
で、でも理事長…これは、流石にぃ〜(焦る桜)
良い、これは単なる私の趣味で収集した神剣を
贅沢に持て余していた所、
丁度、ソナタの声が聞こえて来たんじゃ。
でしたら……私は尚更、使えませんっ!(桜)
そう畏るでない、良いか○○よ?
神剣は神の世界…神界にしか存在しない。
それでも……いくら私達が神であろうと
神剣一つ一つには、
ちゃんと適正というものがある。
それを使えなければ、
ただの装飾品そのものになってしまう…だから
それに見合う者を私は探しているのです。
その中でも特に、○○にとって
優れた神剣の1つがコレだ。
・・・(桜)
桜華神剣という名は、ぴったりであろう?
きっと、この剣がソナタの強い意志に
必ずや答えてくれるでしょう♪
何度でも振るい……立ち上がるのです!!」
と桜の不安げな顔で
鬼神は頭をポンポンと優しく撫で下ろしながら
真っ黒な瞳で桜にそう微笑み返す。
回想終了・・・
桜「(何故、こんな私に預けたのか
未だに理事長の意図が分からない。。。
ですが、それでも[あなたの力に応えてくれる]
たったそれだけの…根拠のない事ですら
藁にもすがる思いで必死に抗った!
紫陽さんの稽古で
散々、振り回されて来た神剣だけど
今なら息を合わせられるくらいには、
形になったと思う。
[身の丈に合わない力は望まない!!]
だって使いこなせないと
コレを持つ資格が無くなってしまうから。
……今度は、私の手で皆んなを…守るんだっ!)
解放:桜華春来、寒緋桜の舞!!」
天高く突き上げた神剣を頭上に掲げ、
解放らしき詠唱を唱えると
元々、少なかった妖力が増幅され上限突破する事で
桜の周りには色鮮やかなピンク色のオーラを纏った。
鬼5「ウウ”ゥゥゥ」
目を細めて神剣の先を野良達に向けた途端、
桜の花びらが鬼の視界を彩り
呆気なく散っていく姿を見てまたも怯み出す。
ビビり散らかす鬼共の気にも止めず、
容赦なく背後を取って斬り付けたり
逆に相手が反撃して来ると
その攻撃を上手く剣で受け流し、
自分のものとして扱って意趣返しを実行。
妖力の上限突破をしたお陰か
ついさっきまで出来なかった不可能を
可能にする程、桜の身体能力が向上し、
地上戦のみならず空中戦などの戦闘にも容易だ。
鬼5「・・・」
次々と仲間達が、
桜の花びらと共に散っていく姿を
ただただ凝視するだけで攻撃も無く
桜もこの場に居ないものとして捉えているのか
仕掛けに来ない事からもこの鬼は特別異常だった。
バレエのような華やかなステップを踏んで
桜を咲かせながら桜の姿を目に収めると
ゴツゴツとした重い足をようやく踏み出す。
桜「(あれ?
私…って、こんなに動けたっけ??
コレが今の私に持てる最大限の力。。。
まるで、この神剣が意思を持って
私をここまで突き動かしてくれているかのようで
自然と足が出て思い描いた通りに動けるって
こんなにも……こんなにも楽しいんだ♪
す、ごい(驚)
これって神剣を持たなくても
いずれ、私にも出来るのかな!?出来る…よね?
だって私が今持てる力…なんだもの。
もっと、もっと自分の可能性に踏み込めるのなら
一歩でも長く、この景色を見ていたい☆)
桜花神術:戦姫一戦=舞華桜っ!」
外側だけのオーラだったのが、
全身を包み込むような広がり方をしていて
赤ピンク色の炎を纏って半覚醒化状態になった
桜の額には、桃色のアイシャドウと
鬼族特有の[赤い角]が生えていた。
常に人前では無関心な前の顔とは異なり、
凛とした顔付きで
少し大人びた印象を受ける程の貫禄ある
良い立ち振る舞いで剣技を散らす。
さっきまでの切れ味と打って変わって
相手の背後に回っては、
懐に入るスピードが格段に上がって
鬼を一瞬で真っ二つにする程の腕力もあり、
桜華神剣の真なる力を解放しつつあった。
鬼を切り裂くのと同時に、
白く淡いピンク色を中央に宿した桜の花びらが
飛び交い、混じり合う花々が美しく彩られ、
残すとこ最後の1匹となった鬼に刃を振るった。
スパンッ!!・・・
岩の体を持つ鬼を横一文字に斬った隙間には、
最後まで1人でやって退けた事への達成感からか
安堵の笑みが映り込んだ。
次の瞬間、桜は雲に隠れる太陽を目に
燃え上がる炎のオーラと角が消失した状態で
倒れ込んでいたのです。
桜「えっ?
