第103話
(近づかずに様子を見ると言う事だったが、果たしてどうなる?私が原因だとコレで判明するか?いや、判断材料の一つにはなる程度だな)
調査隊に追い付いた。しかし、完全な合流はしない。
かなり離れた位置から向こうの様子、出方を見る、そんな案を出したのはイチカだった。
イチカの見解で言うと、どうにもこのダンジョン変動は私を対象にした物では無いかと言う事らしい。
そしてソレがもし当て嵌まると言うのなら調査隊の方に異変などが起きずに順調に調査が進んでいるのが腑に落ちると。
そして見えている調査隊の面々にどうやら異常や混乱、騒動などが起きていない様子で、イチカはコレに確信に近くなったと口にする。
「まだ確実とは言え無いけど、向こうの様子からしてこっちが遭遇してた様なヤバイ事には遭って無いみたいよね。さて、これだけ離れていて黒騎士の影響が向こうに出るか、出ないか。そこら辺の事も知っておきたい所だわ。このままこっちは無理して近づかない様にしましょ。でも、向こうが接触を図る為に接近して来る様だったらソレを受け入れるって事で構わないわよね?」
そうイチカが言い切った矢先に調査隊の方に変化が出たのを私の視界が捉えた。
(どうやらゴブリンの集団の様だな。とは言え、その数は三十と言った所か?・・・ふむ、充分な連携が取れているな。危なっかしい所も無い様子だ。心配は要らんな)
どうやら十字路の曲がり角に待ち伏せと言った形でゴブリンが居た様子。
気配を探って私はその向こうの状況を正確に認識する。
調査隊の斥候がコレを先に見つけ報告、その後に充分な準備をしてからの余裕を持った戦闘で敵を殲滅したのが私には分かった。
コレに、離れた位置に居るが調査隊の動きで戦闘が起きた事をイチカは察したが。
「うーん、あの程度じゃ異様かそうじゃ無いのかちょっと分からないわ。今より離れるか近づくか、実験してみるにしても微妙なトコね。黒騎士の影響ってどれくらいなのかしら。はー、分からん。」
イチカは真剣に調査隊の方を見ている。しかしこの程度の事では答えなど出ず、私が同行している事でどの程度の影響が出るのかを量りかねている。
(調査隊が危機に陥る様な事が有ればその時は実験も観察も関係無く助けに走らせて貰うが)
見捨てる、見て見ぬふりなど私にはやるつもりは無い。
なのでもしもの時が起きれば私は勝手に救出に走る気でいる。
見た所は調査隊の実力からして私の手助けなどが必要になる様にな場面には陥らない様に感じたが。
そう思い込んでしまうと初動に遅れが出てしまうのでその考えは捨てておく。
そうして調査隊の進んでいる道を後方から付いて行く形になっている私たちはそのゴブリンの待ち伏せがあった十字路に差し掛かったのだが。
「ぐぁぁ・・・」
私は咄嗟に立ち止まる。合図の為に声を出して四人の方に止まる様に指示をする。
「んえぇ?アンちゃんどしたの?」
コレにヒジリが何事かと一言私に声を掛けて近づいて来るのを手で制した。
ここでエミコが私の見つけた物に一拍置いて気付いて注意喚起をしてくれる。
「待って皆、トラップよ。どうやら透明な糸を使った「引っ掛け」みたい。・・・ダンジョンで発生するタイプじゃ無いわね。明らかに人の手で設置されたヤツよコレ。」
「おぉん?何じゃいソレ?もしかして調査隊の中に私らに敵意向けてる奴が混ざっとる?こんな小細工して来るとはにゃぁ~。陰湿なヤツだぜぃ。どうする~?処す?処すか?やっちまう?」
マリエが敵対者は問答無用で処刑だと声を上げるが。
イチカがソレを口を開くなと強めに叱る。
「マリエ、ちょっとアンタは少し黙って。その場のノリで大抵喋ってるだけでしょアンタは。とは言え、向こうにそんな奴が居るのなら、それって黒騎士を狙ってるトコの輩って事は確実よね。うーん、対処するにしても相手が誰なのかをちゃんと分からないと駄目ね。調査隊の全員をぶっ飛ばす何て事出来るハズ無いし。」
この罠を設置した犯人を見付けるよりも、調査隊全員を気絶させる方が私にとっては簡単だ。
しかしソレをしてしまうのはそもそもに最終手段だろう。罪の無い者にまで暴力を振るう気には流石になれない。
「距離を近付けましょ。今はざっと50mくらい?なら、30mまで詰めてみましょうか。それでまた様子見して向こうの出方を見るのと、異変がどんな風に出るかを観察しましょ。こっちから積極的に出向いても良いかもしれないけど。敵が潜んでるって判ってる集団にホイホイと混ざりに行く必要がこっちには無いしね。」
イチカは現状の維持から半歩踏み込んだ判断を下す。
コレに他の三人は異議は無い様で別案は出なかった。




