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 これで仕事も終わりかと思ったのだが、お嬢様は礼を言いつつも一緒に来て欲しいとまた車に乗る。

 どこに行くのだろうと思っていると、誰だかの家に着く。

 お嬢様が呼び鈴を押すとその家の母親なんだろう、女性が出てきたのだが、なんだかちょっと疲れているようだ。

「クラスメートの者です。会いに来ました」

 と軽く要件を言う。制服を着ているので女性も疑わないのだろう、

「せっかく来てもらって悪いんだけど、あの子、部屋から全然出てこないのよ。呼びかけても怒鳴るだけで……」

 なるほど引きこもっているのか。

 するとお嬢様、大きな封筒を出して

「彼女、奇妙な病気に罹ったんですよ。私もその病気に罹って、この人(と私を指して)に治してもらったんです。これを見せてあげてください」

 お母さん、なんだかよく解らないけどそうすればいいのかと怪訝な表情で受け取り、ドアを閉めて中に入っていった。

 と、すぐに勢いよく戻ってきて

「どうぞ、入ってください!」

 私のことも医者だと思ったのだろう、(おぉ)という表情で歓迎してくれる。

 靴を脱いで(靴下はもう履いてない、素足である)二階に上がると、部屋の前に顔を布?服?でぐるぐる巻いた女の子が立っていて

「あんた!治ったの!」とお嬢様に大声で言って、そしてこっちを見る。

「大丈夫だから、中に入りましょう」

 封筒には呪いが掛けられた状態のお嬢様の写真が何枚もあって、あちこちの角度から撮されたものだ、布を取った女の子も今その状態である、で目の前のお嬢様は元の美少女に戻っている、それはもう信じるだろう。

 すぐにバターナイフを構えて呪いを取り、瓶に入れていく。

 少女もまた傷一つなく綺麗に戻った顔を見て勢いよく服を脱ぐのだが、嬉しくも楽しくもなんともない。

 綺麗に戻った体を嬉しくさすり、そして一切の表情をなくして

「で、誰?」

 こえぇよ。

「まだ待って、あと二人いるの」

 まだ二人やらんといかんのか。


 少女を乗せて車で移動し、あとの二人を元に戻す。

 三人が口を揃えて

「で、誰?」

 こえぇよ。

 しかしお嬢様、三人を手で制して私に向かい、

「先生には本当に感謝しています。本当に感謝以外のなんにもありません。

 けど、ここから先は先生は何も知らないでいるべきなんです。

 先生はここまででお帰りになってください。謝礼は必ずお支払いします」


 後日、本当に大金が預金口座に振り込まれた。四で割って一人当たりにしても、ちょっと多すぎるんじゃないかという額。

 私はプロじゃないんだからここまでもらうのは気が引けるのだけど、やっぱり口止め料も含まれているんだろうな。

 そしてその後、この手の呪いを解く仕事も、だいたいここら辺だったようなという地区からの依頼もないので、全て終了したと思っていいのだろう。


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