第二十章:二つの魔法
列車は朝五時にモラス駅を出発した。
空はまだ真っ暗で、雪雲の切れ間からいくつかの星がかすかに光っていた。アルベールは窓際に座り、冷え切った車室の中で、自分の吐息が小さな白い煙となって消えていくのを見つめていた。彼はモラスの街が少しずつ後ろに遠ざかっていくのを見た。白い樺の木でできた建物。雪に覆われた通り。高くそびえる白樺の並木。すべてが白く。冷たく。孤独だった。
ダリウスは向かいに座り、厚い毛布をかけて、酒瓶を手にしていた。彼は最初の一時間、何も言わなかった。ただ窓の外を見ていた。果てしなく続く雪原を。
そして、彼は酒瓶を置いた。
「今日から始める。」
アルベールは振り返った。「何を学ぶんですか?」
「二つの魔法だ。吸収。そして貯蔵。」
アルベールは眉をひそめた。
「それは何ですか?」
ダリウスは背筋を伸ばした。灰色の瞳が真剣になる。
「吸収魔法。これが基礎だ。お前は空気中から魔力を体内に引き込む方法を学ぶ。すぐに使うためじゃない。貯めるためだ。」
「貯める?」
「ああ。貯蔵魔法。お前は魔力を体内に保持する方法を学ぶ。それを圧縮する。蓄積する。時間が経てば、それは変化する。別の何かになる。」
アルベールはまばたきした。
「別の何か?」
「それが最初の一歩だ。後にお前がそれを内力に変換できるようになるために。」
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アルベールは座禅を組んだ。目を閉じ、周囲の魔力の流れを感じ始める。
精霊たち。彼らはどこにでもいる。空気の中。肌の上。吐息の中。彼らは小さな、目に見えない生き物で、純粋な魔力でできている。彼らは飛び回り、踊り、ささやく。
「いいぞ。」ダリウスが言った。「さあ、彼らを自由にさせるのではなく、体内に引き込め。」
アルベールは試みた。彼は精霊たちを体内に引き込もうとした。しかし、彼らは応じなかった。彼らはもがき、抵抗した。
そして、一匹の精霊が彼の目の前に飛んできた。彼女は目に見えない目で彼を見た。彼女は笑った。いたずらっぽい笑みを浮かべて。
そして、彼女は彼の顔面を殴った。
「あっ!」
アルベールは目を開け、後ろにひっくり返った。彼は顔を押さえ、鼻の奥に鋭い痛みを感じた。
「くそっ!殴られた!」
ダリウスは彼を見た。表情は変えずに。
「ああ。知ってる。」
「知ってたんですか?!じゃあなぜ先に言わなかったんです?!」
「言っただろう。精霊は邪魔をする。お前は彼らに耐えることを学ばなければならない。そして、彼らを引き込むことを学ばなければならない。力ずくではなく。意志の力で。」
アルベールは修行を続けた。
今度は、もっと集中しようとした。彼は精霊たちを体内に引き込もうとした。
しかし、彼らは簡単には引き込まれなかった。
彼らはアルベールの周りを飛び回り、嘲笑の言葉をささやく。
「お前には無理だ。」
「お前は魔法使いだ。内力なんて持てるわけがない。」
「お前は弱い。お前は無能だ。」
アルベールは歯を食いしばった。彼は彼らを引き込もうとした。しかし、彼らは応じなかった。彼らはもがき、抵抗した。
そして、一匹の精霊が飛んできた。彼女は彼の顔面を殴った。
「あっ!」
アルベールは目を開けた。彼は顔を押さえ、鼻から血がにじむのを感じた。
「くそっ!」
ダリウスは彼を見たが、何も言わなかった。彼はただ酒杯に酒を注ぎ、読書を続けた。
アルベールは再び試みた。
今度は、一度にすべての精霊を引き込もうとはしなかった。彼は一匹だけに集中した。窓の近くをふらふらと飛んでいる、小さな精霊に。
彼は集中した。彼女を感じた。彼女の魔力の流れを感じた。
そして、彼は引き込んだ。
精霊は動きを止めた。彼女はアルベールの方を向いた。目に見えない目で彼を見た。そして、彼女は飛んできた。
彼女は殴らなかった。嘲笑わなかった。彼女はただ飛んできて、アルベールの体内に溶け込んだ。
アルベールは、経絡を通る温かな流れを感じた。魔力。精霊からの魔力。それは彼の体内にあった。
彼は目を開けた。
「師匠……できました。」
ダリウスは彼を見た。その口元に、わずかな笑みが浮かんだ。
「よくやった。それが最初の一歩だ。さあ、それを保持しろ。逃がすな。圧縮しろ。蓄積しろ。それが貯蔵魔法だ。」
アルベールは頷いた。彼は再び目を閉じ、体内の魔力を圧縮し始めた。
簡単ではなかった。魔力は逃げ出そうとした。もがき、抵抗した。しかし、アルベールは努力した。彼はそれを保持しようとした。
