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捨て石同然で異世界に放り込まれたので生き残るために戦わざるえなくなった  作者: よぎそーと
三章

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第51空間 長すぎる序章の終わり

 仮面の男が新人を連れてくる。

 一週間ほど様子を見て、その中から不穏分子を洗い出し、切り捨てていく。

 既定路線となったその行為が行われ、今回の追加人数が確定していく。

 差し引き12人となった新人は、まずカズアキの所に編入されていく。

 同時に、カズアキの所から他の場所に何人かが移動していく。

 比較的人数が多くモンスター対策の備えが多いのでカズアキの所は熟練者を他に放出する余力がある。

 対して他の場所は、人数が少ないのでレベルが少しで上がった者が欲しい。

 そうした需要と供給を考えての配置換えである。

 これで人数の面における不安は解消された。

 あとはトンネル周辺の備えや、森の中におけるモンスター対策の設備を充実させていくだけである。

 それについては今後の課題となるだろう。

 さすがに早急にどうにか出来る事ではない。

 だが、次の新人補充で作業用の人員も確保出来るだろうと考えられている。

 そうなったら、様々な設備を揃えて、生活環境を含めた改善に乗り出していこうと考えられていた。



 それと同時に、トンネルの向こう側への探索も始まっていく。

 何ヶ月も前からトモキが提案していた事が実現していく。

 ただ、それは予定していた状態とはほど遠いものであった。

「本当に行くのでありますか」

 心配そうにカズアキが尋ねてくる。

 それに対してトモキは、「ああ」と頷いた。

「そのつもりだったしな。

 今更撤回するつもりもないよ。

 これ以上待っても、人が集まるかどうか分からないし」

 それが一人での行動を決意する理由の一つであった。

 新人が入り、それらへの教育や訓練が必要になっている。

 そこから探険用の人員を回す余裕がない。

 あと一ヶ月もあればそれも可能になるだろうが、今はそんな余裕が無い。

 その為、トモキ一人で行動する事にした。

 危険であるが仕方ないと諦めた。

「なんとかなるさ」

 心配する者達に、そして自分自身に言い聞かせる。

 実際、どれだけ上手くやれるか分からなかったが。



 それでも事前の準備として、ボウガンや予備の武器をなるべく用意した。

 鳴子などの警戒用の罠なども譲ってもらう。

 そのあたりは他の者達からの協力を得る事が出来た。

 武器も、ガタのきてる物を新品の物と交換してもらい、予備として備える事が出来た。

 食料なども何食分か分けてもらえた。

 ステータス画面における所持品欄への収納であれば、物品はほぼそのままの状態で保存が出来る。

 その為、冷蔵庫代わりなどで使う事が出来た。

 これはクーラーボックスを入手した後に判明した事で、食事を担当してる者達はいささか苦笑いをしていた。

 もっとも、持ち寄られた食材を私物化しない為にも、ステータス画面への収納ではなくクーラーボックスでの保存の方が良いという事に落ち着いている。

 ステータス画面に収納してしまったら、本人が公開するまで何を保管してるのか分からなくなる。

 なので、物品を私物化しようと思えば割と簡単にできてしまう。

 そういった盗難を避ける為にも、持ち寄られる食材はクーラーボックスに保管する事になっていった。

 余談であるが、ヒトミ達料理担当が作る料理の材料は、食べる者達の持ち込みになっている。

 これが代金となっており、ヒトミ達の食べる分も含めて用意するのが手作りにありつく条件になっていた。

 料理によって稼げる貢献度はモンスター退治に比べれば少なく、それを補う意味もある。

 こんな形で、物々交換に近いものがあるが、経済的な流れも生まれていた。



 話は戻ってステータス画面への収納による保管についてである。

 今回のように弁当として各自が持っていく場合には、長期の保管が出来るというのは大きな利点になる。

 今までは使う機会が無かったから注目される事も無かったが、旅立つトモキには大きな恩恵である。

 貢献度はある程度貯まっているが、それらの消費を少しでも抑える為には、料理なども自前で用意しておきたい。

 また、貢献度が足りなくなってきた時も、収納している料理があれば何日かは生き延びる事が出来る。

 こういった準備が貢献度消費を抑制し、生存する可能性を高めてくれる。

 たかだか料理であるが、一食10点を何回か節約出来るというのは大きい。

 その分モンスターとの戦闘を回避する事にも使える。

