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【完結】勇者殺しの元暗殺者。~無職のおっさんから始まるセカンドライフ~  作者: 岡本剛也
第7章

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番外編『ジェイドの道具屋繁盛記』 その78


 翌日。

 明るくなってから、俺たちは聖教国へと戻ってきた。


 宿でもう一眠りしたいところではあるが、今回の件について調べたいからな。

 エイルはアンデッド討伐の立役者兼、ギルド長として教会に呼ばれたようで、ぶつぶつと文句を言いながら教会へと向かった。


 俺も一緒に行っても良かったんだが、取り繕った表面だけのお礼を言われるだけなのは目に見えている。

 教会側の対応はエイルに任せ、俺は今回の件について軽く調べようと思う。


「エンペラ、俺は街で聞き込みをしてくるが、どうする?」

「私は寝てる。やっとあのデカブツもいないから、一人でゆっくりしたい」

「分かった。ただ、勝手に出歩くなよ」

「わざわざ出歩かない」


 さっさと行けと言わんばかりに、シッシッというジェスチャーをやっているエンペラ。

 行きの馬車の中からずっとエイルと揉めていたし、相当疲れているんだろう。


 俺は寝ているエンペラを部屋に残し、一人で聖教国の街へと繰り出した。

 まず向かうべきなのは……冒険者ギルドだろう。


 この国に冒険者ギルドがあるのかは分からないが、ない街の方がおかしい。

 改めて教会の多さに驚きつつ、装備がしっかりしている人の後を追っていくと、古びた大きな建物に辿り着いた。


「……ここが冒険者ギルドか」


 看板には『冒険者ギルド』と書かれている建物。

 手入れのされた教会を見ていたからこそ、建物の古び具合から冒険者の扱いの雑さが分かる。


 外観を見てそんなことを考えながら、俺は冒険者ギルドの中へと入った。

 冒険者も少ないのかと思っていたが、決してそんなことはなく、ギルド内は他と大差ない感じだ。


 そして、やはり近くに大量のアンデッドがいたとは思えないほど、平常運転感が強い。

 依頼が貼られているボードも見てみたが、アンデッドの討伐依頼は見当たらないな。


 とりあえず冒険者に話を聞いてみたほうが早そうだ。

 その後、受付でも尋ねてみよう。


「ちょっと話を聞いてもいいか?」

「あぁ? こちとら暇じゃねぇんだよ!」

「そうだったのか。少ないがチップを渡そうと思っていたんだが」


 明らかに暇そうにしていた者に声を掛けたんだが、睨みつけるように「暇じゃない」と言ってきた冒険者。

 ただ、銀貨を見せた瞬間、コロッと態度が変わった。


「あれ? 金をくれるってんなら話はちげぇぜ! おう、おっさん! 俺に聞きたいことがあんなら、何でも聞きな!」


 ここまで露骨に手のひらを返されると、逆に清々しくもある。

 口も軽そうだし、この冒険者から色々と聞かせてもらおう。


「ありがとう。俺は聖教国にアンデッドの魔物が大量に出たと聞いてやってきたんだが、冒険者ギルドでは依頼は出されていないのか?」

「あー。ってことは、お前は他国の冒険者か! 表向きには発表されてねぇが、ロッキス山の近くに大量のアンデッドが湧いてるぜ! 依頼に関しては教会に行けば受けられるが……やめといたほうがいい! これは優しい俺様からの真剣な忠告だぜ?」

「そうなのか? やめておいた方がいい理由ってあるのか?」

「そりゃ、依頼へと向かった冒険者が戻ってこないってもっぱらの噂だからだ! 冒険者だし、他国の人間だから街の人間も気にしていないみてぇだがな!」

「そんな冷たいのか。ちなみに、どれくらい前からアンデッドの噂は出ているんだ?」

「少なくとも、数ヶ月前から噂は流れてきていたぜ? 実際に、お前みたいな奴が冒険者ギルドにだって来るしな!」


 ビオダスダールに協力要請が入ったのが最近ってだけで、数ヶ月前からアンデッドの軍勢とは戦っていたのか。

 神父たちの動きに慣れが見えたのも納得だな。


「あと、これは眉唾みたいな話になるんだが……教会連中が何かしらの実験を行っているって噂も密かに流れている」

「何かしらの実験?」

「詳しいことは知らねぇが、不死の薬の実験だの、アンデッドを作り出す方法を探しているだの、ここを拠点にしている冒険者の間で流れているぜ?」


 ひそひそ声でそう言ってきた威勢のいい冒険者。

 情報としては信憑性に大きく欠けるものではあるが、まぁ火のないところに煙は立たないともいうからな。


「ちょっと気になるな。その噂について、詳しい人間は知らないか?」

「噂の出どころは邪教新聞社の連中だと思うぜ。教会の連中もまぁ怪しいやつばっかだが、邪教徒も邪教徒でイカれてっから気をつけろよ。それから改めて、アンデッドの依頼は受けねぇ方がいい!」

「貴重な情報をありがとう。邪教新聞社にも気を付けるし、アンデッドの依頼もやめておく。これが礼のチップだ」

「うっひゃー! おっさん、気前がいいな! 俺の名前はバンダムってんだ! また俺を頼っていいぜ!」


 バンダムと名乗った冒険者は、俺があげたチップをポケットに入れてから、スキップして冒険者ギルドから去っていった。

 正直全く期待していなかったが、思いのほか面白い情報をもらえたな。


 実験を行っていたというのは、まぁ無茶苦茶な噂だとは思うが……。

 邪教新聞社はシンプルに気になるし、まだ時間もありそうだから行ってみてもいいかもしれない。



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キクチ先生の画力が素晴らしく、小説版を読んだ方でも確実に面白いと自信を持って言える出来となっておりますので、どうか手に取って頂けると嬉しいです<(_ _)>ペコ

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