表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Y・Hファイル  作者: 白百合リーフ
林堂 友理サイド
20/29

第20話 「銀行強盗(前編)」

夏休み最週日8月27日、事件が起きた日・・・

どこかの建物の上に立っている

見知らぬ男女が街を見下ろす後ろ姿があった。

その人達が見ているのは、

公園の遊具で遊んだり

公園までかけっこをする子供達や

困っている人を助け合う大人達の姿があった。


女の子「次、あの遊具で遊ぼう!!」

女の子2「良いね!

じゃあ1番、最初にブランコに着いた人が

先に乗ろう♪」

女の子3「わぁ〜!?待ってよ、ズルい(焦)」


男の子「なぁ、なぁ?

あんまり遅いといつもの公園、

また女子達に占領されるぞ(汗)」

男の子2「うーん、それもそうだな。

じゃあさ!!

ここからあの公園まで競争しようぜ☆

その公園に女子達が先に居たら

ビリの奴が、交渉するっていうのは!」

男の子3「良いな♪

それ言ったら、もう走ったもん勝ちっしょ☆」

男の子4「えっ!?ま、待ってよ(焦)」

男の子「ズリぃぞ、アキラ。俺も!!」


お婆さん「はぁ〜……

今日は、いつもより荷物が重い(汗)

旦那に来て貰おうかねぇ」

男性「あの〜家まで…手伝いましょうか?

かなり重そうな感じがしたので」

お婆さん「あら、助かります。

けど、これから仕事に行く途中じゃないのかい?」

男性「まぁ、確かにそうですがぁ〜………

困ってる人を放っておく事が、

出来ない主義でして♪(照)」

お婆さん「あらまぁ〜♡

じゃあ、私の家まで運んで貰えるかい?」

男性「はいっ!任せて下さい」


そんな光景を見ていた藍色髪の大柄な男性が、

深紫(こきむらさき)色の長髪が(なび)く女性にこう問い掛けた。

???「本当に……今日、やるんですね?

今ではすっかり平和になってしまったこの街で(汗)」

???「そうですね。

ですが、私にはもう……どう足掻いても

この世界で認識されない存在、

少し…あの子達が羨ましいです。

価値がある存在だからこそ、認識されるだけ。

思い残す事があるとしたら………

それは、[今日]だと思います。

ですから…あなたに覚悟が無ければ、

今すぐ辞退しても構いません。

だってこれは〜私が全て()いた種、

あなたの事をずっと利用してきたのですから。

辞退する権利くらいえらば……

そういう訳にはいかない!!(男性)

……っ!そう。

あなたもとっくに覚悟が出来ていたんですね。

どこまでも俺は、あなたの側にいます!(男性)

………ありがとう♪

(今から始める。

私達の事を……いえ、私の事を

この国で[認知]される日が。

その為なら私は、何だってします!!)」


午前11時半頃・・・

三多田市の伊川郵便局に用があった友理は、

銀行の前を通った所で蘭と鉢合わせた。

お互い驚きながらも会話を交わし始める。

友理「鈴木先輩っ!?

友理ちゃん、どうしてここにっ!(蘭)

えっと〜私は、郵便局にちょっと小包の郵送をしに

通り掛かっただけで(汗)」

と緑色の持ち手に白い手提げを肩に下げ、

中に入っている茶色の小包がチラッとだけ見える。

蘭「あぁ〜なるほどね!!そういう事か。

それでそれで♪

その小包は、どこへ送るつもりなのかな〜?」

友理「えっ!あ〜いや…その〜………(目が泳ぐ)

これは前、住んでた親友の家にぃ〜

と、所で先輩は何しにここへ?!(焦)」

蘭「えぇ〜教えてくれないの友理ちゃんのケチ、

まぁ良いけど☆

私は、銀行にお金を下ろしに来たの♪

ここに来る前は、加賀江市にある図書館で

誠也と一緒に夏休みのレポートをしてた所なんだ。

全く、合宿が終わればやるって言ってたのに

全然…やらないんだから(ムッ!)」

友理「そ、そうだったんですね。

お疲れ様です(汗)

というよりこの街に図書館があるなんて

初めて知りました。

加賀江市って学校の隣にある市ですよね?」

蘭「そうなの♪

友理ちゃんは仁川市に住んでるから

知らなくて当然だと思うよ!!