 他の様々な道具もそうだった。

 自前で全てを用意するとなると何百点や何千点という消費になりかねない。

 だが、皆が持ち寄ってくれたおかげでそれらも消耗しないで済む。

 それもこれも、トモキがトンネルの向こう側へ探険に出向くための手向けである。

 そうでなければここまでの援助も無かっただろう。



「じゃあ、行こうか」

「うん」

 そういってトモキを先頭にして10人がトンネルに入っていく。

 探険はトモキ1人でやる事になるが、トンネルの向こう側までは見送る事になっていた。

 トンネルがどこまで続いてるのか分からないが、途中でモンスターに出会ったら面倒になる。

 トモキのレベルであっても、何体ものモンスターを相手にするのは難しい。

 まして探知や潜伏による奇襲攻撃を主としてきたトモキだ。

 正面からモンスターとやりあったら幾分不利になる。

 それがあるから、カズアキを始めとした彼等の中の精鋭が見送りを兼ねた援護をする事になった。

 既にレベル5に到達してる者達ばかりの一行である。

 何体かのモンスターに遭遇したとて動じる事は無い。 

 むしろモンスターの方が簡単に殲滅される事になるだろう。

 心強い同行者である。

 そんな一行を、この日ばかりは全員集まった皆が見送っていく。



 ありがたい事にトンネルの中でモンスターに遭遇する事はなかった。

 1キロか2キロか。

 かろうじて向こう側の光が見える長いトンネルをくぐり抜け、トモキ達は新たな空間に顔を出す。

 目に入ってきたのは、さほど代わり映えのない空間だった。

 草原と、その向こうの丘。

 丘を覆う木々。

 基本的なつくりは、元の空間とさして代わりは無いのかもしれない。

 だが、見知らぬ場所である。

 どれほど似てるように思えても、まだ未踏の地だ。

 どこに何があるのか、何が潜んでるのか全く分からない。

 かすかに緊張をおぼえた。

 懐かしい感触である。

 この世界に、この空間に始めて放り込まれた日を思い出す。

 あの時も、何も分からず呆然としていた。

 それに似た気持ちを今思い出していた。



「それじゃ、行くよ」

 感傷を振り払い、仲間に出発を告げる。

 カズアキを始めとした者達がそんなトモキを見つめ小さく短い言葉をかけていく。

「行ってらっしゃい」

「がんばって」

「お元気で」

 通り一遍な台詞ばかりだが、こんな時に気の利いた言葉などなかなか出るものではない。

 気持ちがこもってるだけでも十分である。

 それを受けてトモキは歩き出した。

 とりあえず壁沿いに。

 また他のトンネルがあるかもしれないと思って。

(見つけたら、今度は真ん中に行ってみるか)

 高台に登って周囲を見渡してみようと思った。

 それで何が発見出来るか分からないが、何かしら分かる事もあるかもしれない。

 ささやかな期待を抱いていく。

 その裏で、そんな上手くいくもんでもないだろうと思いながら。

 ただ、何にせよやってみなければ分からない。

 自分の目で確かめるまでは、何がどうなってるのか分からないのだから。

(何かあれば、それはそれで)

 儲けものだな、と思って気楽に構える。

 焦っても仕方ないし意味が無い。

 それよりは、気持ちを楽にしていこうと思った。

 ゆっくりに見える、着実な足取りで。







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やしろトモキ


23歳



一般教養; レベル3


運動: レベル1


格闘: レベル3


刀剣:レベル5


射撃/ボウガン: レベル2


発見/察知: レベル3


隠密/潜伏: レベル3


野外活動: レベル2


運転: レベル2



※レベル1~3: 趣味の段階


※レベル4~6:一般的な作業員として十分な段階




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 ようやく本格的に話しに入れる気がする。

 とか言って、今までと大差ないかもしれませんが。

 それでも、「ようやくここまで進めることが出来た」という気持ちです。

 いったい今までなんだったんだよと自分でも思います。



 ただ、ここまでお膳立てして、ここまで主人公を強くすることが出来ました。

 おかげで、ようやく本腰を入れて主人公を潰しにかかれます。

 最低限の強さがないとどうしようもないですからね。



 などと思ってますが、さてどうなるやら。

 自分でも先のことが全く予想できません。

 うまく話を終わらせたいものです。

 

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