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9話 もしかして僕って相当頼りないと思われてるのでは?

 ようやく5人の勉強を見るのを終えたらいつの間にか日が暮れかけていた。

「あっちゃんどうもありがとね~」

「ばいば~い!」

 恵麻さんたちは連れ立って帰っていく。僕はそれを見送った。やけに梨奈さんの顔が赤かった気もするけどね。


「あっちゃん!とっとと帰って晃と英二と一緒に4人で格ゲーしようぜ!」

「分かった!でもちゃんと勉強もしなよ?」

「分かってるって」

「ハハハ!淳史は過保護だなぁ…まぁいいや後でLINEすっからさ」

 僕は啓馬に釘を刺すと丸刈りの晃は爆笑する。まぁ僕も今日は疲れたし家でゲームでもしよっかな…

「それじゃばいなら~」

 そう言って僕達4人は別々の方角に帰っていった。


「う~ん。やっぱ、影丸使ったほうがいいんかなぁ…でもどうせ英二。パンチングボーイで無双したがる気もする?じゃあドン・カンポーでいいか…」

 僕は歩きながらゲームで使うキャラについて考えていた。

 すると…

 後ろから誰かにトントンと肩を叩かれた。

「え?」

 僕が振り返るとそこにいたのは美波さんだった。

「こ、こんばんは!美波さん!」

「フフッ。こんばんは淳志くん」

 美波さんは僕の頬を優しく突く。そのまま二人で歩き始める。

「美波さんもこの時間に?」

「えぇ。生徒会の仕事が立て込んでいたもの。それで遅くなったのよ」

「そうなんですか。ご苦労様です。僕は啓馬とか晃とかに勉強を教えるのが忙しくて…あ!でも美波さん啓馬とかのこと知らないですっけ‥」

「知ってるわ。あのバスケ部の子でしょう?運動神経が良くて体育祭での無双が期待されると聞いているわ。京極晃君もそうね。そっちは野球部でピッチャーだとか」

「良く知ってますね…やっぱり生徒のことはよく見てるんですね!」

 やっぱり凄い。美波さんは全校で500人いる生徒全ての情報を頭に入れているんだ。このくらいの器量が無いと生徒会長なんてやれないんだな…僕も頑張らないと!

 僕は自分に気合を入れ直した。そんな僕を見て美波さんは「やる気出しちゃって可愛い♪」とかような言ってたような気もするけどね。

 美波さんは僕を歩道側に寄せて歩く。本当は僕が車道側を歩くべきなのだけど…一瞬美波さんの手が僕に触れた気がした。

「っ…ごめんなさい!夕方なんで日が暮れてて…」

「別にいいわよ。それよりも暗いわね。手を繋いでてあげてもいいわよ?」

 美波さんが変な提案をしてきた…え?そんなの僕やったこと無いし…

「ほら。遠慮しちゃダメよ」

 そう言って美波さんは僕に手を伸ばしてくる。

 そのまま流されて僕が手をつなごうとしたところで…反対側の耳を引っ張られた。

「何イチャイチャしてるのよ。あっちゃん!」

「あ、明菜?何でここにって。あぁ生徒会か」

 そう言えば明菜も生徒会だったね…きっと同じタイミングで終わったんだろう。明菜は僕の反対側の隣を歩く。てかやっぱり僕が真ん中の一番安全なところじゃん!」

「あの…やっぱり僕が車道側を歩きますよ。二人はどうぞ歩道側を歩いて」

 と僕が言ったところで両脇から言葉で遮られる。

「何言ってるの!そんな危なっかしいこと事させられないわよ!」

「そうよ。私より淳史君は黙って私たちの間を歩きなさい。そろそろ家に着くんだから」

「それじゃ何ですか。僕は下手な女子より頼りないってこと?!」

「「そうよ?」」

 珍しく2人に同時に返されそのまま両腕をつかむ力も強くなる。えぇ僕ってそんなに頼りなかったんだな…


 十字路に差し掛かったところで脇から黒い物体が飛び出て来る。

「ひゃぁ!」

 僕はビビって尻もちをついてしまう。飛び出してきたのは黒いネコだった。

「何だ…暴漢じゃなかったのか…」

「「ねっ。言ったでしょう?」」

 僕が安堵する両脇で二人はそう微笑むのだった。



 自分は情けなさを振り返りながら僕の家の前に着いた。

「じゃ、僕はここだから」

「じゃあね淳史君♪」

「明日は遅刻するんじゃないわよ!」

「何で遅刻してる前提なのさ。一回も遅刻してないよ!」

 そう言って僕は二人に手を振られながら家に入った。


 ちなみに僕が夜に格闘ゲームの4人通話で、啓馬と晃と英二に「僕って頼りないかな?」と聞いたところ

「ん?まぁそうじゃねぇか?」

「お前は大木のような安心感ないだろ。どっちかと言うと大木の上のリスだな」

「まぁ確かにねぇ…」

 と3人全員に肯定され僕は倒れ込んだのだった。





 海城淳志を帰した後で美波はスマホを取った。

「もしもし。えぇちゃんとあの子を送り届けたわ。迎えに来て」

 そう言うと近くから車の走る音がする。

 明菜はそれを聞いて

「会長って家真反対ですよね?どうしてあっちゃんを送り届けに?」

「丁度近くに用があったからよ」

「わざわざ家で済むような生徒会の作業を学校でやってまでですか?あっちゃんがあのバカ男子ども&ギャルたちに勉強を教え終わるのを待ち伏せしてたように思えますけどね」

 明菜はチクリと言葉を刺す。

「あら?それは貴方も一緒でしょう?淳志君を待ち伏せしてたのは。わざわざ違う道を歩いてまで」

「噂通り本当に全生徒の情報を把握してるんですね。てっきりストーキングの為かと」

「あなたや啓馬くんも生徒の一人なの。親しみを持ってもらうためには当然のことよ?」

「まぁあの子は警戒感が無いから夜遅いと不審者に襲われるんです。小学生の時に数回だったかな本当に誘拐されそうになったんですよ?どこかの誰かさんみたく車に連れ込もうとしたのもありましたね」

「あれは誘拐じゃないわ。保護よ。おっとメイドの迎えが来たわ」

「ずいぶんと豪勢なことですね。重役出勤ならぬ重役退勤ですか」

 歩いていく美波に対して明菜がそう捨て台詞を吐いた。

「「絶対に渡さないから」」

 すれ違う中で二人はそう言い合った。

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