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第七章:新たな大地

実際、俺の体を隅々まで診た後、ダリウスは実に容赦のない評価を下した。




「お前の体は、今のところクソみたいなもんだ。まったく、ただの役立たずだな。」




俺は黙って、その言葉を受け止めた。反論のしようもなかった。事実、そうだったのだ。




この一週間、彼はまだ俺に魔法を教えられなかった。毒はまだ少しずつ体から抜けている最中で、今は魔法を使うこと自体が不可能だった。だから代わりに、ダリウスは俺に体力づくりを課した。




「お前の体のための体力トレーニングなんて、すごく簡単だぜ。」




そう言うと、彼は隣に立っていた高い木にひょいと登り、巨大な葉っぱを一枚、へし折った。それから、わざわざゆっくり降りることもせず、葉っぱごと高い場所から飛び降りた。どしん、と派手な音を立てて地面に着地する。




どうやらこの男、本当に頑丈らしい。




そして、その巨大な葉っぱの上にごろりと横になった。




「ほら、これで俺を引け。俺はもう少し寝るから。」




俺はその場で固まった。




……は?




頭の中はそれだけだった。なんだ、この怠け者。歩く気があるのか、この男は。




だが、これも自分のためになるのはわかっていた。だから何も言わなかった。




ダリウスは、寝ぼけた声で続けた。




「疲れたら、俺が回復魔法を使ってやるよ。手足がくたばる心配はねえ。朝まで引いててもいいくらいだ。ははは。」




俺は、巨大な葉の上で目を閉じた彼を見下ろし、俺はいったいどんな師匠に拾われたんだろうか、と心の中でつぶやいた。




時は流れた。




一週間後、俺は自分の体が明らかに引き締まってきたのを感じていた。おそらく、あの無理やり筋肉を回復させ続けるという、あの滅茶苦茶な訓練法のせいだろう。毎日、葉っぱに乗った大人の男を引きずり回すうちに、少しずつ力が戻ってきていた。




ダリウスが言った。




「もう普通に魔法の修行を始めてもいいぞ。昔のお前と同じようにな。」




それから、伸びをしながら、顔をしかめた。




「先週は本当に疲れた。ようやく半分くらい戻ったところだ。」




俺は、つい口から言葉が漏れた。




「師匠、寝てただけじゃないですか。」




次の瞬間、げんこつが俺の頭に落ちた。




「お前が吸い取った俺の魔力を回復してたんだよ、バカ。お前を生かすために、溜め込んでた魔法まで使い切ったんだ。それに、この一週間、俺は魔力を回復させるために集中してたんだ。自然に戻るのを待ってたわけじゃねえんだぞ。」




俺は頭を押さえ、黙った。なるほど、そういうことだったのか。




ダリウスは俺を見て、言葉を続けた。




「俺たちの移動速度も、先週よりはマシになったな。お前、少しは丈夫になったみたいだ。でも、まだ遅い。時速10キロしか出てねえのかよ。」




……は?




心の中で叫んだ。ふざけんな。それでも十分化け物だわ。




でも、口には出さなかった。さっきのげんこつの教訓が、まだ頭に残っていたからだ。




時は、また流れた。




俺たちは、巨大な森を抜けながら、同時に修行を続けた。北へ進むほどに、森の中の獣たちは数を増していった。ダリウスは俺に、魔物の倒し方を教えた。痕跡の読み方。森の中での動き方。一匹の獣と対峙した時の判断の仕方。




イノシシと戦った。巨大な森の象とも対峙した。名前すら知らない、奇妙な生き物にも何度も遭遇した。ここの生き物は、どいつもこいつも、見た目がひどく不気味だった。




そして、俺は一つの経験則を得た。




醜い奴は弱い。美しい奴は強い。




覚えやすくて助かった。




ダリウスは俺に魔法を教えた。超がつくほど不気味な魔物の倒し方も教えた。他にも、たくさんのことを教えてくれた。俺の実力は、目に見えて上がっていった。




さらに一週間。また一週間。




そしてついに、家を離れてから一ヶ月が経った頃、俺は改めて自分を見つめ直した。体中、土埃まみれで、日に焼けて黒くなっていた。でも、もうあの頃の弱々しい体じゃなかった。目を覚ましたばかりの、あの骨と皮だけのガキじゃない。今の体は、はっきりと引き締まり、筋肉の線が浮き出ていた。俺は、少しだけ自信を持てるようになっていた。




そして、ついに俺たちは、巨大な山の麓にたどり着いた。




ダリウスが足を止め、雪を頂いた山頂を見上げて言った。




「この山を越えれば、アラタスナリア王国だ。」




俺は、彼の指さす方を見た。途方もなく巨大な国。長い歴史と多様な文化を持つ国。ダリウスが続ける。




「俺たちの国は、昔からこの国とよく争ってきた。そして、何度も侵略されてきた。隣同士だからな。この国は、俺たちの国より二十倍はでかくて、人口も多い。」




彼は少し間を置いて、笑った。




「でも、奴らが攻めてくるたびに、戦場はいつも俺たちの庭だった。南と北じゃ気候が全然違うから、守りやすかったんだ。おかげで、こうして今も国が続いてるってわけだ。」




それから、彼はにやりと笑った。




「まあ、この国の女は美人だぞ。ははは。」




俺は無言で彼を横目で見た。この師匠、三秒も真面目でいられないらしい。




俺たちは山を登り始めた。




登るほどに、雪は深くなった。吹きつける風は刃のように冷たく、岩の隙間を抜けるたびに肌を裂いた。俺は、自然の厳しさというものを、生まれて初めて身をもって味わっていた。これは遊びじゃない。自然との本当の戦いだった。




頂上に近づくまでに、すでに三日が経っていた。食料は底をつきかけていた。毎日、干し肉をほんの少しだけ齧って、どうにか命をつないでいた。水は魔法で雪を溶かして作った。体は熱を出し始めていた。自分でもわかっていた。それでも、諦めたくなかった。




全力で生きたかった。悔いのない人生を生きたかった。どうしても、その頂を見たかった。




そして、頂上に手が届きかけたその時、俺は力尽きた。手が岩肌から滑り、体が宙に投げ出された。




俺は、岩から離れていく自分の手を、ただ見ていた。そして、意識は闇に沈んだ。




次に目を開けた時、俺は岩窟の中に横たわっていた。




寒さは感じなかった。代わりに、心地よい温もりが体を包んでいた。隣には、上半身裸のダリウスがいて、美しい六つに割れた腹筋が露わになっていた。近くでは、焚き火がぱちぱちと音を立てて燃えていた。




「師匠……」俺はかすれた声で呼んだ。「ここは、どこですか?」




ダリウスはすぐには答えなかった。ただ、顎で洞窟の入り口の方を指した。




「見てみろ。」




俺は、洞窟の入り口の方へ顔を向けた。




そして、息をするのを忘れた。




果てしなく続く、巨大な緑の草原が広がっていた。青々とした草。一面に咲き乱れる花。無数の蝶が群れをなして舞っている。雪も、冷たい風もない。あるのは、生命力に溢れた美しい大地だけだった。




あまりにも美しくて、想像をはるかに超えていた。




ダリウスが言った。




「ここは、あの山の反対側の麓だ。今、俺たちはアラタスナリア王国にいる。」




彼は立ち上がり、大きく伸びをした。




「さあ、行くぞ。」




俺は、果てしない緑の草原を眺めた。胸が高鳴った。新しい土地。新しい種族。新しい世界。




そして、この怠け者のダリウスと旅しているうちに、俺はどうやら、冒険というものに心惹かれ始めている自分がいることに気づいたのだ。

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