国王に寄り添う少女
ヤマシロの領土奥深く侵攻していくTM-Xの編隊は、地上から放たれる地対空ミサイルをものともせず、ヤマシロの領空を飛行し続けている。
その動きに続いて反応したのは首都を制圧している現国王派の軍だった。
手中にあるTM-X。
ミマサカより越境してきたTM-Xの狙いは、その手にあるTM-Xの壊滅である。
そう感じ取っていた。
このまま地上に置いていても、攻撃の的になるだけである。
ただちに、攻撃に移らせる必要がある。
しかし、この国唯一のTM-Xを操れる男は、この指令を頑なに拒んでいた。
「嫌だ。
こいつらは私の子供のようなものだ。
それがお互い潰しあうなんて」
「しかしだ、このままでは敵の攻撃の的になるだけではないのか?」
「どこかへ移動させればいいではないか」
「時間が無いんだ」
「嫌だ」
首を大げさに横に振り、拒否している男は菅原だった。
「お前の息子がどうなってもいいのか?」
その言葉に菅原の動きが一瞬、止まったかと思うと、頭を抱えてうずくまってしまった。
菅原を取り囲む軍の司令官たちが、困惑顔で菅原を見下ろしている時、司令室の入り口付近でざわめきが起きた。
「陛下だ。
陛下がお越しになられた」
その言葉に、全員が驚きの表情で入り口に目を向けた。
御簾越しでしか、その尊顔を拝することができないこの国の王。
その国王が基地に姿を現した。
国王にしか許されない紫に染め上げられた、王家独特の民族衣装を身にまとい、周りにも独特の衣装をまとった国王直属の近衛兵を引き連れている。
そんな国王の横、王妃の位置に一人の少女が寄り添っていて、菅原に冷たい、蔑みの視線を向けながら言った。
「陛下のおんため、さっさと自分の為しうることしなさい」
その言葉に視線を少女に向けた菅原の目が見開いた。