今……なに、が…起こったの???」
ついさっきまでの出来事を思い返すも
どういった経緯で倒れたのか原因が掴めず、
頭が考える事を放棄するばかり。
何もかも理解が追い付かなかった桜は、
焦りと緊張に苛まれながらも
自力で立ち上がろうと地面に手を付けた所、
神剣が無い事に気が付き、慌てて周囲を確認した。
すると、桜から少し離れた場所に
神剣が屋上に突き刺さっているのが見えた。
桜「あんな……所にっ?!
(でも、まだ視界に収まるくらいの距離に
落ちてるだけでも運の尽き!
あそこなら…神剣を速やかに回収して
紫陽さんと合流、
それから他の先輩方の援護に向う。
そうすれば、神剣を持った今の私にも
何か手伝える事がある筈だから)」
そう思い立った桜は膝を曲げて
地面に付けていた手に力を込めた。
今にも崩れかけそうな重い腰を上げ、
多少、フラ付くも
何とか自力で立ち上がる事に成功する。
ゆっくりと歩みを進めるも片足を引きずって
桜は、突き刺さっている神剣しか見ておらず
他の事はそっち退けにした事が仇となり、
突如として腹部に激痛が走り再び後ろへ逆戻りだ。
桜「ハッ……ぁあっ?!(汗)
な、何…よ?さっきから、、さっきから
何も居ないじゃない。
(私の目の前には確かに誰も居ない筈……なのに、
視覚じゃ捉えられない何かがここに居る!
でも私の体は、
もう…とっくに限界を迎えているというのに
こんな……こんな訳も分からない所で人知れず、
消える事なんて絶対に許されない!!
それ…でも、それでも……
私は強くなりたいのっ!
皆んなを守れるような…そんな力が、
欲張ってでも欲しいものが私にはあるの!!
何も出来ないから……何の取り柄もないから
何か出来ないか必死に模索して
やっと神剣の借り物の力に頼って
今日、やっと半覚醒化まで辿り着いたの。
覚醒の扉に無理矢理にでも捻じ曲げたら
必ず代償があるのも知った上で私は受け入れた。
いつもなら必死になって止めてくれる
神子さんは居ないから
普段の倍も無理してでも大きく踏み込めた。
私が私である限り、何度だって!!
だから…まだ、ここで手を引く訳にはいかない)
出て来なさい!
そこに居るのは、
野良の鬼の中でもリーダー格的存在………
透明だかカメレオンだか知らないけど、
あなたの力はただの小細工。
野良になる生前の能力は受け継がれないから
誰か私達の知らない強力な助っ人が、
そっちに付いていると仮定するのなら
その人に与えられた力なんでしょ?!
貰い物の力を安易に相手に晒すなんて素人以下、
認識できない事を良い事に
一体、何がしたいのかしら??(汗)」
鋭い眼光を神剣方向に目線を合わせて見ると
神剣以外は微かながら揺らいでおり
それが段々と酔うように歪みまくる空気から一変、
桜の予想を遥かに上回る対象が露わとなる。
存在ごと消していた力の正体は、
桜の推測通りカメレオンで当たっていたのだが
何とそのリーダー格的存在は、
鬼の要素が微塵も感じられない人型でかつ
頭から足先まで真っ黒い体に
腕には白い模様が入っていたりと
不思議な体を持っていたのです。
その鬼が桜の目の前まで接近した途端、
鼻を刺すような腐敗臭がして間一髪の所で避け切り
それでも剣のように乱暴に振るって来る拳、
四方から肌にチクチクと刺さる鋭い視線、
どんどん身動きが取れずに追い込まれていく。
桜「……っ?!
(だ…めぇ!上手く、動けないぃ。。。
相手の攻撃が来る度に避け続ける事だけで手一杯、
まるで私に反撃の隙を与えないように。
そんな事よりあの人型の威力が格段に上がって
放たれる度にさっきまで無かった風圧が遅れて
やって来るもんだから油断すれば、
体勢が一気に崩れそうでかなりキツい(汗)
それに重いし、早ぃい!!全部は、防げない。
……っ!
