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クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。  作者: かわち乃梵天丸
第一部 クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱ランクの商人に偽装しました。
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冒険者ギルド6

 そういえば女の子達の事を忘れてゴロゴロとなまけてたけど女の子達はダイジョブなのか?


 リリィさんがついてるから大丈夫だとは思うが、吉田さんにも言われたけど様子を見てこないとな。


 俺はシステムちゃんに聞いてみた。


『システム!』


『勇者様、何の御用でしょうか?』


『いま、長野さんとか香川ちゃんの様子はどうだ?』


『ずっと訓練をしてるようです』


『怪我とかしてないか?』


『えーと、調べてみます……かなり疲労はしてるようですが怪我はして無いようです』


『ちょっと心配だな。様子を見に行くか』


『はい、案内します』


『その前にスキルのセットを行ってくれ。【迅速】スキル3つと【隠匿】と【範囲哨戒】を入れてくれ』


『はい……セットしました』


『すまんな』


 俺は街の裏路地へ行くと【隠匿】スキルを発動。


 右手を振るうと僅かな黒みを帯びた霧が俺に纏う。


 認識の阻害をする霧だ。


 これで周りの者達に存在を気づかれる事は無い。


 【隠匿】スキルを使ってるので見られたとしても、認識阻害されてなにも見られなかった事となる。


 街の門へ向かうがだれも止める者はいない。


 街の外へと出る大きな門の門兵は俺の事を認識できずに何も言わずに通してくれた。


 街の外に出た俺は【迅速】スキルを使い走り出す。


「さ、行くぞ!」


 俺は女の子たちのとこに向かった。


 俺は大地を踏みしめ、猛スピードで砂煙をまき散らしながら走る。


 馬車で走れば三時間は確実に掛かる距離だが【迅速】スキルを使えば15分位で到着できるだろう。


 【迅速】スキルの重ね掛けのおかげで時速160kmは超えている。


 ゴーグルが無いので風圧で目を開けているのも少し辛い。


 時々虫が顔に直撃してすげー痛いし!


 変な汁が顔にべったりこびり付いてすげー臭いし!


 速すぎるのも考え物だな。


 今度高速走行用にヘルメットを作ろう。

 

 *

 

 高山と別れて丸一日。


 あんなのでも一応男。


 あんなキモ男で優男の高山でも……いやキモ男は第一印象だけだったわね。貴重な食べ物分けてくれたりして結構いいやつだったし。


 そんな高山でも居ると案外頼りになってたんだなと今更ながらに思う。


 居なくなると急に寂しくなったよ。


 結構わたしに優しくしてくれるし、なんか好きになっちゃったかも。


 それに高山はあの時の……。


 高山と別れてからのわたし達は酷かった。


 リリィさんに連れられて野山を泥だらけになってさまよう。


 今やっているトレーニングは、『持て』と言われた物を持ち、森の中の小さなキャンプ場の様な所までひたすら駆け足で持ち運んで往復してるだけ。


 持てと言われた物は、大抵が薬草か鉱石。


 このキャンプ場に来ている商人に、薬草や鉱石の買取をして貰ってる。


 これって冒険者ランクFの収集依頼だよね?


 薬草採取と鉱石採取をして冒険者ランク上げでもしてるのかな?


 ランク上げとしてはあんまり効率が良さそうな気はしないんだけどな。


 採取クエでもして小銭稼ぎしてるだけだよね?


 でもそんなので稼げるのは極僅かな小銭だけじゃないの?


