38話 僕の憧れの人
僕はまた学校に来て机で啓馬や晃と話していた。
「ったく……偵察に来るなら偵察に来るよって連絡してよ!」
「バカ野郎。偵察に来ますって元から言ったら偵察にならんだろうが」
僕は晃にチョップを食らう。まぁそれはそうなんだけど中々イチャイチャしているのを見られるのは恥ずかしかったんだよね。
「まぁ良いじゃんか!あっちゃんも美波会長に憧れてんだろ?」
「まぁ僕の知ってる女性の中で一番凄い人は美波さんだよ。運動も勉強もできるし何より皆に好かれてるからね」
「ふぅん。じゃ総じて一番凄いと思う人は?」
僕はそう言いながら廊下を見る。
「その人はねぇ……はっ!あの音は来たかもしれない!」
「お!来たのか!」
「凄いな!ここ1年の教室のある階だぜ!」
僕たち三人は廊下に顔を出す。
僕の一番憧れている先輩がやって来た。その先輩は島津剛先輩という人で身体がめちゃくちゃ大きい先輩だ。僕は女子より背が低いから廊下にいる同級生たちは皆見上げる事になる。でもその人はそうではない……一般高校生の中にいても目立つその身体の大きさ!何か女子たちは怯えて端に寄ってるけど…何で怖がるんだろうね……確かに顔は金剛力士像みたいだけど、あれがカッコいいんじゃないか。
「「「島津先輩!おはようございます!」」」
僕たち三人と後数人の同級生は頭を下げる。
「おうおはよう!元気か」
島津先輩は僕らを見下ろして無口に告げる。本当に性格も漢の中の漢!硬派で曲がったことが嫌いで、僕みたいな軟弱者とはえらい違いだ。僕は意を決して言葉を告げる。
「あ、あの……先輩。筋肉触らせてもらってもいいですか……」
「おうッ!淳志!」
奥から「ウッ、あっちゃんの上目遣い。うらやまs」とか言う声が聞こえるのは無視するとして僕らは島津先輩の腕を触る。本当に筋肉質で腕も太くて羨ましいよ……僕なんか細腕だしさ……
「先輩!今度握力の鍛え方教えてくださいよ!俺握力だけアンタに勝てなくて……」
「おい啓馬握力だけじゃねぇだろ。お前ハンドボール投げで俺に負けてただろが!後長座も恵麻に負けてるだろ!」
「総合では俺の方が上だ!だよな恵麻?」
「知らんし……まぁ前屈はウチの方が良いけどね」
恵麻さんとそれに連れられて梨奈さんもやって来た。啓馬や晃も言うまでもなく。恵麻さんもバドミントン部で全国行くほどあって肉体も引き締まってるけど、やっぱ雄々しい島津先輩の方が良いな。
「てかあっちゃん何でこの先輩のこと気に入ってるん?デカくて怖くね?」
それに僕らは瞬時に言い返す。
「いや男の子はデカくて強いものに憧れるからね!」
「そうだぞ!俺ら少年は筋力ある奴に憧れるんだぞ。古事記にも書いてあんだろ。な!晃」
「そうそう。ホントにこの人が野球部にいたらホームラン量産しただろなぁ……」
「は、はぁ……」
梨奈さんは若干引いてる気もするけど恵麻さんは頷いてくれる。
島津先輩が話し始める。
「ま、まぁ俺はデカくていつもガキに泣かれるんだけどなッ!」
ほらぁ!梨奈さんが変なこと言うからこの人気にしちゃったじゃん!見た目に似合わずこの人繊細なんだから……
「そ、それで先輩はこの階に何の用事で?」
「あぁそれは貴様らのクラスに用があるからだな!」
え!用事!まさか僕に対しての……いや僕にそっちの趣味は無いんだ……
「おっ!来たな仁木!」
「は、はぁ……提出物を取りに来るのにわざわざ押しかけないで下さいと何度言えば……」
何故か顔を赤くした仁木さんが来てプリントを渡して……
「あの…腹筋触ってもいいですか……」
とトンデモ発言をかました。ふ、腹筋?!僕らでも腕触るだけなのに?!
でも島津先輩は素直なので仁木さんに腹筋を触らせる。ズルいと思ったので僕、啓馬、晃、恵麻さん、となんか紛れ込んでた光士郎も触る。
「めちゃくちゃ硬い……凄い憧れる……」
こんな人が僕の通っている高校にいることが凄いと思う。美波さんにはこういう人がふさわしいんだろうな……そしたら僕はそこの名誉長男になりたいと思ったのだった。まぁ啓馬たちと順番で揉めるかもしれないけど……




