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婚約破棄同士ですね。  作者: もっちりワーるど
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貴族招集会議 3 終わり - ラフィニア目線 -

もう、これは不治の病です。うそつきで、ごめんなさい(泣)


さっきまでの事が嘘の様に、謁見の間は静まり返っています。

イヴェルバ公爵様、他3名の貴族席に、奥様方が、まるで違和感なく着席しておいでです。

私は、先ほどまでの彼女たちの勇士に、胸の中に何か強いものが沸き上がったように感じました。

そして、それと同時に胸に広がる靄のような苦しい感じを味わっています。


確かに私は、彼女たちから勇気を頂きました。


しっかりと、私よりも先に貴族として生き、誇りを持って生きてきた彼女たち。

今の私では、足元にも及ばない。

しかし、及ばなくては。

いずれ、彼女たちのような強い女性になりたい。

そう思うのに、胸の靄は濃くなる一方。


それは、きっとこれ。



私は、自分の持つ今回の作戦が書かれた紙を握りしめた。

自分が彼女たちのように、胸を張って考え立てた計画なら、こんな苦しい想いはしないと思います。

しかし、これは昨晩クレール様とディボル様が考えてくださって、朝、シルビア様に手直しされたもの。

私は、発表するだけ。



…そう。私はまだ甘い。

ディボル様やクレール様、シルビア様は、自身の将来、未来を切り開くための知恵や努力等を、1分1秒無駄にすることなく過ごしてこられたのだろう。

きっと、私の兄や、ランス様。それに、この謁見の間に集まるすべての貴族の方々が。


そんな皆様の前で、私が考え切れなかったことを発表する。

ほんの数日、齧った程度の知恵しかないこの私が。


こんな事、許されるのだろうか…。


でも、今の私には、手に持つこの案以上のものをひねり出すなんてことは出来ない。


今、必要な事。それは、コンタージュ領に、少しでも早く兵を送ること。


その為には、この案が必要なの。

“今”この案が思いつかなくてもいい。“後少し先”にこの案以上の案が出せる人間になろう。

その為に、コンタージュの未来を繋がなくては。

私は、“今”自身が出来る事をする為、ディボル様とクレール様を見た。

そして前を向く。


もう迷わない。


未来の自分を信じて、今の自分のすべきことをしよう。




「さて、他に議題があるものはいるか?」



そう、王様が私を見ておっしゃり、私は手を上げました。

すると、王様は私を見て、頷いてくださった。

私は口を開いた。



「今回の一件で、貴族内に裏切り者がいた事が立証されました。しかし、それを立証したのは、他でもなくその家の方達でした。そこで、どうでしょう。彼らの家に、チャンスを与えてくださいませんか?」


「チャンス?」


「はい。現在、陸、海とで戦争間際です。この戦の片棒を担いだのが彼らなら、落とし前も彼らが付けるべきことかと。」


「ほほう。では、奴らの領民だけを最前線に送り込む気か?」


「そんなことは致しません。我ら侯爵家は、この国に勝利をもたらすもの。彼らだけで戦い、勝てる相手ではありません。私達が建てた戦術に従った形で、貢献してもらおうと思うのです。」


「ふむ……。どう思う。」



私と、王様のやり取りを聞いていた貴族達は、一斉に考え出した。

ある者は、ランスとゲイルの采配は完璧だろうから、そこにこちらの意思で使えない兵を送るのは得策とは言えないのではないか?と言う人。

ある者は、でも、どう戦況が変わるか分からない。兵を増やせるなら増やした方がいいのではないかと言う人。

そんな中、一人の貴族が手を上げた。



「まず、彼女たちに聞いてみませんか?兵を送り出すのは、彼女たちの領民からになるのですから。」



思慮深い眼鏡が似合うインテリジェンス侯爵様がおっしゃる。

すると、イヴェルバ公爵夫人が立ち上がった。



「王様。私達はあの告発をするときから、覚悟を決めていました。すでに、領民にはことの次第を説明し、現在、兵に出ることが出来る民を集めております。……もとはと言えば、あの至らない夫がしたことで、領民に迷惑を掛けることはしたくなかった。しかし、この国の窮地を作ったのが我々の当主ならば仕方がありません。」



イヴェルバ公爵夫人の言葉に、他の3家の夫人も頷いていらっしゃいます。

落ち着き威厳ある言葉に、頼もしさすら感じます。

そんな彼女たちに、私は頭を下げたい衝動に駆られたけれど、思いとどまりました。

私の感情で動いてはいけないから。

私は、内心の想いを悟られないように、ぐっと体に力を入れました。

すると、私の横に座っていたディボル様が手を上げた。

王様の了承を得て立ち上がります。



「陛下。ランス=フォード陸軍総指揮は、今回の増員、特に不要とのことです。何故なら、今回の件で深く傷ついたのは、他でもない、マリエッタ=サヴィニオン公爵令嬢とラフィニア=コンタージュ侯爵令嬢です。戦いに参加する形で懺悔なざるのら、コンタージュ領への増員が妥当だと申しております。」