あれ?それ聞くとなんか頭痛が〜……(友理)

大丈夫???うーん。

じゃあじゃあ友理ちゃんも後で一緒に来ない!

あ、でも私…雪乃さんと遊ぶ約束が………(友理)

それじゃあ雫ちゃんも交えて一緒に行きましょ」

友理「えっ!?えぇーーー!!」


郵便局にて・・・

友理「あの、すみません。

この荷物を送りたいのですが〜(汗)」

と受付の人に小包を取り出すとその表面(おもてめん)には

[新潟県大賀市の平安(ひらやす)台、大江(おおえ) 御岐子(みきこ)様]

と記載されている物を手元に出した。

受付の人「それでは、お送りする荷物のご確認を

致しますので少々…お待ち下さい」

と荷物の伝票を念入りに確認した後、

友理の顔を見て女性はこう言った。

「・・・はい、これならお届けが可能ですので

お荷物の方はお預かり致しますね!!」

友理「あ、はい。お願いします♪

(郵便局を出て隣の銀行へ入る)

えっと〜先輩はー………あれ?居ない。

おかしいな???

うーん、あっ!居た居た」

と友理の目線の先には

観葉植物の横にある長椅子に座っていた

蘭の姿を見つけて隣で話し掛けながら座った。

友理「鈴木先輩は、もうお金下ろし終えたんですか?

すみません、お待たせしてしまって!!(汗)」

蘭「あら?

友理ちゃんは、無事に終わったのね♪

私は、まだお金を下ろせてはいないの。

え、どうしてですか?(友理)

少し機械の調子が悪いようで1つが修理中みたいで

隣の機械は、見ての通り行列でねぇ〜(苦笑い)」

友理「あっ、ホントだ?!

昼間なのに…こんなに沢山っ!?」

蘭「この地域だと銀行と郵便局がここだけなの。

だから皆んな〜………」

と入り口に届くぐらいのATMの行列になっており、

外から来た客同士が邪魔にならない程度で

並んでいる。


友理「あぁー確かにあまり見掛けませんね!

深沢市は、逆に身近に有り過ぎたせいか

それが普通とばかり思ってました(汗)」

蘭「そう、だから銀行と郵便局が開く頃には

それはもう〜長蛇の列でね!!

私も初めて見た時は、驚いちゃった♪」

とやけにリラックスした蘭の雰囲気を見て

少し疑問に思いつつも友理は聞く事ではないと

判断し、特に話さなかった。

しばらく経ってもATMの行列は途絶える事なく

お客は増え続け逆に心配になりソワソワし始める。

友理「あの〜先輩…(焦)

行列が一向に減る気配が無い気がして来たのですが

流石に並んだ方が早いのでは……と(汗)」

蘭「んっ?

まぁまぁ、少し多いだけでそう急がないの♪

きっと大丈夫だから気長に待ちましょう♡」

友理「そ、そうですか???

うーん、では少し待ってみます!

(絶対に鈴木先輩のATMが終わり次第、

すぐそっちに駆け付けるからね、雪乃さん!!)」

そう意気込んだ友理は、固く決心したのだった。


1時間後・・・

死んだ魚の目をする友理は、

とうとう我慢の限界が来たようで

蘭を再び、説得する事になった。

友理「やっぱりおかしいです!

先輩、ATMの行列が一向に変わりません(汗)

私は一刻も早く待ち合わせ場所に行かないと

雪乃さんがまともに話を聞かなくなっちゃいます(焦)

鈴木先輩も早めに図書館に戻らないと

駄目なんですよね?!

隣の市まで行くのに

片道20分くらいは、平気で掛かりますから

今すぐにでも並べば早く終わりますよ!!」

と椅子から立ち上がりながら

一応、小声で訴えている友理、

その言葉に気付いたのか蘭は少し遅れて反応した。

蘭「・・・はぁ〜あ(あくび)

おはよう、友理ちゃん。

あれ?私……今、どこに居るんだっけ???

