女
刑事2人、SWAT隊5人の計8人が殺された事件から1か月が経った。生き残った1人のSWAT隊員の話によると、急に天井から銃弾が撃ち込まれ、振り向くと、先頭で咄嗟に盾を上に向けた彼以外は倒れていたという。そして天井から飛び降りてきたのはハンドガンを両手に持った1人の女性だった。何故か彼女はその場で武装解除し、彼と応援で来た隊員に身柄を拘束された。最初はこの女性も誘拐されていただけではないのかと疑われたが、彼女は犯行を認め、警察側も彼女を誘拐と、アパートでの一連の事件の犯人と断定した。
だが彼女は犯行こそ認めたものの、犯行動機を話すことは無かった。何故ならそんなものなかったからである。彼女は気が向くままに少女達を家に呼んだ。彼女は少女達の話を聴くのが楽しかった。恋愛の話、友達のこと、いじめの相談。少女達は見ず知らずの彼女に心を開いた。難しい年頃の少女というのは、身内には相談出来ない色々な悩みを持っている。彼女は少女のそんな悩みを聞くのがただ楽しかっただけである。そして少女達とはそれぞれ一晩だけの関係。少女達はそんなこともあって、悩みを打ち明け易かったのかもしれない。そして彼女を尋問した警官は口を揃えてこう言う。
「あいつと会話するのは危ない。」
多数死者が出た上に、事案が特殊過ぎる為この事件の裁判には多数のマスメディアからの関心が集まっていた。彼女を担当する弁護士は、彼女が何も話さない所為で苦労しているという。
裁判当日の朝は雲一つない快晴。傍聴席は満員で、皆被告の到着を待っていた。そこに突如ある電報が届く。
「被告を乗せた護送車が爆破テロに遭った。」
現場には無残にも粉々になった、護送車と、前後を走っていたパトカーの残骸、そして何人かの警官の遺体と、爆風で千切れたと思われる被告の腕だけが残されていた。警察は数々の捜査の末、被告を死亡とみなした。
そして、護送車に爆弾を仕掛けた犯人として、アパート突入の時に先輩であり恋人であった山本麻里刑事を被告に殺されている岡田健次郎刑事が逮捕された。
謎のヒーロー、ダーティーナイトが現れるのは、この一連の事件のおよそ1ヶ月後のことである。




