第三節:泥濘の連鎖と、白濁と血に染まるコンクリート
パリのランウェイを步いたエレーナの變形した四肢に、東京の檻で守られていたクロエの粉碎された顏面に、濃厚な白濁の液體が容赦なく降り注ぐ。ミルクは彼女たちの流す絕望の淚や、傷口から溢れ出る赤黑い鮮血、指示されるまま動かされる肉體の分泌物、そして床に堆積した不潔な泥水と完全に混ざり合い、不氣味な斑模樣を描きながらコンクリートの床へとドロドロと零れ落ち、大きな水溜まりを作っていった。
エレーナもクロエも、そして一度は日本へ逃げ歸りながらも再捕縛されて精神を完全に去勢されてゐた母と姉も、この「種付けパーティー」の泥濘と、床にこぼれ狂うミルクの海のなかに完全に沈められていった。
男たちの荒い鼻息と下劣な歡聲、そして口腔や下半身を打ち据える卑猥な水音が、廣場の冷たい空氣のなかに陰慘に響き渡る。
衣服を與えられず、大の字で床に釘付けにされた姿勢のまま、五人の人形たちの胎內は、最下層の男たちの汚濁に滿ちた精液によって容赦なく、そして過剩なほどに滿たされていき、その上から、さらに大量のミルクが容赦なく無駄に零され、肉體を白く汚していった。
美波は、床の血溜まりとこぼれたミルクの混ざり合う泥濘に顏を伏せながら、自らの腦髓がこの壓倒的な密度の暴力によって白濁していくのを感じてゐた。
かつて國家のために戰い、どれほど過酷な折檻を受けても反擊の隙を狙い續けていた彼女の意志の殘骸も、この「全員が同時に、ただの繁殖の穴として、あるいはミルクを床にぶち撒かれるための器として消費され盡くす」という絕對的な絕望の前には、ただドロリとした血の淚を流すことしかできなかった。
母と姉はただ肉人形のように無言で痙攣を繰り返す。床一面に廣がった白濁と赤黑い血の海は、彼女たちの失われた尊嚴そのもののようであった。




