4話 もしかして…無自覚?
主人公はクソ鈍感野郎です
僕は教室に運ばれて机に突っ伏していた。
「ねぇ~あっちゃ~ん……」
梨奈さんが僕の頬をつつく。
「梨奈さん。お願いだからほっといてよ……」
僕は今猛烈に落ち込んでいた。まさか公衆の面前であんな醜態をさらしてしまうとは……。しかも梨奈さんにあの後何回も頭を撫でられたし……。恥ずかしすぎて穴があったら入りたい気分だよ。
「ねぇ~あっちゃんってば~!……はぁ~しょうがないなぁ……」
梨奈さんは僕の頬をつつくのをやめてため息をつきながら僕の頭を撫でる。
「でも髪サラサラでいいな~ウチ癖っ毛だから羨ましいよ~」
梨奈さんはまた僕の髪をいじる。僕は嫌々ながら顔を動かして梨奈さんを見る。
「あっこっち向いた♪」
すると後ろの教室のドアが開いた。
「淳史くん!大丈夫?」
入って来たのは美波さんだった。そういえば朝一緒に登校したんだった……
周囲は大物の登場にざわつく。
「え?美波会長さんがこの教室に来たの?」
「え?何の用で。と言うかそこの海城君と知り合いなの?」
「どっちも学校の有名人同士だし付き合いあっても普通か」
美波さんは周りを気にせずに僕の元に近づいてくる。そして梨奈さんから僕を奪うと思いっきり抱きしめて来る。美波さんの方が僕よりずっと背が大きいので僕の顔が美波さんの胸に埋まる。
「もう……心配させないでよ。あなたが階段から落ちたと聞いて居ても立っても居られなくなって急な生徒会の仕事抜け出してきちゃったじゃないの」
「むぐ~……苦しいです……」
急に押し付けられたので僕は混乱してしまった。
「あっ、ごめんなさいね」
美波さんは僕を放してくれた。僕はやっと息ができるようになり、大きく息を吸った。周囲から歓声が上がる。
「もしかして会長って淳史のこと……」
「シーっ……まだ確定してないし。てか意外だね会長はああいう小動物タイプのが好きだなんて……そりゃバレー部野郎の告白断るよ。タイプ真逆やんけ……」
周囲が騒いでいるが僕には何のことか分からない。
「見る限り無事みたいね。安心したわこれからも階段を降りるときは気を付けなさい。高校生は身体が資本なんだから」
美波さんはそう言うと帰っていった。
啓馬が僕の肩を抱く。
「よう相棒!大丈夫だったか?」
「まぁ何とかね……本当に階段から落ちて骨折るかと思ったよ」
「しかしあっちゃんさんよ……あの会長さんとはどういう関係なんだ?」
「どういう関係ってただの高校の先輩後輩だけど……」
「そうか!ただの先輩かぁ……いいなぁ俺の部活なんて変な先輩ばっかだぜ?」
「知ってるよ。あの金髪の先輩とかでしょ……あの人厳しいって有名だよね……」
「そうそう。あの先輩……まぁあの人ただの女たらしだけどな!酷い時は俺らに練習させといて一人だけ彼女とデートとかしてるぜ。流石にキレられたけど」
「女たらして……そりゃダメだよね。女性には真摯に対応しなきゃ…大体僕なんて女性に全く縁がないんだよ……」
僕はため息をつく。
「でもまぁ会長さんにちゃんと心配してもらえるほどの関係なら嫌われてないだろうし安心だな。ハハハ!」
「うん!」
この様子を後ろにいたクラスメイトの男女数人が見ていた。一同は苦笑いする。
「絶対会長もアイツのこと好きデスよね!何で気づかないかなぁ……ホントクラスで一番頭良くて人付き合いもいいのにそこだけ玉に瑕デース」
「絶対隣にいるバカ親友浅香啓馬のせいね……昔から知ってるけどあんなアホに付き合ってたらそりゃ女心に鈍感になるわよ!」
「と言うか女たらして……まんま淳志くんじゃないですか……何であんな無自覚そうな顔できるんですか?マジで鈍感なんですか?可愛すぎません?しかし触れると裏の怨霊が……」
愛らしい動物を見るように海城を見る女子に男子が加える。
「そういや。俺姉貴から淳史の連絡先聞くように言われてさ……あのクソ姉貴合コンに失敗したからって一回会っただけの弟の親友の連絡先聞くか?普通よ……」
「100%事案でしかない話やめいww」
「まあ俺もそのぐらいの良心あるからのらりくらり躱してるからさ……」
そう言って一同はあまりにも鈍感すぎるクラスメイト海城淳志の鈍感さに内心呆れるのだった。