そして、彼はやり遂げた。
その後の日々、アルベールは修行を続けた。
彼はまだ精霊たちに邪魔された。彼はまだ彼らに顔を殴られた。彼はまだ彼らに髪を引っ張られ、耳をつねられた。
しかし、彼はもう怒らなかった。彼は彼らを受け入れた。彼は彼らをそこに置いた。そして、彼は彼らを引き込み、保持することに集中した。
毎日、彼はより多くを引き込んだ。毎日、彼はより長く保持した。彼の体内の魔力は徐々に蓄積されていった。それはもう小さな光の粒ではなかった。それは流れになっていた。
しかし、それはまだ内力ではなかった。それはまだ貯蔵された魔力に過ぎなかった。それには時間が必要だった。それは精錬される必要があった。それは変換される必要があった。
そして、それが次のステップだった。
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列車は小さな町を通り過ぎた。アルベールは窓の外を見た。質素な木の家々。雪に覆われた土の道。毛皮の外套を着た人々が、足早に歩いている。
彼はふと思った。
家を出てから、もう三ヶ月以上が経った。三ヶ月。彼はどれだけの都市を訪れただろう。どれだけの人に会っただろう。どれだけのことを学んだだろう。
しかし、彼は一度も家に手紙を書いていない。
彼は一度も両親の安否を尋ねていない。彼は一度も自分がどこにいて、何をしていて、元気でいることを伝えていない。
彼は自分のことしか考えていなかった。自分の旅のことしか。強くなることしか。
アルベールはうつむいた。羞恥の念が胸に忍び込む。
「俺……両親に手紙を書いてない。」
ダリウスは彼を見た。
「ああ。知ってる。」
「なぜ注意してくれなかったんですか?」
「それはお前の仕事だ。俺のじゃない。」
アルベールは黙った。彼はさらに悪い気分になった。
「俺は彼らを忘れてた。家族を忘れてた。自分のことしか考えてなかった。」
ダリウスは何も言わなかった。彼はただ酒を一口含んだ。
アルベールは顔を上げた。
「でも……なぜ彼らは手紙をくれないんだ?俺が書いてないのはわかってる。でも……彼らから先に書いてくれてもいいはずだ。俺の安否を尋ねてくれてもいいはずだ。彼らが元気だと知らせてくれてもいいはずだ。」
ダリウスは酒杯を置いた。
「彼らは忙しいのかもしれない。」
「三ヶ月も?」
ダリウスは黙った。
アルベールは拳を握りしめた。
「それとも……彼らはもう俺のことなんてどうでもいいのか?目を覚ましてから、俺は変わった。もう昔のアルベールじゃない。もしかしたら彼らは……もう俺を必要としていないのかもしれない。」
ダリウスは彼の肩に手を置いた。
「そう考えるな。」
「でも……」
「両親はお前を愛している。俺は知ってる。ジェラルドはお前を守るためにすべてを捨てた。ロザリンドはお前が昏睡状態だった間、毎晩泣いていた。彼らは無関心な人間じゃない。」
アルベールは顔を上げた。
「じゃあ、なぜ手紙をくれないんだ?」
ダリウスはため息をついた。
「わからん。だが、一つだけ確かなことがある。もし彼らが書かないのなら、理由があるはずだ。」
アルベールは黙った。どう考えればいいのかわからなかった。ただ、一日が過ぎるごとに、胸の中の郷愁が大きくなることだけはわかっていた。そして、一日が過ぎるごとに、家族との距離が広がっていくように感じられた。
彼は心に誓った。次の大陸に着いたら、手紙を書こう。両親に書こう。自分は元気だと伝えよう。彼らが恋しいと伝えよう。
そして、尋ねよう。なぜ手紙をくれないのか、と。
同じ頃、ラサン西部のある都市で。
ナスチャはベッドに座り、一通の手紙を手にしていた。
手紙は黄色く変色していた。それは何ヶ月もの間、隣人の老人の暖炉のそばの紙くずの山の中にあった。彼はそれを忘れていた。彼はそれに気づかなかった。しかし今日、何ヶ月もの治療から戻った彼は、それを見つけた。
そして、彼はそれを彼女に届けた。
ナスチャは手紙を開けた。彼女はそれを読んだ。彼女は泣いた。
*「ナスチャ。*
*ごめん。俺は行かなきゃいけない。今すぐに。説明する時間がない。*
*でも、一つだけ言わなきゃいけないことがある。明日、君に言うつもりだった。湖のほとりで。でも、神様は俺にその機会を与えなかった。*
*君のことが好きだ。*
*いや。好きだけじゃない。愛してる。*
*君の笑顔が好きだ。君の声が好きだ。枯れ葉の上を跳ねる君が好きだ。湖のほとりで俺の肩に頭を寄せる君が好きだ。俺が手を握った時に赤くなる君が好きだ。君のすべてが好きだ。*
