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クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。  作者: かわち乃梵天丸
第一部 クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱ランクの商人に偽装しました。
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リバイアサン *

 俺達はミドリアを追った。


 天高く舞い上がったミドリアは港を抜け水平線の遥か彼方で山の様に巨大なリバイアサンと戦っていた。


「わたくしは我が君の信頼を再び手に入れるために、どんな手を使ってでもこの怪物を倒さねばならぬのです!」


 ミドリアは巨大な水龍の周りを飛び回って機動力を使いヒット&アウェイで戦っていた。


「ミッドナイトアロー!」


 手から黒い瘴気の弾のような魔法で攻撃!


 水龍は水弾を放ってそれを防ぐ。


 水龍のホームグラウンドでは防壁となる水はいくらでもある。


 圧倒的に水龍に有利な状況。


 ミドリアが何度瘴気を放ってもリバイアサンに防がれた。


「遠隔は通用しないようね。ならばこれは如何かしら?」


 黒い瘴気を凝縮させ剣を形成。


 それを握りリバイアサンに突撃!


 だがミドリアの目の前に海水の壁が立ちはだかった。


 それは海面から突如立ち上った柱!太さ30メトル、高さ100メトルを優に超える巨大ビルの様な水柱に進行を阻まれる。


「くっ! やりますわね!」


 隙を見せたミドリアに海面から水柱が次々と襲い掛かる!


 避けて避けて避けまくったが水柱に囲まれて行き場を失いミドリアは水柱の餌食に!


 水柱はミドリアを弾き飛ばし海面に叩きつけた。


 激しく全身を打ったミドリアは血を吐く。


 そしてリバイアサンに喰い付かれ海中に引き摺り込まれるミドリア。


 一気に海中三〇〇メルトの海底に!


 ミドリアは海底を蹴り、その勢いで強引にリバイアサンの口から逃げ出し、海上へと浮上する。


 どう見ても戦いはミドリアに有利とは思えなかった。


 おまけにミドリアとリバイアサンの戦闘のせいで、戦場とはかなり距離が有るはずなのにまるで台風でも襲ってきたように港の水位線が激しく上下をしていた。


「ロココさん、悪いんですがこの港迄津波が来ると思うので、住人に避難するように指示をお願いします」


「もう戦いは始まってしまったから止められないんだよな?」


「そうなりますね」


「魔王様のする事だから私らみたいな平民には口を出す権利は無いが……、出来れば話し合いで何とかして欲しかった」


「すいません。ミドリアにはキツく言っておきます」


 相手がリバイアサンなので言葉が通じるかは分らない。


 ロココさんはアングラーさんと共に住民避難の指示を出しに行った。


 ミドリアの戦いを見ていたエリザベスがポツリと言った。


「あのコウモリ、無理しやがって」


「無理?」


「あいつはコウモリなのに地に足を付けて戦うファイタータイプなんだ」


「そうなのか? 以前の召喚であいつと一度だけ手合わせをしたことが有ったけど、空中から放たれる魔法陣がかなり厄介で苦労したんでてっきり空中タイプだとばかり思ってたんだが?」


「あいつと精根尽きるまで拳を交えたわらわが言うのだから間違いない。あいつの真の姿は飛行能力を持たない鋼の筋肉の鎧で覆われたイカツイ女だ。でもお前に嫌われるのが嫌でお前の前では可愛い娘に人化している。まあ元が火竜のわらわが言えるような事ではないがな」


