表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。  作者: かわち乃梵天丸
第一部 クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱ランクの商人に偽装しました。
22/123

異世界ポテチ3

 翌朝、黒マッチョが持って来た朝食はいつもよりも豪華だった。


 パンは柔らかくスープにはベーコンもジャガイモもコーンも入っている。


 おまけにデザート付きだ。


 今までとは明らかに違っていた。


 おまけに普段部屋の中に入って来ないメイドさんまで付いて来たし。


 多分、昨日のポテチのお礼だという事は聞かなくても解った。


 三人娘の事を聞かれたが、勇者の集まりに顔を出してるとテキトーな事を言って誤魔化しておいた。


「昨日はありがとうな。俺の娘も息子も嫁もあのジャガイモ料理を食べて大喜びだったぞ。こんなもの食べた事ないとみんなお祭り騒ぎだった」


「わたしも、家族みんなが喜んでくれました」


「それはそれは、喜んでもらえて良かったよ」


「また、機会あったら作ってくれ。たのむ!」


 なんか下心有り有りな感じがしたが、俺が作ったポテチが美味いと褒められたのは悪い気はしない。


 また黒マッチョとメイドさんに作ってやろう。


 黒マッチョが部屋を出ると俺は早速朝食を取る。


 一人寂しく朝食だ。


 パンはいつものカチカチと違って食パンレベルの味と柔らかさで、スープもそんなにマズくない。


 たぶん、Cランク勇者が食べてる朝食なんだろうな。


 いつものマズい朝食と違って普通に食えるなって言うか、うまい。


 四人分持って来られたんだけど返すのも捨てるのももったいないので、三人娘の分は収納にしまっておこう。


 後でゴブリンの巣の報告でキャンプに戻るから、届けてやればいい。


 石川達は今日も元気にやってるのかな?