 何がしたくてこんな事をしてるのかよく解らない。


 わたし達は教官のリリィさんに「はぐれたら、死ぬよ」と脅されていたので必死に着いていく。


 わたしや長野さんはまだ体力が残っているので良かった。


 でも身体の小さい香川ちゃんはスタミナを使い切ったのか、体力の限界をとっくに通り越しているらしく顔に疲労が滲み出てる。


 いつもの可愛らしい笑顔の面影はもうそこには無い。


 キャンプ場に着いて短い休憩を取ってる時は、瞳がどんよりとして愚痴ばかり口にしている。


「このままじゃ死にますぅ。少し休憩してたいですぅ」


 真顔で文句を言い続ける香川ちゃん。


 そんな愚痴を聞いてリリィさんが顔を出す。


「ここのキャンプ場に一人で残りたいって事かな?」


 リリィさんが香川ちゃんに問い掛けた。


「はい。一時間ぐらいだけでいいのでぇ、ここでしばらく休ませてくださいぃ」


「死んでもいいなら残ってもらってもいいけど?」


「えっ!? 死ぬの?」


「ここのキャンプ場、ゴブリンが時々やって来るんだけど死にかけの人を見つけると襲ってくるんだ。君が一人で残ってたら間違いなくゴブリンが襲ってくると思うけど、それでも残る?」


「きゅ、休憩はいらないです! みんなと行きますぅ!」


 必死な顔で前言撤回する香川ちゃん。


 それを見てリリィさんがほほ笑んだ。


「まだまだいけるじゃないか」


 この人は鬼だ。笑顔でキッツい事を平然と言う。


 リリィさんとトレーニングを始めてからは酷い事の連続だ。


 昨日の夜は日が暮れるまで鉱石採取をしてて日が落ちてしまい、人生初めての野宿をした。


 ご飯抜きで、たき火だけを炊いて土の上で寝たんだ。


 おかげで装備のローブも顔も泥だらけ。


 最初こそ疲れの方が勝って寝れたものの、途中で香川ちゃんに起こされた。


 周りが真っ暗で変な鳥の声みたいなのが聞こえてくると泣きそうな顔をしていた。


 確かにはらわたを切り裂くような変な鳥の声が聞こえてくる。


 それを聞くとわたしも怖くて寝れなくなった。


 せめてグループ唯一の男の高山が居てくれたらなー。


 あいつを見回りに着かせて熟睡出来たのに!


 なんでアイツ来なかったの?


 お風呂もここ3日入っていないな。


 体中からすごく変な臭いがする。


 ローブの袖を嗅ぐとツンとする嫌な臭いがする。


 生ゴミみたいな刺激臭だよ。


 これ女の子が出していい臭いじゃないよ。


 顔も身体も泥だらけ。


 こんなんとこを他のクラスメイトに見られたら絶対にバカにされて虐められる。


 異世界に来てから、女として扱われてない気がするよ。


 あーあ、お風呂入りたい。


「よし! 昼飯休憩にするよ」


 リリィさんは鞄の中からサンドイッチを取り出して私たちに配る。


 丸パンにハムとレタスみたいな物がちょっとだけ入った簡単な物だ。


 多分キャンプの行商人に頼んで王都の冒険者ギルドから取り寄せたものだと思う。


 日本だったらコンビニで100円ちょっとで買えるパン。


 決して高級な感じはしない。


 でもすごく懐かしい味だった。


 おいしい。


 一口食べると美味しさで嬉しい筈なのに、涙が出て来た。


「帰りたい」


 思わず小声が漏れた。


 こんな生活辞めて元の日本に帰りたかった。


 リリィさんが心配そうに声を掛けてくる。


「辛いだろう?」


 返事は出来なかった。


 代わりに目に涙が溜まる。


「僕も冒険者を始めてすぐの頃は辛かったからその気持ちは痛い程解るよ。僕の場合は好きで冒険者を始めたけど、君たちの場合は好きで冒険者始めた訳じゃ無いもんな。その辛さは解るよ」


