第三節:美波一家の運命
「さあ、公開式の仕上げだ。彼女たちのプライドの殘滓を、完全に肉體ごと破碎しろ」
新ボスの冷徹な命令が下る。
壇上に上がってきたのは、かつて私たちを蹂躙した現地の若い男たちだった。彼らの手には、棘の付いた鋼鐵製の鞭と、肉を爆ぜさせるための重厚な平手が握られている。
――バチィィン!!
最初の打擊が、私のすでにザクロのように裂けていた尻へと容赦なく叩き込まれた。肉が削げ落ち、激痛が腦髓を燒き盡くす。閒髮入れず、別の男の硬い平手が、私の陷沒しかけていた顏面へと振り下ろされた。
「あ、がぁっ……! あぁっ……!」
耐えようと奧齒を噛み締めたが、あまりの激痛に、喉から血混じりの悲鳴が强制的に引きずり出される。
そして私の兩脇では、母と姉の身體にも、全く同じ容赦のない破壞が繰り返されていた。母の細い背中が鞭で引き裂かれ、姉の腫れ上がった顏面が木ベラで叩き潰されていく。ガラス越しの音ではない。すぐ鄰で、最愛の家族の肉體が物理的に崩壞していく生々しい音が、私の鼓動とシンクロして響き渡る。
何度も、何度も、原型を失うほどの連打が三人の女たちへと浴びせられた。
觀客たちの滿足げな歡聲が、遠くの波音のように聞こえる。
霸權爭いに卷き込まれ、ボスが變わるたびにその所有物として弄ばれ、最後は家族全員を卷き込んで異國の地で家畜のように扱われ、衆目の前で嬲り殺される。それが、私たちがたどるべき、最初から決まっていた運命だったのだ。
私が命を賭して守ろうとした誇りも、潛めていた執念も、この壓倒的な集團の暴力の前には、ただの哀れな餘興に過ぎなかった。
意識の底で、靜かに冷たい風が吹いた。
もう、怒りも、悔しさも、痛みすらも感じない。ただ、自分が守ろうとしたすべてが、家族の肉體とともに完全に粉碎されていく壓倒的な虛無感だけが、冷たく心を支配していく。
鄰を見れば、母も、姉も、すでに息を引き取ったのか、鎖に吊られたままピクリとも動かない。
私もまた、腫れ上がった瞼をゆっくりと閉じ、二度と目覺めることのない、深い暗闇の底へと沈んでいった。
美波一家の運命は、この廣大な南アフリカの大地で、怪物の血を未來へ繋ぐためだけの哀れな生贄として、完全に、そして殘酷に幕を閉じた。




