優弥の回想
「あたしが ゆうちゃん まもってあげる」
「ゆうちゃんが くるしいとき あたしが せなか とんとんしてあげる」
優弥が喘息の発作で苦しんでいるとき、美優はいつも言っていた。
お母さんが張りつめた表情でいつも言っていた言葉をまねしていた。
実際、発作のときに言われても、あっちいけって感じだったけど、美優は妹でありながら、姉のような存在だった。いつも自分の目標?いやな言い方をすれば目の上のたんこぶだった。ひらがなもカタカナも美優のほうが先に覚えて書けるようになったし、数字やアルファベットもいつの間にか覚えていた。自分がベッドで寝ているときは、母親のように絵本を読んでくれた。ピアノもどんどんうまくなっていくし。
美優はお母さんから俺の病気でかまってもらえないことが多くて、おばあちゃんがかわいがっていた。
「みゆはかわいいね~字もピアノも上手だね~」
「やさしいし、いいお嫁さんになるね~」
おばあちゃんは絵本を広げている美優を膝に抱っこしながら、いつも頭をなでていた。
おばあちゃんが小学4年のころ亡くなった。美優はおばあちゃん子だったから、ひどく泣いていた。動かないおばあちゃんから泣いて離れなかった。
それからの美優はあまり笑わなくなり、いつも冷静な感じを装っているようで、クラスでも浮いている存在になっていった。
発作もほとんどでなくなっていた俺は、美優を守るのは自分だと思った。
へらへらしているようなふりで、美優のクラスを覗いては、美優が大丈夫か確認していた。
5年生になってほっとしたんだ。三山が友達になってくれたみたいだったから。
高校になって、俺と美優は違うところだから、三山に美優を頼んだ。
(部活から帰ってきたら、三山が、美優がオジサンと付き合ってるって噂が出てるって言うじゃないか・・・
美優がそんなことするわけないと思ったけど、美優に聞いたんだ。
そしたら・・・美優にぶっ叩かれた)
「兄貴面しないでよ」って叫びながら・・・




