ヤマシロ 最新鋭機YZ-1
俺は危機を感じていた。
瞬く間にエドの戦闘機部隊を葬った最新鋭戦闘機。その戦闘機はおそらく、同一民族国家のツワノに暮らすゆかりちゃんの親父さんにミマサカが造らせ、隠し持っている戦闘機で、ミマサカを追い込むと、それが牙をむくはず。
つまり、このミマサカとの戦いで、その戦闘機が姿を現すに違いないと俺は踏んだのだ。
そして、今、俺の想像どおり、はるか先の空域で、その最新鋭戦闘機が俺たちの国の戦闘機YM-1の編隊を襲い、瞬く間に多くの友軍機を撃墜していた。
「うぉー」
俺は叫ぶと思いっきり、機体を加速した。
YM-1と違い恐ろしいほどの速度で、戦闘空域に接近していく。
敵機も俺たちの接近に気づき、一部がYM-1を追い越して俺たちの機に向かってきた。
敵がミサイルを放ってきた。
援軍として駆け付けている俺たちYZ-1の編隊もミサイルを応射した。
俺の視界を友軍機が放ったミサイルが飛び去って行く。
俺はまだミサイルを発射しない。
すでに伝わっている戦況を考えると、敵機はまだ一機も撃ち落されていないらしい。と言う事は、ミサイルを遠距離から放っても役に立たないと言うことだ。
俺は友軍機のミサイルをかわそうとする敵機を狙う事にした。
そのためには敵機が旋回したところを狙わなければならない。
俺は機体をさらに加速させた。
視界に敵を捉えた。
向かって行くミサイルをかわそうと、旋回している。
「まじかよ」
俺はその猛スピードで飛行していた敵機が旋回した角度を見て、驚愕した。
あれだけ急激に旋回すれば、おそらくパイロットにかかるGは並大抵ではない。
俺が乗るYZ-1も急激な機体の変化を起こせるが、あれほどの変化をさせることはできない。
どうやって、パイロットの意識を保っているんだ?
そう思った時、ゆかりちゃんの親父さんが開発していたと言う戦闘機の事を思いだした。
もしかすると、あれに人間は乗っていない?
俺はその恐るべき真実を確かめたくて、さらに機体を加速して敵機に接近を図った。
その時、けたたましい警告音が鳴り響いた。
俺は敵機の正体をつかむことに、気をとられ過ぎていた。
気づくと、俺の背後に敵機が食らいついてきていた。
「げっ、しまった」
俺は慌てて左に急旋回して、敵機の背後に回り込もうとした。
敵機が俺の動きに追従して、同じく左に急旋回した。
反応は遅れたが、敵の旋回性能の方が上回っていて、俺の左後方に敵機がくらいついている。
俺は素早く減速しながら、さらに操縦桿を傾け、機体を旋回させ敵機の後方につく。
「今だ」
俺がミサイルを一発ぶっ放す。
俺の視界の中、ミサイルが敵機めがけて突き進む。
大きな火の玉を造り、敵機を撃墜した。
その時、俺は見た。
コックピットの人影を。
ちゃんと人が操縦しているんだ。
今撃ち落し、パイロットを殺しておきながら、俺はそこに人間の姿を確認してホッとしてしまった。
そんな俺の気持ちを打ち破るけたたましい音が、再び鳴り響いた。




