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変化の少女は魔術好き  作者: 枝 蜜柑
第一章 少女達は放浪する
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第一話 「変化の少女」

少女は放浪する。国々を越えて旅をする。

全ては、魔術を知るため。


◇◇◇


「師匠ー、おはようございます」

「………んぁ、おはよー」

「はぁ、まだ寝てる……そろそろ起きる時間ですよ〜」

「えぇ〜、もうちょっとだけ…」


あ、ヤベっ…と禁忌の言葉を発した時にはもう遅かった。なんと掛け布団を引っ剥がされたのだ。コイツに人の感情という物はあるのか。


「うぅ〜……寒いよ〜……」

「なら起きて下さい。火炎魔法ぶつけますよ?」

「それは待って早まらないで」

「なら…分かりますね?」

「……ハイ」

「もうすぐ宿の滞在時間が終わりますよ。無断延長は………分かっているようですね」

「……うん、行ける準備完了した」

「固有魔術をこんな地味な事に使わないで下さい」


「固有魔術」。四属性魔術「火、水、風、土」の他に、生まれた時に得られる自分固有の魔術。私の固有魔術は「転換」だ。ちなみにネアの固有魔術は「空間」。チートだよね。


「え〜、良いじゃん。減るもんじゃないし」

「そういう問題では……ハァ…」

「苦労人だねぇ〜」

「師匠には言われたくないです。原因にね」


そうして、ネアが固有魔術で作り出した空間に自身の日用品を入れた事を確認する。私の物もネアの下着と転換して空間に入れておいた。何故か怒られた。「なんで毎回パンツなんですか!」ってね。今日の色は緑だった。


「じゃ、行こっか」

「はい」


宿を出て、私はとある方向に歩く。


「ちなみに今日はどこに行くおつもりで?」

「ギルドで登録しようかなって」

「……え?……あ、あぁそういえばそうか。ギルド登録は十四歳からか」

「……ん?その口振りは、ネアはもうやってるの?」

「え?あ、はい。十四歳の時にこっそりと…。」

「え、二年前?そんな前なの?もっと…三ヶ月とか」

「確かに、二年前です。お陰でSランクですよ」

「……ふぇ?そんなに…?」


そんな会話を続けていると、いつしか私達はギルドに着いていた。


「……あの、登録を申請したいんですが」


すると、受付嬢の女性が対応してくれた。


「はい、分かりました。お二人ですか?」

「いや、私は登録済みなので大丈夫です」

「了解しました。では、此方に個人情報を」


言われた通り、私は個人情報を提示された紙に書く。


名前:フェイ・グリモアルカナ

年齢:十四

住居:無し

固有魔術(空白も可):

