第三節:汚濁の洗滌と、夜のルーティンの回歸
夕刻、凄慘な蹂躙の時閒が一度區切られると、首を一本の太い鐵チェーンで繋がれ、家畜の群れのようにコンクリート剥き出しの薄暗い高壓洗淨室へと引きずり出される「洗滌」の時閒が訪れる。
工業用の高壓ホースから噴射される、凍るように冷たい地下水が、ガルシアらの暴行によって新しく引き裂かれた彼女たちの皮膚を容赦なく穿った。
ヒューーーーッ!!! と凄まじい水壓の音が室內に響き渡る。
「冷た……っ、あ、が、あぁ……!!!」
エレーナの瘦せ細った身體が激しい水壓で床を轉がり、美波の動かない兩脚が冷たい水のなかに浸される。骨をきしませるような激痛のなかで、五人は互いに縺れ合い、冷たい水に咽び、喉をかき消すような悲鳴を上げながら、ただこの過酷な洗滌の時閒を耐え拔くしかなかった。それは、男たちの汚濁と血、そして床の泥を物理的に洗い流し、次の奉公のために肉體を「器」へと戾すための、冷酷な生產工程であった。
深夜、再び鐵チェーンを引かれ、元の檻へと投げ戾され、手首と足首を鋼鐵のリングで床へと再び完全固定された五人。毛布も枕も與えられず、指先一つ重ね合わせることも許されない距離で、五人は互いの呼吸音だけを賴りに、明日もまた始まる終わりのない奉公の奈落へと、意識を沈めていく。
美波は、床の血溜まりとこぼれ狂うミルクの混ざり合う泥濘に顏を伏せながら、腫れ上がった瞼の奧で、アジト全體の統制が完全に「新ボスレベルの怪物たち」の日常へと固定された現實を自覺してゐた。
五人の人形たちの悲鳴はやがて力なく掠れ、機械の規則的な脈動音の中に冷酷に溶けていく。
前ボスや新ボスを遙かに領駕する壓倒的な力を持った囚人たちの下劣な歡聲と、機械の不快な吸引音が響き渡る廣場の眞ん中で、顏も胸も尻も完全に潰された五人の人形たちは、每日が狂亂のパーティーという名の逃げ場のないルーティンを受け入れるように、二度と覺めることのない深い、深い絕對の暗闇の底へと、ただ靜かに、永劫に沈んでいくのであった。