え、な…何ぃ?
この威圧感でもない重圧感のある重苦しい視線、
大勢の人達が私を……見てる?!
でも、周りには誰も私がさっき全員倒したんだから
生きてる筈が無い……のにぃ!!
嫌だ、何これ??
寒気が止まらない、足が重ぃい!
体から血が抜けていくみたいな脱力感、
体が…言う事を効かない!?
あ、あれ?
私ぃ……わた、しに今…何が起きてるの?)」
真っ暗闇な空間に1人ポツリと残された桜は、
真っ白な半人と相対しながらも
赤黒く光る目の縁や瞼、変わった目が
桜の姿を捉え続ける。
見られる度に力は落ち、逆に相手の力は増し
押され気味だった桜の目には、
いつもの綺麗なエメラルドグリーンの瞳と違って
赤く発光した瞳に染まっていたのです。
これは主に相手から発せられた重圧感に
耐え切れず、その影響を受けた時に現れる症状で
極度なプレッシャー、不安や恐怖心を煽られ
精神的なダメージを引き起こすものである。
これが引き金となり、
桜はどんどん追い込まれていく。
桜「(な、な”によ?何なのよ!!
私を見ないで(焦)
こっちに来ないで、誰も何もかも私を見るなっ!
い、やだ。怖い……怖ぃ、怖いぃ。。。
誰か…誰かぁ………(涙)
ニ ん縺偵sは”…排joすル!!!!!!(鬼)
……っ、近付かないでよ!!(汗)」
今まで言葉を発さなかった人型の鬼が口を開き、
桜の懐へ果敢に攻め入られる事に思わず
神剣を持たずして手刀の斬撃が放たれる。
が、それも虚しく鬼の強靭的な肉体により
斬撃は左右に引き裂かれ散ってしまった。
その異常性からか
一度、相手から距離を取ろうとした桜に向かって
喰らい付くかのように恐ろしい形相で牙を剥き出す。
鬼「クカ”ッッッ!!!!!!」
桜「……あっ………」
鬼の前では逃げ回る事しか出来ない所まで
制限されてしまった桜に威嚇した次の瞬間、
後ろに下がっていた足が段差に引っ掛かり
半身に衝撃が走る。
その弾みからか精神干渉が解かれ、
桜の瞳は元通りになったものの
差し迫った恐怖だけは確かだった。
鬼「オ”ワ リ…ダァ、ニ ンg…ン”ンン!!」
桜「……っ!(焦))」
顔を背け反射的に目を瞑り、
暗闇の中で次に桜の耳に届いたのは
ジュジンッッッ!!!………ヂヂヂヂ。
何かが引き裂かれるようなグロい音、そして
[ギィヤア”ア”ア”ア”ア”アアア!!!!!!]
と甲高い断末魔の声が聞こえる。
いくら耳を押さえても
耳の中にこびり付いた音が脳裏に
響き渡る程のけたたましいサイレンのようで
重くのし掛かった瞼を開けると
そこには、鬼の頭部と心臓が上から貫かれた姿で
[ギェッ……ェエ”ッ、イ”…イェ”ェ”ェェ!]
と薄気味悪い奇声を上げながら
人型から奇怪な怪物へとジュボジュボと蠢き
しばらく痙攣した後、ようやく体は砂となり
クジラのように膨らんだ異形な頭部だけを残して
消え去ってったのだ。
桜「終わった?……やっと、終わったんだ(汗)
なん、だったの???アレ。。。
ハッ!!そうだ、さっきの…!さっきのは!?」
と目の前の生命体が何だったのか夢だったのか
ぼんやりとした記憶を働かせた中で
奇怪な怪物の急所と思われる核を撃ち抜き
桜の窮地を救った誰かがまだ近くに居るのではと
慌てて辺りを確認した。
すると、桜の視界にギリギリ収まらなかった距離で
紅桔梗の髪をチラ付かせた人影が、
校舎と体育館を繋ぐ渡り廊下の上から倒れる形で
姿を眩ましていた。
桜「……うーん、居ない。。。一体、誰が??」
紫陽「おーい、桜〜〜無事っ?!