 それを聞くと今まで無理して張ってた気が緩み、目から涙がこぼれ落ち始める。


 そして止まらなくなった。


「辛いだろう? 辛いなら泣きな。そのうち涙も枯れて泣くことも無くなるさ」


 10分も泣いていたら涙は止まった。


 涙が枯れ果てたのかもしれない。


 リリィさんは私達に予想外の嬉しい事を言いだす。


「よし! 午後の仕事を片付けたら、水浴びに行くよ!」


「水浴び?」


「身体が臭って気にしてるんだろ? 川に水浴びに行こうよ」


 仕事終わりにリリィさんに連れられてきたのは森の中を流れる川だ。


 水深は腰よりもかなり低いが結構流れが速い川だ。


 流れが速いせいか澄んだ水で綺麗。


 川底の石が良く見える。


「じゃあ、僕が敵を見張ってるから入って来なよ」


 服を脱ぐとリリィさんは私たちの服をウエストポーチの中へと服をしまう。


 さっきパンを取り出した鞄だ。


 どう見てもローブや杖の収まるサイズの鞄じゃなかったが、3人分の装備がそのかばんの中に飲み込まれる様に消えた。


 生まれたままの姿になって水浴びをしていると気分が少し楽になる。


 速い水流がわたしの汚れを洗い流す。


 香川ちゃんなんてついさっきまでもう歩けないと言ってたのに、ケラケラ笑いながら川で泳ぎ始めてる。


 髪を洗い身体の汗と汚れを一通り洗い流すと、心の汚れまで流れ去った気がする。


 すごく気持ちいい。


 気も楽になった。


 存分に水浴びを堪能すると、リリィさんが立っている河原に戻る。


 装備を返して貰おうとするとローブとは別の物を出された。


「あんなもの着てたら動きにくいし暑いだろ? これ着なよ」


 用意されたのはホットパンツとシャツ。


 リリィさんとお揃いというか、リリィさんの服だった。


「僧侶なのに、盗賊の服でいいの?」


「気にすんなって。どうせ僕は僧侶の事を教えるつもりなんてこれっぽっちも無いんだから」


「えっ!?」


「だって僕、盗賊だよ? 僧侶の事なんて簡単な回復の呪文ぐらいしか教えられないよ。どうしてもって言うなら、テキトーに教えるけど? 呪文間違えて暴走しても知らないからね、アハハハ!」


「テキトーは……ちょっと。うふふふ」


 僧侶の事は教える気は無いと、カラカラと笑うリリィさん。


 つられて笑ってしまった。


 武器も杖じゃなく小ぶりの盾と短剣に代わった。


「あんな棒持ってても、ゴブリンには勝てないからそれを使いなよ」


「でも私達、僧侶だから」


「僧侶なんて前衛が居なけりゃ無意味なジョブなんだから、今は考えないの! いい?」


「は、はい」


 気分も装備も一新して冒険者を再び始める事にした。


 汗臭くない服は着てて気持ちいい。

 

 *

 

 今、俺はとんでもないものを見ていた。


 石川の裸と、長野さんの裸と、香川ちゃんの裸だ。


 【迅速】スキルを使い石川の元まで来た俺は、三人が生まれたままの格好で水浴びをしているというベストタイミングで遭遇してしまった。


 天使の水浴び!


 マジ最高!


 この世界って神が居るんだな。


 神様ありがとう!


『なにが神様ですか! 【範囲哨戒】のレーダーを見て『いま川で長野さんが水浴びしてるかもしれないぞ!』といって勇者様が血相を変えて全速力で走って来たんじゃないですか!』


『うぐっ!』


 まあ、なんだ。


 【隠匿】スキルをスキルスロットにセットしておいて良かったぜ!


 【迅速】スキルで疾走しているとこを現地民に見られるとマズイと思って、念の為に隠匿スキルをセットしておいたんだが、


 こんなとこで役立つとは思わなかった。


 俺様グッジョブ!


 グッジョブ過ぎる!


 石川のプルンプルンふるえる果実と、長野さんのはち切れそうな果実。


 神の作り出した芸術品が目の前に合った。


 プルンプルンだよ!


 プルンプルン!


 いいね!


 最高だよ!


