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リリア・テレシア~亜空間魔法の使い手~  作者: シャチ
第4章 王家の影編

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40.リリア・テレシア

 リリア・テレシアは属性至上主義の時代において大変稀有な存在であり、なおかつ後の属性数主義の見直となる様々な新説を生み出し、今の時代における魔導文明の礎を築いた一人と言われている。

 

 彼女は亜空間魔法という現代としても珍しい属性を持って生まれた。

 当時は二属性以上を持たないと攻撃魔法が使えないといわれていた時代、伯爵家に生まれた彼女は将来を心配された。

 だが、本来であれば5~6歳ごろより発達する魔術能力が生まれた年には無詠唱にて行使で来ていたといわれ、魔法の定義がかわるきっかけとなった。

 魔法の再定義には彼女の夫であるエドワード・テレシアが代表的な研究者であり、彼が解き明かした「座標を指定して魔法を行使する」という考え方のおかげで、一属性でも魔法が使えるきっかけを作ったとされる。


 さらには、当時急速に発達しつつあった生活魔道具の開発者として有名な、アンジェリカ・チェスター侯爵夫人は、年齢の差はあれどリリア・テレシアと友好な関係を築いていたらしく、亜空間魔法の使い手である彼女とともに魔法研究を行っており、亜空間魔法の派生としてあり得ないほど強力な重力魔法と呼ばれる新たな魔法を生み出している。


 また、攻撃魔法の魔道具は作らないことで有名だったアンジェリカ・チェスターは唯一、亜空間魔法についてだけは魔法そのものを魔道具化している。

 のちにマジックバックと呼ばれる亜空間との出入り口を魔道具に落とし込み、物体を出し入れすることができる魔道具である。

 現在でも非常に高価であり、一般市民が手に入れることはできないマジックバックではあるが、一攫千金を夢見る冒険家には喉から手が出るほど欲しい一品であり、貴族家ではこのマジックバックの容積が家の資金力の強さを測るなどと言われた時期もあったほどだ。

 また、王家にはこれとは別に亜空間魔法を使った魔道具があるといわれている。


 リリア・テレシアについては亜空間魔法についてが有名ではあるが、彼女の家系は今も途切れていない。

 当初、結婚時には子供ができず養子をとっていいたが、御年34歳にして彼女は妊娠し、無事に出産した。

 当時としては極めて高齢での出産であり、現在ではさりて珍しくもない年齢であるが、彼女の子供も亜空間魔法の使い手であった。

 子供に属性が引き継がれることはよくあるが、特殊属性を引き継ぐものはほとんどいない中で、現在もテレシア家は亜空間魔法を使える唯一の家系である。

 なぜか婿入り先や嫁入り先では亜空間魔法を持つ子供が生まれないというのだから不思議なものである。


 ともかく、テレシア家は現在も王家に仕える1家門として有名であり、領地もちである本家テレシア家と領地を持たず領都の法衣貴族をするテレシア子爵家の二つが存在しており、当時から紛らわしいといわれている。

 だが、面白いことにテレシア子爵家はずっと女系当主でつづいており、黒髪で赤目という特徴があるので、間違えて声をかけることはないだろう。


 そんなリリア・テレシア子爵も今年で8代目の当主になった。

 ほかの家ではそんなことはないのだが、テレシア子爵家当主は常にリリアの名を関している。

 なんでも、リリア・テレシアという名前じゃないと亜空間魔法が使えないなどという噂まであったりする。 

 なお、初代リリア・テレシアの養子であるエレーナは彼女の娘が生まれたことでお役御免となり他家にとついでいる。

 

 さらにもう一つ特徴としてテレシア子爵は見た目と年齢が比例しないことがあげられる。

 亜空間魔法を行使する弊害と言われているが、初代テレシア子爵は死ぬまで可憐な少女のようであったといわれる。

 現当主のリリア・テレシア子爵をみてもその噂はあながち間違いではないとわかる気がする。

 すでに45歳を超えているはずだが、見た目は私が学生のころに見たときとさほど変わっているように見えない。

 俗にいう美魔女というやつであろうか?

 

 ともかく、彼女のおかげで、一属性しかない私が伯爵家を継げたのだからありがたいことだ。

 魔力量ばかり多くて一属性……それが100年前なら私は当主にはなれず平民落ちしていただろう。

 初代テレシア子爵には感謝してもしきれないという思いだ。


 それに一属性でも魔力さえ持っていれば魔物に対抗できるようになったことで、ハンストリア王国は平和な時代が続いている。

 この先も平和であらんことを。

 私が実際にこの膨大な魔力で攻撃魔法を行使することが何より良いのだと思っている。


                           著:フリードリヒ・テレシア

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