6話 もしかしてライバル?!
ある日の午後僕が廊下を歩いていると梨奈さんが僕に近づいてきた。
「やっほ~。あっちゃん♪」
「り、梨奈さんおはよう!」
「今日も可愛いね」
そう言って僕の腕に抱き着く。
「あ、あの……その」
僕が戸惑うと彼女は僕の顔を見て言う。
「ねぇ~あっちゃん♪放課後にカラオケ行かね?」
「カ、カラオケ?!」
すると梨奈さんの仲間も来る。
「お、いいね!アタシも行きたい!」
「え?でも僕歌は……」
僕は歌が苦手だ。音痴だし……
すると梨奈さんが不安そうな顔で「もしかしてうち等のこと怖いの?」と聞く。
「そ、そんなことないよ」
「そうだよ。ウチあっちゃんに嫌われたら泣きたくなっちゃうし」
そんなことでグイグイギャルたちに近づかれていると…
「そこ!不純異性交遊はしない!」
明菜が僕とギャルたちの間に割って入る。
「明菜っち。飛んでこなくてもいいじゃん」
「ちょっと遊びに誘っただけだって」
「ダメよ。あっちゃんが怖がってるでしょ」
別に僕は怖がってるわけじゃないのに…
「ちょっとカラオケに誘っただけだから…」
「ダメよ!そんなに髪を染めて校則違反ばかりの女子たちに染まっちゃ。あっちゃんの教育に悪いもの」
「せ、生徒会長みたいなこと言うじゃん…」
「とりあえず一緒に教室に戻るわよ!」
そう言って明菜さんは僕の腕を取ろうとして…
『海城淳志くん~職員室まで来てください』
僕は校内放送で呼び出された。
「え?僕?あぁあの話かな?」
僕は職員室まで走っていった。
「ちょ!危ないから走るのは止めなさいよ!」
後ろから明菜さんが声をかけて来る。
淳志が職員室に向かった後で梨奈と明菜は立っていた。
「明菜っち…もしかして嫉妬してる?大好きなあっちゃんがうち等に懐いてるから」
「は?そ、そんなことないわよ!心配だから注意しただけよ」
「ふ~ん」
梨奈はニヤニヤしながら明菜を見た。
「あっちゃん最近は浅香啓馬と生徒会長の美波さんにばかり懐いて…アタシには見向きもしてくれないから」
「そうなんだ~てか啓馬は別に一心同体の相棒みたいなもんでしょ?」
梨奈はどこか他人事だ。そうしてスマホを開く。そのロック画面を見て明菜は驚く。
「ちょ!この写真!」
ロック画面には梨奈が淳志の頬にキスしてる写真があった。ついでにペンで「ウチのもの♡」と言う落書きまで。
「ん~?奪っちゃったし。あっちゃんのファーストキス♪あの子は気づいてないけどね」
「あ、あなたねぇ!」
「別に唇は奪ってないから!可愛かったなぁ~。だって自分より小さい生物が懐いて来るんだよ。絶対ウチの物にしてやる♪」
「梨奈はあっちゃんに関してはガチだからね…」
「は?許さないわ!あの子はアタシと付き合うべきなの!」
「やだね~。あっちゃんはウチの彼氏にしたいんだもん。マーキングしたしそろそろ責任を取らせないとね♪」
「絶対に認めないから!」
こうして二人の女子の争いは始まった。いや…誰も気づいていなかった。廊下の影にもう一人いたことに…
「あの子たち…淳史くんを奪う気かしら。でもあの子が一番懐いているのは生徒会長である私なの。実家の場所も知ってるし」
そう。美波が隠れていたのだ。
「絶対に渡さないわ。だって私の運命の人なんだから……」
美波も梨奈と明菜に負けないぐらいガチなのだ。
こうして淳史を巡る3人の女子の争いは始まったのであった。