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転生したので黒歴史の続きを生きてみる  作者: JーWelf
第一幕 転生、些細な日常
9/14

第七話 散歩、冒険、人の居ない森の奥

「いってきます!」


イロイロとあった朝の後、朝食を食べたルーオ達は昨日の夜に決めていた村へ散歩に出かけた。


(なんだかんだで気にしていなかったけど・・・一年近く引きこもっていたんだよな・・・)


ルーオが外に出た時と言えばおおよそ一年前、出産した村医者の(正確には魔法使いなのだが)病室から家までの間だけでしかもその時ルーオは寝ていたのである。家で住み始めてからもルーオは自力で動けるように頑張り、動けるようになってからはずっと書斎から本を持ってきては読みふけり、いつの間にかアリストが一緒になって本を読んでいたのである。ルーオ、産まれてから1週間で引きこもりになってしまっていた。


さてそんなルーオだが、初めて村に出たということでキョロキョロと辺りを見渡しながら森の中の道を歩いている。


「・・・なぁアリスト、ひとついいかな?」


「な、に?」


「俺の家の周りこんな森の奥にあったの・・・?」


「・・・ルーオの、家だけじゃ・・・ない、村全体が、・・・森の奥、に・・・ある・・・みたい?」


「なぜ疑問なんだよ・・・」


家を出てから十分ほど歩いているがルーオの前には冬を越し、若葉を茂らせた森が続いている。


「いつ村に着くのやら・・・」


――――――――――


結局ルーオ達が村に着いたのはあれからさらに20分ほど歩いたときだった。ふと、木々の間から差し込む日が多くなったと思い顔を上げてみると森がパタリと途切れ、人の足により踏み固められたら道になっていた。

あまりにも突然に森が無くなり視界広がったためルーオは呆然としていたのだが、アリストは何も気にせずテクテクと森の出口に建っている家に近づいていく。


「ここ、私、の・・・いえ」


「ん・・・。あ、あぁ、そこがアリストの家なんだね」


「?・・・どう、した・・・の?」


「いや、ただ少し。森がいきなり開けて驚いていただけだよ」


「そ、う・・・」


あたりを見渡してみると民家は十件ほどあり、道は高さ5メートルほどの白い塔が中央にある広場へ繋がっている。

ルーオがあちらこちらへ興味を移しているとアリストは自分の家から白く鍔の広い帽子を取ってきて被っていた。


「ルーオ、いこ・・・・?」


「おう、って忘れ物言っていたのはそれだったんだ」


ルーオは直接日光が顔にあたらなくなり少し上機嫌になったアリストを連れて、先ほどから気になっていた白い塔のある広場までやってきた。

広場の奥には森の中へと続く小道が何本もあり、その中でも広めに木が切り倒されて作られた道は畑へと繋がっているようであったが、その道以外はどこに繋がっているか見えないほど奥に続いている。


「アリストはあの道がどこに繋がっているか知ってるの?」


「知ら・・・ない。私、ルーオの、・・・家にしか、行ったこと、・・・ない」


「あー・・・じゃあ今日はこの道の奥に行こうか」


アリストがコクリと首を縦に振り否定しなかったのを確認して、ルーオ達は森の奥に続く道に入っていった。


――――――――――


鬱蒼とした木々の間を進んでいくルーオ達だが、ふと気になったことがあった。それは畑の中に人が立っていたのだが頭の上に何やら突き出したモノがあったのだ。ルーオは見たときはさほど気にかけなかったのだが改めて考えてみると普通は頭に角など生えている人間などいない。しかしその人物を見ていると頭に角があるのが普通のように思えてしまうほどとても自然に生えていたのである。


「あのさアリスト、畑にいた人たちって角が生えていたように見えたんだけど・・・鬼人なの?」


「・・・マカラさん、たちは・・・鬼人、・・・じゃない、龍・・・人」


「龍人かぁ」


若干声色が高くなったルーオを少し不思議に思ったアリストであったがすぐに横の森の中から飛んできた色鮮やかな蝶に興味がそれ、ルーオが異世界らしい人種を発見でき、龍人で角があるなら獣人は・・・、などと妄想し気持ち悪い顔をしていたのだがアリストはそれに気づくことはなかった。


「つい・・・た」


アリストが立ち止まり呟いた一言でルーオの意識は現実へと戻された。


「ついた、ってなんにもないよ」


「行き、止ま・・・り。・・・小さ、い広、・・・場?」


ルーオ達が歩いてきた道は森の中にぽっかりと空いた20メートル四方の、村にある広場よりもかなり小さい広場であった。


「あー、ちょうどいいやアリスト、今度またこようか」


「・・・何にも、・・・ない・・・よ?」


「魔法の練習に来――」


「わかった」


ルーオが言葉を完全に言い終える前に目を輝かせて食いついたアリストに少し引きつった笑みを浮かべながら、アリストが今すぐに教えてと言ってくる前に来た道を戻り始める。


「ルーオ、今度じゃなくてい――」


「さーて!他の道はどこにつながっているのかなぁ!」


――――――――――


日が傾き夕焼けがきれいに映えるころ、ルーオ達は村の白い塔の近くにあった椅子にぐったりと座っていた。


「つ、疲れたぁ・・・」


「・・・ルー、オ、・・・今度絶対、に・・・魔法教、・・・えて、あいつ・・・許さな、い・・・」


ルーオ達が一日をかけて森の奥に続く道を調べていったのだがそれでもまだ半分程しかまわりきれていなかった。ルーオ達が行った道だけでも、広大な湖、不気味な洞窟、奥まで続き過ぎて途中で引き返した道など、道の一本一本が長くそして着いた場所は全く違うながらもどこか不思議な雰囲気が漂っていた。そして最後に行った道が一部が崩れ落ち、植物の蔓が壁に蔓延っていた大きな門があった。

この門の前にたどり着いたときそれは現れた。


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