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リリア・テレシア~亜空間魔法の使い手~  作者: シャチ
第2章 貴族学校編

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14.魔法競技と試験

 学園入学から三カ月が経ったこの日、魔法学科での中間試験の一環として実技授業において対人競技が行われます。

 本来、攻撃魔法は人間にも当然効果がありますが、対魔法防具をつけることで効果を無効化でいます。

 これは魔法練習につかう的にも施されており、これを着用することで魔法をほとんど無効化します。

 発動される魔法の術式に作用して呪文を分解無効化するもので魔道具と呼ばれるものの一つです。


 これによって魔法が当たってもけがをすることは無く、人同士の争いで魔法を使うということはほとんどないというのが実情です。

 学園にある的やこの対人競技においては、対魔法防御効果のほかに、当たり判定と呼ばれるものがあって、どこに当たったのかがわかるようになっていたりしてとても便利なものです。


 筆記の試験とは別に対人戦協議をやる理由は、魔物も生き物であり動かない的ばかり狙っていても練習にならないからといわれています。


 まぁ、私は見学なんですけどね。


「リリア様がこの授業見学なのは仕方がないかと」


 ふてくされていると、ちょうど対戦で勝利を収めたドロシーさんが私に声をかけてきました。

 あらやだ、顔に出てたかしら。


「わかっていはいるのです。私の魔法は魔法防御を貫通しますから。でも面白そうなこの授業に参加できないのは悔しいのです」


 私がこの授業に出られない理由。

 それは私の攻撃魔法の亜空間による切取りは魔法防御を貫通するためです。

 誤って本気で魔法を発動すると無詠唱で相手の頭を消し飛ばせてしまうわけで、こうして見学するしかないわけです。


「こないだみたいに攻撃魔法を使わないで、無効化を続けるなら参加できそうな気もしますけれども……」

「相手が魔力切れするまで飲み込み続けるのは不毛では?」

「なんだ、テレシア嬢は防御魔法でも編み出したのか?」


 私とドロシーさんの会話を聞いていた先生が声をかけてきました。

 

「はい、相手の魔法を当たる前に亜空間に送って無力化するんです」

「面白いことを考えるな……テレシア嬢、人に向けて絶対に攻撃魔法を使わないと誓えるなら対人競技への参加を許そう」

「相手の魔力切れまでとなるとかなり面倒なのですけど?」

「そこはルールを決めよう。今まで見る限りこの学年の生徒たちは大体魔法の打ち合いで5発ほどで決着がついている。君は魔力量も多いから10発の魔法を防ぎきったら君の勝利というのはどうだろう?」


 つまり、私が相手の魔法を10回防げばいいというルールのもと、対人競技に参加して魔法の技能を見せてほしいという事で、私はそれを了承した。

 ただ、もし万が一私自身が危険を感じて攻撃魔法を不意に使ってしまうと相手を殺してしまう可能性が高いため、誰も対戦したいと言わないかと思っていたら、ジョーンズ子爵令息が名乗りを上げました。


「3属性魔法を使える俺が、1属性しかないやつに負けるはずがない。1発で魔法を当ててやるよ!」


 とのこと。

 いまだに私に突っかかってくるのですよね。

 魔法学科の授業中の対人競技は、私はずっと見学でしたからいまだに侮っているのかもしれません。

 お父様を通じて厳重に抗議させてもらったんですが、彼は属性至上主義者らしく、1属性である私をずっと侮っているんですよね……

 そろそろ実力で分からせてあげましょう。


「いいですか、テレシア嬢。10発防ぎきってください。絶対相手に攻撃魔法を当てないでくださいね?」

「わかりました。大丈夫です」


 私、目の前の馬鹿みたいに考えなしじゃないので、それぐらいの分別はつけられます。

 私はこの時初めて対人競技用の舞台に立ちました。

 切り出した石で作られた四角い舞台で、通常は魔法を受けたか、この舞台から落ちたら負けとなります。

 今回は私はジョーンズ子爵令息の放つ魔法を10回消し飛ばせばいいわけです。


「では!はじめ!」


 先生の掛け声とほぼ同時にジョーンズ子爵令息は呪文を唱え始めます。

 マグマバーストですね。たぶん今の彼の最大火力なのでしょう。

 

「マグマバースト!!!」


 私に向かって真っ赤なマグマが飛んでくるそれに意識を集中して魔法を行使します。

 特に詠唱は要りません。

 消えろと思うだけでいいのです。


 ”ギュポッ”


 飛んできていた大量のマグマをすべて亜空間に飛ばしてあげました。

 それを見てジョーンズ子爵令息は目を丸くします。

 驚いている場合ではないと思うのです。

 本物の魔物相手にそんな隙を見せたら噛みつかれますよ。


「くそっ1発防いだぐらい!マグマバスター!!」


 その後もジョーンズ子爵令息はマグマ系の魔法を次々と私に向かって放ちます。

 矢や槍のようなものや、小さいマグマ弾を大量に飛ばしてきたり、火と風の魔法を使った爆発系の魔法を使ってきましたが、それは爆発する前に亜空間に閉じ込めてあげました。

 徐々に魔法が実体化する瞬間に亜空間に飛ばせるようになってきて、彼の詠唱が終わったときにはその魔法の発生場所を消し飛ばせるようになりました。


「そこまで!!!」


 先生の号令で協議が終わったころにはジョーンズ子爵令息は肩で息をしていました。


「10発という約束だったが、すぐに止められなくて申し訳ない。あまりの魔法精度に私も見とれてしまった」

「いえ、先生。お気になさらず。これぐらい軽いものです」

「勝者はリリア・テレシア。見事な魔法制御でしたねテレシア嬢。ジョーンズ君は高威力魔法ばかり放つのではなく、相手の動きや状況によって戦術を変えることを覚える必要があります。それに前にも話しましたが、君の態度は非常に良くない。今一度自らの行いを反省するように」


 先生の総評が終わった。

 私の魔法は十分評価されたみたいだ。

 で、ジョーンズ子爵令息は普通に怒られていた。

 彼、そろそろ退学処分になるのではないかしら?

 ご両親すら止められないのかしら……あぁそういえば彼のご両親は2属性だからすでに見下しているのかもしれないわね。

 ハーバー伯爵令息も2属性だから止め切れていないのかも……

 まぁ彼がどうなろうと知ったことではないけれど、これで私の中間成績は正当に評価されたものになるでしょうね。

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