 今日は、早めにキャンプに顔を出すとするか。


 夕方じゃなく正午辺りに顔を出すことにしよう。


 正午に着くと道中に掛かる時間から考えて少し早すぎる気もしないでもないが、日が昇る前に街を出たっていえば辻褄は合う。


 アイツらになんか買って持って行ってやりたいが、金がないからな。


 正確に言うと、金を持って無いんじゃなくて、稼いでないから使える金が無いんだが。


 冒険者ギルドに行って簡単な依頼でもすればいいんだろうけど、リハビリで休んでいるのに一人で依頼をするのもおかしな話だしな。


 まあ、なんだ。しばらくは金のない前提で行動するしかないな。


 昼前に俺は【隠匿】と【迅速】スキルを使い、三人娘のいるキャンプ場に着いた。


 俺の姿を見ると、石川は笑顔で手を振ってる。


 以前みたいな汚物を見るような態度では無いな。


「高山~! おかえりー!」


「おかえりですぅ」


「おかえりなさい」


 三人娘はやたら笑顔で俺を出迎える。


 なんか気持ち悪いぐらい笑顔だ。


「どうしたんだよ? なんかいい事有ったか? 俺が来た事がそんなに嬉しいのか?」


「高山が戻って来たのもチョット嬉しいんだけど」


「ちょっとかよ!」


「ねーねー、見てー! ついに覚えたわよ! 【迅速】!」


 石川はそう言うと、結構なスピードで俺の周りをグルグルと回り始めた。


 見たところ時速四〇キロメートルぐらいの速さで走っているから、たぶん【迅速】LV3だ。


 結構覚えるのが早かったな。


 まあ、あれだけ森の中を走り回らされてたら嫌でも迅速を覚えるか。


「ねーねー、凄いでしょ?」


「おう、凄いな。頑張ったな。香川ちゃんと長野さんも覚えたのか?」


「はいですぅ」


「おぼえましたよー」


「おう、そうかそうか」


 二人も石川を真似して俺の周りを結構なスピードで走り回る。


 あんまりグルグル走り回ってどこぞのトラみたいにバターになるなよ。


「じゃあ、【迅速】を覚えたお祝いにみんなにプレゼントだ!」


 俺はちょっと豪華な朝食を取りだす。


 香川ちゃんが興味津々で覗き込む。


「なんですぅ? これ?」


「今朝の朝食だよ」


「これが朝食なんですかぁ? わたしの知ってる朝食と違うですぅ」


「な、なんでこんなに豪華なのよ? パンは柔らかそうだし、スープも具だくさんだし! おまけにプリンみたいなデザートまで付いてるし!」


「多分Cランク勇者の食事なんじゃないかと思う。今日はこれが出て来たんだ。冷める前に食べてくれ」


「うん、ありがと」


「ありがとうですぅ」


「ありがとう」


 三人は美味しい美味しいと言いながら、もの凄い勢いで朝食を食べる。


 もう昼だけどな。


「でも、なんでいつもみたいなマズイ食事じゃなく、なんでこんなおいしい食事を出したんだろ?」


「わたしたちが【迅速】を覚えたご褒美なのかもぉ?」


「あ、それな。これをあげたからだと思う」


 俺はアイテムボックスの中からバケツポテチを取り出す。


 すると三人娘は目を丸くして驚いた。


「こ、これはまさかぁ!」


「伝説の!」


「ポテチじゃないですかぁ!」


「ポテトチップスですよね!」


「そう、ポテチだよ」


「これどうしたの? 買って来てくれたの?」


「異世界にもポテチあるんだぁ」


「これ、俺が作ったんだよ」


「高山が作ったの?」


「おう! 俺が作った。美味いぞ。食ってみろ!」


「いただきます!」


 バリバリとポテチを貪り始める三人娘。


 鷲掴みにしたポテチを大きく開けた口に放り込む、野獣みたいな食いっぷりで怖い。


「バリバリ、これ、バリバリ、すんごく、バリバリ、おい、バリバリ、しい!」


「とっても、バリバリ、おいしい、バリバリ、ほんもの、バリバリ、そっくりですぅ」


「なつかしい、バリバリ、味、バリバリ、ですね」


 無理に食べながら感想言わなくていいから。


 そんな食べ方してると喉に詰まるよ。


「ごほっごほっ!」


 ほら、言わんこっちゃない。


 青い顔して胸を叩きまくる石川。


 俺がアイテムボックスから水桶を取り出すと、石川は慌てて桶に顔を突っ込みながら水を飲んで流し込んだわ。


「ふー、死ぬかと思った」


「どうしたんだい?」


 石川が胸をなでおろしてると、リリィさんが戻って来た。


 リリィさんにゴブリンの巣の事を報告しないとな。


 すでに俺がゴブリン駆除したから、異常なしと報告しとけばいいか。


 そういえばあのゴブリン達はアイテムボックスの中に入れっぱなしだったんだが後で駆除しないとな。


 結構な数だから駆除すると言っても大変な事になりそうだな。


 ああ、めんどくさ。


 俺が心の中で一人愚痴りながらリリィさんの表情を見ると、その顔はかなり深刻そうな顔をしていた。


 なにか有ったんだろうか?


 「タカヤマ、悪いんだけどちょっと話が有る。お前だけに話したい事が有るからこっちに来てくれないか?」


 俺はリリィさんに連れられて、三人娘の目の届かないとこまで連れてこられた。


 リリィさんは言葉を選ぶように慎重な感じで話し始めた。


「僕が今この手に持ってる物は魔光機と言って、その場の情景を記録する事が出来る魔道具なんだ」


 水晶玉の様な物が備え付けられた手のひらに載る位の小さな箱。


 サイズとしてはさいころキャラメルぐらいのサイズの箱だ。


 こんな物見たこと無いんだが、写真機みたいな物なのかな?


 それともビデオカメラ?どんな物なんだろうな?


「ちょっとこの記録を見て欲しい」


 俺がどうやって見ればいいのか解らず困り果ててると、中の水晶を太陽の光に透かして見ろと言う事だった。


 早速言われた通りに見てみると……そこにはゴブリンの大群をアイテムボックスの中に吸い込む俺の姿が静止画で映っていた。


 うは!


 やべぇ!


 完全にアウトだ!


 そう言えば、確かスキルスロットのセッティングはシステムちゃんに任せてたんだっけな。


 確かセッティングは、1番索敵、2番迅速、3番迅速、4番迅速、5番アイテムボックス拡張。


 こんな感じだったと思う。


 ダメじゃん!


 隠匿スキルを入れて無かった!


 それでゴブリンの集団をアイテムボックス拡張で範囲でゴブリンを吸い込んでるところを撮影されてしまったと。


 やべーよ!


 マジ、失敗した!


 かなりヤバいぞ、コレ!


 俺が勇者だという、決定的証拠なんじゃね?


 幸いな事にかなりの距離を開けての撮影のせいか俺の表情まではハッキリと映っておらず、違うと言い張れば言い切れそうな感じだ。


 俺はトボケ通す事にした。


「これは一体何なんだろう? ゴブリンの大群みたいなのが映ってるみたいだけど?」


「見るのはそこじゃない。ゴブリンに向かって手を掲げてものすごいスピードで走っている男だ」


「男? ああ。これか。この男がどうしたの?」


「それ、タカヤマだよね?」


「これが? 違うよ! 人違いだろ? 全然顔映って無いし」


「ちょっと貸してみて」


 小さな箱を手に取ると、何やら操作をして俺に返す。


「これなら見えるよね?」


 俺は再び箱をのぞき込む。


 するとそこにはゴブリンを吸い込む俺の雄姿がハッキリと映っていた。


 リリィさんは映像の拡大をしたのだ。


 やべー!


 表情がバッチリハッキリ映ってるじゃないか!


 これどうやっても言い訳出来るレベルじゃないぞ!


 どう見ても俺だよ、俺!


 どう考えても言い訳出来るレベルじゃない。


 俺どうすればいい?


 1.手が滑ったと言って、このサイコロみたいなのを握りつぶして壊す。


 2.手が滑ったと言って、このサイコロみたいなのを地平線の彼方に放り投げる。


 さあ、どうする?


 どうする俺!


 答えは……1と2だ!


 俺は握りつぶして粉々にして、遠くに投げた。


「ごめ、手が滑って……」


「あ、それ複製だから。原本はこっち!」


 コピーだったのかよ!


 浮気現場の証拠の写真破いたらフィルムが残ってて呆然とする旦那みたいじゃねーか!


 俺マジ間抜け。


「ぐぬぬぬ」


「君って今の姿は偽りの姿で本当は……魔王だよね?」


 リリィさんは勝ち誇ったような表情をしてとんでもない事を俺に告げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