なんか上から物凄い音が聞こえたんだけど、
上で何かあった??(焦)」
桜「あ、えっと………
(とりあえず、さっきの事は忘れて
あの奇形な怪物についての報告を
会議の時にでも皆さんに話しておけば良いよね)
私は、無事です!!紫陽さんの方は?」
紫陽「あ〜私はもうとっくに片付いてるさね。
ちょっと智神の指示で
不審な人物が彷徨いて居ないか
確認して欲しいって指示されちゃったから
持ち場を離れて、ついさっきまで捜索してたんだ。
それで、どうなさったのですか??(桜)
別に?な〜んにも無かったよ。
ここに着いてからといい、
私は校舎内を隈なく見て回ったけど
その時と変わらず特に物が落ちてたり、
物の配置が変わった様子も見られないしで
無駄足だったような気もするよ。
まぁ、でも桜が無事で良かった良かった♪
一時は、[あの大きな音]の影響で
桜が危機的状態に晒されてたら
行動を共にしていた私の責任にも成り兼ん。
いや〜危ない危ない(汗)
これで智神と神子にお然りを受けずに済む。
えぇーと、それはどうかな。。。(苦笑いの桜)
んっ???どゆこと?」
桜「まっ、まぁまぁ(焦)
紫陽さんが聞いたその大きな音が何かは、
私には分かりませんが一度、久龍先輩と合流して
それから……」
紫陽「そうだね。
こんな所で無駄口を叩いてたら
それこそ逆に何言われるか分かんないし、
まだ応援が必要な場所に向かわないと。
…てぇ、言いたい所だけど
そろそろ仕舞いだろうねぇ〜(笑)
・・・。
ん?お〜い、桜〜?……さくっ!桜!!!」
急に上からの応答が無くなった事に
気が付いた紫陽が廊下の天井に空いた穴から
顔を出すとそこには体力の限界が来た桜が、
うつ伏せの状態で倒れ込んでいたのです。
よっぽど無理をして
ここまで立って居られた事が伺える程に
体には無数の痛々しい傷があった。
紫陽「はぁ〜あ、限界か。
私も一度で良いから
力尽きるまで最後まで戦ってみたいわぁ♪
ピピピピ・・・・
噂をすれば、ようやく終了の合図ね」
阿良々木「全隊員に告ぐ!!
先程、パターンA部隊の活躍により
今回の主犯格と思われる敵の大将の討伐に成功した。
全員、よくやってくれた!
短い間だったが被害を最小限に抑えてくれた事、
心より感謝する。
無事、避難できた生徒達の確認を取ってくれた
先生方から怪我人が多数寄せられている。
誰か王立病院への救護を頼みたい。
それについては、閻魔騎士が引き継ぎます(雄鬼)
そうして貰えると助かる、牧原くん。
それから生徒達への聞き込みは
大分、出揃ってはいるが
結界が破られた原因とその後の事も
念の為、聞き漏らしが無いか何人かで
避難所へ行って先生方に聞いて来て欲しい」
智神「では、それには
龍生ペアと仁獣ペアが向かいます。
もう少し頑張れますね?」
麟「は、はい!勿論です(焦)」
紫陽「ちょ、ちょっと勝手に決めn…!」
阿良々木「有難い、それじゃあ久龍達に頼もう。
それが終わり次第、
生徒達は開放しても良いだろう。
今回の襲撃事件は、
どうも一筋縄じゃ行かなそうなんだ。
何せ不可解な点が多過ぎる。
非常に言い難い事だが今夜も夜中まで続く
だけど、休みたい者は無理に出席する必要はない。
戦場での闘い、本当にご苦労だった。
あと負傷者については各自で確認を取るように、
話は以上だ。
ピポン!!・・・・
紫陽「・・・ッ。
あぁ〜もう!
久龍の奴、後でタダじゃ置かないんだから
これで4件目よ!?
まだ提出してないレポートも
記入しないといけないのに更に上乗せされて、
やる事は山積みぃ!!
