9-4 俺、まじおこなんだが
「おいおいおい。まだ生きてるじゃんかあ。だったら戦えるだろぉ。あーあ。壊れちゃった」
意気消沈。四文字熟語を体現してるね。
「じゃあ、切らせてもらうぜ。おめーのちんちんをよぉ!」
おっと、血が漏れないように接着させないと。俺がマリアとエッチできなかった時のことも考えてこれだけは残さないとな。
「死にたいかあ? おめーは今日から男のムスメと書いて男の娘なんだが。ちんちんねーけど。どうする。心も女として生きていくなら生かしてやるぜ」
反応ねえな。気持ちは通じてると思うんだが。お?
先のない手首で首を叩いてやがる。
「そうか。死にてえか。じゃあ俺が食ってやる。安心しろ。乱暴にはしねえから」
どっちで食おうかね。最近ハマりのやつでいくか。
「ほら、麻酔だ。穏やかに逝ける。さようなら幼い男の娘。ちんちんは大事にするからな。
おーい! ちんちんここに置いておくぜ!」
「チュギ……」
「おめーの死骸は残さず食うぜ。黒紫のオーラ」
片足をちぎってちょっとだけ味見。
「うん。美味い! 食感はわからんけど味は堪能できるね!」
ほどよい酸味と濃厚な蜜の甘味、甲殻はエビのような感じ、肉は馬と牛の中間っぽいな。
「ちょっと食感も味合わせてもらうわ。一回焼くね」
洞穴の酸素を減らさないようにしないと。ここじゃまずいかな。
「あっ、ちょうど下に調理に適した所があるじゃーん」
あの通路の中でなら酸素が薄くなってもええやんな。糸で出入り口塞げば闘技場には影響がでないはず。
「ごめんねごめんねー! ちょっとそこ通るよー!」
このデカブツ、ほんと重いな。もうちょっと食って減らすか。黒紫のオーラ。
よしよし。けっこう減ったけど頭とモモ肉があればいいでしょ。
「火加減は弱火。低温調理でいくか。でもこのデカイ図体じゃ時間かかりすぎるかな。いや、蓋をしたらええか」
サウナ室みたいに糸で密閉してぇ。脳みそを傷つけずに取り出した蜜団子をモモ肉に突っ込んでぇ。
「発光! 温度が見えるようになったのがマジでありがてえ!」
やっぱ鎧は硬いかなあ。ちょっと歯の硬度を調整するか。体重も増やせば噛みやすいよな、マジで便利な体になったぜ。
「身長も体重もどこまで伸ばせるのかね。今度試してみっか。とりあえず沈まない程度に体重だけ増やすか」
なんか、体重が増えれば増えるほど肌の色が変わるな。金色か?
黄色人が黄金色になっていくぞ。スーパー黄色人ってところか。
「宮殿を食った影響かな。まさかあのデザートがプラスに働いてんのか。蜜団子もそうだけど、甘いやつには能力を向上させるもんがあるのかな。ありがてえ。
誰だっけ。園田蓮華か。ありがとう園田蓮華。俺なんかのためにデザート残してくれて」
お、出来上がったかな!
モモ肉からいただきますか!
バキン! バキン! ガキン! ガキン!
「うっめー! 歯応えもほどほどだし! 肉入りのポテトチップスみてーだ! 最高! 男の娘最高!」
トロットロのお肉から甘い肉汁が口の中で弾ける!
肉の繊維を噛み切るたびに寝取り野郎の可愛い顔が目に浮かぶぜ!
「『モモ肉の蜜団子焼きはおいしかったでしょうか? 次の料理は僕のベロを焼いたものになります。存分にお召し上がりください』」
「うん! おいしかったよ! ありがとう!」
話し相手がいると食事が盛り上がるわ。頭を残しておいてよかったぜ。
よし、じゃあ次はアリの舌だ。舌を抜いたときは人間の舌よりも長くて分厚かったけど、焼いたら縮んだな。
「なんで蟻なんかに舌があるんだろうな。まあいっか。うまそー」
ちゅるちゅる。もきゅもきゅ。絡みつく。
まるで怨霊が抵抗してるみてえだ。蛇みてえに長い舌が締め付けてくるぜ。なかなかの伸縮性があるな。
噛むたびに可愛い顔が目に浮かぶぜ!