さらりとスマートに王様へ報告を済ます、ディボル様に王様は何か感じたのか、苦笑しながら私を見ました。



「……ラフィニア=コンタージュ。君は海軍総指揮から何か託っているのか?」


「はい。ゲイル=コンタージュ海軍総指揮は、…サヴィニオン公爵様にも今回の一件を報告した際、思う存分増員兵をこき使ってくれと頼まれたので、遠慮なく使わせてもらいましょう。と、申しておりました。」



本当は、こんな事言っていません。

でも、増員したいのは事実。

“嘘も方便”でGO!です。



「…サヴィニオン公爵。それは誠か?」


「はい。コンタージュのところで、ギッタンギッタン…ごほんっ。無事、国を守ることが出来たのなら、当主一人だけの処罰だけを望み、他の者への咎めはしないものとします。」



マリエッタ様のお父様、サヴィニオン公爵様が頷きながら、お話しされました。

その様子を見て、王様は私に視線を向けました。



「分かった。今回の増員。認めよう。ラフィニア嬢、急な増員だが、海軍総指揮に上手く言っといてくれ。」


「畏まりました。また、陛下、よろしいでしょうか?」


「なんだ?」


「増員する兵士なのですが、開戦も迫っております。開戦してしまってからの増員ですと、こちらの戦略に加えるのが困難なため、開戦に間に合わせる為、ある方法を使いたいのですが。」


「ある方法?」


「はい。運河を持つ領地で保管していらっしゃる、物資運搬用の船です。」


「船?」



私の突拍子もない発言に、王様は今まで聞いたことがない声を出されました。

他の貴族様方も、皆さん口々に「船?」と言って頭をひねっています。

私は、彼らの戸惑う声に負けないように声を張り上げました。



「コンタージュ領が所有する、港への物資搬出に使われる船を、兵士を送る船として使わせてください。また、兵士の人数によって足りない場合がありますので、一番多くの船を所有するエタローン侯爵家にも協力をお願いしたいのです。」



エタローン侯爵家の領地は、主に鉱山を持っています。鉄や火薬等をコンタージュ領に運び入れる際、なんと船で送っていることが、昨日分かったのです。

鉄や火薬等、“人よりも重いもの”を運ぶ船なら、“鎧をまとった兵士”を送る事も出来ると目を付けたのは、ディボル様でした。

私は、エタローン侯爵様を見ました。



「いいでしょう。うちの船を出しましょう。」



エタローン侯爵様は、余裕ある笑みで私のお願いを聞いてくださった。

しかし、今はこんな風に友好的に接してくださるけれど、昨晩クレール様と窺った時は、こちらの意図をすぐ悟られてしまい、“お兄様には今後、もっと沢山鉱物を買っていただくことにしましょう。”と背筋がぞくぞくするような笑みを受けました。しかもそれを見ていたビスター様が、仕方ないさとクレール様を励ましていらっしゃいました。



「では、出兵の用意が取れたら、シルビアへ報告書を提出するように。さて、…今回の件で、私は色々考え深いものを感じた。皆の者、国を良くするためには、“女”だ“男”だと、区別するものではないな。イヴェルバ公爵夫人、他夫人たちの告発。今、兄ゲイル=コンタージュに代わる采配をしたラフィニア=コンタージュ。そなた達。共にこの国を守ろう。」


「「「「はい。」」」」

 


奥様達が皆さん、王様を一身に見つめて返事をしていく中。

私は、返事をしていいものかと躊躇してしまいました。

それにすぐ気づいた王様が私を見ています。

私は、



「私は未熟でございます。ここにいる皆様、そしてここにはいないランス様と私の兄。皆様と一緒にこの国を守る為には、私はまだまだ未熟。ですので、これから、王様のご期待に応えられる人間になるよう努力いたします。」



そういうと、スカートを持ち上げ、最上級の礼を贈りました。



今回のこの件は、私ではどうにもならなかった。

皆様のお力があってこそ、実現したと自覚しているからこそ、王様のお褒めの言葉をそのまま受け取ることは出来なかった。

馬鹿正直でも、理屈っぽくても、それが、今の私の意思だった。


すると、私の言葉にニヤリと笑った王様が、



「“誰か”の手を借りる事は、悪い事ではない。しかし、その現状に満足してしまえば、その者の成長は止まる。自分の置かれた状況をしかと認識し、驕らず学べ。皆の者…若者に負けるなよ。」



この場にいる貴族の方々も、息を飲み自分の席から立ち上がると、胸に手を当て礼を取る。


そして、王様と王妃様、シルビア様が席を立ち、退出していかれました。

私達貴族は、そのお姿が見えなくなるまで、礼を解かずに。



ここから、シルビア様の行動は、とてつもなく早かったのです。

もう、この事案が成立することを見越していたように、完成した書類を手に私の前に現れました。

そして、イヴェルバ公爵夫人や、エタローン侯爵様と打ち合わせをして、王都からわずか3日で出立できることになりました。






はい、貴族招集会議、無事終わりました。

お兄ちゃんはどうしているのでしょうか?

次は、お兄ちゃんのターン。

一応、お兄ちゃんも領地で出来る事をしていました。

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