さ〜く〜〜〜らも起きて、手伝ってよ!!!!!!」
1時間後・・・
まだ夕暮れ時のピンク色の空になる前、
怪しげな雲が校舎上に寄せ集められた現象に
先程の青い空の面影は無かった。
波打ち際のような静けさに
全てが終わったと思い始めてからは、
やっと時間が進んだ気がした。
体育館横では、いくつもの怪我人が横たわっている。
その中でもつい先程、
治療を終えた1人の生徒が上体を起こしたまま
ボーッとした様子でどこかを見つめていた。
それは、校庭で餓鬼との激戦を繰り広げて
誠也の助力もあって勝利した日向が
次に目覚めたのは、
戦闘が既に終結した後の事だった。
鬼塚の指示で
体育館横へ待機するよう介護までしてくれて
日向が治療を受けるのを見届ける。
それが終わると
先生は、重症患者の元へと駆け寄り
搬送される生徒の救護に徹した。
それを横目に日向は、
未だ保健室の奥で眠ったままの千秋を
心配しながら窓を眺めて
癒えた筈の肩をずっと離さずにいた。
その窓のカーテンの端からこちらを見つめる人影、
靴箱の玄関口からは奏太が出て来て
日向を見つけた時の微かな喜びから一転し、
物凄い形相で目をかっぴらいた奏太が
必死になって手を出す。
でも、その行動も虚しく
2人の間を引き裂くように上から割って入って来た。
ドゴオォォォーーン!!!!!!・・・
地面が砕け散る音と砂埃が舞っていて
煙の中から誠也が体育館で対峙した鬼4が、
再び蘇ったかのような現れ方で
俯いた目には、どこか呆れていた様子だった。
日向(はぁ〜……今日は、本当にツイていない日だ。
全く、千秋の飢餓状態が起こらなければ
もっと慎重に進められた筈だったのに。
こんな事なら一層の事、
何も知らない内にやられてた方がずっと良い)
と何もかも諦めた様子の日向はどこか達観していて
不思議と落ち着いており、
その上、妖力の有った時なら対処できていただろう。
だが、その武器も今では持ち合わせてもいないし
逃げても間に合わないと悟っての行動かもしれない。
目の前の光景に対し、
神妙な面持ちで顔を上げようとした途端、
日向の細やかな覚悟を真っ向から否定する形で
鬼が動くよりも前に再び何者かが、
天高くから真一文字に斬り裂いたのです。
斬り裂くのと同時に青白い光の柱が立ち上がり、
しかも一撃で倒したのは久龍で
何かを追って日向が居るその場を後にした。
日向「・・・(驚)」
あまりにも一瞬の出来事過ぎて
驚きと動揺が混在しつつも智神が来る数秒前に
玄関口の方から奏太の声が聞こえたのを思い出す。
そこに目を向けると立ち止まっていた奏太が、
目を丸くさせながらこう言った。
奏太「日向っ!
さっきの大丈夫だったか?!
え?まぁ、久龍先輩が助けてくれたから(日向)
はぁ〜…それなら良かったぁ(汗)
平気。かな……あっ(日向)
日向っ!?」
なんの気なしに立ち上がった日向は、
不意に足の力が抜けて倒れ込んでしまう。
地面スレスレに倒れる日向を助けるべく
奏太が脚に妖力を瞬間集約させた事で
日向を無事、救い上げたのです。
奏太「日向っ!!
ん、んん……ん?奏太??あれ、僕(日向)
妖力が[かつかつ]じゃねぇか。。。
流石に日向、もう…ゆっくり休め」
日向「……う、うぅん。ごめん、かな…た」
小刻みに震える日向の振動が、
奏太の腕を伝う程の揺れ具合だった。
顔の血色も悪く、手がとても冷たい表情からも
妖力がそこを尽きる寸前の妖怪は、
しばらくの間…傀儡のような状態と化する。
尚、自我はあるものの体の自由が効かず、
動く事も出来ないのが3日も続く。
奏太「・・・。
日向をこんなになるまでさせた[アイツ]を
俺は絶対に許さない。絶対に、だっ!(怒)」
と千秋への怒りがあまりに膨らんでしまい、
色々な恨みが錯綜し
遂には、餓鬼への態度を180°変えると
心に強く決めた瞬間だったのだ。
真夜中の学校にて・・・
場面は変わり、薄黄色みある白い真ん丸お月様が
黒い塊の雲に隠れて校内が真暗と化した時の事。
2階の控え室前で
紫色の光の柱が一点に差し光っており、
そこから何やら声が聞こえて来たのだ。
???「縺薙%ハ 縺ゥコ、縺?
な縺、ォレ縺ッマダ生きて イる??
ワカッらない、分か らナィが……ガッこウか
縺薙lは%又とない、チャンスだ!
あれから ドノクライの時ノが経ったのカは
知らないがこれで、よ…やく。。。
蠕ゥ隶 が出来る!
……???
ナン ダ、どうして<蜍輔¢ ない?
と言うヨりかは、
ここカラ 離れられないカ”正しいか。
%*〆○€!!!!!!(鬼4)
はぁ?