えっ???(点目になる友理)

うーーーん。はぁ〜…そうだ。

私、朝から誠也のレポート付きっきりで見てて

ATMの故障待ち時間だけでも

少し休めればと思って椅子に座って待ってたら

何だかウトウトして来ちゃってぇ〜

友理ちゃんと何か話したのは覚えてるんだけど

その後、すぐに寝落ちしたんだった。

へっ?(点目をパチパチする友理)

う〜そぉ?!

あと、少しで1時になるじゃない(焦)

これじゃあ誠也がまた図書館から逃亡しちゃう。

どうして起こしてくれなかったの友理ちゃん!」

とピーピー騒ぎ始める蘭に対して

頭が追い付かないでいた友理は、

どういう状況だったなのか

再度、尋ねてみる事にした。

友理「えっ、はぁ?どういう事???

じゃあ先輩はこの椅子に座ってからずっと!?

え、えぇ〜?そうだと思うけど………(蘭)

あっ……あっ、そんなぁ〜(涙目パタリ)」

蘭「んんっ?」

と点目な顔に頭の上には花が咲いており、

頬に手を当てる蘭であった。


ATMに並んで数十分後・・・

友理「はぁ〜………やっとここまで来れた。

雪乃さんになんて説明しよう(汗)

まぁまぁ、そのまま話せばきっと良いわよ♪(蘭)

(ジト目)……全部、先輩のせいですからね。

えっ?!反抗期なの友理ちゃん!?(蘭)

違います!!」

と話している内にやっとATMの最前列まで近付き、

少し安堵してから前の人が立ち去る際に

銀行の中央部分に突如として

受付前に現れた大柄な男性が現れたのだ。

その男性の顔には黒い狐面を付けており、

妖術を天井へと発砲させると力強くこう言った。

男性「動くな!!!!!!

この場に居る全員に告ぐ、命が惜しければ

俺様の言う事を大人しく聞きやがれ!

銀行員はその場で待機し、

無関係な奴だけは今すぐに立ち去るのだ!!

きゃー!?強盗よ(パニくる女性)

おい、マジかよ(汗)早く逃げようぜ(他の男性)

ジーッ………お前らは、逃げないのか?」

と大柄な男性は慌てふためくお客達の内、

逃げずにその場から動かないで居た2人に

黒い人魂を向ける。

男性「ふん、大人しく逃げていれば

良いものを……まぁ、良いだろう♪

逃げないならお望み通り、

俺様の人質になって貰おうかお嬢さん方」

と言って男性の周りに黒い人魂を発動させながら

蘭達を銀行の中央へ誘導し、

柱へと移動させていると同時にシャッターが

閉まる音がし銀行員の人がボタンを押したのだ。

両手をあげつつも外の様子と中の様子を

分担し周りを観察する2人。

男性「ここに座ってろ、2人のどちらかが

片方の腕を黒妖縄(こくようなわ)で縛り上げる。

縛り終えたら俺に言え、良いな?」

と先程の脅し口調とは違い、男性は優しい声で2人に接し

後ろの人魂をそのまま発動しながら

受付に居る銀行員に話し掛け、

背中を平気で向け隙だらけな男だった。

友理の手首に妖力で作り出した黒い縄に

糸を加えて解きやすいように結ぶ。


友理「あ、あの〜……鈴木先輩(汗)」

蘭「(えっ、何がどうなっているの?

本当の銀行強盗の犯人なら、もう少し威圧的で

動けない人質だとしても

もっとピリ付いてて警戒する筈なのに

計画の全部が穴だらけじゃない?!

今までの犯人だったらシャッターを閉められれば

怒鳴る所をあっさりと閉じられるても

騒ぐ事すらもしないだなんて。

一体…彼の目的は!?

いいえ、それは今じゃ関係ない!

犯罪は犯罪、犯罪者を捕える為には

応援が来るまで私が足止めするだけの話。

この場で出来る最善の方法を取るしかない)

友理ちゃん、私の援護をお願い出来る(小声)」

友理「えっ?あ、はい。

でも鈴木先輩は、どうすんですか?!(小声)」

蘭「私は………彼の気を引きます。

犯人の目的は今だに不明ですが、

建物の中に居る私達にはそれしか方法が無いのです。

今、私が動かなければ何も変わらない。

……友理ちゃんは、私のカバーをお願いね☆

それじゃあ(小声)」

と言って蘭は、友理の腕を縛り終えて

すぐに大柄な男性の背後を取り

攻撃を仕掛けようとしたその時だった。

白バックに黒いシルエットに身を包まれ、

蘭の頭が撃ち抜かれたのだ!!