*こんなの不公平だってわかってる。説明もなく君を置いていくってわかってる。でも誓う。必ず戻る。必ず君を迎えに行く。*
*もし君も俺に想いがあるなら、返事をくれ。この国の上の、ラサン国の首都、モラスの郵便局に手紙を送ってくれ。俺はそこに行く。君の手紙を待つ。*
*もし君が望まないなら……返事は要らない。俺は理解する。*
*どちらにしても、ありがとう。人生で一番幸せな二週間をくれて、ありがとう。*
*アルベール。」*
ナスチャは何度も何度も手紙を読んだ。読むたびに、涙がこぼれた。
彼は彼女を愛していた。彼は彼女を愛していた。そして、彼はそれを彼女に伝えた。直接ではなく。手紙を通して。
そして、彼女はそれを受け取らなかった。
この三ヶ月間、彼女は彼が自分を捨てたと思っていた。彼が自分を気にかけていないと思っていた。彼が自分を忘れたと思っていた。
でも、彼は忘れていなかった。彼は書いた。彼は送った。彼は待った。
そして、彼女は行かなかった。
彼女は彼を疑った。彼女は彼を信じなかった。彼女は彼の愛を信じなかった。
ナスチャは立ち上がった。彼女は涙を拭った。彼女は窓の外を見た。雪はまだ降っている。白く。冷たく。
彼女はモラスに行かなければならない。彼を見つけなければならない。彼に伝えなければならない。彼女も彼を愛していると。
彼女は荷物をまとめた。彼女は切符を買った。彼女は旅立った。
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十日間。彼女の街からモラスまでの、十日間の列車の旅。眠ることもできず、食べることもできず、彼のことだけを考えた十日間。
彼女は二人で過ごした日々を思い出した。公園を散歩した朝。湖のほとりに座った午後。黄色い灯りの下を歩いた夜。
彼女は彼が自分の手を握った方法を思い出した。彼が自分の髪を撫でた方法を思い出した。彼が自分を見つめた方法を思い出した。深く、温かく、愛に満ちた青い目で。
彼女はすべてを思い出した。
そして、彼女は泣いた。
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ついに、彼女はモラスに着いた。
彼女は郵便局に駆け込んだ。彼女はアルベールについて尋ねた。しかし、彼らはここにアルベールという名前の者は誰もいないと言った。彼女は若い男について尋ねた。金髪で、青い目。彼らは、そのような人物ならいたが、一ヶ月前に去ったと言った。
ナスチャは心臓が締め付けられるのを感じた。
彼女は住所を尋ねた。彼らはアルベールが借りていた家の住所を教えた。
彼女はそこへ走った。
それは小さな家だった。静かな通りの突き当たりにあった。鍵がかかっていた。誰もいなかった。
ナスチャはドアをノックした。誰も答えなかった。
そして、隣の家から女性が出てきた。
「誰をお探しですか?」
ナスチャは振り返った。目が赤くなっていた。
「私……人を探しています。若い男の人。金髪で、青い目。彼はこの家を借りていました。」
女性は同情の目で彼女を見た。
「その若者はもう行きましたよ。一ヶ月前に家を引き払いました。」
ナスチャは足が崩れ落ちるのを感じた。
「彼は……どこへ?」
「知りませんよ。何も言わずに。ただ、行かなければならないとだけ。」
ナスチャはそこに立っていた。涙が頬を伝い始めるのを感じた。
彼は待っていた。彼は彼女を待っていた。彼はここにいた。この家で、一通の手紙を待っていた。そして、彼女は来なかった。
彼女は彼を疑った。彼女は彼が自分を捨てたと思った。でも、彼は彼女を捨てなかった。彼は待っていた。彼はとても長く待っていた。
そして今、彼は行ってしまった。
ナスチャは雪に覆われた通りの真ん中にひざまずいた。彼女は顔を覆い、泣いた。熱い涙が頬を伝い、雪の上に落ち、小さな水滴となって溶けた。
「アルベール……ごめん……ごめん……」
彼女はすすり泣きながらつぶやいた。
「私はあなたを信じなかった。あなたが私を捨てたと思った。でも、あなたは私を待っていてくれた。あなたはとても長く待っていてくれた。そして私……私は行かなかった。」
彼女はそこに座り、雪の中で、泣いた。
彼女は幸せのあまり泣いた。彼女は悲しみのあまり泣いた。彼女は愛を見つけ、そしてそれを失ったから泣いた。
しかし、彼女は諦めない。
彼女は彼を探す。世界中を旅することになっても。どれだけ時間がかかっても。彼女は彼を見つける。
そして、彼女は彼に伝える。彼女も彼を愛していると。




