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クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。  作者: かわち乃梵天丸
第一部 クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱ランクの商人に偽装しました。
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新たな訓練7 *



 誰かが階段を降りてやって来る。


 この部屋はさっき隠し扉の封印を解くまでは封印されていたはずだ。


 途中の階段も瘴気で満たされ、わざわざ降りて来る者はいないはず。


 この魔晶石を仕掛けたもの以外は……。


 これはマズイ事になった。


 これだけの魔法陣を仕掛けた者だ。


 戦いになれば今のリリィ達に勝てるわけもない。


 ここは隠匿のまま息を潜めやり過ごすしかない。


 リリィは石川達と一緒に魔晶石の裏に隠れ、やって来る者達に見つからない事を神に祈った。


 リリィの心配を他所に魔晶石の影から首を覗かせて訪問者を見る石川。


 その顔がハッとした表情になる。


 一人は真っ黒いローブを纏った男。


 黒衣の魔導士だ。


 その魔導士の着ているローブの黒さは尋常ではなく、まるで闇を纏っているかようだった。


 立っているだけで威圧感が感じられる男だ。


 だが石川が驚いたのはその男ではない。


 その男が連れていた者、人では無い者に息を飲んだのだ。


 目玉の化け物。


 顔の殆どを占める一つ目の目玉。


 禍々しい牙が生え揃った口。


 コウモリのような翼。


 見た事のない魔物だった。


 その魔物が宙を舞いながら黒衣の魔導士に向けて喋っていたからだ。


「ここも魔導探査針(プローブ)部屋への封印が解除されていましたな」


「ああ、教会のプローブ部屋と同じだな。ここも教会と同じくゲートキーパーが倒されていた。我々の計画は既にバレているのかもしれん」


「それはまずい事態ですね。スケジュールを予定より早めましょうか?」


「慌てるな。なあに今やっている事は検証みたいな事だ。目的の場所は既に解っている」


「なら、今すぐにでも掘り起こしましょう」


「焦るな。目覚めの時は近い。急がなくとも時が満ちた時に必ずや封印は解かれる」


 黒衣の魔導士は魔晶石の設置された部屋の中に入って来た。


「やはりな。ここのプローブも動作が解除されていたか」


「封印を除去して再びプローブを起動しますか?」


「いや、ここはもういいだろう。ここにはトリガーの反応が無かった。ここのプローブは回収して次に回るぞ」


 黒衣の魔導士は魔晶石に手をかざすと消し去った。


 正確に言うのならば消したのではなくアイテムボックスの中に回収したのだ。


 そして黒衣の魔導士は部屋を出ると再び封印し去っていった。


 それを見てほっと息をつく三人娘。


「帰ったかな?」


「どうにかやり過ごせたね」


「ふー、怖かったですぅ」


「目玉の化け物がいたね」


「あれはアーリマンだよ」


「アーリマン?」


「この世のものでは無い魔導生物さ。僕も見たのは初めてだよ」


 ドアの外から声が聞こえる。


 黒衣の魔導士の声だった!


 黒衣の魔導士は去っておらずリリィ達の会話を聞いていたようだ!


「どうやら、この部屋の中にはネズミがいるようだな」


「どういたしましょう? 私が始末してきましょうか?」


「なあに、お前が出るほどのネズミではない。すぐに駆除してやる」


 その言葉を聞いて表情を氷つかせるリリィ。


 短剣を持って身構える。


 だが壁の封印は解かれず魔導士は部屋に入ってこなかった。


 その代わり……。


 床の上に現れる魔法陣。


「なにっ!」


 魔法陣が光り輝く!


 眩い赤い光が部屋を覆った!


 そして!


 部屋の床が抜けた。


「きゃー!」


 リリィと三人娘はフロアの下方、漆黒の闇の中へと叩き落された。

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