友理「えっ………???」

目の前の光景に友理は唖然とし、

バタンと床に倒れる音と共に友理は叫んだ。

友理「え?何で先輩…が。

いや、いやあぁぁぁぁぁ!!!!!!(悲痛)

先輩、目を覚まして下さい。

うそ…ですよね?先輩???せんぱっ!(涙)」

と友理は、咄嗟に手の縄を解いて

蘭に近付こうとした途端、

背後には両目が前髪に隠れた女性が

友理の頭頂部辺りに指先を突き付けられた。

???「そこを動かないで下さい。

あなたも彼女のようになりたくなければ、

今すぐ柱に戻りなさい!

・・・。

この銀行に残ったのは、

私達を取り押さえる為かもしれませんが

あくまであなた方は[人質]です。

人質は、大人しく私達の言う事を聞きなさい」

そう言い終えると同時に突き付けた

指を頭から離し、後ろに居た女性の気配が断たれた。


友理(・・・。

どうして、どうして先輩がこんな目にっ!!

私はまた何も出来ないまま、皆んなを巻き込んで

こんな事になるなら……こんな場所に

来なきゃよかったぁ(涙)

それなら先輩も…私自身も傷付かずに

済んだというのにどうしてっ!)

あと数m離れた所に倒れたままの蘭が居るのに

それに手を伸ばす事も出来ない

友理は、自分の行いに心から悔やみ

両腕を床に付いて泣き叫んだ。

泣き喚く友理の背後に先程の女性が立っており、

目障りな表情を浮かべながらこう思った。

女性(素直に柱の所まで戻っていれば、良いものを

私達に従わない[人質]は、要らない。

私の計画を妨げる者は、駆除しないと……ね?)

と友理の頭に標準を合わせた指先から

妖術がチャージされ、今まさに撃たれる寸前で

男性に呼び止められた。

友理は、撃たれずに済んだのだ!


受付近くに居た大柄な男性は銀行員を拘束し終えた所で

顔に付けていた黒い狐面を外して

女性と会話を交わした。

男性「羽衣(はごろも)、この後はどうする?

職員は固めたし、人質も自発的に来る奴も居たが

何か問題は無かったか?

少しイレギュラーでしたが、問題ないかと(羽衣)

ふーん。

では、閻魔騎士がここに着き次第………

それまでは、お願いします千秋(ちあき)くん(羽衣)

分かりました」

羽衣「あと人質は先程、私が撃った彼女も

一緒に銀行員の人達とまとめて下さい。

治療できる方が居ましたら、お願いしたいです。

別に構わないが、何かあったか?(千秋)

彼女が迂闊(うかつ)にあなたの背後をとって

奇襲を仕掛けられそうだったから……思わず。

私が黒妖縄を作れていれば、

こんな事にはならなかったというのに(沈)」

千秋「それも含めて後で正直に報告しましょう。

大丈夫です♪

万が一でも俺が、側に付いていますから

そこは安心して下さい!」

羽衣「う、うん。ありがとう…ございます(汗)」

と妙に悲しげな顔をする羽衣の後ろでは、

いつの間にか柱の元で拘束された友理が戻っており

涙も無くただ顔を(うつむ)くだけだった。


一方・・・

白いハット帽を被りながら

三多田市の公園の前で佇む女性が居た。

待ち合わせ場所に一向に来ない友理を

ほっぺを膨らませてずっと待っていた。

雫「ムッ…林堂さん、遅いです!!遅過ぎます。

どこに居るんですか〜………郵便局に行くだけと

あれ程、言っていたのに。んっ?あれは〜」

と雫の視線の先には、

向こう側から来る日向を見つけて駆け寄った。

雫「新條先輩???

先輩、おはようございます!

