013 規格外の担任
あちこちで花が満開となり、花特有の匂いが王都全体を包み込む。
そんな良い春の日に剣術学院の入学式が行われた。
剣術学院―――正式名称はモンド剣術学院で、1学年100人の3学年、1クラス20人で構成される剣士養成機関だ。
モンド剣術学院は世界で最も水準の高い学院の1つで、卒業までに生徒全員が属性を発現させるほどである。
そんなエリート校の入学式を終えたカイはヘスと一緒に自分達の教室へ向かう。
クラスは試験の結果で分けられる。
カイとヘスは一番上のAクラスだった。
教室のドアを開けると既にカイ達以外は集まっており、視線が集まった。
そんな視線を掻い潜って席に着く。
適当に席を選んで座るが、隣の席はアイツだった。
「カイくぅん!隣の席なんて運命だね!」
その席の隣はパトリクだった。
相変わらずの野太い声での女口調、カイはそんなパトリクに毎回のように衝撃を受けていた。
カイは恐る恐る口を開く。
「そ、それは違うな?ま、まぁよろしく……」
ぎこち無い遣り取りをしていると、教室のドアが勢い良く開いた。
そこに登場したのは、髪の長い女性だった。
その女性を見て生徒の間でざわめきが起こる。
「おい、あれって……」
「あぁ……【所有者】レニタ=ラトマー様だ……」
その女性は教卓に着くと、自己紹介を始めた。
「今日からこのクラスの担任となったレニタ=ラトマーだ。よろしく」
レニタ=ラトマー、聖剣【シュトラール】の所有者で、その実力は所有者の中でもトップクラスである。
レニタはクラス全体を眺めて、ふとカイに視線を向けた。
「ほぉ……」
小さな嘆息を漏らしたレニタはこう続けた。
「このクラスには途轍もない可能性を秘めた奴が居るようだな。これは鍛え甲斐が有りそうだ」
その言葉によって自然と全員がティナを注視する。
だがティナは褒められているのに内心は余りいい気持ちでは無かった。
ティナは分かっていた……
(レニタさん、絶対に私のことじゃないわ……)
ティナとレニタは何度も剣を交わしているがは、今まで一度も褒められたことが無い。
寧ろ指摘を受けるばかりだった。
そして誰の事を指しているのかもティナには分かっていた。
(彼の事なんでしょうね……)
全員を一頻り観察し終えたレニタは再び口を開く。
「さて、私の自己紹介も済んだところで君達の自己紹介と行こうか」
そこから次々と自己紹介が為されていく。
ティナは注目が集まり、パトリクは違う意味で注目が集まり、ヘスは普通だった。
そしてカイの番が回って来た。
「えー、カイ=ヴェルナーです。よろしく」
カイの自己紹介の途中、予想通りの反応が起こった。
「なぁ、アイツって『玩具剣士』だよなぁ?」
「あぁ、でもこの前の入学試験で魔人を追い返したって噂だぞ」
「所詮噂だろ?あんまり信用しない方がいいぞ」
「でも俺達と同じAクラスに居るんだろ?やっぱり強いんじゃないか?」
どうやらカイの評価は半信半疑である様だった。
その若干冷たい視線を受けたまま席に戻る。
レニタはカイが席に着いたのを確認すると、パンッと手を叩いて話を切り替えた。
「突然だが課外授業の班を組んでもらう」
「「「「「課外授業??」」」」」
こうしてカイ達の波瀾万丈の学院生活が始まったのだった。
ブックマーク、評価をして頂いた方、そして読者の皆様、本当にありがとうございます!
これを励みに更新を続けていきたいと思います!
これからも私の拙作を宜しくお願いします!




