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異世界地獄の裁判官  作者: 奈々月みぞれ
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第9話 荒野

ルシファーとユフィールに見送られ魔法陣の中に入った俺は、眩い光に包まれながらふわっと浮く感覚を覚えた。

眩しさに閉じていた光を恐る恐る開けると、そこには一面の荒野が広がっていた。


乾いた風、暑い太陽の日差し、パサつく空気、砂と岩…


「へぇ、ここがアウレスカか…本当に何もないなぁ…近くに町とかあるのかなぁ…ねぇ、馬頭…ん?馬頭…?牛頭?」


周りを見渡しながら名前を呼んでも、一緒に来たはずの牛頭と馬頭は見つからない。もしかして、どこかではぐれてしまったのか…

携帯とかこの世界にないし、どうやって連絡すればいいのかもわからない


「どうしたもんか…」


困り果てていた俺の耳に、金属のぶつかる音や悲鳴のような叫び声が響いて聞こえる。少し離れた場所から煙が上がっているようにも見える。

目を凝らして見るが、何がどうなっているかはわからない。


「でも、これは素通り出来ないよな…!」


意を決して音のする方へ走り出す。不思議と身体は軽く、全力で走っているはずなのに息も上がらない。違和感を感じたが、今は走ることに意識を向けることにした。






「もうやめてくださいっ!荷も崩されて…これ以上お出し出来るものなんてございません!」


「うるせぇ!シケた荷しやがって!この中で一番金になるのはなぁ、お前だよお嬢ちゃん」


なるほど、鈍く光刃物のような物を持ったチンピラっぽい男の人が、荷車を引いていた女性に襲いかかってるって感じか…


自分でも驚く程、冷静に状況の確認を行う。ルシファー達から貰ったものの中に直接武器になるような物はない。自分が出て果たして追い払うことは出来るのか…いや、丸腰じゃ無理だ


「あ、そういえば宝玉があったなぁ…えーっと、あ、これだ」


鞄からルシファーから貰った宝玉を取り出す。魔力の送り方などわからないが現状を打破できるような力はないかと考えながら強く宝玉を握る。


(追い払うだけでもいい…どうか…力を貸してください…!)


「んー?追い払うだけでいいのかい?欲のない人間だねぇ」


(えっ…?)


声が聞こえたと思った一瞬の後、女性に襲いかかっていた男の動きが止まる。


「我が名はアガレス。ソロモン72柱が一人。動きを封じるのは得意でね、今のうちにあの女の人助けてあげなよ…それじゃあね、バイバイ」


アガレスと名乗ったその悪魔は姿を見せることもなく、宝玉の光が消えた。男が動き出す前に女性とこの場を離れようと、腰の抜けている女性に話かける。


「僕は通りすがりの者で、えっと、怪しくないですから!あいつが動き出す前に逃げましょう!」


「えっ、あっはいっ」


言うが早いか女性の手を引き走り出す。



ここはきっとアウレスカだ。聞いていた通りの荒野で、こんなに早くも盗賊紛いな輩と遭遇した。


気を引き締めよう、牛頭も馬頭もいないんだ。俺が頑張らなきゃ…

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