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婚約破棄同士ですね。  作者: もっちりワーるど
38/50

覚悟 -クレール目線-


---3日前---



今日、ラフィニアが少し目を覚ました。

そしてさっき、私はゲイルを問い詰めるような事を言ってしまった。


あの事件から時間がたつにつれて、彼女への思いと疑問が大きくなっていて、尋ねずにはいられなくなっていたからだった。


でも、あの言い方はなかった………。

いくら、ラフィニアへの思いが大きくなっていても、心配していても、ゲイルにぶつける言葉ではなかったと思う。



自邸に戻り、自分の執務室の扉を閉めると、自分自身の反省で項垂れた。

目を上げると、自分の執務机は書類でいっぱいだ。


こうしている間も、次期公爵としての仕事も溜まっていくし、国内の状況も変わっていく。

今、この国は近日中に開戦する為、他の貴族は備え始めているのだ。

ある貴族達は、大戦中、戦地、戦地付近への食料供給と安全避難の確保を。

またある貴族達は、人員供給をする為、領地で待機している兵を集めている。

私も、戦える領民を集め、確保できる食料の算出が必要だった。


…本当なら、一度領地に帰り、父と共に領地の統率と各物資統計を出さなくてはいけない。他の貴族とは比べものにならない程、公爵の仕事は多い。そこに、この非常時の対応を余儀なくされているんだ。仕事に専念するのが普通だろう。


しかし、私もゲイルも、ラフィニアが心配で仕方ない。

貴族としての仕事は、私がここにいる意味そのものなのに。

それなのに………。



ラフィニアの事、ゲイルへの不躾な言葉、自身の責任ある仕事。



「はぁ……。」



あの事件から、自身の身体も心もすり減っているような気がする。

身体が重い……。


夕暮れに染まった部屋の中、今日中に何とか出来るところまで進めておこう。

溜まりに溜まった書類を処理しようと、執務机の椅子に腰かけ、整理し始めた。


陽が落ち、蝋燭の明かりが揺れる中、しばらく書類処理に没頭していると、部屋の扉をノックされた。



「……ん?……どうぞ。どうした?まだ、時間じゃないだろ?」



私は机の上に置いてある懐中時計で時間を確認し、眉を顰めた。

この執事は本当に有能で、私が執務室にいると決まった時間以外、又は、呼ばれない限りは入室してくることはない。

それなのに、部屋に入ってきた当家の執事は、トレーに乗った手紙を俺の前に出した。

私は、不思議に思ってその手紙を受け取る。



差出人を見ると、ゲイル=コンタージュと書いてあった。



「ゲイルから……。分かった、ありがとう。あ、すまないがこの書類のここ、後、ここの統計。資料を探して持ってきてくれ。多分、父さんの部屋にある。」


「畏まりました。」



執事に頼むと、彼は丁寧に腰を折り部屋を出ていく。

彼が扉が閉めるのを待って、私は開封した。




“クレール



これは、読んだらすぐ燃やしてくれ。


まず、昨日の事を謝る。悪かった。

お前の疑問はもっともで、俺自身、無意識に先延ばしにしてきた事だった。

だからあの時、どう答えればいいか分からなかったんだ。

今なら思い当たる節がある。

考えられる原因は、俺だ。

俺が幼い頃に言った言葉で、あいつは縛られているかもしれない。

本当は、お前にすべて告白した方がいいのだろう。…だがこれ以上は伝えたくない。悪いが。


ただ、これだけはお前に伝えておくな。


昨日のお前は、頼もしかったぜ。

以前から、優しく真面目なのはお前の長所だと思っていたが、優しすぎるとも思っていた。

だからあの時、俺を困らせる程の真っ直ぐな言葉は、正直くるものがあった。


自信を持っていい。

お前はもっと、真っ直ぐ相手に、その思いを伝えていいと思う。




最後に。

俺は明日、王宮へ登城したらそのまま領地へ戻る。

妹のラフィニアの事を、何も解決せずに領地へ戻る、ひでー兄だ。


そんなひでー兄からの、理不尽な願いを一応書いておく。

覚悟が出来たら、ラフィニアと話をしてやって欲しい。

しなくてもいい。お前を責めたりしないさ。


あ、でも、手は出すな。



ゲイル”



