065●外交の問題
忌々しいラベンダーめ。他国との共存共栄など、絵空事だ。
確かに我が国民に飢える者はいなくなった。だが、隣国・周辺国にも食糧援助をするとは、考えられん。
奴らが力を回復すれば、また、攻め込んでくるぞ。
確かに、今、争いはない。だが、ラベリアや他の国々が、豊かになった我が国に食指を動かすことは必定。自国が豊かになるため、武力を用いて他国を従わせ搾取する。
これはどの国家でも同じであり、摂理だ。
現に、ほんの数年前まで、ラベリアは我が国に何度も侵攻して来たではないか。
我が国より広い領土、多くの国民、豊かな資源を有しておる、というのに。
儂が正しい。儂が正しいのだ。
王都が見えてきた。
一挙に王宮を取り囲むぞ!
ラベンダー派の屋敷もだ。
国を蝕む国賊めらを、一掃してくれようぞ。
ー来ました。
ー殺してはならん。アリス、難しいことを言うが、頼んだぞ。
ー承知しております、マイロード。マギ、ガイ、レオ、準備はいいな。100体をそれぞれ率いよ。
ー了解です!
なんだと!待ち構えている兵がいるだと?!まさか・・・。数は?およそ300?我らは2千を越えている。余裕だ。力押しで蹴散らすぞ!
ー紡錘陣形で、中央を突破する。回り込むぞ。電撃を使え!しばらくの間、戦闘不能にするぞ。
ー各員、抜刀!だが、斬るなよ!斬撃モードではなく、殴打モードだ!
ー先頭、レオ、行きます!
中央突破された!何だ、この破壊力!この機動力!
「陣を立て直す。後方から、巻き込んで来るぞ!急げ!」
ローレンスが蘇ったかのようだ!全く歯が立たん。味方がバタバタと倒れていく。剣が速い!
見えん!暗さのせいではない。
日が昇るぞ。いかん、公爵様があぶない!
「密集隊形を取る!公爵様を守れ!」
朝になると共に降伏だ。これでは大人と子どもの戦いだ。
7倍もの兵力差がありながら、こうも無残に敗れるものか。
公爵様は、落ち延びられたのか・・・。
「ありがとう、ロイ。またしても、君に助けられたね。」
「もう少し早く気がつけば、よかったんだが。」
「公爵は?」
「国境を越え、ラべリアに入ったようだ。」
「そうなると、あとは外交の問題だな。」
「すまない、よろしく頼むよ、ウィル。」




