エピローグ
20xx年。
日本某所、地方病院の廊下にて。
白衣を着た男性の医者と、顔色の悪い看護師
の女性が、足早に廊下を歩いていた。
「それで、患者の容態は?」
医者が尋ねると、看護師は落ち着かない様子で声をあげた。
「か、かなりひどい状態ですっ」
焦る様子の看護師に、医者は彼女を横目に見ると、すぐに声をあげた。
「落ち着いて、もう少し具体的にお願い出来ま
すか?」
医者は気だるげな口調で、看護師に言った。
すると、看護師は胸に手をあてて、呼吸を整える素振りを見せると、再び声を上げた。
「か、患者は、銃創や裂傷と思われる損傷で骨
が露出。
更には、雷で打たれた様な火傷があり、意識
はありません」
看護師の言葉に、医者は眉を潜めて首を横に振った。
「ひどいな、手遅れじゃないのか?」
「いえ、それが、その……」
「ん、なんだ?」
「消防士の話だと、患者は当初、心肺停止状態
だったそうですが、搬送中に心拍と呼吸共に
回復を始め、やがて安定し始めたそうです」
「な、なんだと……?」
「それから、損傷した部位の再生が見られる様
子でして」
「あぁ、もう訳がわからんっ、とにかく患者の
確認だっ」
そうして、医者と看護師の二人は救急治療室へとたどり着くと、件の患者がいる部屋へと入った。
ベッドには、青年と思われる人体が生命維持装置をつけられて寝ていた。
その有り様は、看護師の言葉通りの酷い有り様であり、医者は眉間のシワを更に深くさせると、怯えた様子で声をあげた。
「……こ、これが、生きているのか?」
「はい、むしろ、搬送時よりも状態は良くなっ
てきているそうです」
すると、医者はゆっくりと青年に近づき、彼の体をくまなく観察し始めた。
医者は、とても興味深そうに、隅々まで目を凝らして見ていた。
すると、医者は何かに納得した様子を見せながら口を開いた。
「もしや、ただの人間では無いと言う事か?」
「はい、おそらく【ルミナリアン】かと思われ
ます」
「だが、なぜこの様な場所に?」
「それは、わかりませんが《《例の場所》》か
ら脱走してきたのでは?」
看護師の言葉に、医者はすぐに頷いた。
「いやそうだな、こういう時代だ、彼等が居て
もおかしくはない。
しかし、こんな僻地にルミナリアンがいると
はな……」
「それで先生、どうされますか?」
「これだけの有り様だ、気持ち程度にはやれる
事はあるかもしれんが。
この患者がルミナリアンなら、そう簡単に手
出しはできないな」
「では【エイリアンズ・ゲート】に連絡を」
「そうだな、それがいいだろう」
「では、すぐにっ!!」
そうして、看護師が場を離れようとすると、医者が看護師を呼び止めた。
「あぁ、ちょっと君っ!!」
「はい、何ですか先生?」
「【ルミナスチェック】の準備をお願いしま
す、念のために確認しておきたい」
「はい、わかりました」
そうして、看護師の女性は慌ただしく部屋を
出ていった。
残された医者は、再び、興味深そうに青年の
体を凝視し始めた。
「実に興味深いものだ、この状態でなお、生命
を維持できるとは……」
医者は青年の体に触れようと手を伸ばした。
しかし、その寸前で、医者は伸ばした手を素
早く引っ込めた。
それはまるで、熱いものに触れた様な反応であり、医者は伸ばした手を擦った。
「も、燃えている……のか?」
医者は動揺した様子で、そんな言葉を口にし た。
しかし、医者は笑顔を見せながら、再び青年の体に夢中になる様子を見せた。
それは、まるで好奇心に心を奪われた少年の
様だった。
しかし、夢中になる医者は青年の上半身にある何かに気付くと、笑顔を消した。
「ん、体に文字が……【一】……【七】?」
そうして、青年の身体に刺青の様な文字がゆっくり、くっきりと浮かび上がり始めた。




