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婚約破棄同士ですね。  作者: もっちりワーるど
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フォード家の兄弟 -ランス目線-

たいっへん、お待たせ致しました。

連載を再開致します。

とんでもなく時間が空いてしまって、本当に申し訳ありません。

ペースはゆっくりになりますが、年単位で空けることはもうないと思います。

宜しくお願い致します。


室内の時計が、夜の8時を過ぎた頃。

俺は、明日にも始まる戦争の準備の為、弟のディボルと執務室で現在の前線情報と国内治安を話し合っていた。

話しの端々で茶化す俺を、目の前に立つディボルは神経質そうに眉を寄せ、報告書を手に持ち睨んでくる。

ま、そんな表情の弟が可愛いのだが。

俺は内心ほくそ笑み、机の上に広げた地図に視線を移した。



「アトレスは万事うまくやっているようだし、お前に頼んどいた案件も最後の仕上げだし……俺、天才だわ。」


「……自分で天才というのが、俺の兄…。」


「何か言ったか?」


「…いえ、多少イラッとして呆れただけです。では、その仕上げですが…。」



ディボルが口を開きかけた時、部屋の扉をノックする音が響いた。

ディボルに軽く手を上げ、言葉をそのまま区切るように振ると、「入れ。」と返事をした。

すると、家の執事が部屋に入ってきた。



「王宮より使いです。王女様からの書簡も持参されています。一階応接間にて待機して頂いております。」


「分かった、すぐ行く。ディボルも同席しろ。」


「はい。」



執事の報告に頷くと、ディボルに視線を投げ立ち上がった。

俺達は執事を従え廊下を歩き、一階の応接間へ入室すると、よく知ったシルビアの侍女がいた。

彼女は立ち上がり、俺達にお辞儀をする。



「随分遅い時間に来られたな。急用か?」


「はい。要件は2件でございます。1つ目は、書簡をお持ちしましたご覧ください。2つ目は、明日、緊急貴族招集がございます。ご出席ください。」


「……ふむ。じゃ、書簡を受け取ろう。ディボル。」



王宮からきた侍女を座らせると、彼女が持ってきた書簡をディボルに受け取らせた。

それを目で確認すると、入り口付近に控えているメイドにお茶を用意させる。

俺は、弟から書簡を受け取ると、内容をさっと確認した。




“ランス 


挨拶は省くわ。

今、ラフィニア様から早馬が着た。

要点は。2つ。

1つ目、コンタージュ領へ兵士増員要請。(領地付近の領より至急)

2つ目、明日貴族緊急招集要請。(上記増員の嘆願の為。)


で、ゲイルが発った日に報告を受けていた例の件。

貴方の弟君に任せてある包囲は出来たかしら。

この件、明日公表するわ。公表するのは、ラフィニア様。補足をランスがして頂戴。


上手くいったら、ゲイルに恩をうれる。


シルビア”



俺は、書簡を読むとディボルを手で呼び、書簡を渡した。

ディボルはその書簡を受け取ると、早々に読み俺の方を見た。

俺の指示を待っている姿勢だ。



「他に何か言ってなかったか?」



俺はシルビアの侍女へ質問を投げかけると、彼女は俺を見て頷く。



「“貴方の思惑と、私の我が儘を成功させるなら今しかない。私は、全部手に入れるわ。”と。」



その言葉を聞いて、腹の底から笑った。



「ははははは!!さっすが、俺達のお姫様だ!ぜんっぜん、諦めてねぇじゃん、ゲイルのこと。ははは。了解、この件で、欲しいもん全部手に入れてやろうぜ。ただでさえ、戦争なんて胸糞悪いことしてんだ。ぜーーーんぶ綺麗に片付けて、欲しいもん手に入れて、ついでに戦争も早々に終わらせてみんなハッピーといこう。」


「…兄さん、顔が悪役ですよ。」


「うっせ。でだ、ディボル。」



俺が話を切り替えたことで、ディボルの眼が変わる。

俺の次の言葉に神経を集中させている顔だ。

大変好ましいね、うちの弟は。



「はい。」


「今から、コンタージュ邸へ行って、ラフィニアに会ってこい。」


「ゲイル様の妹君ですか?」



若干、片眉を上げて目を見開いている。

こいつは、俺がラフィニアに軍事的なこと等、色々教えていることは知っている。

そして、そんな彼女に対して、あまりいい感情を持っていない。何故なら、今までゲイル一人で領地を守らせておいて、今頃になって助けたいと言っているその性根が気に入らないらしい。

感情が表情になって表れているディボルに、俺は笑いながら顔の前で両手を組んだ。



「そうだ。そんで今、お前の部下が包囲してる連中の情報を教えてやれ。あ、ついでに増員部隊をどうやってコンタージュ領へ最短で運ぶか、知恵も貸してやれ。で、明日の招集時、他の貴族にぐーの音も出ないように動かせる演説も考えてやれ。」


「………なんていう無茶を………。それ今晩だけですべてやるんですか?何故俺が?」


「お前しかいないだろ?俺が動いたら、気づかれたくない連中にも気づかれる。…全部、国の利益になることだ。」


「…これはフォード家次期当主の命令ですか?」


「あぁ。」


「………分かりました。」


「話が分かるやつで助かる。あ、後、招集時の演説で、一つ盛り込んでほしいことがあるんだがーー」



俺の話しを聞いて、ディボルはまたも、不服な表情はしたものの、最後は頷き、部屋を出て行った。

俺は、お姫様と同じで往生際が悪いんだ。

この国の為に、俺は動く。






この話から、ランスの弟、ディボルが動き出します。

ディボルが今後ちょこちょこ動きますので、ご期待ください。

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