52話 失恋のその先に……
梨奈さんがトイレに行ってしばらくした後で他の女子もやって来た。
「え?あっちゃん。会長の告白受けたの?!嘘でしょ?」
どこか別の場所にいたらしい明菜は話を聞いて悶絶してしまった。
「も、もうどうすればいいの……」
「ちょ、明菜?!」
明菜は僕らが止めるのも聞かずにどこかに行ってしまった。
「ありゃぁ……触れない方が良さそうやね」
「う、うん……正直ここまでとは思わなかったな」
武史先輩と優香さんも微妙な反応だ。
一同から外れた明菜は木の幹に顔を付けてすすり泣いていた。
「な、何で……アタシの方が前からあっちゃんと仲良かったのに。あの女に奪われちゃうのよ……」
「それはウチもだよ。まさかあっちゃんを取られるなんて」
「だ、誰かと思ったら梨奈?あなたも聞いたのね」
いつの間にか恵麻に背中をさすられながら梨奈も来ていた。
「うち等は……負けたんだね。何でだろうち等と会長にどんな差があったんだろう」
「愛情の押し方の差じゃないデスか?と言うか二人とも海城サンのこと好きだったんですね」
いつの間にか合流していたアンジェリカは二人を慰める。次いで一緒にいた渋川も口を挟んでくる。
「複数人で取り合う際には負けが出るのは必死。特に幼馴染など良く負ける……正直俺にはこういう時の慰め方がないですぞ」
「アンタねぇ……それが失恋した人への慰め方?!アンタバカじゃないの?」
「バカってそりゃぁ……僕は恋愛経験なしの童貞だけど」
「アタシも処女よ!と言うか一応この作品の高校生は全員下は卒業してないわ!」
「は、はぁ……それはそうとして失恋したなら泣きたいだけ泣いた方が良い。俺がどうこう言える問題でもないし、これだけが明菜殿の全てではないのだから」
「え?」
明菜が渋川に振り返る。
「アタシの全てはあっちゃんの為に……」
「いいやそれだけではない。確かにこの世には勝ちヒロインと負けヒロインがいるかもしれん。ただ!それは二次元だけの話……事実は小説より奇なりでござる」
「小説より良いってどういうことなのよ……」
「もしかしたらその後の物語でヒロインと別れているかもしれないだろ?」
「ヒロインと別れるって……それは。あっちゃんが会長と別れるって事?そんなの」
恵麻は質問を返す。
「嫌よ」
明菜は呟く。
「嫌よ……アタシあっちゃんが一番幸せな方が良い!」
「そうだよ美波会長から無理やり奪うマネなんてしてもあの子は笑ってくれないから!」
梨奈と明菜は顔を上げた。
「言ったでござるな!そう我らは皆高校生。恋愛に関しては未熟同然。いつか……明菜殿にも春が来るでござるよ。そもそも淳志殿と美波殿が100年先も一緒と言う保証もないでござるし」
「それもそうね……良し!」
明菜は涙を拭った。
「アタシも新たな門出をするわ。ずっとあっちゃんに頼りきりだったもの。アタシにだって春が来るように!」
「元々あっちゃんに会えないわけでも無し。いつか会える日までウチも努力を重ねなきゃ!」
二人は少しではあるが立ち直りかけていた。
「それにしても渋川がそんな名言持っていたなんて知らなかったよ。ちょっと見直しちゃった!」
「恵麻殿。感謝するでござる!」
「これただのラノベの受け売りデスけどね?結果オーライデス」
最後にアンジェリカは呟いたが誰の耳も入っていなかった。




