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婚約破棄同士ですね。  作者: もっちりワーるど
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貴族招集会議 1 はじまり -シルビア目線-

貴族召集会議を一気にあげたかったのですが(5話分ぐらいあります)、長く待たせてしまうのも申し訳なく、まず、会議のはじまりの様子を載せます。(すみません、この会議、結構重要なので、大筋は変えませんが、もしかしたら修正変更するかもしれません。)


明日、次話の更新目指します。


朝早く、私は自分のすべきことを整理しながら、この後に行われる準備に追われていた。

“彼女の案件”をいち早く通すべく、必要書類の作成や根回しに裂ける人員の確保、体制を整えていたのだ。


部屋の窓が白んできた頃、侍女からラフィニア達が入城したことを知る。

私は、侍女に今日着る自分のドレスを用意させた。

早急にそのドレスに着替えながら、彼女たちが私の髪を結い上げていく。

ドレッサーの鏡に映る“王女様”な自分に、苦笑いすると侍女を呼び、言付けすると部屋を退出させた。


今、自室には私一人だ。


私はドレッサーの椅子から立ち上がると、自室を出た。

これからの“根回し”を完璧にするために。




------3時間後-------





呼ばれていた貴族達が続々と謁見の間に集まってくる。

私は、彼らが入っていく姿が見える、向かいの棟の3階から見下ろしていた。

貴族の最後の一人が入城したところを見て、私も謁見の間へ早足で向かうことにした。



王と王妃、そして私と、謁見の間へ入室する。

貴族達は一同に最上位の礼を取り、私達に頭を下げる。

私達は彼らの礼を横目に見ながら、自身の座る席の前に歩く。



「皆、今日は緊急の招集に応じてくれて感謝する。表を上げ、着席せよ。」



王の言葉に、貴族達は頭を上げると自身の席に腰かけた。

謁見の間いっぱいに輪っかのような円卓が広がっており、貴族はその円卓を囲むように着席した。

その席は2つ空いている。

コンタージュ侯爵家とフォード侯爵家の椅子が、ぽかんと空いている。



「今日の議題は、シルビア、王女からの発案じゃ。シルビア、皆に話をせよ。」



王の言葉に、私は一つ頷くと自身の椅子から立ち上がり、貴族全員の顔をぐるっと見渡した。



「現在我が国は他国軍の侵攻により、陸、海と交戦準備を行っております。よって、ここには総指揮官の侯爵家は出席しておりません。しかし、その席に本日入室させたいものがおります。入室させてよろしいでしょうか?」



私の言葉に、他の貴族達が頷きあう。

こういう交戦時の緊急招集時は稀にあり、その時入室してくるのは、決まって次期侯爵か、その兄弟、親族が入室してくる。

今回もそうだろうと思っているのか、彼らから“異議”は上がらなかった。



「貴族達の了解は得られた。シルビア、入室させよ。」


「はい。ディボル=フォード侯爵子息。ラフィニア=コンタージュ侯爵令嬢、入室なさい。」



そう発言した瞬間、貴族達がどよめいた。



「女?!」


「貴族招集に女を入れるのか?!」


「権威ある貴族会議に女を入れるのか?!」



様々に言葉は違えど、皆“女”の入室を拒む発言だった。

そんなどよめきに、



「黙れ。」



静かに。しかし、威厳ある低音の王の言葉に、貴族達はすぐに静まり返った。

謁見の間の扉は開かれ、ディボル=フォード侯爵子息と、ラフィニア=コンタージュ侯爵令嬢が立っていた。

扉の前に並び立つ2人の姿に、貴族達は振り返り、意見を言いたそうに、王を見た。

その視線を一身に浴びた王は平然と、貴族達を一喝した。



「異議を唱えなかったのはお前たちだろう。……“慣れ”と言うのは恐ろしいな。自身の権利に今一度責任を持つんだな。」



暗に、自身の注意の甘さを指摘され、貴族達は全員苦虫を噛み潰したような顔をした。

私は、その場が収まるのを待ったあと、手で2人の入室を促した。

彼らは、一礼すると入室し、自身の席の前に立つと最上位の礼を取った。



「礼を解け。さぁ、シルビア、始めよ。」


「はい。では、発言を許します。ラフィニア。皆に説明をして。」


「はい。」



王の指示で、私はラフィニア様を指名した。

すると、ラフィニア様は頷き、自身が持ってきていた書類の束をディボル様に渡し、必要な1枚を手に背筋を伸ばした。


そこまで見守っていた貴族の一人が徐に手を上げた。


その挙手を、王は視線で確認し、私に合図を送る。

私は、ラフィニアに手で静止させ、発言することを止めさせる。

そして、東の地域を守護するイヴェルバ公爵に発言する許可を出した。

彼は、太い眉毛に意思の強そうな眼光でラフィニアを見た後、私に視線を向け立ち上がった。

白髪混じりの短髪を後ろに撫で上げ、年を重ねた皺が彼を一層強面にさせている。

そのイヴェルバ公爵が、高圧的な態度で良く通る声で発言した。



「お恐れながら、陛下。何故、コンタージュ侯爵令嬢が発言されるのでしょう?私達は彼女の話しを聞かされるために集まったのですか?このような国の緊急事態なのに。」



その言葉に、他の貴族も神妙に頷きあっていた。

私はその発言に不快感を感じながらも、表情には出さず、父王を見た。

そして、彼に臆さぬ声で意見を述べた。



「今回の議題には、ラフィニア様が一番の適任者なのです。何故なら、本日の議題の一つは、先日起こった事件についてですから。公爵家・侯爵家令嬢誘拐及び殺人未遂事件の被害者本人から、この事件の詳細と真実のあぶり出しを行うからです。」