 俺はミドリアの真の姿を見たことが有る。


 腹筋が綺麗に割れるぐらいのかなりマッチョなバンパイアの姿をしていた。


 しかも俺の倍ぐらいの身体つきだった。


 格闘系バンパイア。


 滅多な事では見せないその姿。


 特に俺の前では……。


 空を長時間飛ぶことを必要とする空中戦ではミドリアは飛行に適さない格闘タイプに変化することは出来ない。


 しかも戦場は海上。


 飛行タイプから変化する事は許されない。


 このままではエリザベスの言うように勝ち目は無いのかもしれない。


「ミドリアは勝てないのか?」


「無理だな」


 エリザベスも俺と同意見だった。


「海上だったら、十中八九負ける。もって十五分がいいとこだ」


「なら考える事はないな!」


『システム!』


『はい勇者様』


『1番から5番まで【迅速】を頼む。追ってスキル書き換えの指示を出すので待機していてくれ』


『解りました……セット出来ました』


『すまない』


「俺が奴を仕留めてくる。エリザベスはこの港の防御を頼む」


「魔王であるわらわに、水龍と戦わせずにこのちっぽけな港の防御を任せるのか」


「マグロが食いたいんだろ? ならばこの港は死守しなければならない!」


「お、おう」


「頑張ってくれよ! エリザベス! お前だけが頼りなんだ! 礼はあとでちゃんとするから頼む!」


「タカヤマにそこまで言われたら頑張らない訳にはいかないな! この港はわらわに任せろ!」


 港をエリザベスに任せ俺は助走をつけて走り出す。


 【迅速】で海面を走り一気にリバイアサンとの距離を詰める。


 俺の接近に気が付いたリバイアサンは水柱を展開し、俺の接近を阻む。


『システム!』


『【属性攻撃:氷】、後は【攻撃力上昇】で埋め尽くしてくれ!』


『セットしました』


 俺は水飛沫を上げながら突進し海面から沸き上がった柱に拳撃を叩き込む!


「どりゃー! 砕け散れ!」


 俺の拳を喰らった水柱は一瞬で凍り付き粉々に砕け散った! 砕け散った氷をかいくぐりリバイアサンの胸元へたどり着く俺!


『システム! 1番【アイテムボックス拡張】、2番から5番【迅速】を頼む!』


『セットしました!』


 俺を見たリバイアサンは俺に喰らいつこうとする。


 それを止めた者が居た。


 ミドリアだ!


 ミドリアはリバイアサンの顔にしがみ付くと真の姿のバンパイアとなり、リバイアサンの頭を腕で強引に締め上げた。


 その姿は今まで俺が見た事のない程、筋骨隆々とした姿だった。


 野太い声でミドリアが叫ぶ。


「我が君! 盾はわたくしに任せてください!」


「おう! 任せたぞ!」


 俺はリバイアサンの攻撃の封止をミドリアに任せ、右手を開き渾身の力込め叫ぶ!


「アイテムボックス!」


 ここで戦うのは圧倒的に不利だ!


 ならばこいつを海から陸に連れ出すのみ!


 この化け物をアイテムボックスの中に取り込んでやる!


 退治は陸に上がってからゆっくりと考えるつもりだ!


「何をするんだ!」


 慌てふためくリバイアサン。


 海中に逃げようとするが逃げられない!


 ミドリアがガッシリと頭を押さえているので水の中に逃げられなかった。


 俺の腕にあり得ない負荷が掛かる。


 さすがにこれだけ巨大な化け物をアイテムボックスにしまうのは無理がある。


 家一軒を取り込むのでさえかなりの気合を必要とした。


 その家の数百軒分は有るリバイアサンをアイテムボックスに取り込むんだ!


 どれだけ気合が必要か!


 俺はコメカミが張り裂けそうになる位、気合を入れる!

 

「どうううううりゃーーーーー!!!」

 

 頭が爆発しそうになり腕が張り裂けそうになる!


 それでもやめるわけにはいかない!


 リバイアサンも必死にもがき抵抗をする!

 

「ぐぬぬぬ! 取り込まれてなるものか!」


「どうううううりゃーーーーー!!!」

 

 俺も必死に頑張る。その時!

 

「ぐおおおお! どりゃーーー!!!」

 

 ミドリアだった。


 ミドリアの体がさらに大きくなる。


 三白眼となり筋骨隆々となったミドリアがリバイアサンの首を完全に決めた!


 リバイアサンが首を決められ意識が落ちた!


 リバイアサンから一瞬で力が抜け落ち俺の手の中、つまりはアイテムボックスの中に収まった。


 ミドリアの活躍でリバイアサンを退治する事が出来た。


 俺はミドリアに向き直り礼を言おうとするとミドリアは目を逸らせる。


「我が君……お願いです。わたくしのこの恥ずかしい姿を見ないでください」


 ゴリラみたいな姿で恥ずかしがるミドリアたん可愛い。


 いつもの小悪魔的なミドリアも悪くないが、マッチョな姿で恥ずかしがるミドリアに変に萌えてしまう。


「ミドリア……可愛いぞ」


「このわたくしの姿がですか? この猛々(たけだけ)しい姿の私がですか???」


「おう、たまにはその力強い姿もいいな」


「我が君! この姿を見ても嫌わないと言うのですか?」


「おう」


「愛してます! 一生尽くします!」


 ミドリアに抱きしめられる俺。


 熱い抱擁だった。


 なんか照れるぜっ!


 って……ボキボキ!


 ウゴ!


 骨折れまくってるし!!!


 関節外れまくってるし!


 ギブギブ!


 ギブ――――!!!


 い、息出来ねー!


 こ、声も出ねー!


 うっげっ!


 中身出ちゃう!


 ゲボッ―!


 俺はマッチョミドリアに締め上げられ、一瞬で意識が飛んだ。

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