 何時間見てても飽きないわ!


 思わず舐めたり吸ったり揉みたくなる果実だが我慢我慢。


 揉んだら【隠匿】が解けて一生チカン扱いされてしまう。


 香川ちゃんのは、どうだと?


 香川ちゃんのはなんていうか……残念だ。


 成長途中でまだ実は付いていない。


 今後の成長次第では素晴らしい果実になるかもしれないが、その確率は天文学的数値を分母に持つ確率だ。


 三人は水浴びをした後、トレーニングを再開した。


 着替えたのはシャツとホットパンツ。


 シャツはサイズが合ってないのかおへそを覗かせてる。


 引き締まった女の子のおへそは健康的でいいね!


 なんと、シャツの下はノーブラ!


 ホットパンツの中はノーパン!


 なのでブルンブルンを強調して裸以上にエロい。


 いいね!


 いいよ!


 SNSのいいねボタンだったら16連打ぐらいしたくなる。


 トレーニングは薬草集めと鉱石集めか。


 悪く無い訓練だと思う。


 ガムシャラに森の中を走りまわらせて速度系のスキルの発現を促し、重量のある鉱石を持ち運ぶ事で攻撃と防御の元となるステータスのSTRとVITを強化する訓練だな。


 敵を倒さないので経験値は手に入らないのでレベルは上がらないが、危険を冒さずにステータスの強化をする上手い訓練だ。


 ここで得たスキルは後々役に立つだろう。


 リリィさん達が二度ほどキャンプ地と山の中を往復すると日がかなり傾いた。


 俺はタイミングを見計らって【隠匿】スキルを解き、皆の元に顔を出す。


 俺の顔を見ると石川がやたらフレンドリーに接してくる。俺の実力の片鱗を見て、最近急にデレ始めた石川!


 ツンデレのツンの期間を卒業してデレの期間に入学したのかもしれない。


「調子はどうだ?」


「お! 高山! 来てくれたんだ。もう体の方は治った?」


「まだ本調子じゃないけど、だいぶ良くなって来てる」


「なんだ、まだ直ってないんだ。ところで、なんでここに来たの? さては私と離れて寂しくなったんだじゃない?」


「まあ、それも無くは無いけどな」


 すいません、嘘です。


 石川の事なんて綺麗サッパリ忘れてました。


 さーせん!


 でも、石川はそんな俺の嘘にメチャメチャ喜んでる。


 俺に完全にデレてるっぽい。


「この私に会いたかったの? そっかー、会えなくて寂しかった?」


「石川や長野さんと香川ちゃんに会いたかったのも有るけど、本当の事を言うと吉田さんに三人の様子を見て来いと言われてね。それで様子を見に来たんだ」


「なんだ。様子見に来ただけなんだ。一緒にトレーニング出来ると思ったのになー」


「悪いけど、まだ俺は本調子じゃないんだよ」


「まだ一緒に訓練が出来ないんだね」


 【迅速】スキルを既に取っている俺には無意味な訓練だからな。


 今回の訓練はパスだ。


 まあ、なんだ。


 キミら三人で頑張ってくれたまえ。


 俺は教官役のリリィさんに3人の訓練状況を聞く。


「15日の間に戦闘訓練を開始出来るまでの基礎を積み上げる。そこからは戦闘訓練の開始で討伐クエストを繰り返すんだ。今の所スケジュール通り訓練は進んでいるよ」


 との事だった。


 まあ、順調と言う事なので、終礼でそう報告しておく。


「ちょっと頼みが有るんだけどいいかな? 僕3人の訓練でここを離れられないから、この前行ったゴブリンの巣を見て来て欲しいんだ。もしゴブリンが繁殖して溢れかえってたら教えて欲しいんだ」


「解った任せとけ」


「見てくるだけでいいからね。戦わなくていいから」


「おうよ」


 俺はリリィさんの頼みごとを聞くことにした。

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