グク”ウア”ア”ァァァァ!!!(鬼3)
な、何なんだよ?!どういう状況だぁ、これ!」
[彼]と思しき人物は人の形を模しておらず、
火の悪魔のような恐ろしい顔付きで
言語もままならなかった彼が次第に
言葉を取り戻し始めた矢先、
鬼の群勢に囲まれていたのです。
どこからどう見ても蠢めく鬼達に圧倒され、
厳)つい表情からみるみる内に弱々しく青ざめた顔で
その場に縮こまる。
殲滅した数の倍以上に湧き出ていて
たった1人に対し威嚇され、
訳の分からない言語で罵られ、
極め付けにはガンを飛ばして睨み付けられるという
不幸な3連発を浴びた。
ただ不思議な事に
彼らは、その行為をひたすら繰り返すだけで
襲う訳もなくそれ以上、近付いても来ない。
とても奇妙な状態だった。。。
それでも何もして来ないのも可笑しな話で
鬼達の姿が幻覚のように何重にも分かれ、
視界はボヤけ歪み揺れる彼の目に
恐怖を抱かずには居られなかった。
そんな彼の絶体絶命の窮地を救ったか否か
コツコツ…コツと廊下で響く靴の音を聞いた
鬼達の動きが止まって
その音は彼の脳裏にまでこびり付く。
徐々にボヤけた視界が澄んでいく所で
ここからかなり離れた曲がり角の向こう側に
火の玉が泳いで来る。
そこから爆発的に火の玉が流れ星並みに
廊下に漏れ出て目が眩んでしまう程に眩しかった。
次に目を開けた時には、
さっきまでの灯りが嘘かのように周りは暗がり
鬼の群勢は1箇所だけ空間が空いていた。
そこには、あの結界を破る前にヌシと密談していた
黒い猫頭巾を首元まで深く被り、
グレーのワンピースを身に付けた女性の姿が
ひっそりとあった。
彼「うわあああぁぁぁぁ!?!!!!(大声)
だ、だぁだぁ……誰だっ!!」
女性「・・・。
死者は21人と聞いていた筈ですが、
この方だけ…どこからか迷い込んでしまったのね。
€%*○$〆、Q%○€*〆%$○*€(鬼4)
まぁ、そうなの?
それは災難でしたね、可哀想な殿方。。。」
彼(か、彼らの言っている事が分かるのか?!)
女性「えぇ、まぁ。
というより彼らは、
元はあなた達と同じ妖怪ですから
姿形が変わっているだけで善良な方々ですよ♪」
彼「(へ、へぇ~俺らと同じ妖怪。。。妖怪!?
え?はぁ?!てか、俺の声が聞こえてるだと(汗)
何かおかしいでしょうか?(女性)
い、いや……別に。便利な能力だなって
俺なら相手の心が読めたら
相手が恐れてる通りに痛ぶって
めちゃくちゃにしてやれたかもしれないのに!!」
女性「あら、素晴らしいお考え方ですね。
今まで私はこの力に苦しめられて来たので
正直、良い気はしませんでしたが
その意義について考えた事も無かったです♡
自分のやりたいようにやる、
ポジティブに行動できるなんて
力を差し上げたいぐらいです」
彼「でも…もう俺は無理なんすよ。
・・・ふん♪どうしてですか?(女性)
だって俺は、、俺は何も出来ずに何も残せずに
この世を去った。追い出されたんです。
俺の行いが誰かの怒りに
でも触れた…から終わらされた。
もっと色んな事、バカやってやりたかったですよ。
心残りがあるんですか?(女性)
そりゃありますよ!
……けど、もう終わった事を
どうこう言う資格なんて俺にはある筈が無い。
だから、もう良いんです。もうっ!!」
と彼のそんな言動に対し、
女性は似つかわしくない不適な笑みを浮かべて
こう尋ねた。
女性「じゃあ、もし…もしてすよ。。。
この世に留まる事が出来たら、生きれるとしたら
まず最初にあなたは、何をしますか?
それは……どういう意味です(彼)
そのまま意味です♡
希望を抱くのは嫌ですか?
当たり前だ、そんな夢物語がある筈が!(彼)
でも…いつまでも、
こんな所に留まり切れるとは限りませんよ?