んっ?あぁ、雪乃さんか。おはよう(日向)

新條先輩はこれからお出掛けですか?」

日向「いや、鈴木さんと一緒に図書館で

誠也のレポートの手伝いに来てたんですが〜………

ですが???(雫)

当の本人は、レポート中に寝るわぁ〜

鈴木さんは鈴木さんで銀行に向かったっきり

帰って来なくてね(汗)

別に図書館で大人しく待ってても良いんだけど、

誠也のイビキ聴きながら

苦情が来た時の為に念の為、逃げて来たって訳です」

雫「そ…そーなんですね。あはは……(目が点)


図書館では・・・

誠也「ガァーガァーーガァーーーガァーーガァー」

と豪快にイビキをかくように夢見心地そうに眠る中、

同じ長テーブルの上で作業を進める人達は

パソコンを打ったり、図書館に滞在しながら

静かに本を読んでいる人のストレスゲージが、

どんどん溜まって行くのであった。


そして2人へ・・・

雫「私も今日は、

林堂さんと遊ぶ約束をしていたんですが

郵便局に荷物を届けたいと言ってそれっきりで(汗)」

日向「郵便局は、三多田市ですよね?

はい、林堂さんからはそう聞いてますが〜…(雫)

だったらこんな炎天下な中、待つのもなんですし

向かった方が早いと思いますよ。

銀行も郵便局の隣ですから

もしかしたら、その2人も会っている可能性だって

有り得るかもしれませんし」

雫「うーん。それもそうですね(汗)

すれ違わない事だけを願って移動しようかな。

所で〜新條先輩………

んっ???(日向)

私服でもネクタイは、付けるんですね(汗)」

と言うと日向は、白の半袖パーカーの上に

赤いチェック柄のネクタイを付けていたのだ。

日向「なんか悪いですか?(不貞腐(ふてく))」

雫「い…いいえ!?

そこまでは、言ってないです!!

少し気になっただけでぇ〜(バツ目)」

日向「別に気にしてませんよ。

ただ……しょっちゅう聞かれる事なので

うんざりしてるだけです(生気のない顔)」

雫「あぁ〜!

何でもありません。何でもありませんから

忘れて下さーーーい!!!!!!(焦)」


銀行と郵便局、近辺・・・

雫「今日はいつもより空いてますねって

同じ地域とはいえ、ここはお客さん達が

溢れ返る程の行列が出来るのに。

あれ?

銀行のシャッターが閉まってます!

郵便局は空いてるそうですが、

ちょっと〜中の様子を見に行って来ますね♪」

と言って雫は、郵便局の中へ入って行った。

日向は顎に手をやり少し考えていると

銀行の周りには少人数の野次馬が居た。

その野次馬の中に

このような話し声が聞こえてきた。

男性「これ、何の集まりですか?

今さっき来たばかりなもんで何も知らなくて(汗)」

女性「私もさっき来たばかりなんですが、

この銀行で強盗が入って来たみたいで〜

銀行から慌てた様子で逃げて来た人達からは

口を揃えて[強盗だー!!]って叫んでたんです(汗)

だからまだ銀行の中に

何人か取り残されてるんじゃないかな?」

男性2「へぇ〜そんな事がっ!?

ここんとこ事件もなく平和だったっていうのに

また事件ですか?もう勘弁して欲しいですね。

4月に起こった事件は[四大妖怪さん]が関わって

まともに外にも出れませんよ(汗)」

女性2「それは確かに。

でもまぁ私達が、しっかり戸締まりした所で

その人が強かったら破られちゃうなんて

対策しようが無いですよねぇ〜(焦)」


日向「・・・。

(銀行強盗が起こったっていうのに

呑気に話してる暇があるなら

そこから離れれば良いものを。

でも、確かに色々と不可解な点がある!!

銀行強盗は普通、銀行員と客を人質に取る所を

銀行員以外の全員が逃げている点。

中に取り残された人達もまとめられ少数、

あと僕らがここに来て数分後ぐらい経つけど

怒鳴り声すら一切、聞こえない!

中の様子がどんな状況か把握しない限りは、

行動する事も難しい。

それに閻魔騎士と特殊部隊と違って

僕ら特別部隊の方が知名度が低く

よそ者が割って入る事もなれば〜……)

そうこう考えていた日向の元に

走って帰って来た雫に先程の事を説明した。

雫「林堂さんは、郵便局に居ませんでした(焦)

やっぱりどこかで

すれ違ってしまったんでしょうか?!

