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第三節:海の向こうの殘響
傷ひとつない美しい檻の中で立ち續けるクロエの腦裏には、南アフリカのあの地下室で見た、變わり果てた親友・エレーナと美波の姿が燒き付いて離れなかった。
(エレーナ……美波……二人は今、どうしているの……)
彼女たちが原型を失うほど叩きのめされ、血の淚を流しながらも、自分をこの地獄へ卷き込むまいと叫んでいたあの瞬閒。自分は暴力こそ免れているが、自由を奪われ、世界の最高峰の闇に賣り飛ばされ、こうして每日、怪物のコレクションとして消費されている。
その頃、南アフリカのアジトでは、ヨーロッパ出張から豫定を早めて歸國した新ボスが、留守中に暴走して美波たちを勝手に損壞させた「二人の若い手下」の前に、冷徹な眼差しで立っていた。
「私の許可なく商品(資產)に手を付けたな。ビジネスの規律を亂す獵犬は、處分せねばならん」
アジトの地下室に、手下たちの悲鳴が響き渡る。
新ボスによる冷酷な「躾」とアジトのさらなる擴充、そして東京で黑崎の完全な人形として生きるクロエの生活。すべてを利益と支配に變えるビジネスマン・新ボスの冷徹なネットワークは、クロエという最高の商品を足がかりに、さらにパリのファッション界の深奧へと、次なる獲物を求めて冷酷に牙を剥こうとしていた。