失礼ですが、あなたは[ここで]亡くなってから
随分と時間が経っている……そんな方が、
このまま居座る事もましてや
霊界や地獄からも追い出される対象です。
・・・(彼)
そこで、私から妙案があります♪
死者が現世に残り続けられると[私]が困りまして
本来、死ぬ筈の無かった方が亡き者にされると
直接現地へ行って確認する必要があったので
丁度、良かったのですが。。。
この学校の結界が、
どうも私を通してくれないようでしたので
生者への恨み辛みが深かった野良達の気を
まとめて利用させて貰いました♡
ただあなたの残留思念が校舎内に無ければ、
21人もの死者が出ずに済んだかもしれない。
その責任を払う覚悟が貴方にありまして♪
俺のせいだって言いたいのかよっ!?(彼)
だから、貴方に今から選択肢を設けます。
・このまま行き場を失い孤独に彷徨うか、
・私の僕として仕えるか、
・死者となった彼らを……生かすか」
ドクンッ!!!・・・
彼「(…はぁ?
何で、何っでぇ…俺の代わりに別の奴らが、
俺を蔑ろにしてのうのうと生きるんだぁ?
な んで、俺だけが残されて
亡き者として扱われなくちゃいけないんだぁ?
おかしい、可笑しい、縺翫°しぃ、縺翫°縺励>!)
ソ繧薙↑モノ、ォレ カ”螢翫@縺ヲヤらァァァ」
女性「お気に召したでしょうか?」
狂った笑みで狂った思想に走り始めた途端、
言語能力が徐々に聞き取りづらくなる所から
彼女の問い掛けを聞いて
ニタニタと笑いながらこう言った。
彼「・・・ア”ァ、決めたよぉ(笑)
アンタの下に付くのも癪だが、
アンタの言い分的に
この俺に特別な報酬があるんだよなァ?
えぇ、勿論。。。(女性)
ハッ!それなら文句ねぇよ。
保険はあった方がより効率的に動けるし、
いざって時の抵抗は必要不可欠だしなァ(笑)」
女性「うふふ♪
でしたら、この際ですから手続きしましょうか?
きっと貴方も……気に入りますよ♡」
バチン!!・・・
彼(俺はこの時、
ここで何が起きたのか覚えていない。
折角、俺の記念すべき蠕ゥ隶ライフが
ようやく始まるんだと意気揚々としていたのに。
けど、何故だろうか?
1つだけ今でも鮮明に覚えている事がある。
それが……)
数分前・・・
女性の顔が炎の灯火に照らされて
フードの暗さで目元が隠れている。
真っ赤に燃え盛る炎の中で
人影のような黒いものが膨張したり、
火に熱される度に縮んだりを繰り返す。
そう、これが彼の変わり果てた姿だった。
彼のそんな姿を見ても彼女は一切動じておらず、
むしろ真顔で無言で
ゴミを見るような目で口の端がクイッと上がる。
女性「貴方のお相手は、身近に居ます。
未練や恨み、憎しみがまだこの世にあるのなら
その方を見つけ出して下さい♡
それをどうするかは、貴方次第です。
でも…まぁ……そうですね。
まずは、私の力に耐えられればの話ですが?
うふふ…あは~は~は♪」
彼(あの顔、俺には何となく分かる気がする。
誰にも理解されない、見向きもされない人生に
生きる意味が湧いて来ない……孤独さ。
それでも…やっと掴んだ生きる意味に辿り着く
[だったら大勢の他人を巻き込んで
それらを全部、自分のものとして
取り入れてしまえば、良いとそう思ったんだろう。
だって彼女の顔は、
[復讐]に華を咲かせた狂気で満ち溢れていたのだから)
クラスの評価基準コーナー!!
SSクラス・・・(例:久龍)
圧倒的な力を有し、
相手を捩じ伏せる事も造作もない。
敵に死への恐怖を植え付ける事なく
終わらせられる。
(植え付けてから排除する場合、
その人は本来の力を
発揮してすら至っていない)
Sクラス・・・(例:誠也)
自分より強大な相手だろうが、
戦い方一つで流れを変える。
不可能を可能にさせる程、
自由が効く。
Aクラス・・・(例:紅葉)
平均値または、平均よりちょい上。
Bクラス・・・(例:日向)
頑張ってやっと
平均ぐらいに追い付ける。
Cクラス・・・(例:奏太)
自分の立場を理解して割り切れる。
Dクラス・・・(例:陸)
時間はいくらでも掛かるけど
努力をすれば、
少しは報われる事がある。
Eクラス・・・
努力はするが、
それに見合った成果は出せていない。




