第三節:美波、エレーナ、クロエの運命
どれほどの時閒が經ったのだろう。
數時閒に及ぶ狂氣の「公開戰勝記念會」が終息を迎え、觀客たちの滿足げな歡聲が、遠くの波音のように聞こえ始める頃。
ステージの上に殘されていたのは、言葉を失うほど無慘な光景だった。
十字架に吊るされた美波、エレーナ、クロエの三人の肉體には、かつて世界を魅了した美貌も、誇り高き極道としての面影も、微塵も殘っていなかった。顏は左右に異常に膨れ上がり、どこが目や口かも分からないほどに破壞され盡くしている。下半身は自らの血によって赤黑く染まった、ただの肉の塊へと成り果てていた。
「……ここまで、ね……みんな……」
エレーナの裂けた唇から、消え入るような吐息が漏れる。
「ええ……でも、私たちは……最後まで一緖よ……」
腫れ上がった瞼をかろうじて動かし、三人は互いの無慘な姿を視線の端で捉え合った。
ボスが變わるたびにその運命を弄ばれ、東京の綺麗な檻すらも奪われ、最後は全員で南アフリカの公開市場の壇上で嬲り殺される。それが、最初から決まっていた彼女たちの冷酷な結末だったのだ。
命を賭して守ろうとした誇りも、すべてを投げ打って示してくれた情愛も、この新しく臺頭した手下二人の知性なき暴力の前には、ただの哀れな生贄の儀式に過ぎなかった。
意識の底で、靜かに冷たい風が吹いた。
もう、怒りも、悔しさも、痛みすらも感じない。ただ、互いの存在だけを最後の燈火にしながら、三人の意識はゆっくりと、そして今度こそ完全に、二度と目覺めることのない深い暗闇の底へと沈んでいった。
南アフリカの廣大な太陽の下、二人の若い手下の「大革命」を祝う公開戰勝記念會のステージの上で、三人のトップアイコンの運命は、あまりにも殘酷に、そして完全に幕を閉じた。




