最初で最後の口げんか
知世と優弥のもとに美優がやってきた。
ふてくされた知世が美優に言った。
「美優、ひどいよ」
「私には何にも言ってくれなかったじゃない」
「何にも言わないで、B国に急に行くなんてひどい」
叫ぶように言いながら、知世は泣き出した。
「ごめん、でも、言えなかったんだよ・・・」
その続きがあるのだろうけど、美優は言えないまま、
「明日、お父さんと行くの、最後に知世と一緒にウェイトレスができて良かった」
「美優、そんなごまかさないで!!私に嫌気がさしたって言えばいいじゃない!!自分と一緒にいてもいやいやながらいる知世となんか一緒にいても仕方ないって、言えばいいじゃない」
「私だって、もう美優なんか美優なんか」
「知世、やっぱり私のことそう思ってたの?」
心のわだかまりを美優に直にぶつけたところで、美優はもうすぐいなくなるのに、と思って後悔するには言葉が先走っていた。
「知世は、私より優弥が好きなんでしょ」
「うちに来ても、いつも優弥のこと見ていた」
「今だって、優弥が言うことがすべてなんでしょ」
文化祭が滞りなく終わり、教室に戻った美優はクラスメートに明日、B国に向かうことを話した。
寂しがるクラスメートもいたが、夏樹たちはしらっとした顔をしていた。
知世はショックでクラスには戻れないまま、優弥に送られて、家に帰った。