ランク向上による異名の作成:無し

ギルドに登録したい理由(審査対象とは関係しない):便利そうだから


「ねぇ、お嬢さん。住居、本当に無いの?」

「うん、無いよ」

「……本当に?」

「私も保証しましょう」

「貴方は…?」

「Sランクです。「空間の魔女」って聞いた事ありませんか?」

「え!?「空間の魔女」って…あのギルド最強の空間使い!?」


そうしてネアは、黒色の「空間の魔女」と書かれたカードを受付嬢に見せる。


「し、失礼しました!疑うような事を……。では予定通り、無しで登録しておきます」

「よろしくね」


「……ところで、「空間の魔女」って、…何?」

「私の異名ですよ。ギルドがいつの間にか、ね」

「ほえ〜、あれか?あの、「ランク向上による異名の作成」ってヤツ?もうあるから無しにしちゃった。……そういや、いつの間にSランクに?」

「ハハ、師匠のお使いついでに山に行って狩ってました」

「んで、ギルド最強に?」

「……そうですね。そうなります」

「何狩ってたんだよ、ドラゴンか?」

「いや、Sランクになってもそんなのは狩りませんよ。貴方か私じゃなきゃ」

「んまぁ、そりゃそうか。ドラゴン狩るヤツが何人もいたら今頃ドラゴンなんていないか。ただでさえ少ないのに」


「只今、申請が完了しました」

「ん?あぁ、ありがとね」

「はい、今後ともギルドをご贔屓に」


そうして、貰ったカードを見る。ネアのヤツとは違い、茶色だった。ネアのカードは黒だったのに。


「そういえば、カードの色って関係あるのか?」

「えぇ、Eランクは茶色、Dランクは白、Cランクは銅、Bランクは銀、Aランクは金、そして、Sランクは黒です。だから私は黒だし、貴方のは茶色って訳です」

「成程、じゃあ私はEランクって訳だ」

「そうですね。どうです?最弱扱いされた気持ちは?」

「最高だね。やっぱり下剋上ってのは楽しみだ。……あ、ごめんね。じゃあ初めてのランク上げ、手伝って?」

「……分かってますよ。どうせNOなんて無いでしょうし」

「お、よくわかってるね〜。流石、私の元で三年居ただけの事はあるよ」

「…はぁ、三年間、ずっとパンツと転換されてたのか」

「Eランクの依頼は……草むしりぃ?」


ランクごとに依頼の掲載をしている板には確かにそう書いてあった。こんな簡単な事なの?嘘だよね?折角強い奴と戦えると思ったんだけどな〜……


「まぁまぁ、……あ、ありますよ。敵と戦える方法」


そうこなくっちゃ!戦闘は多いに越した事は無い!


「…で、どうするの?」

「私とパーティを組んで貰います」

「パーティ?聞いた事無いなぁ。ソレするとどうなるの?」

「パーティとは、二人がそれぞれ了承した上、一時的に成り立つ…謂わばチームです。コレの効果は「二人のランクを平均したランクの依頼」を受ける事が出来ます」

「つまり、Bランクまでの依頼を受けれる、って事?」

「そういう事ですね」

「OK、パーティの申請するからネアも来て!」

「はいはい、分かりましたよ」


そうして、私達はパーティを組む事になった。元通りだね。


「さて、じゃあBランクか……オーガにしようかな」

「はい、オーガですか…。懐かしいですね。オーガの角を空間で切り取った事」

「あぁ、そんな事もあったね〜。その後はネアが氷結魔法で凍らせてオーガの角で叩いて壊してたね。アレね、大分ホラーだよ」


四属性魔術。火、水、風、土。此等の基本魔術には派生がある。

火魔術→火炎魔法

水魔術→氷結魔法

風魔術→暴風魔法

土魔術→岩石魔法

四属性魔術には適性がある。そして、何年かに一度、二つ適性を持つ者が生まれ、街中の人々が声を上げて喜ぶ。また、一つを極め、派生型にするのもかなりの年月を消費する。

ネアと私、フェイはその四属性魔術を派生型で全て使えるが、得た方法は違う。ネア・クロニカルトは天才、故に生まれた時には4つ全てを派生型まで使えた。しかし、フェイ・グリモアルカナは凡人、今まで十四年間、血が滲むような……いや、血が滲んだ努力をして「転換」を最強に仕上げた。何故って?「魔術が好きだから」。


「いやー、才能ってのは怖いね」

「師匠みたいな、「変化の少女」なんて異名をつけられて尚、凡人とか言ってる方が怖いですって。あと、私の方が年上なのに喋り方は大人っぽいし」

「まぁまぁ、この喋り方は生まれ付きさ。知識と魔術は全て努力だ」

「いや、努力で天才を完膚なきまでに超えないでくださいよ。そこまでいったら師匠も天才ですよ」

「本物の天才を見ているからね。現在進行系で」

「……まぁ、師匠らしい答えか」


そうして、私達はネアの空間を使い、目的地まで一瞬でたどり着く。周りの人はとても驚いてたな。無理も無いか。コレが、本物の天才だから。


「此処が今日の目的地か。随分と広いね」

「ですね。お陰でよく響きます。オーガの声も」

「あぁ、聞こえるね。ねぇネア」

「はい、なんですか?」

「今回は、初めてって事で手を出さないでね」

「了解しました。久々に私も師匠の魔術がみたいですからね」

「見てもあんまり良いものじゃないよ?毎回言ってるけど」

「それでも、です。」

「ふぅん、まぁ好きにして」


「グガアアァァァアァァ!」

「ほーい、待ってたよオーガちゃん。え?待ってない?それじゃ……」


オーガは自前のこん棒を振り下ろす。当たったら一溜りも無いだろう。


「……死んでね。」






私は、師匠を見ていた。どう対処するのか。しかし、勝負は一瞬。振り下ろす前にオーガが止まった。そして、訳もなく倒れた。いや、訳もわからぬまま、倒れた。


「師匠、今のは何を?」

「脳と心臓の位置を「転換」した。それだけだよ」


あぁ、やはりこの人に着いてきて良かった。

私はまだまだ、高みを目指せる。

「変化の少女」は本物の"最強"だ。

そう思えた。




え〜、枝蜜柑です。処女作です。温かな目で見てもらえると幸いです。この物語を見てくださって光栄です。

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