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054●’てんさい’
どうして「さやか」って名前になったのか、説明してもわからないだろうな。
でも、はぐらかしちゃ、いけないのよね。
萌香もちいさい時、お姉ちゃんはズルイ、ってよく言ってたよね。懐かしい。
「さやちゃんが生まれたのが、秋の始めだったのよ。パパと相談して、百人一首っていうカルタから選んだの。」
「カルタ?いぬもあるけば、ぼうにあたる?」
「そうそう。その中にね、’秋来ぬと 目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる’ っていうのがあって、そのなかの’さやか’から取った名前なの。」
「なんか、よくわかんない。」
「もう少し大きくならないと、難しいよね・・・。なっちゃんが、みんなとやってるカルタ見ようね。」
みんなが褒めてくれている。
「なっちゃん、カルタ、全部おぼえてるねえ!天才だあ!」
「すごい、すごい!天才、天才!」
「てんさい?・・・てんさいは わすれたころに やってくる!」
「うわあ、よくおぼえてる!本当にすごい!」
親ばかじゃなくて、親族ばかなのよね。ありがたいね。パパが帰ってきたら、言わなくっちゃ。