手紙を読み終えると、私は、視線を手紙から天井へカックンと向け、息を漏らした。

私はゲイルの手紙の内容を、頭の中で考えた。


明日発つと書いてあるってことは……。

私は蝋燭の燭台の下でカチカチと時を刻む懐中時計を見た。


0時を越えている。

ということは、今日、ゲイルは王都を発つつもりなのだろう。

今日いや昨日か。

ラフィニアが回復するまでは王都にいるつもりだと言っていたが、実はそこまで待てない事情が、ゲイルにはあったか起こったのだ。


もう一読してから、私は手紙を封筒の中へもどした。




ゲイルに言ったあの時の不躾な質問も、いいと書いてあった。

もっと、私自身の想いを口にしても大丈夫だと。

そして、ラフィニアへ会うなとは書いてなかった。

その代り、覚悟をしろと書いてある。



“覚悟”



私はゲイルの手紙を、蝋燭へ近づける。

黒い煙が細く上がると、手紙が燃え始めた。

燃える手紙を、ティーカップを外し、そのソーサーの中へふわりと置く。

手紙はやがて黒い灰になり、その灰に冷めてしまったカップの紅茶を垂らす。



私の覚悟とは、まず何をしたらいいのか。



日付が変わった夜更けの執務室で、濡れた灰を見ながら考えていた。


そして次の日、私は、仕事の一環でこの事件の被害者、マリエッタのところへ見舞いに行った。

彼女に伝えたかったことは、贈る花束の花言葉に託したはずだったのに。

あそこでまさか、彼女とあんな言い合いをすることになるとは、思ってなかった。

帰り際に彼女が言った言葉に、私の本音が口から零れてしまったのだ。

その後は、お互いがすっきりする程、胸の内を言い合って、完全にマリエッタとの関係が終わったのだった。


その足で、ラフィニアに会いに向かったが、会うことは出来ず、その次の日も伺ったが、会ってもらえなかった。

侍女のカレンさんの話では、「今は会えない。」と言うばかりらしい。


これは避けられてる?


マリエッタと同じ“異性が怖い”ということなのかと、心配になるがそういうことでもないという。


そして今日。今に至る。





---------------------------




「大切な貴女だから、言わせてください。………目を覚ましなさい。」



噴水の水音が私たちを包み、私はラフィニアの手をハンカチ越しに触れていた。



「え?」


「目を覚ませって言われても、分かりませんよね。…ラフィニア。何をその胸の中に隠していますか?いい子だけでない、貴女の本当の想いがありませんか?」



私の囁きに、その指先が震えるのを感じました。

その手を、ゆっくりと自分の胸に持っていき、添えさせます。



「どんな貴女でも、私は見捨てたりしないと私は誓います。だから、貴女も貴女自身、その心を見ないふりしないでください。」



人の心は難しい。近寄り方、触れ方を少しでも間違えば、相手はもう心を開いてくれなくなる。

下手をしたら壊れてしまうだろう。

私自身、専門家でもなければ、医者でもない。

それでも、彼女の心に寄り添いたいこの思いは、止められないのだ。

無理やりにこじ開ける真似だけは絶対したくない。

一つでいい。

私のこの想いが彼女に届いて欲しい。

私の心が届いたなら、自分自身の心にも気が付いてあげてと願っている。



「どんな事でも構いません。胸の中にある、出てこようとしている貴女の想い。言葉にしていいです。なんでもいいんです。」



そういうと、ラフィニアは弾かれたように、私の手からその手を外し、立ち上がりました。

そして、私からじりじりと後ずさっていきます。顔色が目に見えて青白い。

私はそんな彼女を追っていいものかと躊躇い、結局怯えさせないようそのままベンチに腰かけたままになっていると、追ってこないと思って安心したのか、ラフィニアはハンカチを巻いた手を、もう片方の手で握りました。

そして、ゆっくりと俯くと、そのまま微動だにしなくなりました。



どれぐらいそうしていたのか、私は彼女を見上げ、彼女は私を見ず噴水を背に立ったまま、両手を組んでいます。

その時、



ザザーーーーーーーー



っと、突風が私たちを通り過ぎて行きました。

その風が、ラフィニアの髪の毛を弄び、そのミルクティー色の髪が揺れた。

私も突風で目を瞑ってしまい、風が抜け目を一擦りすると、目の前のラフィニアが私を捉え、顔を上げていた。



見つめ合う私達。



すると彼女は、小さい口を開いた。





難しいです。

ラフィニアさんの心を救おうとするクレール。


※注釈

時間系列

事件当日

→1日目:王宮でシルビア達の会議

→2日目:ラフィニア目を覚ますが、すぐ意識を失う(この時、ゲイル手紙をシルビアとクレールに出す。)

→3日目:ゲイル、シルビアたちと話し、そのまま領地へ帰還&クレール、マリエッタを見舞う。

→4日目:クレール、ラフィニアに会えず

→5日目:クレール、ラフィニアを公園へ連れ出す。


こんな感じです。文章おかしかったらごめんなさい。

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