と、とにかく待ち合わせ場所に戻らないと(汗)」

日向「落ち着いて下さい、雪乃さん。

多分、今戻った所で公園には居ませんよ!!

えっ?ど、どうしてですか?(雫)

雪乃さんが郵便局を見に行った後、

あの野次馬達が言ってたんですが

どうやらここで[銀行強盗]があったそうです。

えっ!?ぎ、ぎ銀行強盗ですか!(焦る雫)

確証はありませんが鈴木さんや林堂さんは、

事件に巻き込まれている可能性があります。

で、でも私は〜そういった事件の経験は…(雫)

はい、分かっています。

閻魔騎士がここに来ない限りは、

犯人達もそう簡単には動けないかと(汗)

現に銀行からは、

怒鳴るような声や騒音も聞こえませんし。

結界が貼られている可能性とかは………?(雫)

それも十分に有り得る事なんですが野次馬からは、

銀行員を残して[客]だけは逃してるそうで。

えっ!!それ本当なんですか?!(雫)

(さだ)かではないですが、

逃げた客からはそう叫んでいたみたいなんだとか」

雫「うーん(汗)

でしたら新條先輩、

何か手掛かりになりそうな情報があれば

対処は可能ですか?」

日向「え、まぁ出来なくは無いですが〜……

相手によりますよ(汗)」

雫「では、それで行きましょう!」

と言って野次馬達を差し置いて

雫は、銀行のシャッターへと近寄った。

手を前に出す素振りをする日向は戸惑いながらも

雫に続いて歩いて行った。


日向「とは言ったものの

何か策でもあるんですか、雪乃さん?

はいっ!あります♪(雫)

そんな事、言われてもー………

明らかにやっている事は、覗き魔ですよ(汗)」

と言うのも雫は、じっとシャッターを見つめ続け

ガラスに張り付くような行動を見せており、

日向は少し引いていた。

それを見兼ねた雫が慌てて弁明する。

雫「ちっ、違います!?

これは〜………その(焦)

こうしないと先が見えないだけで決して現在進行形で

犯罪しようとしている訳ではー!!!!!!(早口)

そこまで聞いてませんよ。で、何するの?(日向)

えっ!えぇっと〜……これは、私の能力である

[視覚支援]というものなんですが、

[遥か遠くの場所まで見える]事ともう1つ。

壁の向こう側に[空間]があれさえすれば、

妖力を目に通す事で中の様子まで見える事]が

最近、試してみて分かりましたから!!

流石に透視まではいかない能力ですが〜(汗)

[自分の能力を最大限に発揮したいのなら

やれる事だけをやって自分の限界を知りなさい]

と日野寺先輩に言われたもので

今、それを使えば後々、新條先輩から

お2人に証言してくれるかと〜♪」

日向「そ、そーですか(棒読み)

明らかに面倒くさそうな顔しないで下さい?!(雫)

というより、雪乃さんは妖力を使って

発動させるんですね。

は、はい?新條先輩は、違うのですか?(雫)

僕のは妖力を使わなくても消えますから

一応、自発的にですよ。

あぁ〜はいっ!そうなんですね(雫)

・・・。

妖力を使う場合ならドームを自分の周りに

展開させた方が僕は良いと思いますよ。

妖怪は誰しも[妖力探知]は備えていますし、

穏便に済ませたい時は

展開させれば多少は和らぎます。

雪乃さんの妖気ドームは、

ほんの僅かしか妖気を感じ取れませんでしたから」

そんな日向の言葉を聞いて

雫は、驚きながらもキラキラした目で訴えて来た。

雫「……っ!それホントですか!?

え、うん???(日向)

はあ♪やった!!やりました私、式神様♡

ほんの少しだけでも確実に成長できています! 」

日向(式神…様???

雪乃さんは、神様と知り合い?

