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雄大の父親が直接琴葉に会いに来るとはただならぬ事ではないと感じ、琴葉は何を言われるのかと緊張でそわそわしてしまう。

綾菜のように琴葉のことを疑って調べにきたのではないか、それとも杏奈のように雄大と別れろと言いに来たのではないか。

だとしたら、自分はどう受け答えすべきだろうかと、琴葉は焦って考えを巡らす。

だが、雄大の父親から出てきた言葉は全く違った。


「綺麗に使ってくれているんだな。手入れがよく行き届いている。」


雄大の父親はまた店内を見回す。

その視線の巡らせ方に覚えがあった。

以前雄大にminamiをどう思うかと聞いたときに、雄大が店内を見回したあの視線の巡らせ方と同じだ。

琴葉は恐る恐る尋ねる。


「もしかしてこのお店を設計してくださったのは…。」


「私だよ。もう20年も前のことだがね。」


琴葉は全身に電気が走ったような感覚に襲われた。

やはりminamiは早瀬設計事務所が設計をし、それが雄大の父親だというのだ。

感激で胸がいっぱいになった。


「なかなか子供ができなくて諦めかけていたところにできた子だったらしくてね、とても可愛くてご両親に愛されていたのを思い出すよ。」


「私、お会いしたことがあるんですね?」


20年前といえば琴葉は3歳だ。

頑張ってその頃の記憶を手繰り寄せようとするが、まったく思い出せない。

子供の頃の記憶とはそんなものだ。


「ああ、失礼。私は君のお父さんの古い友人なんだ。学生の頃にお互い夢を語り合った。私は世界をまたにかける建築士を目指す。君のお父さんは世界中に愛されるパン屋を目指す、とね。」

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