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国王幽閉と国家の闇

 その日、王宮の周辺は騒然とてしていた。王宮の周囲には軍の中でも精強を誇る親衛隊が布陣し、王宮の門の前には検問所が設けられ、そこを目指して報道陣の車列が長蛇の列を作り上げている。列に並ぶ報道陣の車の中に見える人々の顔には、切迫感のようなものが浮かび上がっている。


 「戦争に関する発表らしい」

 「国王が急逝したらしい」


 その異様な光景に、多くの市民たちがひそひそと推測話に花を咲かせながら、遠巻きに眺めている。

 王宮の中に入った報道陣の人々は広い一室に集められていた。


 「緊急の重大発表を行う」


 それだけしか知らされていない報道陣の人々も、何の発表なのかと、ざわめいている。

 軍が関係している。その事がこれから発表される内容がただ事でない事を、報道陣の人々に感じさせていた。

 全ての報道関係者が部屋に入ると、ドアが閉められた。

 できあがった閉ざされた空間に、沈黙が訪れる。報道陣の人々が、緊張した面持ちで正面を見据える。

 しばらくすると、ドアが開き、松山が現れた。その表情は普段目にした事がないほど、険しいものである。


 「今日は重大な発表があります。

 それは非常に残念な発表であり、取り返しのつかない事をしてしまったお詫びを国民の皆様にお詫びしなければなりません」


 そう言って、松山が深々と頭を下げた。

 そんな松山の姿に、事は想像以上に深刻な内容らしいと感じ取った報道陣の人々から、ざわめきが広がって行く。

 頭を上げた松山が発表の内容を語り始めた。

 それは先のミマサカとの戦いの前に、軍の最高機密であるミサイル統合管制システムが戦闘機開発の中心人物の息子の手によって、敵国に流出してしまった事から始まり、その際に押収したパソコンから、現国王の弟が処刑されるに至った10年以上前の事件の真相が判明したと言う事だった。



 10年以上前。

 この国では何人かの失踪者が立て続けに発生した。警察の捜査も及ばず、その犯人を特定することはできず、失踪者が増え続ける状況を食い止める事すらできないでいた。

 ある時、当時まだ小さな子供だった今回のミサイル統合管制システムを流出させた人物が、謎の男たちに拉致されそうになったが、父親の警護に当たっていたSPの手によって、拉致されるのを防げただけでなく、犯人を取り押さえる事ができた。

 そのとらえた犯人たちから、判明した事件の真相。それは当時のヤマシロ社会に大きな衝撃を与えた。

 人間の体が戦闘機の性能を制約していると考えた戦闘機開発で寺沢敦と並ぶ菅原隆弘は、素質のある人間の脳だけを取り出し、戦闘機と一体化させることで、驚異的な運動性能を誇る戦闘機を開発しようとしており、そのための素質がありそうな人間をTVゲームの点数から割り出して、拉致していたのだった。

 しかも、その背後にいたのが、当時の第2皇子、今の国王の弟だった。

 国王の弟は処刑され、菅原は姿をくらまし、今も行方がつかめていない。

 ところがである。

 今回押収したパソコンから、10年以上前のこの出来事の全てが仕組まれた話だったと判明したと言うのだった。

 真実はこうである。

 その事件の黒幕はエドにそそのかされた現国王であり、その開発を行っていたのは菅原ではなく、寺沢だと言うのである。そして、その罪全てを二人に被せて、事の真相を闇に葬ろうとしたと言う事を示す数多の情報が見つかった。

 よって、良識ある軍の親衛隊は現国王を引退させ、スマの離宮にある建物に幽閉し、亡き国王の弟の子供を即位させ、寺沢父子を収監したと言うのだった。

 非道な事件として、ヤマシロに伝わる事件の真実が覆り、その真の黒幕が国王だったと聞かされた報道陣の人々から、空間を揺るがすほどの驚きの声が上がった。

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