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番外編:ベッドの上での、あれ ※ただし年齢制限はつかない

続編がシリアスだったのでラブコメです。

 ドアの音と足音が聞こえてきた。読んでいた本を閉じる。そして、ベッドの上に立つ。

「このベッドは私が占拠した!」

 私は宣言した。ルミエールがお風呂から出てきたタイミングをはかってベッドの上で待機してたのだ。


「……何をやってるんだ、お前」

 お風呂から出てきてさっぱりしたであろう彼は溜息混じりで言った。ちなみに私は先に入らせてもらった。服も着替えているので寝る準備万端だ。

 彼がタオルを頭にかけたまま、足をぺたぺたと鳴らしてベッドに近付いてくる。


「えー。私がノリよく言ってるんだから、ルミエールも合わせてよ」

 彼のベッドに座り大袈裟なほど膨れてみせた。

 蜂蜜色の瞳が私を見つめる。

「俺のベッドはどうしたら返してくれるんだ?」


 彼の言葉に私はにやりと笑った。子供がテレビで見る悪役のような顔ができてると思う。

「私に、もふもふされなさい」

「は?」

「もふもふ。グルーミングです」

「意味分かって言っているのか?」

「つやつやな毛並みにしてみせるよ」

 ブイサインを彼に向ける。あれ、これって通じるのだろうか。

手をパーにして手を伸ばす。「おいで、おいで」ってしてみた。


 ルミエールは顔を手で覆った。

 困ってるのか笑ってるのか分からない。表情が見えないと次の行動に出づらい。

「ルミエールさんよ、」

「なんだ?」

 顔を上げて反応してくれた。心なしか口元が笑っている。

「大人しく私に撫でられてください」


 数秒の間のあと、ルミエールは小さく吹き出すように笑う。

「そうだな。撫でられるとするか」

 蜂蜜色を細めて楽しそうな顔になった。





 半分ぐらい乾いていたのだけど、タオルで水分を拭き取るようにあてた。髪、耳。耳は軽くで大丈夫そうだ。髪の毛をもう一度タオルで包み込む。

 この世界にドライヤーはない。その変わり魔石を加工したものがある。

ブレスレッドに魔石が付いてものが一般的だそうだ。風の魔法を応用したものらしく、濡れてもぱっと乾かせる。

 髪を撫でて濡れていないか確認する。と、今度はしっぽへと手を伸ばす。

しっぽが揺れて、ぺしっと手にあたった。

「頭だけでいい」

 ベッドの上に一緒に座り、彼は後ろを向いているのでしっぽが丸見えだ。

いまは水に濡れてしっとりとしているけど、乾いたらふわふわなんだろうな。

「ちゃんと乾かさないと風邪引くよ」

 しっぽがぱたぱたと揺れる。彼からの言葉の反応はない。

よし、強行突破だ。目の前に出すのが悪い。


 タオルをばさっと被せる。驚いたようにびくっと揺れてから、ぱたりと動かなくなる。

タオルの上から撫でる。毛並みに逆らわないように優しく。全体をまんべんなく。

ブラシを手に取る。引っかからないように気をつけながらブラッシングしていく。ふわふわと風が撫でる。魔石を使いながらのブラッシングは初めてだけど、いい感じだ。ブラシを通したところから、つやつやになっていく。

「もういっそ、枕にしたい」

「それは困る」

 ぺしゃんと潰れてしまうかな。

「じゃあ、ルミエールみたいな抱き枕がほしい」

「それも困る」

 何に困るの。

「何なら困らないの?」

 体勢を移動して、彼の横顔が見える位置に座りなおす。

 間を空けて、彼の唇が動く。だけど、それは音にならなかった。何を言いたかったのか分からずに閉じられた。


「ルミエールは?」

「え」

 彼が振り向く。

「ルミエールを枕にしたらいいの?」

「何を言ってるんだ」と、呆れられると思った。でも、溜息を吐くどころか瞳が僅かに揺れて私を見た。

「アオイは、いいのか?」

 耳をぺたんと後ろに寝かせている。撫でられることを待っているのだろうか。

「いいも、なにも私が聞いているんだけど」

 頭に手を伸ばして撫でる。今日はすごく撫でさせてくれるなあ。

目を伏せされるがままになっている彼を見る。お腹を見せて撫でるのを強請る感じじゃないけど、嫌な表情はしていない。耳を撫でてから、手がしっぽに戻ってくる。

ブラッシングしたてだから気持ちいい。


「よし。この、ふわふわを堪能しながら寝る」

「頼むから大人しく寝てくれ」

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