「な! 王様よぉ! 鎧と図体ばかりでお顔がちっちゃいでしゅねー! なんで人間みたいな顔をしてるんでしゅかー? どこかで会いましたっけー?」
これも園田蓮華が仕組んだものなのかな。モンスターを作ったのは園田蓮華だもんな。神様の言動からして、園田蓮華も神様っぽいけど。相当嫌な奴って感じがぷんぷんするぜ。
ま、どうせ会うこともないし謎のままでいいか。バックドアがコンピュータ用語とおなじ意味なら園田蓮華は侵入できないもんな。バックドアの神境は俺が食べたし。
『………』
残すは頭だけか。サラサラした黒髪で瞳はキラキラ、鼻が高くて唇がプリプリしている。輪郭も整っていてまるで人気女優みたいだ。オスだけど。
「あーあ。けっこう可愛いのにな。
しゃあない。頭を飾る趣味なんかねえしな。食っちまうか」
バキン! バキン! ガキン!
うん。おいしい。脳みその苦みがアクセントになってる。
「頭も美味いなら蜜団子入れたままでも良かったかもなあ。先に取っちゃって損したぜ」
よーし。帰るか。マリアのもとへ。
ガスッ、ガスッ、と闘技場から聞こえてくるよ。
誰かが働いてる音だ。他人が労働する音はいつ聞いても心地いいねえ。
「お、やってるねー。工事再開か。切り替え早いねえ」
4階のマリアの部屋はここのちょうど真上だから今後も作業場として使うかも知れんな。
そういえば、まだ間男と同じサイズのまんまだった。これで飛ぶのは流石にきついやろうな。でもこの姿をマリアに見せたいしなあ。マリアの好みなのかもしれんし。
「うわ、降りたときにクレーターできとるやん。でもまあ飛び降りるしかなかったししゃーない。
そういえば触手はどこまで伸びるようになったんやろうか。試してみっか」
おお! どんどん伸びる! これなら飛ぶより楽そうやん!
「マリアあああああああ!」
ドスン! おっとっと。けっこう揺れるな。
「マリア。帰ったぜ。ん? どうした。苦しいのか? おーい! 誰か来てくれー!」
あらら。また産まれるね。マリアは頑張るなあ。こうしてみると本当に女王になったんだなあ。
「俺がそばで撫で撫でするからな。よしよし。どうだい、このたくましい腕。間男を握り潰した腕だぜ。しかも光るぜ。惚れるでしょ」
おお! マリアが抱きついてきた! 嬉しい! やっぱり光らせるとみんな喜ぶわ。
みんなイルミネーション大好きやもんな。ロマンティックでな。
「力加減に気をつけないとな。体重減らそう。100キロくらいでいいか。
よしよし。たぶんそれくらいに調整できたな。
マリア……エッチすっか?
作業みたいなのじゃなくさ。イチャイチャしようや」
ん? どうした? 尻尾を俺に? マジか!
尻尾を俺に持てって!? これOKってこと!?
やっべ! 緊張すっぞ! 童貞やぞ!
「おお、けっこう大きな尻尾やもんな。イチャイチャしながらやとなかなか難しいな。
よし、持ったぞ。次は?
うん。なるほど。次は間男の尻尾を持てってことな。
うんうん。そんで、それをここにドッキングさせたらええんやな。OK!」
なんか。虚しい。抱いてくれるのは嬉しいけど。なんだろう。この敗北感。
「せめてチューしよ。あ、肉団子食べるね。うん。栄養大事。よしよし。えらいえらい。いい子やね。ギュってしてあげようね」
よし。これ終わったら帰ろう。マリアと一緒にいると癒されるけどそれ以上につらい。
でも何の贈り物もせずに立ち去るのはないなあ。
散々荒らし回ったからお詫びをしておきたいなあ。
なんかねえかな。俺、手持ち無いしな。
そうだ。脱皮しよう。精鋭部隊が使う武器の加工に溶解液が使われるなら、俺の素材はかなり貴重な扱いでしょ。
「マリアどうしたの。眠いの? 今日はいっぱい産んで疲れたねえ。よしよし、がんばったがんばった。じゃあちょっと俺はやることあるから離れるよ。
間男の尻尾を枕にするんやな。便利やなそれ」
マリアを起こさないように静かに離れようっと。