「……あぶり出し、とは?」



イヴェルバ公爵は許してもないのに、勝手に発言してきたが、私はその非礼に目を瞑り、ラフィニア様を見た。

彼女は私の視線に気づき、小さく頷くと真っ直ぐと右手を挙げた。



「ラフィニア=コンタージュ。申してみよ。」



王は、ラフィニアに発言を許すと、彼女は凛とした声で、言葉を発した。



「この中に裏切り者がおります。」



その発言により、貴族一同、またどよめき始める。

父王はほくそ笑み、王妃と私は予想通りの展開に、その場を静観した。



「ラフィニア=コンタージュ。確固たる証拠がなければ、その発言、貴族達への侮辱の罪で裁くことになる。よいな?」



王の言葉に、ラフィニア様の書類を持つ手に力が入ったのは分かったが、彼女の表情は変わらず、強い意志を持っており、王へ礼を取ると真っ直ぐ前を見据えた。



「はい。覚悟しております。」


「では、聞こう。」


「なっ!………いえ。」



イヴェルバ公爵はまだ何か言い足りなかったようだが、父王の強い睨みで、発言を許されないと悟り、口を慎んだ。

ラフィニア様は、王族にまた一礼すると小さな口を開き、聡明な口調で話始めた。



「先日サヴィニオン公爵邸にて行われた夜会でのことです。私、ラフィニア=コンタージュと、マリエッタ=サヴィニオン公爵令嬢が狙われ、誘拐及び殺人未遂事件が起りました。この事件の主犯は………一人の貴族の子息が関与しており、他捕えた者には、現在交戦する敵国の諜報員がおりました。」



そこまで一気に話をしたラフィニア様は、一息呼吸を整えると、強い意志を持ったまま、更に発言した。



「その子息は、現在フォード侯爵の監視下の元、幽閉されており……尋問を受けております。

尋問を担当しました、ディボル=フォード侯爵子息様に発言をお許しください。」


「許そう。」



父王は、ラフィニア様の言葉に、ディボル様へ頷き発言を促した。

ディボル様は、立ち上がり一礼すると、書類を持った。



「その子息は、3年前に違法薬物の売買を持ちかけられ、自身の輸入ルートを作り悪事に加担していたとのことです。又、その費用の工面をとある貴族から受け取っていたとも申しております。」


「ほう。…その話の信憑性は?」


「王の許可を頂き、彼の家の全ての権利を凍結。直ちに自邸、他所有する土地や家屋、領地内の捜索を行い、証拠を確保しました。」


「ふむ。その子息が反逆者か?」


「いえ。他におります。彼に金銭的援助を行い、国の機密情報を他国へ送っていた者が。」



ディボル様と王の話を遮るように、イヴェルバ公爵を筆頭に後3人の貴族が手を上げた。

王妃はざっと彼らの顔を見ると、自身の手をゆっくり上げた。

王は、王妃に顔を向け、口角を上げて王妃の手を指さす。



「申してみよ。」


「はい、陛下。皆さんはこう聞きたいのですわ。【その子息は正気だったのか】また【その子息だけの話しを鵜呑みにして、この会議を行っているのか】ですわね?」



よく通る声で、謁見の間に控えて座る貴族達の顔を見ている。

一同に、王妃へ頭をゆっくりさげ同意を表している。

王はその質問に頷くと、私の方を見た。

私は、その質問に頷くと、ラフィニア様に合図を送る。

彼女は、頷くとまた真っ直ぐと手を上げた。



「陛下、発言をお許しください。まず1つ目の子息が正気だったかについてです。彼の薬摂取は、事件前の一度だけでした。後日、フォード次期侯爵とディボル様立ち合いの元、医者が彼の体内に残る薬の濃度を確認しましたが、薬は抜けており、正常範囲内でした。また、2つ目ですが…………この件に関しまして、子息以外の証人が出ており、謁見の間の外で待機しております。」


「………証人?」



イヴェルバ公爵が小さく口を開いたのを確認しながら、私も王を仰ぎ見た。



「この事件での大きな証言です。何卒、入場を許可ください。」



私は立ち上がり、王に頭を下げる。

すると、ラフィニア様も頭を下げたと肌で感じる。

この場にいる貴族のつきささる視線と、静まり返った空気に、王の有無に注目が集まる。



「いいだろう。」


「王!」


「イヴェルバ公爵。発言や反論は、この者達にすべて語らせてからでよかろう?…それとも、何か後ろ暗いことがお前にあるのか?」


「………いえ。」



イヴェルバ公爵は悔しそうに表情を歪ませ、拳を握りしめていた。

私は、謁見の間の扉を開けるよう、兵士に指示すると、彼らは扉を左右に開け放った。




そこに立っていたのは…………




さて、誰が登場するのか。

次話(明日)で、明らかにします。

多分、皆さんの予想とは違うかと。

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