でも一つ目だから(クラス)は別格な筈、

僕や他の一般人だって[四大妖怪]と同じくらい

会えない存在が[神]だ。

まぁ、知らない間に[四大妖怪]の人と関わってる

可能性も否定できないけど。

神様は、凄く稀でそう簡単には会えない)


そんな事を考えていると

雫は、張り切りながら一言だけ声を掛ける。

雫「それでは、初めてみますね☆」

日向「あぁ〜………はい」

ゆっくりと目を閉じ、

魂を覆う妖力を巡らせ目に送り空色の瞳が淡く光り

シャッターを見つめる。

しばらくするとシャッターの細部を通り抜けた所で

銀行の中を見る事に成功させた。

雫「み、見えました!少し待ってて下さい。

本当に見えるのかぁ〜(日向)

(銀行員の方々は受付側に居るのでしょうか?

よく見えませんが、

きっと1箇所に固まっている筈!!

後は〜見る場所の問題でしょうか?

少し移動してみますか)」

とシャッターを見ながら横歩きをする雫。

日向(シュールな絵面だな(汗)

雫(えっと、ここなら良いでしょうか?

……っ!

林堂さんが、柱の近くで拘束されています!!

んっ?

受付辺りに居る人は、犯人でしょうか?

物凄く背の高い人ですねぇ〜………何でしょう。

何か持ち上げようとしてますね!

そういえば林堂さんは、見つけましたが

鈴木先輩の姿が見当たら……っ!?)

とその時だった。

雫が見ていた男性に動きがあり、

両手両足を拘束された蘭を持ち上げられていたのです。

体の向きを横に変えた所で

蘭の頭からは黒い血が頬を沿って流れているのが見える。

その光景を見た雫は、唖然としながら後退りするも

同時にさっきまでそこには誰も居なかったのにも

関わらず、男性の横には女性の姿を

視界に捉えた。

構わず、その女性もじっと観察していると

バッと急に後ろを振り向き、

タンザナイトのような青い瞳で

壁越しの雫と目が合ったのです!

雫「(ハッ?!)

せ、せ先輩、すみません。

犯人の1人に気付かれてしまいました!!(焦)

ど、どどうすれば!?」

あわあわと慌て出す雫を見て

何かに気付いた日向は瞼がピク付き、

雫を一瞬で担ぎ上げ銀行の屋上へと移動させた。

そこは最初、あの2人が居た場所でもあったのだ。

雫「びっ…びっくりしました(グルグル目)」

日向「すみません。

あの場に居ては、危ないと思って………」

雫「???

あっ!それより新條先輩、実は銀行の中で

2人の姿もあって犯人達は見た感じ2人でしたが、

鈴木先輩が頭から血を流してて!!

わたし……私ぃ(涙目)」

日向「・・・それなら、まだ大丈夫だと思いますよ。

鈴木さんは、頭を撃ち抜かれただけなら

命に別状はありませんから。

……えっ?(雫)

妖怪は、魂を攻撃されれば[即死]ですが

[頭だけなら気絶程度]で済みますからね(冷静)」

雫「え、それ…本当なんですか???

本当に命に関わる事では無い………のですか?

はい(日向)

よ、良かったぁ…です。本当にぃ(嬉し涙)」

日向「ですが、安心するにはまだ早いです。

犯人達は鈴木さんや林堂さんを人質に取って居るのなら

それは、まだ安心とは言えません。

それに……向こうからお出ましのようなので」

雫「んんっ?」

と雫が疑問に思った途端、

雷が突然、目の前に落ちて来たかのような

シャッターの(きし)み音と共に大柄な男性が

突き破って来たのです!


恐る恐る銀行の屋上から男性を見る2人、

先程まで穏やかで優しい日向が

今では、剣幕を巻き軽蔑するような顔で見下していた。

日向「(この時、僕は複雑な想いで男を見つめていた。

彼が、どんな状況でどういう目的で

ここに居るのか理解するよりも

僕は……自身の苛立ちを抑えきれなかった。

何故かなんて知らない。そんな事、関係ない!!

今は、この気持ちに制御が効かない事だけは

僕でも分かる。

アイツの名は、[佐賀(さが) 千秋(ちお)])

かつて、僕の[最初]の友達だった………」

と大柄な男がふと顔だけをこちらに向けて

銀行の屋上に居る日向と目が合ったのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